夏の電気代、エアコン34.2%の内訳と残り6割の対策
画像出典: 写真: Dinkun Chen(CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
夏の家庭の消費電力はエアコンが34.2%で最大ですが、残る6割以上は冷蔵庫(17.8%)・照明(9.6%)・待機電力などの積み重ねです。冷蔵庫の温度設定を「強」から「中」に変えるだけで年間約1,910円、待機電力は放置すると年間約6,610円相当になります。エアコンの設定温度だけを我慢しても下がりきらないのは、この構造が理由です。
夏の電気代を押し上げているのは、エアコンだけではありません。経済産業省資源エネルギー庁の「夏季の省エネ・節電メニュー」(令和4年6月版)によると、夏の1日を通した家庭の消費電力割合はエアコンが34.2%。つまり残りの65.8%は、エアコン以外の家電が積み上げているということです。
正直なところ、この6割のほうが見えにくくて厄介です。エアコンは「今つけている」と自覚できますが、冷蔵庫も待機電力も、意識しないまま24時間動き続けています。ここでは何にどれだけ使われているのかを内訳から確認して、今日そのまま手をつけられるところを順に見ていきます。
夏の電気代、家電ごとの内訳はどうなっている?
| 順位 | 1日を通した割合 | 夏季19時台(点灯時間帯)の割合 |
|---|---|---|
| 1位 | エアコン 34.2% | エアコン 38.3% |
| 2位 | 冷蔵庫 17.8% | 照明 14.9% |
| 3位 | 照明 9.6% | 冷蔵庫 12.0% |
経済産業省資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー」(令和4年6月版 / ウェザーニュースによる紹介記事)の公表データをもとに作成
上の表で目を引くのが、2位の冷蔵庫です。1日を通すと17.8%で、エアコンの半分ほどを1台だけで使っています。上位3品目を足すと6割超。日が落ちて照明が増える19時台になると、上位3品目で約65%に達します。
ここでの読みどころは順位そのものよりも、時間帯によって2位と3位が入れ替わるという点です。夕方以降は照明が冷蔵庫を上回ります。「エアコン以外」と一口に言っても、昼は冷蔵庫、夜は照明と、効く対策が変わってくるわけです。
冷蔵庫の電気代を下げるには何をすればいい?
冷蔵庫が効いてくる理由は単純で、止められないからです。エアコンは使わない時間があり、照明は消せますが、冷蔵庫は24時間365日動き続けます。だから1回あたりの効果が小さい工夫でも、1年分に積み上がると金額として見えてきます。
いちばん手軽なのが温度設定です。資源エネルギー庁の試算(周囲温度22度の条件)では、冷蔵庫の温度設定を「強」から「中」に変更すると、年間61.72kWh、電気代にして約1,910円/年の節約になります。CO2でいえば年間30.1kgの削減です。
- 設定ダイヤルを確認する冷蔵室の内側上部か、ドアポケット付近にあります。「強」のままなら「中」へ。
- 詰め込みすぎを解消する庫内がぎっしりだと冷気が回らず、余計に運転します。冷蔵室は7割程度が目安です。
- 壁からの放熱スペースを空ける本体の側面・背面が壁にぴったりだと熱を逃がせません。取扱説明書の指定寸法を確認して隙間を作ります。
真夏の室温が高い部屋に置いている場合や、生鮮品・作り置きをまとめて入れた直後は、庫内温度が上がりやすくなります。年間約1,910円という試算は周囲温度22度の条件のものなので、食材を傷ませてまで「中」を守る必要はありません。まず「中」で試して、庫内の食材の状態を数日見てから判断するのが現実的です。
冷凍室は冷蔵室と逆で、隙間なく詰まっているほうが庫内の温度が安定します。凍った食材どうしが保冷剤の役割をするためです。冷蔵室はすかすかに、冷凍室はぎっしりに。この違いだけ覚えておけば迷いません。
使っていない家電の「待機電力」はいくらになる?
もうひとつの見えないコストが待機電力です。資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2019年版」によれば、一般家庭1世帯あたりの待機時消費電力量は平均228kWh/年。家庭の年間消費電力量(4,432kWh/年)の5.1%にあたります。
1kWh=29円で換算すると、待機電力だけで年間約6,610円。しかもこれは、エアコンを使っていない時間帯にも変わらず発生し続けます。テレビ、レコーダー、電子レンジ、温水洗浄便座などが、コンセントにつながっているだけで少しずつ消費している分です。
- テレビ・レコーダー(表示ランプが点いたままのもの)
- 電子レンジ(時計表示が出ているタイプ)
- 温水洗浄便座(使わない季節・外出時)
- 使っていないゲーム機・オーディオ機器
- ノートPCやスマホの充電器(挿しっぱなしのもの)
とはいえ、毎回すべて抜くのは続きません。現実的なのはスイッチ付き電源タップにまとめて、寝る前と外出前にタップのスイッチを切るやり方です。抜き差しの手間がひと押しに変わるので、習慣として残りやすくなります。
録画予約が入っているレコーダー、Wi-Fiルーター、時刻や設定を電源で保持しているエアコン・給湯器、冷蔵庫は対象外です。特にエアコンは、長期間使わない場合を除いてプラグを抜かないほうがよいとされています(内部のヒーターや制御に電源を使う機種があるため)。迷ったら、その機器の取扱説明書の指示に従ってください。
照明はどこから手をつけるのが効率的?
照明は1日で9.6%、夕方以降の19時台では14.9%まで上がり、その時間帯では冷蔵庫を抜いて2位になります。つまり照明の対策は「夜の時間帯に効く対策」です。
手順としてはLED化がわかりやすい入口ですが、家じゅうを一度に替える必要はありません。点いている時間が長い場所から順に替えるのが効率的です。リビング、脱衣所、玄関、廊下と、その家で夜いちばん長く点いている照明を思い浮かべてみてください。
- 点灯時間の長い部屋を1つ選ぶ多くの家庭ではリビングかダイニングになります。
- 現在の器具と口金・形状を確認する電球なら「E26」「E17」などの口金表記、シーリングライトなら本体のサイズと適用畳数を控えます。
- 1部屋替えて、翌月の検針票と比べる効果を数字で確認できると、次の部屋に進む判断がしやすくなります。
あわせて効くのが、点けっぱなしの解消です。人がいない部屋の照明、日中でも点いたままの廊下や玄関など、家の中を一度歩いて見て回るだけで、消せる場所は意外と見つかります。
結局、エアコンとエアコン以外はどちらを優先すべき?
金額の目安を並べると判断しやすくなります。エアコンは、資源エネルギー庁・環境省の目安として冷房の設定温度を1度上げると消費電力量が約13%削減されます。具体的な条件(外気温31度、2.2kWのエアコン、1日9時間使用)で27度→28度に上げた場合、年間約30.24kWh、電気代で約940円/年の節約。26度→28度なら単純計算で約1,880円/年です。
一方、冷蔵庫の「強→中」が約1,910円/年、待機電力は放置すれば約6,610円/年の負担です。こうして並べると、設定温度を2度我慢して得られる額と、冷蔵庫のダイヤルを1段下げて得られる額は、ほぼ同じ規模だとわかります。
暑さを我慢する対策は、体調のリスクを伴ううえに続きません。冷蔵庫のダイヤルも電源タップのスイッチも、一度手をつければ以降は勝手に効き続けます。先に「一度きりの作業で済むもの」を片づけてから、エアコンの設定を調整する。この順番のほうが、無理なく総額を下げられます。
- スイッチ付き電源タップにまとめる(一度の作業/年間約6,610円が対象)
- 冷蔵庫の温度設定を「強」→「中」に(30秒/年間約1,910円の目安)
- 冷蔵室の詰め込みと放熱スペースを見直す(15分)
- 点灯時間の長い部屋からLED化(1部屋ずつ)
- そのうえでエアコンの設定温度を1度調整(1度で約13%削減)
2026年の夏、電気料金の状況はどうなっている?
制度面も押さえておきます。経済産業省は2026年5月20日、2026年度夏季の電力需給対策を発表し、3年連続で家庭向けの節電要請を見送ることを正式に表明しました。全エリアで、安定供給に必要な最低限の予備率3%は確保できる見通しとされています。ただし東京エリアなど一部地域の予備率は8月時点で厳しい水準(0.9%程度)になるとの試算もあり、余裕がある状況とまでは言えません。
料金面では、2026年8月分・9月分の電気料金に国の「電気・ガス料金支援」による値引きが適用されています。8月が3.50円/kWh、9月が4.50円/kWhです。この先については、国の補助の縮小・終了や、2026年2月末以降の中東情勢緊迫化による燃料高騰の影響がタイムラグを伴って反映される可能性があり、秋以降に値上がりが顕在化する懸念が指摘されています。
自分の家の請求にいくら反映されているかは、燃料費調整額として毎月発表されています。東京電力をはじめ主要各社が自社サイトで最新の調整額を公開しているので、検針票の数字と見比べておくと、値上がりが自宅の使い方によるものか単価によるものかを切り分けられます。
いずれにしても、単価は自分では動かせません。動かせるのは使う側の内訳のほうです。まずは今日、冷蔵庫のダイヤルを見るところから。そこから知っていけば十分です。
よくある質問
夏の家庭で電気を最も使っている家電は何ですか?
経済産業省資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー」(令和4年6月版)によると、夏の1日を通した家庭の消費電力割合は1位エアコン34.2%、2位冷蔵庫17.8%、3位照明9.6%で、この3品目で6割超を占めます。電力需給が逼迫しやすい19時台では、1位エアコン38.3%、2位照明14.9%、3位冷蔵庫12.0%と順位が入れ替わります。
冷蔵庫の温度設定を下げるとどのくらい節約できますか?
資源エネルギー庁の試算(周囲温度22度の条件)では、冷蔵庫の温度設定を「強」から「中」に変更すると年間61.72kWhの省エネとなり、電気代で約1,910円/年の節約になります。CO2排出量は年間30.1kg削減されます。ただし室温が高い環境や食材を大量に入れた直後は庫内温度が上がりやすいため、数日試して食材の状態を確認してください。
待機電力は年間でいくらの電気代になりますか?
資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2019年版」によれば、一般家庭1世帯あたりの待機時消費電力量は平均228kWh/年で、家庭の年間消費電力量4,432kWh/年の5.1%にあたります。1kWh=29円で換算すると年間約6,610円に相当します。テレビ・レコーダー・電子レンジ・温水洗浄便座などが対象で、スイッチ付き電源タップにまとめて切る方法が続けやすい対策です。
エアコンの設定温度を1度上げるとどのくらい電気代が変わりますか?
資源エネルギー庁・環境省の目安として、冷房の設定温度を1度上げると消費電力量は約13%削減されます。外気温31度・2.2kWのエアコン・1日9時間使用という条件では、27度から28度に上げると年間約30.24kWh、電気代で約940円/年の節約になり、26度から28度なら単純計算で約1,880円/年です。
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