保冷バッグの使い方、食材が傷むまで何時間?
画像出典: 写真: Nielsoncaetanosalmeron(CC BY 4.0 / Wikimedia Commons)
保冷剤は食材の上下に置くと冷気が回り、効率よく冷えます。売り場は常温→冷蔵→冷凍の順に回り、肉・魚・冷凍食品は最後にカゴへ入れます。冷凍食品やアイスを保冷バッグで運べる目安は1〜2時間程度なので、買い物の締めくくりから帰宅までをこの時間内に収めるのが基本です。
夏の買い出しでいちばん気になるのは、帰り道の時間です。レジを通ってから冷蔵庫にしまうまでのあいだ、食材はずっと外気にさらされています。菌が増えるかどうかは、この「何℃で何分置かれたか」でほぼ決まります。
正直なところ、保冷バッグに保冷剤を1個放り込むだけ、という使い方をしている方は多いと思います。同じ道具でも、置く場所と買う順番を変えるだけで、帰宅時の食材の状態はかなり変わります。
なぜ夏の買い出しで食材が傷むのか?
農林水産省の資料では、食品中の菌の増え方が温度帯ごとに整理されています。5℃未満なら2〜3時間置いてもほぼ変化がないのに対し、20〜35℃では2〜3時間で菌数が100〜1,000から100,000以上へ跳ね上がるとされています。
つまり、危ないのは「暑い場所に置かれた時間」です。真夏の車内やベビーカーの下、日なたの自転車のカゴは、この20〜35℃をあっさり超えます。やるべきことは一つで、食材が20℃以上になる時間をできるだけ短くすることです。
調理済みのお惣菜やテイクアウトも同じで、およそ20〜50℃の温度帯に置く時間を短くし、10℃以下または65℃以上で管理するのが基本とされています。冷たいまま買ったものは冷たいまま、温かいものは冷ますより早く食べる、と覚えておくと迷いません。
保冷剤はどこに置くのが正解?
保冷剤は、食材の上下に置きます。冷たい空気は下へ流れるため、上に置いた保冷剤の冷気が下りて、下の保冷剤が底から冷やす。この上下ではさむ形がいちばん冷気が循環します。
横に1個だけ立てかける置き方だと、反対側の食材はほとんど冷えません。数が足りないときは、いちばん傷みやすいもの(ひき肉、魚、アイス)を保冷剤で直接くるむのが優先です。食品を保冷剤の近くに置く、あるいは包むほど効率が上がります。
- 底に保冷剤を1つ敷く
- その上に冷凍食品・アイス(いちばん冷たいもの)
- 次に肉・魚(袋に入れて汁が漏れないように)
- 牛乳や豆腐など冷蔵品
- いちばん上に保冷剤をもう1つ
- すき間があれば買った常温品やタオルで埋める
すき間を埋めるのは地味ですが効きます。空気の層が多いほど、外の熱がバッグの中で回ってしまうためです。パンや乾物など、その日買った常温のものを詰め物として使えば、余計な荷物も増えません。
保冷バッグは何時間もつ?
保冷バッグがもつ時間は、バッグの性能よりも中身で決まります。同じバッグ・同じ保冷剤でも、冷凍食品と冷やしてある飲料とでは、前提そのものが別物だからです。運ぶものごとの目安と、そこから逆算した帰り道の組み立て方を並べます。
| 運ぶもの | 保冷バッグでの目安 | 帰り道の組み立て方 |
|---|---|---|
| 冷凍食品・アイス | 約1〜2時間 | 会計から冷凍庫に入れるまでを、この時間内で完結させる |
| あらかじめ冷やした飲料・瓶 | 保冷剤併用で半日以上もつ場合も | 前日から冷やしておけば、寄り道や屋外での持ち歩きにも回せる |
コールマンの公表データをもとに作成
この表を自分の生活に落とすには、一度だけ実測しておくのが早いです。レジを通ってから冷凍庫の扉を閉めるまでを、スマホのストップウォッチで1回測ってみてください。徒歩20分の道のりでも、レジ待ちとサッカー台と信号を足すと35分だった、ということは普通に起こります。その実測値が、寄り道してよいかどうかの自分の基準になります。
もう一つ、保冷剤そのものにも持続時間の差があります。ソフトタイプの小さなものと、ハードタイプの大きなものでは全く違います。手持ちの保冷剤のパッケージに書かれた保冷時間を確認しておくと、「この保冷剤なら1時間半までなら寄り道できる」と判断できるようになります。
買い出しのあとに1時間以上の用事を入れる、真夏の車に積んだまま駐車場に置く、といった使い方だと保冷バッグでは追いつきません。この場合はクーラーボックスに氷や保冷剤をたっぷり入れて使うか、生鮮品を買う日と用事の日を分けるほうが確実です。氷・保冷剤は「たっぷり」がしっかり冷やすための条件とされています。
売り場はどの順番で回ればいい?
詰め方と同じくらい効くのが、買う順番です。カゴに入れた瞬間から常温にさらされるので、冷たいものほど後に買うのが原則になります。
- 常温品から調味料、お米、乾物、日用品、飲料。ここでレジまでの大枠を決めてしまいます。
- 野菜・果物常温品の次に。葉物は上に載せてつぶさないように。
- 冷蔵品牛乳、卵、豆腐、練り物。ここから先はスピード勝負です。
- 肉・魚を最後に要冷蔵・要冷凍のものは買い物の最後に取るのが推奨されています。それぞれ個別に袋へ入れ、汁が他の食品に移らないようにします。
- 冷凍食品・アイスは締めくくりレジの直前に取り、そのまま会計へ。
肉や魚を個別に包むのは、汁移りによる菌の広がりを防ぐためです。サッカー台に置いてあるポリ袋は、このためにあります。生の肉のトレーとカット野菜が直接触れる状態は避けてください。
傷ませたときの損は、どう見積もる?
衛生の話は実感がわきにくいので、自分の買い物に置き換えてみます。夏の買い出しで最初に傷むのは、ひき肉・魚の切り身・アイス・お惣菜あたりです。次の買い物のとき、この4つのレシート上の金額を足してみてください。それが、1回の失敗で消える金額です。
そのうえで、手持ちの保冷剤の数を数えてみます。上下ではさむには最低2個必要です。保冷剤を1〜2個買い足す費用と、いま出した「1回分の金額」を並べてみると、どちらが大きいかはすぐ見当がつくはずです。多くの場合、失敗1回でおつりが来ます。
ここで言いたいのは節約というより順番の話です。バッグを買い替える前に、保冷剤を1個足して上下ではさむ配置に変えるほうが、かかる費用に対する効果は大きくなります。
帰宅までの動線をどう短くする?
買い物が終わったら、あとは家までの時間との勝負です。ここは道具より段取りで縮まります。
- 保冷剤は前夜のうちに冷凍庫へ。半解凍のものを持ち出さない
- 寄り道の用事は買い出しの「前」に済ませる
- 自転車なら、カゴを日なたに向けたまま駐輪しない
- 車では、トランクよりエアコンの効く車内の足元に置く
- 帰宅したら、冷凍→冷蔵→常温の順にしまう(詰め方の逆順)
最後の「しまう順番」は見落としがちです。玄関で靴を脱いでいるあいだにも、アイスは溶けています。バッグのいちばん上の保冷剤を外したら、冷凍食品を真っ先に冷凍庫へ入れて、そのあとで残りを片付けるほうが確実です。
残暑は9月まで続きます。夏の買い出しの型は、いちど自分の生活に合わせて決めてしまえば、来年もそのまま使えます。保冷剤の位置と買う順番、この2つだけ意識してみてください。
よくある質問
保冷剤は何個くらい必要ですか?
最低でも2個あると、食材の上下にはさむ配置ができます。上に置いた保冷剤から冷気が下へ流れ、下の保冷剤が底から冷やすため、上下にはさむ形がもっとも冷気が循環します。1個しかない場合は、肉・魚・アイスなど傷みやすいものに直接添えるか包むと効率が上がります。
保冷バッグに入れれば冷凍食品は何時間でももちますか?
もちません。冷凍食品やアイスのように温度変化に弱いものは、保冷バッグでの持ち運びは約1〜2時間が目安とされています。あらかじめ冷やしておいた飲料や瓶類なら、保冷剤を併用して半日以上もつ場合もありますが、冷凍品は別と考えてください。
スーパーではどの順番で商品を選べばいいですか?
常温品→野菜・果物→冷蔵品→肉・魚→冷凍食品の順です。要冷蔵・要冷凍のものは買い物の最後に購入するのが推奨されています。カゴに入れた時点から常温にさらされるため、冷たいものほど後に取るほど、外気にあたる時間が短くなります。
保冷剤を買い足す価値はありますか?
上下にはさむ配置には最低2個必要なので、1個しかないなら買い足す価値があります。判断の目安は、ひき肉・魚・アイス・お惣菜を1回分まとめて傷ませたときの金額と、保冷剤の価格を比べることです。保冷剤は繰り返し使えるため、失敗を1回防げれば費用は回収できる計算になります。
買い物のあとに寄り道してもいいですか?
生鮮品や冷凍食品を買った日は避けたほうが安全です。菌は20〜35℃の環境では2〜3時間で急激に増えるとされており、保冷バッグの持続時間も冷凍品で1〜2時間程度が目安です。用事がある日は、買い出しを最後に回すか、生鮮品を買う日と分けるのが確実です。
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