ゲームのPingを下げる方法、有線化含む5つの手順
画像出典: ぱくたそ (撮影:すしぱく)
オンラインゲームのカクつきは回線速度(Mbps)ではなく、Ping(応答速度)・ジッター(Pingのブレ)・パケットロス(データの欠落)で決まります。最も効果が大きく安く済むのはWi-Fiから有線LANへの切り替えで、Ping値が平均10〜30ms改善するケースが多いと報告されています。次にIPv6 IPoE接続への切り替え、ルーターのQoS設定の順で試すのが効率的です。
ゲームのラグと、回線速度の数字はほとんど別物です。速度テストで出る「300Mbps」は、1秒間にどれだけ大量のデータを運べるかを示す数字。トラックの荷台の大きさのようなものです。
いっぽうオンラインゲームが求めているのは、荷台の大きさではなく往復の速さです。ボタンを押した情報がサーバーへ届き、結果が返ってくるまで何ミリ秒かかるか。この往復時間がPing(ピン、単位はms=ミリ秒)で、対戦ゲームの体感を決めているのはこちらです。
正直なところ、ここを取り違えたまま「もっと速い回線に乗り換えよう」と契約を変えても、ラグが変わらないことは珍しくありません。先に、お金をかけずに効く順番から確認していきましょう。
ラグの正体は?Ping・ジッター・パケットロスの3つ
遅延やカクつきを起こしている要因は、大きく3つに分けられます。それぞれ体感の出方が違うので、自分の症状がどれに当たるかを見当づけるところから始めます。
- Ping(応答速度)…データがサーバーへ行って戻るまでの時間。ms(ミリ秒)で表す。数字が小さいほど反応が速い。
- ジッター…Pingのブレ。平均が低くても瞬間的に跳ねると、その瞬間だけカクッと引っかかる。
- パケットロス…データが途中で欠落する現象。3つのなかで体感への影響が最も大きいとされる。
「平均Pingは20msなのに時々ワープする」という症状は、平均値ではなくジッターかパケットロスを疑う場面です。平均が良くても、瞬間的な乱れがあれば体感は悪くなります。速度テストのMbpsだけを見ていると、この乱れは一切見えません。
自分のPingを確かめるには?
Windowsならコマンドプロンプト、Macならターミナルで ping コマンドを使うのが手軽です。
- コマンドを開くWindowsは検索欄に「cmd」、Macは「ターミナル」と入力して起動します。
- 相手を決めて実行Windowsなら
ping -n 20 8.8.8.8、Macならping -c 20 8.8.8.8と入力します。20回分の往復時間が並びます。 - 平均とブレを見る最後に出る平均値がPing、各行の数字が大きく上下していればジッターがある状態です。途中で応答が返らない行があれば、それがパケットロスにあたります。
この計測を、Wi-Fi接続のときと有線接続のときの2回やっておくと、次に説明する有線化の効果がそのまま数字で見えます。
Wi-Fiをやめて有線LANにすると何が変わる?
Wi-Fiが不利なのは速度ではなく安定性のほうです。電波は、電子レンジや近所の家のWi-Fi、壁や家具など周囲の状況で常に揺らぎます。速度の平均値は保てても、瞬間的な乱れ=ジッターが出やすい。ゲームが嫌うのは、まさにその乱れです。
実際、Wi-Fi接続から有線LAN接続への変更だけでPing値が平均10〜30ms改善するケースが多いと報告されています。ケーブル代だけで済むので、費用対効果はどの対策よりも上です。
- LANケーブルはCat6以上を選ぶ(Cat5eより上の規格。数百円〜数千円)
- ルーターからPC・ゲーム機まで届く長さを測っておく
- PC側にLANポートがなければ、USB接続の有線LANアダプタを用意する
ケーブルを挿したら、先ほどのpingコマンドをもう一度実行してみてください。数字が下がってブレが減っていれば、原因の大半はWi-Fi側にあったということです。
夜だけ重くなるのはなぜ?IPv6 IPoEという分かれ道
「昼は快適なのに、21時を過ぎると急に重い」——この症状は家の中ではなく、その先の道路の混雑が原因です。
従来のPPPoE(IPv4)接続では、通信がPOI(相互接続点)という関所を必ず通ります。プロバイダとNTT側の網をつなぐ合流地点で、ここに全員の通信が集まるため、夜間の利用者が増える時間帯に詰まりやすい。高速道路の料金所に車が並ぶ姿を思い浮かべると近いです。
いっぽうIPv6 IPoE接続は、このPOIを迂回する経路を使います。関所に並ばない別ルートを走るので、夜間でもPing値が安定しやすいとされています。
- 契約プロバイダの対応を確認する「(プロバイダ名) IPv6 IPoE」で検索し、対応の有無と申込方法を調べます。無料で切り替えられる場合も、別途申込が必要な場合もあります。
- ルーターの対応を確認するルーターがIPv6 IPoEに対応していないと、申し込んでも効果は出ません。メーカーの製品ページで対応表を確認します。
- ファームウェアを最新にする古いままだとIPv6パススルー(IPv6の通信をルーターがそのまま通す機能)に非対応の場合があります。メーカーサイトから最新版へ更新してください。
- ルーター設定でIPv6を有効化する更新後、管理画面のインターネット設定でIPv6接続を有効にします。
IPv6 IPoEは万能ではありません。効くのは「混雑時間帯だけ悪化する」タイプの症状で、朝も昼も一日中Pingが高いなら原因は別のところ(宅内の配線、ルーターの性能、そもそもサーバーが海外にある等)にあります。また対応ルーターの買い替えが必要になると、費用は数千円〜で済まないこともあります。まずは有線化で数字を取ってから判断するほうが確実です。
家族が動画を見ると重くなる…QoS設定で優先できる?
同じ回線を複数人で使えば、帯域は取り合いになります。ここで使えるのが、多くのルーターに入っているQoSという機能です。
QoSを有効にすると、オンラインゲームや通話など優先したい通信に帯域を割り当てられます。他のデバイスの通信混雑による影響を受けにくくできる、というのがこの機能の狙いです。回線を太くするのではなく、限られた帯域のなかで交通整理をするイメージに近いものです。
- ルーターの管理画面を開くブラウザでルーターの管理画面アドレス(本体ラベルに記載)を開き、ログインします。
- QoS・優先制御の項目を探す「QoS」「優先度設定」「ゲームモード」など、メーカーによって呼び名が異なります。
- ゲーム機・PCを優先に設定するデバイス単位で優先度を指定できるタイプが多いので、対象の機器を最優先にします。
- 設定後に再計測する家族が使っている時間帯にもう一度
pingを取り、ブレが減ったか確認します。
結局どれから手をつければいい?効果とコストの一覧
| 対策 | 内容 | 効果目安 | コスト目安 |
|---|---|---|---|
| Wi-Fi→有線LAN化 | Cat6以上のLANケーブルでPC・ゲーム機を直接ルーターに接続 | Ping値が平均10〜30ms改善するケースが多い | LANケーブル代のみ(数百〜数千円) |
| IPv6 IPoE接続への切り替え | PPPoE(IPv4)からPOIを迂回するIPoE(IPv6)方式へ変更 | 夜間・混雑時間帯のPing安定化 | 対応プロバイダへの申込・対応ルーター購入が必要な場合あり |
| ルーターのQoS設定 | ゲーム通信を優先する帯域制御を有効化 | 他デバイスの通信混雑による影響を軽減 | 対応ルーターがあれば無料(設定変更のみ) |
| ゲーミングルーター導入 | ゲーム専用QoS機能搭載ルーターに買い替え | ゲーム通信の優先処理・低遅延化 | 1万円台(Archer GE230)〜9万円前後(ASUS ROG Rapture GT-BE98) |
| ファームウェア更新・IPv6パススルー確認 | ルーターの設定・ファームウェアを最新化 | IPv6接続の有効化・不具合解消 | 無料(設定変更のみ) |
各社比較メディアの集約の公表データをもとに作成(ゲーミングルーターの価格は2026年8月時点の市場価格目安)
上の一覧を上から順に試すのが、費用のかからない順でもあります。無料でできる「有線化・ファームウェア更新・QoS設定」を先に全部やってから、お金のかかる選択肢を考える——この順番を守るだけで、無駄な出費はかなり減らせます。
ゲーミングルーターは買う価値がある?
専用機の例としては、Wi-Fi 7対応でゲーム専用QoS機能「Gamer Private Network」を搭載したASUS ROG Rapture GT-BE98(約90,000円前後)や、同じくWi-Fi 7対応で1万円台のArcher GE230(ゲームブースト機能でゲーム通信を優先処理)があります。
ゲーミングルーターが効くのは「宅内で通信の取り合いが起きている」場合です。有線接続でも一日中Pingが高いなら、ボトルネックは家の外側にあり、ルーターを替えても数字はほとんど動きません。先に有線化とQoSで計測し、それでも家族の利用時に悪化するなら検討する、という順序が無駄になりません。なお現在のルーターにQoS機能があるなら、まずは無料の設定変更で同じ狙いを試せます。
回線ごと見直すときの判断材料は?
設定でやれることを一通り試してもPingが下がらない場合、回線そのものを見直す段階になります。このとき見るべきなのは、宣伝されている最大速度の数字ではありません。
回線選びの観点では、IPv6 IPoE対応であること、そしてPing実測値が公開されているオンラインゲーム向けプロバイダを選ぶことが推奨されています。「最大10Gbps」より「実測Ping◯ms」を出している事業者のほうが、ゲーム用途では判断材料になります。
計測してから決める順番が、いちばん無駄になりません。数百円のケーブルとpingコマンド1回で、原因が家の中にあるのか外にあるのかが切り分けられます。切り分けができてから、次にお金を使う場所を決めればいい——急いで契約を変える必要はありません。
よくある質問
ゲームで快適に遊べるPingの目安は何msですか?
一般に対戦系のオンラインゲームでは、Pingが低いほど操作が反映されるまでの遅れが小さくなります。数値の目安はゲームやサーバーの所在地によって異なりますが、重要なのは平均値だけでなくジッター(Pingのブレ)とパケットロスの有無です。平均Pingが低くても瞬間的に跳ねていればカクつきとして体感され、パケットロスは3つのなかで体感への影響が最も大きいとされています。
回線速度が速ければPingも下がりますか?
下がるとは限りません。回線速度(Mbps)は一度にどれだけ大量のデータを運べるかを示す指標で、Ping(ms)はデータがサーバーへ往復する時間を示す指標です。指標が別物であるため、速度の契約を上げてもPingが変わらないことがあります。オンラインゲームの体感を左右するのはPing・ジッター・パケットロスのほうです。
Wi-Fiから有線LANに変えると、どのくらいPingが改善しますか?
Wi-Fi接続から有線LAN接続への変更だけで、Ping値が平均10〜30ms改善するケースが多いと報告されています。LANケーブルはCat6以上の使用が推奨されます。費用はケーブル代の数百〜数千円だけで済むため、Ping対策のなかで最も費用対効果が高い手段です。
夜だけゲームが重くなるのはなぜですか?
従来のPPPoE(IPv4)接続はPOI(相互接続点)を必ず経由するため、夜間や混雑時間帯に通信が集中して速度低下やPing上昇の影響を受けやすくなります。IPv6 IPoE接続はこのPOIを迂回する経路を使うため、夜間でもPing値が安定しやすいとされています。切り替えにはプロバイダの対応と、IPv6に対応した最新ファームウェアのルーターが必要です。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。