PPPoEとIPoEの違いとは?夜だけ遅い原因
画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
昼は快適なのに夜だけ光回線が遅くなる場合、原因は回線そのものではなく接続方式にあることが多いです。PPPoE方式は網終端装置(BRAS)という機器を必ず経由し、利用者が集中する夜間はここが混雑して速度が落ちます。IPoE方式はこの装置を経由せず直接インターネットへつながるため混雑の影響を受けにくく、多くの場合はプロバイダのオプション申込みと対応ルーターへの交換で切り替えられます。
夜だけ遅くなる現象は、回線の速さではなく「どうやってインターネットにつないでいるか」で決まっていることがほとんどです。光回線の契約は同じでも、通り道が2種類あって、片方は夜になると渋滞します。
正直なところ、この違いは契約書にも大きくは書かれていません。だから何年も遅いまま使い続けている人が本当に多いのです。まずは自分がどちらの通り道を使っているかを確かめて、必要なら切り替える。工事は不要なことがほとんどです。
PPPoEとIPoEの違いとは?
どちらも「自宅から先、インターネットへ出るまでの手続きのしかた」を決める方式です。まず言葉を渡しておきます。
PPPoE(ピーピーピーオーイー)は、PPP over Ethernet の略で、電話回線でインターネットにつないでいた時代の PPP という仕組みを、そのまま光回線の Ethernet の上に載せた方式です。特徴は接続のたびにIDとパスワードで認証すること。ルーターの設定画面に接続用のIDとパスワードを入れた記憶があるなら、それがPPPoEです。
IPoE(アイピーオーイー)は IP over Ethernet で、IDとパスワードの認証をはさまず、そのままインターネットへ出ていく方式です。多くの場合「IPv6 IPoE」という形で提供されます。
ここまでは手続きの話で、速度の差にはまだ見えません。差が出るのは通り道の途中に置かれている機器が違うからです。
なぜ夜だけ遅くなるのか?網終端装置の混雑
| PPPoE | IPoE | |
| つなぎ方 | 接続のたびにID・パスワードで認証 | 認証をはさまずに接続 |
| 通る機器 | 網終端装置(BRAS)を必ず経由 | VNEのゲートウェイルーター経由 |
| 夜間の混雑 | 装置がボトルネックになり輻輳が起きやすい | 網終端装置を通らず影響を受けにくい |
上の表の「通る機器」の行が、夜の遅さの分かれ目です。PPPoE方式の通信は、必ず網終端装置(もうしゅうたんそうち / BRAS = Broadband Remote Access Server)という機器を通ります。これは光回線の設備とプロバイダをつなぐ、いわば高速道路の料金所です。
料金所である以上、1台がさばける同時接続数には上限があります。日中は通る車が少ないのでスイスイ通過できますが、仕事や学校が終わって皆が一斉に動画やゲームを始める夜、料金所の手前に行列ができます。この行列が速度低下の正体で、通信の世界では輻輳(ふくそう)と呼びます。
回線そのものは太いままなのに、料金所だけが詰まっている。だから回線を乗り換えても、PPPoEのままなら同じ時間帯に同じように遅くなります。ここを勘違いすると、解約金を払って乗り換えたのに何も変わらない、ということが起こります。
一方IPoE方式は、この網終端装置を経由しません。VNE(仮想通信事業者)が用意したゲートウェイルーターを通って、直接インターネットへ出ます。料金所を通らない別ルートを走るイメージです。混雑の影響を受けにくく、夜間でも速度が安定しやすいのはこのためです。
自分の接続方式を確認する方法は?
思い込みで切り替え手続きを始める前に、今どちらで動いているかを確かめます。特別なアプリは要りません。
いちばん手軽な方法(スマホ・PC共通)
- ブラウザを開く自宅のWi-Fiにつながっている状態で行います(モバイル回線では判定できません)。
- 診断サイトにアクセスtest-ipv6.com を開きます。
- 結果を読むIPv4アドレスとIPv6アドレスの両方が表示されればIPv6が有効な状態です。IPv4しか出ないなら、PPPoEのみで接続している可能性が高いと判断できます。
契約中のプロバイダが独自の判定ページを用意していることもあります。そちらがあれば、契約に即した結果が出るぶん確実です。
Windowsで確かめる
- コマンドプロンプトを開く「ファイル名を指定して実行」に
cmdと入力して起動します。 - コマンドを打つ
ipconfigと入力してEnter。 - アドレスを見る
2400:のような形式のIPv6アドレスが割り当てられていれば、IPv6 IPoEでつながっている可能性が高い状態です。
ネットワークの詳細画面からも確認できます。IPv4接続とIPv6接続の状態が並んで表示され、IPv6側が「ネットワークアクセスなし」になっていればPPPoE接続と判断できます。
Macで確かめる
システム設定からネットワークを開き、いま使っている接続を選んで「詳細」へ進みます。TCP/IPタブでアドレスの形式を確認すれば、IPv6アドレスが振られているかどうかが分かります。
- ルーターの設定に「接続ID」「接続パスワード」を入力した
- プロバイダから届いた書類に認証IDが書かれている
- 診断でIPv4アドレスしか表示されない
- 夜だけ極端に遅く、深夜や早朝は速い
IPoEへ切り替える手順は?
結論から言うと、多くの場合プロバイダへのオプション申込みと、対応ルーターの用意の2点で済みます。回線の引き直し工事が必要になるケースは一般的ではありません。ただし手続きの名称も条件も契約先ごとに違うため、順番に確かめていきます。
- プロバイダの対応状況を調べる契約中のプロバイダのサイトで「IPv6 IPoE」「IPv4 over IPv6」といった名称のサービスを探します。標準提供・申込制・非対応のいずれかが分かります。
- 申し込む申込制の場合はマイページから手続きします。無料で提供されることもあれば有料のこともあるため、料金は申込画面で必ず確認します。
- ルーターが対応しているか確認するここが見落とされがちです。IPoEで通信するには、その方式に対応したルーターが必要です。プロバイダのレンタル機器に交換するか、対応をうたう市販ルーターを用意します。
- 接続設定を見直す切り替え後は、ルーターに入れていたPPPoEのIDとパスワードの設定が不要になります。古い設定が残っていると、せっかく申し込んでもPPPoE経由のままになることがあります。
- もう一度、方式を確認する先ほどの診断サイトで、IPv6アドレスが表示されるようになったかを確かめます。ここまで来て初めて切り替え完了です。
申し込んだのに速くならない原因は、たいてい手順3か4の取りこぼしです。「契約は切り替わったが、機器と設定が古いまま」という状態が起きやすいところなので、ここだけは丁寧に見てください。
IPoEが効くのは、網終端装置の混雑が原因で遅い場合です。原因が別のところにあるなら、切り替えても体感は変わりません。たとえば、Wi-Fiの電波が届いていない・古い規格のルーターを使っている・LANケーブルや端末側が古い規格で頭打ちになっている、といった宅内の問題です。時間帯に関係なく一日中遅いなら、混雑ではなく宅内側を先に疑ってください。また、プロバイダによってはIPoEに非対応だったり、有料オプション扱いだったりします。まず確認して、それから決めれば十分です。
切り替える前に知っておきたいこと
IPoEへの切り替えは、回線契約そのものを変える話ではありません。同じ光回線のまま、通り道を混んでいない側へ移す作業です。だから解約金や工事の心配をする前に、まず確認だけしてみる価値があります。
順番としては、診断サイトで今の方式を見る、プロバイダのページで対応状況を見る、この2つだけなら10分ほどで終わります。切り替えるかどうかはその結果を見てから決めればいい話です。
もし確認の結果すでにIPoEで、それでも夜だけ遅いのであれば、原因は宅内のWi-Fi環境である可能性が高くなります。その場合はルーターの設置場所や規格を見直すほうが近道です。
よくある質問
PPPoEとIPoEの一番大きな違いは何ですか?
PPPoEは接続のたびにIDとパスワードで認証し、通信が必ず網終端装置(BRAS)を経由します。IPoEは認証をはさまず、網終端装置を経由せずVNEのゲートウェイルーター経由でインターネットにつながります。この経路の違いが、混雑時間帯の速度差として現れます。
なぜ夜だけ光回線が遅くなるのですか?
PPPoE方式では通信が網終端装置を通りますが、この装置が収容できる同時接続数には上限があります。利用者が集中する夜間はここがボトルネックとなって行列ができ(輻輳)、速度が低下します。回線自体の太さは変わっていません。
自分がPPPoEとIPoEのどちらでつながっているか確認できますか?
確認できます。自宅Wi-Fiに接続した状態で test-ipv6.com にアクセスし、IPv4とIPv6のアドレスが両方表示されればIPv6が有効な状態です。Windowsならコマンドプロンプトで ipconfig を実行し、2400: で始まるIPv6アドレスがあればIPoE接続の可能性が高いと判断できます。
IPoEに切り替えるのに工事は必要ですか?
多くの場合、プロバイダへのオプション申込みと、IPoE対応ルーターへの交換で切り替えられます。ただし手続きや対応状況は契約しているプロバイダ・回線事業者によって異なるため、個別に確認が必要です。
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