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FOMC前のリスク点検、確定できる3つの数字

2026年9月5日|いろは堂投資編集部
室内の木製デスクにノートパソコンとメガネ、ノートが置かれた写真

画像出典: Elle Hughes / Pexels

この記事の要点
FOMC(米国の金融政策を決める会合)は2026年9月15〜16日に開かれ、結果は日本時間17日未明に判明します。結果は当てられませんが、目標配分との乖離、為替で動きやすい資産の量、損切りラインの3つは発表前に数字で確定できます。決めた数字を紙かメモに残しておくと、値が動いた瞬間の判断を減らせます。
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FOMCが近いって聞くけど、持ち株を売っておくべきなのか、そのままでいいのか、判断がつかなくて…

相場が動きそうなイベントの前に手が止まるのは、多くの人が通る場面です。ただ、止まる理由をよく見ると「結果を当てられないから決められない」になっていることがほとんどです。

結果は誰にも当てられません。当てられないものは予想の対象から外して、自分で決められるものだけを先に決めておく——これがイベント前の準備です。配分の偏り、為替で揺れやすい資産の量、いくら下がったら手放すか。この3つは、発表を待たなくても今日決められます。

ここでは2026年9月15〜16日のFOMCを例に、発表前にできる点検を4つの手順に分けて見ていきます。

FOMCとは何で、いつ結果が出る?

FOMC(連邦公開市場委員会)は、米国の政策金利を決める会合です。年に8回開かれ、そのうち4回はSEP(参加者の経済見通し)とドットプロット(参加者それぞれが考える将来の金利水準を点で示した図)も同時に公表されます。

2026年9月の会合は9月15日(火)〜16日(水)の日程で、政策金利の発表は現地時間9月16日午後2時、パウエル議長の記者会見が同日午後2時30分から。SEPとドットプロットが出る回にあたります。日本時間だと17日の未明で、日本市場が開く前に結果が判明しているという時間割です。

ここが実務上は大きな意味を持ちます。結果を見てから日本株の売買を判断する余地は、17日の朝までありません。だから前日までに準備を終える必要があるわけです。

2026年9月FOMCの基本情報
  • 開催: 9月15日(火)〜16日(水)
  • 政策金利発表: 現地時間16日 午後2:00
  • 議長会見: 同日 午後2:30
  • SEP・ドットプロットの公表回にあたる

FOMC会合日程の公表情報をもとに作成

今回のFOMCが読みにくいのはなぜ?

2026年後半の特徴は、利下げではなく「利上げ」観測が話題になっていることです。インフレ再燃への警戒から、9月会合で0.25%の利上げがあるかどうかで市場の見方が割れています。

CME FedWatch(金利先物の値段から、市場が織り込んでいる確率を計算した指標)で見ると、9月FOMCでの0.25%利上げ確率は日によって大きく振れています。

局面0.25%利上げの織り込み確率
直近の変動レンジ34.4%〜60.4%
FRB高官発言の前63.2%
同発言の後約50%
2026年9月4日時点約48.4%(据え置き約51.6%)

CME FedWatchを伝える報道の公表データをもとに作成

同じ会合の同じ選択肢について、数日のうちに26ポイント近く動いているということです。FRBウォラー理事の慎重な発言ひとつで63.2%から約50%へ落ちた例があり、CPI(消費者物価指数)の発表でも上下します。

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ほぼ五分五分じゃないですか…

市場のプロが総意として五分に見ているものを、個人が事前に当てにいく合理性は薄い——この表から読み取れるのはそこです。振れ幅の大きさは「まだ決着していない」ことの証拠であり、どちらかに賭ける根拠にはなりません。

直前の8月米雇用統計(9月4日発表)も、強弱が同居した内容でした。

項目結果市場予想
非農業部門雇用者数前月比+16.2万人+5.5〜5.8万人
失業率(U-3)4.1%(横ばい)
労働参加率61.4%→61.6%
平均時給前年比+3.2%+3.5%

8月米雇用統計を伝える報道の公表データをもとに作成

雇用者数は予想の3倍近い伸びで、労働市場の底堅さを示しました。失業率が横ばいなのも、労働参加率が上がる中での横ばいなので中身は改善です。ところが平均時給は予想を下回り、賃金面のインフレ圧力は加速していません。利上げを支持する材料と、急ぐ必要はないと読める材料が同じ日に出た——確率が割れたままなのは、そのためです。

確率は予想であって前提ではありません

ここで挙げた数値はいずれも2026年9月4日前後時点の市場の織り込みで、時間とともに変わります。「利上げがある前提」でも「据え置きの前提」でもポジションを組まないでください。予想を当てにいく設計は、外れたときに損失を制御する手段が残りません。

手順1: 配分のズレはどれだけありますか?

最初にやるのは、売買ではなく現状把握です。自分が決めた目標配分(国内株式◯%、外国株式◯%、債券・現金◯%といった比率)と、今の実際の比率を並べて書き出します。

目標配分を決めていない場合は、この機会に紙に書くところから始めてください。比率の正解は人それぞれですが、書いていないと「ズレているかどうか」の判定自体ができません。

  1. 資産クラスごとに評価額を集計証券会社の資産状況画面で、国内株・外国株・投資信託・現金の評価額を書き出します。
  2. 構成比を計算それぞれを合計額で割って%にします。
  3. 目標との差を出す目標比率との差を引き算で出します。ここまでで点検の材料が揃います。

調整するかどうかの目安としてよく紹介されるのが「目標比率から±10%乖離したら調整する」というルールです。ただしこの基準をそのまま使う前に、今回のような五分の会合では一点だけ足しておくと精度が上がります。乖離幅を「%」でなく「金額」に直しておくことです。国内株の目標が40%で現状が52%なら、差は12ポイントで基準超え。総資産600万円なら72万円が「本来の設計より多く相場に置いてある額」になります。

%のままだと、基準を超えたかどうかの○×しか出てきません。金額に直すと、その額が動いたときに耐えられるかどうかまで同時に判定できます。手順3で決める損切りラインとも、同じ単位で突き合わせられます。

調整が必要と判断した場合でも、保有分をすぐ売る方法だけではありません。積立の配分を変えて、これから買う分で目標比率に近づけていく方法もあります。含み益のある資産を売ると課税されますが、積立配分の変更なら課税を先送りにできるぶん有利になるケースがあります。

手順2: 為替で揺れやすい資産をどれだけ持っている?

FOMCの結果が直接ぶつかるのは、米国の金利水準です。そこから為替が動き、日本株にも波及します。だから点検すべきは「利上げか据え置きかで損益が大きく変わる資産をどれだけ持っているか」です。

一般的なセオリーとして、米国の雇用や物価が強く出て利下げ観測が後退すればドル高・円安に振れやすく、弱ければ利下げ期待から円高が進みやすいとされます。この向きを踏まえて、保有資産を分類してみてください。

洗い出す対象
  • 米国株・米国株投信の保有比率(為替の影響を直接受ける)
  • 為替ヘッジ(為替が動いても円建ての価値が変わりにくいよう調整する仕組み)なしの外貨建て資産の金額
  • 売上に占める海外比率が高い企業の株(円安・円高で業績見通しが変わる)
  • 信用取引(証券会社に預けた資金を担保に、その数倍の金額まで売買する取引)を使っている場合は、そのポジションと、担保として預けている保証金にどれだけ余力が残っているか
  • すでに含み損を抱えていて、これ以上下げると耐えられない銘柄

ここで大事なのは、洗い出した結果を見て慌てて減らすことではありません。「この資産クラスがX%動いたら、自分の総資産はいくら増減するか」を金額で把握しておくことが目的です。金額で見ておくと、当日の値動きに驚く度合いが下がります。

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計算したら、思っていたより外貨の比率が高かったです

比率を数えて意外に感じたなら、それはイベント前に点検した効果が出た場面です。気づいた時点なら、比率を下げるか、そのまま受け止めると決めるか、落ち着いて選べます。値が動いてから気づくと、選択肢は動いた後の価格からしか選べません。

手順3: 損切りラインはいくらで引きますか?

損切りルールの本質は、感情が入る前に基準を確定させておくことです。価格が動いている最中の判断は、どうしても「もう少し待てば戻るかもしれない」に引っ張られます。

決め方には大きく2つの考え方があります。

銘柄単位で決める方法

「取得価格から-10%で手放す」のように、個別銘柄の下落率で線を引く方法です。判定が単純で、記録もしやすいのが利点になります。

ポートフォリオ全体で決める方法

1銘柄の損失が資産全体に与える影響を見て判断する考え方です。全体に対する比率が小さい銘柄なら、10%を超える下落でも見守るという判断が紹介されています。分散が効いている人向けの、一段細かい管理といえます。

今回のように結果が五分に割れている会合では、この2つを別々に持つよりつなげて1本の数字にしておくほうが実用的です。手順1で出した「相場に置いてある金額」に対して、まず全体で許容する損失額を先に決める。次にその枠を保有銘柄へ割り振り、割り振られた額を株数で割って、銘柄ごとの損切り価格を出す——という順番です。

下落率から先に決めると、銘柄ごとの-10%を合計したときの損失額が想定を超えていても気づけません。許容額を先に決めて価格へ落とすと、合計が最初から枠に収まるという違いがあります。決めた数字はメモに残すところまでを1セットにしてください。頭の中の基準は、当日の値動きの前で簡単に書き換わります。

なお、決めた価格で自動的に売る仕組みも証券会社に用意されています。逆指値注文といって、「株価が◯円まで下がったら売り注文を出す」と条件を先に登録しておく注文方法です。相場を見ていられない時間帯でも、決めたラインで実行されます。

メモに書き出す項目
  • 銘柄名と保有株数
  • 取得単価
  • この銘柄に割り振った許容損失額
  • 損切りを実行する価格(円単位まで書く)
  • 逆指値注文で自動化するか、自分で相場を見て判断するか

許容損失額を先に書いておくと、その金額に耐えられるかを冷静な状態で確認できます。書いてみて「この額は無理だ」と感じたなら、それは損切りラインではなくポジションサイズ(その銘柄に投じている金額の大きさ)のほうを見直す合図です。

ルールを決めても向かないケースがあります

短期の値動きに合わせて売買しない長期積立が中心の人にとっては、イベント前に配分を動かすこと自体が不要な場合があります。積立を続ける方針なら、点検は「配分の確認」までで十分で、損切りラインの設定は必ずしも必要ありません。手順は全部やるものではなく、自分の方針に合うものだけを選んでください。

手順4: 通過後には何を記録しますか?

イベント前の準備は、通過後の振り返りとセットにして初めて次に活きます。結果が当たったかではなく、決めたとおりに行動できたかを確認するのがポイントです。

  1. 結果を記録政策金利がどうなったか、ドットプロットとSEPの内容、会見での発言のトーンを1〜2行で書きます。
  2. 自分の行動を記録事前に決めたラインに触れたか、触れたときルール通りに動けたかを書きます。
  3. ズレの原因を書くルールと違う行動をしたなら、何を考えてそうしたのかを残します。
  4. ルールを更新するか決めるルール自体に無理があったのか、実行できなかっただけなのかを分けて判断します。

この記録が数回分たまると、自分がどんな場面で判断を崩しやすいかが見えてきます。イベントごとの当たり外れより、自分の行動パターンのほうが再現性のあるデータです。

ここまでの4手順は、どれも「結果を予想しない」という点で共通しています。配分のズレ、為替に効く資産の量、損切りライン、記録の枠組み——すべて発表前に確定できるものだけです。

9月16日の結果が利上げでも据え置きでも、事前に数字を決めてあれば、当日やることは「決めたとおりに動くか、動かないか」の確認だけになります。判断の量が減るぶん、間違いも減ります。

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予想しなくていいと分かったら、少し気が楽になりました

準備の目的は不安をゼロにすることではなく、判断が必要な場面を減らすことです。書き出した紙が1枚あるだけで、当日の相場の見え方は変わります。

※本記事は投資教育を目的とした情報提供であり、特定の銘柄や投資手法の推奨ではありません。投資は自己責任で行ってください。株式・投資信託等には元本保証はなく、損失が生じる可能性があります。記載した市場データ・確率はいずれも2026年9月4日前後時点のもので、その後変動します。

よくある質問

2026年9月のFOMCはいつ開催されますか?

2026年9月15日(火)から16日(水)にかけて開催されます。政策金利の発表は現地時間9月16日午後2時、パウエル議長の記者会見は同日午後2時30分からです。この回はSEP(経済見通し)とドットプロットが公表される会合にあたります。

FOMC前に持ち株を売っておいたほうがいいですか?

結果は事前に判別できないため、売るか持つかを予想で決める方法は推奨されません。代わりに、目標配分とのズレの確認、為替の影響を受けやすい資産の把握、損切りラインの数値化という、結果に依存しない準備を行うのが現実的です。長期の積立が中心であれば配分の確認だけで十分な場合もあります。

ポートフォリオの配分を見直す基準はありますか?

目標比率から±10%乖離したら調整するというルールが目安の一つとして紹介されています。判定した乖離を金額に直しておくと、損切りラインと同じ単位で突き合わせられます。調整する際は保有分を売却するほかに、積立の配分を変更して今後買う分で目標比率へ近づける方法があり、含み益への課税を先送りできる点で有利になるケースがあります。

損切りラインはどう決めればよいですか?

個別銘柄の下落率(例: 取得価格から-10%)で決める方法と、その損失が資産全体に与える影響の大きさで判断する方法があります。全体の許容損失額を先に決めてから各銘柄へ割り振り、株数で割って価格に直すと、銘柄ごとのラインの合計が許容額に収まります。決めた価格と損失額はメモに残しておくことが重要です。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。