冷蔵庫の設定温度、夏は「強」より「中」が節約になる理由
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冷蔵庫の設定温度は夏でも基本は「中」のままでよく、「強」が要るのは引越し後の再稼働やドアを長く開けた直後など一時的な場面です。傷みを防ぐ効き目が大きいのは温度つまみより、庫内を7割程度に留める詰め方と、開閉の回数・時間を減らす配置です。設定を「強」から「中」に戻すだけで年間およそ1,900円〜2,100円程度の節約になるという試算もあります。
暑い時期は、冷蔵庫のつまみをひとつ強くしておきたくなります。ところが実際には、設定温度は季節で変えなくてよいというのが基本の考え方です。「強」が本当に必要なのは、引越し後に電源を入れ直したときや、ドアを長時間開けて庫内温度が跳ね上がったときなど、一時的に冷やし戻す場面に限られます。
正直なところ、夏に食材が傷む原因のほとんどはつまみの位置ではありません。冷気がうまく回っていないか、ドアを開けている時間が長いかのどちらかです。順番に見ていきます。
冷蔵庫の設定温度、夏は「強」にすべき?
結論から言うと、通常は「中」のままで問題ありません。冷蔵庫は庫内のセンサーで温度を見張って自動で運転を調整しているため、外が暑くなればつまみを触らなくてもその分だけ強く冷やします。つまみは「目標をどこに置くか」の指定であって、暑さに合わせて人が上げてやる必要はない、ということです。
「強」が意味を持つのは、庫内が目標から大きく外れて、早く冷やし戻したい場面です。
- 引越しや停電のあと、電源を入れ直して庫内をゼロから冷やすとき
- ドアを長く開けっぱなしにして、庫内の温度が上がってしまったとき
- 買い物から帰って、常温の食材をまとめて入れた直後
いずれも「冷え戻ったら中に戻す」のが前提です。戻し忘れたまま常時「強」で回すと、そのぶん電気を使い続けることになります。設定を「強」から「中」に変更すると年間約61.72kWh(周囲温度22℃の条件)、電気代にして年間およそ1,900円〜2,100円程度の節約になるという試算があります(試算により約1,910円、冬季に弱めた場合で約2,090円といった値が示されています)。金額そのものは条件しだいの目安ですが、「戻し忘れは地味に効く」ことは押さえておいて損はありません。
そもそも夏の冷蔵庫はどれくらい電気を使う?
資源エネルギー庁の調査(平成30年度)によると、夏の家庭の1日あたり電気使用量は平均13.4kWh。その内訳は次のとおりです。
| エアコン | 34.2% |
|---|---|
| 冷蔵庫 | 17.8% |
| 照明 | 9.6% |
資源エネルギー庁の公表データをもとに作成
上の表のとおり、この3品目だけで夏の電気使用量の約6割を占めます。冷蔵庫は2番目に大きく、しかも24時間止まらない家電です。加えて夏は気温が高く庫内に暖気が入りやすいため、冷蔵庫の消費電力量は他の季節より高くなる傾向があります。だからこそ、つまみより「暖気を入れない使い方」に手を入れるほうが効きます。
食材が傷むのは温度より「詰め方」かもしれません
冷蔵室は、冷気が庫内を巡ることで全体を冷やしています。吹き出し口から出た冷気が棚のすきまを通って行き渡る仕組みなので、通り道がふさがれた場所だけ温度が高くなります。奥の一角だけ冷えないのは、たいていこれが理由です。
収納量の目安は庫内の7割程度とされています。少なすぎても多すぎても効率が落ちるのが、少し意外なところです。
| 詰めすぎ(8〜10割) | 冷気の通り道がふさがり、奥や中央が冷えにくくなる |
|---|---|
| 7割前後 | 冷気が循環し、庫内の温度差が出にくい |
| すかすか | ドアを開けるたび冷気が逃げ、冷やし直しに電力を使う |
ここで冷蔵室と冷凍室の扱いが分かれます。冷凍室は、凍った食材そのものが保冷剤の役割をするため、詰まっているほうが温度が安定します。冷蔵室は7割、冷凍室はぎっしりと覚えておくと迷いません。
今日できる詰め直しの手順
- 吹き出し口を探す冷蔵室の奥にある小さなスリットが冷気の出口です。ここの正面に大きな容器や紙パックを置かない。
- 棚の奥に「すきま」を残す奥までみっちり詰めず、奥側に指2本ぶんほど空けると冷気が下まで降ります。
- 使う頻度でゾーンを決める毎日出し入れするもの(飲み物・調味料・朝食セット)は手前とドアポケットへ。奥は保存が効くものに。
- まとめ買いは冷凍室へ回す冷蔵室に入りきらない量を無理に押し込まず、小分けにして冷凍へ。冷凍室は詰まっているほど安定します。
- 常温の鍋は冷ましてから入れる熱いまま入れると庫内全体の温度が上がり、周囲の食材まで傷みやすくなります。
ドアの開閉を減らすと、何がどれだけ変わる?
ドアを開けるたび、冷えた空気が抜けて外の暖かい湿った空気が入ります。夏はこの入れ替わりの負担が大きく、庫内の温度が戻るまで時間がかかります。ドアの開閉回数が50回の場合、25回のときと比べて消費電力が約6%増えたというデータもあります。
とはいえ「開ける回数を減らそう」と気合で頑張るのは長続きしません。開ける前に取り出すものが決まっている状態を、配置でつくるほうが確実です。
- 朝に使うもの(ヨーグルト・ジャム・卵)を1つのトレーにまとめ、トレーごと出す
- 調味料はドアポケットの定位置を決めて、探す時間をなくす
- 中身の見えない容器には日付と中身をテープで表示し、開けて確認する回数を減らす
- 飲み物は手前一列に固定。奥から探すために扉を開け続ける状態を作らない
パッキンの点検も忘れずに
扉のゴムパッキンが劣化して浮いていると、閉めていても冷気が漏れ続けます。確認は簡単で、紙を1枚はさんで扉を閉め、すっと抜けるかどうかを数か所で試すだけです。抵抗なく抜ける場所があれば、そこは密着していません。汚れが原因のこともあるので、まずは水拭きしてから再確認します。
詰め方も開閉も直したのに冷えが戻らない場合は、本体の問題が考えられます。背面や側面の放熱スペースが確保されていない(壁にぴったり付いている、上に物を積んでいる)と、熱がこもって冷却効率が落ちます。それも改善して冷えないなら、運転音や霜のつき方も含めてメーカーの相談窓口へ確認したほうが早いです。買い替えを急ぐ前に、まず設置状況の確認をおすすめします。
夏に傷みやすい食材はどこに置く?
置き場所の考え方はシンプルで、温度変化を受けにくい場所ほど、傷みやすいものを置くです。庫内は場所によって温度の揺れ方が違うので、その差に合わせて割り振ります。
| 冷蔵室の奥・下段 | 肉・魚・作り置きなど傷みやすいもの。温度が安定している |
|---|---|
| 野菜室 | 葉物は袋やポリ袋に入れて乾燥を防ぐ。立てて入れると長持ちしやすい |
| 冷蔵室の手前 | 数日で食べ切るもの。取り出しが早く済む |
| ドアポケット | 調味料など温度変化に強いもの。日持ちしないものは置かない |
ドアポケットが最後に来るのは、開閉のたびに外気が当たり、庫内でもっとも温度が揺れる場所だからです。作り置きは、浅めの容器に薄く広げて入れると早く冷えます。深い容器に山盛りだと中心が冷え切るまで時間がかかり、そのあいだが傷みやすい時間帯になります。夏場はここの差が出ます。
1週間の食材ロスを減らす小さな習慣
- 買い物前に1分だけ庫内を見るスマホで棚を1枚撮っておくと、店で「これ買ったっけ」がなくなります。
- 「今週中」ゾーンを1段つくる期限が近いものをそこへ移すだけで、埋もれて捨てる量が減ります。
- 週末に7割まで戻す詰まりすぎた週の終わりに、冷凍できるものは冷凍へ移し、収納量をリセットします。
冷蔵庫は家じゅうで2番目に電気を使う家電でありながら、触れるつまみは1つしかありません。効くのは設定より運用です。今日は吹き出し口の前を空けるところからで十分です。
よくある質問
冷蔵庫の設定温度は夏だけ「強」に変えたほうがいいですか?
基本的に変える必要はありません。冷蔵庫は庫内の温度センサーで運転を自動調整するため、外気温が上がれば設定が「中」のままでもその分強く冷やします。「強」が必要なのは、引越し後の再稼働や、ドアを長時間開けて庫内温度が急上昇した場合などの一時的な冷却用途です。
設定を「強」のままにすると電気代はどれくらい変わりますか?
設定を「強」から「中」に変更すると年間約61.72kWh(周囲温度22℃条件)の省エネになり、電気代にして年間およそ1,900円〜2,100円程度の節約になるという試算があります(約1,910円、冬季に弱めた場合で約2,090円といった値が示されています)。算出条件によって変わる目安の数値ですが、常時「強」で運転し続けると余分な電力を使うことは確かです。
冷蔵庫はどれくらい詰めるのが効率的ですか?
冷蔵室は庫内の7割程度が目安です。詰め込みすぎると冷気の循環が悪くなって冷却効率が落ち、逆に空きが多すぎると冷気を保つために余計な電力を使います。一方、冷凍室は凍った食材自体が保冷剤の役割を果たすため、詰まっているほうが温度が安定します。
ドアの開閉回数は電気代にどれくらい影響しますか?
ドアの開閉回数が50回の場合、25回のときと比べて消費電力が約6%増加したというデータがあります。開閉時間を短くする、開ける前に取り出すものを決めておく、扉パッキンの劣化を点検するといった対策が、節電と食材ロス防止の両方に効きます。
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