いろは堂テック ← 戻る

回線速度テストで見るべき数値3つ

2026年8月23日|いろは堂テック編集部
室内の椅子に座りマグカップを持ちながらスマホを見る男性1人の写真

画像出典: Jack Sparrow / Pexels

この記事の要点
回線速度テストは、測定端末以外の通信を止め、有線接続とWi-Fi接続の両方で、時間帯を変えて複数回測るのが基本です。数値は下り(受信)・上り(送信)・Ping値(応答の速さ)の3つを見ます。動画視聴なら下り10〜30Mbps程度、Web会議ならPing30ms以下が快適さの目安です。
😟
家で動画がときどき止まるんです。速度を測ったら80Mbpsって出たけど、これって速いの?遅いの?

スピードテストの数値は、出た瞬間が一番わからないものだと思います。単位はMbpsだと知っていても、80という数字が合格なのか不合格なのか、基準を持っていないと判断できません。

しかもやっかいなことに、スピードテストは測り方によって結果が大きく変わります。同じ回線でも、測る場所・つなぎ方・時間帯で数倍の差が出ることは珍しくありません。正直なところ、測り方を整えないまま出た1回の数字は、あまり判断材料になりません。

そこで、まず「結果がブレない測り方」を決めてから、出た数値の読み方へ進みます。ここまで通せば、遅さの原因が契約している回線側にあるのか、家の中のWi-Fi環境にあるのかまで切り分けられます。

スピードテストはどうやって測る?

難しい準備は要りません。ブラウザで「スピードテスト」と検索し、Googleが提供する測定機能の「速度テストを実行」を選ぶだけで、30秒ほどで下り・上りの速度が出ます。専用アプリを入れる必要もありません。

ただし1回の測定で数十MBから数百MB程度のデータを使います。パソコンで自宅の光回線を測るぶんには気にしなくて構いませんが、データ容量の少ないスマホプランで何度も測ると、それだけでギガを削ります。モバイル回線で測るときは回数を意識してください。

測る前に整えること
  • 測定する端末以外の通信を止める(他の人の動画視聴、PCの自動アップデート、スマホのバックアップなど)
  • 測定端末でも、ダウンロードや同期を止めてから測る
  • 可能なら有線LAN接続でも一度測る
  • ルーターの近くと、いつも使う部屋の両方で測る

ここを飛ばすと、家族が別の部屋で動画を見ていただけで数値が半分になり、回線が悪いという誤った結論に行き着きます。測定は「他に通信していない状態」を作ってからが本番です。

下り・上り・Ping値はそれぞれ何を表す?

測定結果には3つの数字が並びます。役割が違うので、自分の使い方に関係する数字だけを見れば十分です。

下り(ダウンロード)は受信の速さです。動画を見る、ページを開く、アプリを入れる。日常の大半はこちらに関わります。

上り(アップロード)は送信の速さです。写真をクラウドへ上げる、ビデオ通話で自分の映像を送る、大きなファイルを送信する。在宅勤務でWeb会議が多い人は、下りより上りが効いてきます。

Ping値(応答速度)だけは単位がms(ミリ秒)で、しかも数字が小さいほど良いという逆向きの指標です。データが往復するのにかかる時間を表し、速度がいくら大きくても、Ping値が悪いと「反応が遅い」体感になります。

😲
速度は出てるのにWeb会議だけ途切れるのは、Ping値のせいだったのかも…

速度とPing値は別物です。太い水道管(速度)と、蛇口をひねってから水が出るまでの間(Ping値)が違うのと同じで、管が太くても反応が鈍ければ会話はかみ合いません。会議や通話の不調は、まずPing値を確認する価値があります。

何Mbps出ていれば十分?

用途ごとの目安を並べます。数値は快適さの一般的な基準として紹介されているものです。

使い方目安
動画視聴など一般的な利用下り10〜30Mbps程度
Web会議(オンライン会議)Ping値30ms以下
オンラインゲームPing値15ms以下

JCOMの解説をもとに作成

この表で意外に思われるのが、動画視聴の目安が下り10〜30Mbps程度である点です。冒頭の80Mbpsは、日常利用としては十分すぎる数字ということになります。にもかかわらず動画が止まるなら、原因は平均速度ではなく、速度が一時的に落ち込む瞬間があることのほうを疑うのが筋です。

では実際の回線はどのくらい出ているのか。総務省が実施した固定ブロードバンドの実効速度計測(2021年度実証結果)では、最大通信速度1Gbps以上の契約における実測値の中央値が199.1Mbps、1Gbps未満の契約では中央値94.6Mbpsでした。混雑時間帯を含む測定です。

つまり1Gbpsの契約でも、実際に出るのは200Mbps前後が真ん中あたりということです。契約表記の最大速度は理論値で、そこに届かないことは異常ではありません。80Mbpsという数字も、この分布の中では極端に低いわけではないと読めます。

遅い原因は回線?それとも家の中?

ここが測定のいちばんの目的です。数値そのものより、どこが足を引っ張っているかを特定するために測ります。

  1. 有線LANで測るパソコンをLANケーブルでルーターに直結して測定します。ここで出た数値が、契約回線の実力に最も近い値です。
  2. ルーターのすぐ横でWi-Fi測定同じ端末を無線につなぎ、ルーターの目の前で測ります。有線との差が、Wi-Fi接続そのものによる目減りです。
  3. いつも使う部屋でWi-Fi測定普段動画を見る場所、仕事をする場所で測ります。ルーター横との差が、距離や壁による電波の弱まりです。
  4. 時間帯を変えて繰り返す朝・昼・夜で測ります。夜だけ落ちるなら、混雑時間帯の影響です。

この4つを比べると、原因が場所で分かれます。有線でも遅ければ回線側かルーターの問題。有線は速いのにWi-Fiで落ちるなら宅内の無線環境。部屋を移すと落ちるなら設置場所や電波の届き方。夜だけ落ちるなら混雑です。

🤩
同じ数字でも、どこで測ったかを揃えて比べれば意味が出てくるんですね

1回の測定値は判断材料になりませんが、条件を変えた測定値を並べると差分が原因を指し示します。測定は数字を集める作業ではなく、比較の材料を作る作業です。

測っても数値がバラつくのはなぜ?

何度か測ると、毎回違う数値が出て戸惑うことがあります。これは故障ではなく、通信が本来そういうものだからです。

回線は、同じエリアや同じ設備を多くの人と分け合って使っています。夜の時間帯に落ちるのは、道路の渋滞と同じで利用が集中するためです。測定に使うサーバーの混み具合や、そのときの電波状態でも結果は動きます。

ですから1回の最高値ではなく、複数回の中で最も低かった値を自分の環境の実力とみなすほうが実感に合います。動画が止まるかどうかを決めるのは、平均ではなく落ち込んだ瞬間の速度だからです。

測っても解決しないケースもあります

測定でわかるのは「どこが遅いか」までで、原因の除去は別の作業です。有線でも遅い場合、原因が契約回線の種類・建物の配線設備・提供エリアの混雑にあることがあり、これらは設定変更では改善しません。また、特定のサービスだけ遅い場合は回線ではなくそのサービス側の問題で、スピードテストの数値には表れません。数値が十分なのに不調が続くなら、回線以外を疑うほうが早いこともあります。

測ったあと、何から手をつける?

切り分けの結果に応じて、着手する場所が変わります。優先度の高い順に並べます。

結果別の次の一手
  • Wi-Fiだけ遅い → ルーターの置き場所、周波数帯の使い分け、中継機の検討
  • 夜だけ遅い → 契約している接続方式(IPoE=混雑しやすい従来の中継設備を通らない新しい接続方式)に対応しているか、事業者の混雑状況を確認
  • 有線でも常に遅い → 契約プラン・建物の回線設備・事業者変更の検討
  • Ping値だけ悪い → 接続方式と、通話・会議アプリ側の設定を確認

いきなり乗り換えを考える前に、まずこの切り分けを済ませてください。宅内のWi-Fiが原因だった場合、回線を変えても何も改善しません。逆に、ルーターの置き場所を変えるだけで解決することもあります。順番を守るほど、無駄な出費が減ります。

測定そのものは30秒で終わります。条件を揃えて何回か測る、それだけで「なんとなく遅い気がする」が「ここが遅い」に変わります。原因の場所さえわかれば、あとは知ってから決めれば十分です。

よくある質問

スピードテストは何回測ればいいですか?

最低でも、有線接続・ルーター近くのWi-Fi・普段使う部屋のWi-Fiの3条件で1回ずつ、さらに朝・昼・夜と時間帯を変えて測るのが望ましいです。1回の測定値は測定時の混雑や電波状態で大きく変わるため、条件を変えた複数回の値を比べることで初めて原因の切り分けができます。

下り速度が80Mbps出ていれば十分ですか?

動画視聴など一般的な用途の目安は下り10〜30Mbps程度とされているため、80Mbpsは日常利用には十分な数値です。それでも動画が止まる場合は、平均速度ではなく速度が一時的に落ち込む瞬間や、Ping値(応答速度)に原因がある可能性があります。

Ping値はどのくらいなら快適ですか?

Web会議(オンライン会議)では30ms以下、オンラインゲームでは15ms以下が快適とされる基準として紹介されています。Ping値は数値が小さいほど良い指標で、下り・上り速度が十分でもPing値が悪いと反応の遅さとして体感されます。

スピードテストでデータ容量は消費しますか?

1回の測定で数十MBから数百MB程度の通信データを消費します。自宅の光回線では気にする必要はほとんどありませんが、データ容量の少ないモバイル回線のプランで繰り返し測定すると容量を圧迫するため、測定回数に注意が必要です。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。