いろは堂投資 ← 戻る

損切りラインの決め方、10%と1〜2%ルール

2026年6月27日|いろは堂投資編集部
株価下落を表すグラフのイメージ画像

画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

この記事の要点
中長期の株式投資では、買値から10%程度の下落を損切りラインの目安とする考え方が一般的です。さらに1回の取引の損失を総資金の1〜2%以内に収めるよう株数を逆算すると、損切り幅と買う量が同時に決まります。決めたラインは購入直後に逆指値注文へ入れておけば、下落中に判断し直さずに済みます。
😟
下がるたびに「もう少し待てば戻るかも」と思って、気づいたら含み損が30%。売れないまま何年も持っている株があります。

塩漬け株ができる原因は、値動きの読み違いよりも「下がってから売るかどうかを考えている」ことにあります。すでに損失が出ている状態で判断すると、損を確定させる痛みが判断を歪めます。だから、まだ何の感情も乗っていない購入前に決めておくのが先なのです。

正直なところ、損切りラインに万人向けの正解はありません。ただ、目安として使われている数字と、その数字から買う株数まで逆算する手順は決まっています。ここではその型を、数値例と注文画面の操作まで含めて整理します。

損切りラインの目安は何パーセント?

中長期で株式を保有する場合、購入価格から10%程度の下落を損切りラインの目安とする考え方が一般的です。日々の値動きの範囲では触れにくく、かといって傷が深くなる前に降りられる、という中間の水準として使われています。

保有期間が短くなるほど、この幅は狭くなります。デイトレードのような短期売買では、1回の取引あたり2%程度を目安とする流儀もあります。数時間で決着をつける取引に10%の余裕を持たせると、1回の失敗で資金が大きく削れてしまうためです。

保有期間別の目安(一般的に使われている水準)
  • 中長期の保有:買値から10%程度
  • 短期売買:1回の取引あたり2%程度
  • いずれも「絶対的な正解」ではなく出発点として使う数字

なぜ%で決めるのかというと、株価の絶対額に左右されないからです。500円の株と5,000円の株では、同じ「200円下がった」でも意味がまったく違います。%で揃えておけば、どの銘柄でも同じものさしで判断できます。

損切りラインの決め方には4つの方式がある

%基準は最も単純な方式ですが、決め方はほかにもあります。よく使われるのは次の4つです。

  1. 購入価格からの割合(%)基準買値から○%下の価格を機械的に損切りラインにする方式。計算が単純で、迷う余地がないのが利点です。
  2. 直近安値基準チャート上で直近に付けた安値を少し下回った価格に置く方式。「その安値を割ったら想定が崩れた」と考えます。
  3. サポートライン(節目)基準過去に何度か反発している価格帯を割ったら損切りにする方式。多くの参加者が意識する水準を基準にします。
  4. ATR(ボラティリティ)基準その銘柄の値動きの大きさに合わせて損切り幅を広げたり狭めたりする方式。よく動く銘柄に狭い幅を当てて何度も刈られるのを避けます。

この4つは、対立する流派というより 「何を根拠に損切りするか」の違い です。%基準は自分の資金管理を根拠にし、直近安値・サポートライン基準はチャート上の想定が崩れたことを根拠にします。最初のうちは判断が入り込まない%基準から始めて、慣れてから他の方式を試すのが取り組みやすい順序です。

🤔
10%と決めたとして、実際にはいくらの損失額になるんでしょう。

1回の損失を総資金の1〜2%に収める株数の逆算

損切り幅(%)と、実際に失う金額は別物です。同じ「-10%で損切り」でも、10万円分買ったのか100万円分買ったのかで痛みはまったく違います。ここを分けて考えるのが資金管理の考え方で、1回の取引の損失を総資金の1〜2%以内に抑えることが基本とされています。

この2つを組み合わせると、買ってよい株数が計算で出てきます。順番はこうです。

  1. 許容損失額を出す総資金 × 1〜2% を計算します。
  2. 1株あたりの損失額を出す買値 − 損切りライン、で1株が失う金額を出します。
  3. 割り算する許容損失額 ÷ 1株あたりの損失額 = 買ってよい株数の上限です。

具体的な数値例

総資金300万円、1回の取引で許容する損失を1%とする場合で計算してみます。

総資金300万円
1取引の許容リスク1%
許容損失額300万円 × 1% = 3万円
買値2,000円
損切りライン1,800円(-10%)
1株あたりの損失2,000円 − 1,800円 = 200円
買える株数の上限30,000円 ÷ 200円 = 150株

この150株という数字は、投資額でいうと2,000円 × 150株 = 30万円です。総資金300万円のうち1割を1銘柄に充てる計算になります。損切りラインを-5%と狭くすれば1株あたりの損失は100円になり、買える株数は300株(60万円分)まで増えます。損切り幅を狭くすると多く買え、広くすると少ししか買えない ——この関係が、株数を勘で決めていたときには見えていなかった部分です。

この計算には向き不向きがあります

1〜2%ルールは、ある程度の資金があり、複数の銘柄に分けて投資する前提の考え方です。総資金が数十万円の段階では、計算上の買える株数が単元(100株)に届かず、そもそも成立しないことがあります。その場合は無理に当てはめず、1銘柄あたりの投資額を総資金の何%までにするか、という上限だけ先に決める方が現実的です。

逆指値注文で損切りを自動化する

ルールを決めても、実際に株価が下がってくると手が止まります。「明日の決算で戻るかもしれない」「ここまで我慢したのだから」と、売らない理由はいくらでも思いつくものです。これを人の意志で乗り越えようとするより、仕組みに任せるほうが確実です。

逆指値注文とは、あらかじめ設定した価格に株価が到達した時点で、自動的に売り注文が発動する注文方式です。通常の指値注文が「この価格まで上がったら売る」なのに対し、逆指値は「この価格まで下がったら売る」という逆向きの条件で使えます。発動後に出す注文は、成行か指値かを選べます。

発注の手順

  1. 買い注文を出す前に、損切りラインの価格を確定させる上の計算で出した価格(例:1,800円)をメモしておきます。
  2. 買い注文が約定したら、すぐ売り注文画面を開く注文の種類で「逆指値」を選びます。
  3. トリガー価格に損切りラインを入力する「1,800円以下になったら」という条件を設定します。
  4. 執行の方法と有効期限を設定する確実に約定させたい場合は成行、価格を限定したい場合は指値を選びます。有効期限は取り得る最長にしておくと入れ直しの手間が減ります。
  5. あとは触らない下がってきたときに条件を緩める操作をしないことが、この仕組みの唯一かつ最大のルールです。

逆指値注文は、SBI証券・楽天証券・松井証券など主要なネット証券がいずれも対応しています。画面上の名称や、トリガー価格の呼び方は証券会社ごとに少しずつ異なるため、初回は少額で1度試して挙動を確かめておくと安心です。

😲
買ったその日に売り注文まで出しておくということですか。

買い注文の約定直後に逆指値を入れておくのが、この手順の要です。買った直後は、まだ含み損も含み益も出ていない唯一のタイミングです。判断を歪めるものが何もないこの時点で撤退ラインを注文として置いておけば、後から感情で動かす余地そのものがなくなります。損切りは意志の強さではなく、注文の出し方で解決できる部分が大きいのです。

ルールを決めても損切りできないときの見直し方

ルールを作ったのに守れない場合、意志の問題ではなくルールの設定に無理があることがあります。よくあるのは次の3つです。

損切りが実行できないときの点検項目
  • 損切り幅が狭すぎる:通常の値動きの範囲で頻繁に発動し、そのたびに損失が積み上がって「もう従いたくない」となっている
  • 1回の投資額が大きすぎる:総資金に対する損失額が痛すぎて、確定させる決断ができない状態になっている
  • 買った理由が曖昧:どうなったら想定が崩れたのかが決まっていないため、下落を「一時的な調整」と解釈し続けられてしまう

特に2つ目は、損切りできないことの原因が損切りルールではなく 株数の決め方 にあるケースです。前章の逆算で株数を絞ると、1回あたりの損失額が我慢できる範囲に収まり、結果としてルールを実行しやすくなります。ルールが守れないときは、ルールを甘くするのではなく ポジションを小さくする ——これが順序です。

塩漬け株がすでにある場合

すでに大きな含み損を抱えた銘柄については、過去の買値は判断材料になりません。買値はあなただけの事情であって、市場がその価格を意識してくれるわけではないからです。判断するなら「今この価格でこの銘柄を新規に買いたいか」という問い方に置き換えるほうが、買値へのこだわりから離れられます。

ここで無理に一括で処分する必要もありません。数回に分けて減らす、あるいは今後の新規購入分から逆指値の運用を始める、といった進め方でも、塩漬けが増え続ける流れは止まります。

買う前に埋めておくメモの形

最後に、購入前に決めておく項目をまとめます。

銘柄・買値いくらで買うか(成行なら想定価格)
損切りライン買値から何%下か、価格でいくらか
許容損失額総資金の1〜2%で計算した金額
株数許容損失額 ÷ 1株あたりの損失額
逆指値の設定約定後すぐに発注したか(チェック欄)

この5行が埋まっていない状態では注文を出さない、と決めておくだけでも、勘で買う回数はかなり減ります。投資記録として残しておくと、後から「どのルールが自分に合っていたか」を振り返る材料にもなります。損切りルールは一度決めて終わりではなく、実際の取引を通じて幅を調整していくものです。

※本記事は株式投資に関する一般的な情報提供・教育を目的としたものであり、特定の銘柄や投資手法を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。株式投資には元本割れのリスクがあり、元本は保証されていません。損切りルールや逆指値注文を用いても、損失を完全に回避できるわけではありません(相場状況によっては設定価格通りに約定しない場合があります)。

よくある質問

損切りラインは何パーセントに設定するのが一般的ですか?

中長期で株式を保有する場合、購入価格から10%程度の下落を損切りラインの目安とする考え方が一般的です。デイトレードなどの短期売買では、1回の取引あたり2%程度を目安とする流儀もあります。保有期間が短いほど損切り幅は狭く設定されます。

損切りラインから買う株数を計算するにはどうすればよいですか?

まず総資金の1〜2%を許容損失額とします。次に「買値 − 損切りライン」で1株あたりの損失額を出し、許容損失額をこれで割ります。総資金300万円・許容リスク1%(3万円)、買値2,000円・損切りライン1,800円(1株200円の損失)なら、3万円 ÷ 200円 = 150株が上限の目安です。

逆指値注文とは何ですか?

逆指値注文とは、あらかじめ設定した価格に株価が到達した時点で自動的に売り注文(成行または指値)が発動する注文方式です。「この価格まで下がったら売る」という条件を事前に置けるため、下落の最中に判断し直す必要がなくなります。SBI証券・楽天証券・松井証券など主要なネット証券が対応しています。

損切りルールを決めても実行できないのはなぜですか?

多くの場合、意志の問題ではなく設定に無理があります。損切り幅が狭すぎて頻繁に発動している、1回の投資額が大きすぎて損失額が痛すぎる、買った理由が曖昧で「想定が崩れた」と判断できない、の3つが典型です。特に2つ目は株数を絞ることで解決するため、ルールを甘くするのではなくポジションを小さくするのが順序です。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。