夏の停電で困ること3点、冷蔵庫と暑さの備え方
画像出典: 写真: CLI(CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
夏の停電で困るのは、冷蔵庫の中身・室内の暑さ・スマホの電源の3点です。冷蔵庫は扉を開けなければ約2〜3時間は冷たさが保たれるので、まずは「開けない」ことが最優先になります。凍らせたペットボトルと保冷剤を常備し、モバイルバッテリーは満充電で保管しておけば、当日あわてずに済みます。
夏の停電は、冬とは困り方が違います。暗いことよりも、冷蔵庫・室温・スマホの3つが一気に効いてくる。特に食材は、判断を間違えると数千円分がまとめて傷みます。
正直なところ、大掛かりな設備を買わなくてもかなりの部分はしのげます。必要なのは、停電した瞬間に何をしないかを決めておくことと、冷凍室の中に少しだけ余白を作っておくことです。
順番があります。冷蔵庫、暑さ、電源。この順に見ていきます。
停電したら、冷蔵庫は何時間もつ?
目安は約2〜3時間です。ドアを開けなければ、庫内の冷たさはそのくらい保たれます(Panasonicの案内による目安)。ただしこれは通年の目安で、室温が高い夏場は、この時間はもっと短くなります。
そして一番やってしまいがちなのが、心配になって扉を開けて中を確認すること。扉を10秒ほど開けたままにするだけで、庫内の温度は約3〜5℃上がります(東京ガス「ウチコト」)。数分おきに確認すれば、確認そのものが食材を傷めます。
停電中は麦茶も牛乳も取り出せません。だからこそ、停電になったら最初の1回だけ扉を開け、その日に飲み食いする分をまとめて出す。以降は閉じたままにする。この「1回で済ませる」を家族で決めておくと、迷いが消えます。
冷凍室を「保冷剤の倉庫」にしておく
普段からできる備えは単純です。冷凍室にすき間があるなら、保冷剤と凍らせたペットボトル(お茶や水)を入れておく。停電したら、それを冷蔵室の一番上の棚へ移します。冷気は上から下に流れるので、上に置くほうが庫内全体に効きます(Panasonic公式FAQ)。
凍らせたペットボトルは、溶ければそのまま飲み水になります。保冷剤より使い道が広いぶん、常備しておく価値があります。2Lのペットボトル2〜3本なら、費用はほぼゼロです。
- 500mL〜2Lのペットボトルに水やお茶を入れて凍らせておく(満タンにせず、膨張分の空きを残す)
- 買い物でもらった保冷剤を捨てずに冷凍室へ
- 冷凍室は詰め気味のほうが冷えが持つので、すき間は保冷剤で埋める
復旧後、食べていいか迷ったら
停電が長引いたあと、判断の軸は「冷凍室のものが溶けきっていたか」です。溶けて温くなったもの、特に生の肉・魚・調理済みのおかずは、見た目とにおいが平気でも無理に食べないほうが安全です。逆に、まだ芯が凍っていた冷凍食品はその日のうちに火を通して食べきる、という順で消化していきます。
エアコンが止まった部屋、どうしのぐ?
停電すると室温は上がり続けます。30℃を超える環境は、冷蔵庫の中身が傷むだけでなく、そこにいる人の熱中症リスクにも直結します。優先すべきは食材より人です。
- 日射を切る日が当たる窓のカーテンを閉め、すだれや遮光カーテンがあれば下ろす。入ってくる熱をまず止めます。
- 風の通り道を作る風上と風下、2か所の窓を開けて空気を抜く。1か所だけ開けても空気は動きません。
- 体を直接冷やす首・脇の下・脚の付け根に、冷蔵庫から出した保冷剤やペットボトルを当てる。室温を下げるより早く効きます。
- 水分と塩分を絶やさない凍らせたペットボトルが溶けたものと、経口補水液や塩分タブレット。エアコンがない時間ほど、こまめに飲みます。
- それでもつらければ移動する電気が生きている商業施設や公民館へ。家にこだわらない判断も対策のうちです。
消費者庁は、携帯発電機の排ガスに毒性の強い一酸化炭素が含まれるとして、屋内・車内・テント内での使用を禁止し、風通しの良い屋外で、窓などの開口部から離れた場所で使うよう求めています。「窓を開けているから大丈夫」は通用しません。暑さから逃れるつもりで命に関わります。
スマホの電源は、どこまで用意すればいい?
夏の停電で情報が要るのは、復旧見込み・気象情報・家族との連絡です。ここが切れると不安が一気に増えるので、電源の備えは冷蔵庫と同じくらい効きます。
ただ、いきなり大型のポータブル電源を買う必要はありません。段階で考えます。
| 備え | できること | 目安 |
|---|---|---|
| モバイルバッテリー | スマホを1〜3回充電。連絡と情報収集はこれで足りることが多い | 数千円台から |
| 手回し・乾電池式ライト | 夜間の明かり。ラジオ付きなら停電情報も拾える | 数千円前後 |
| ポータブル電源 | 扇風機やノートPCなど、コンセント機器を動かせる | 容量による |
ポータブル電源は容量をWh(ワット時)で表します。目安として、1008Whの製品で65Wのノートパソコンを約15時間駆動できるという例があります(目安値)。扇風機を回したい、在宅ワークを止めたくない、といった具体的な用途がある人向けの選択肢です。
一方で経済産業省は、ポータブル電源について災害用途で普及が進む一方、事故(すべて火災)も増えているとして注意喚起をしています。大容量ほど事故時の発熱リスクが増すとされているため、容量は「必要な用途から逆算して選ぶ」のが安全側の判断です。なお、モバイルバッテリーは電気用品安全法(PSE)の規制対象で、経済産業省がFAQを公開しています。購入時はPSEマークの有無を確認してください。
- 手持ちのモバイルバッテリーを満充電にして、置き場所を家族に共有する
- スマホの省電力モードの出し方を確認しておく
- 懐中電灯の乾電池が生きているか確かめる(液漏れしていないかも)
- スマホのライトは電池を食うので、明かりは別に用意する
復旧したときが、実はいちばん危ない
停電の対策で見落とされがちなのが、通電が再開したあとの火災です。消費者庁は、避難する時間があれば分電盤のブレーカーを切ること、通電再開の前に電源プラグやコードに損傷がないか、製品に焦げ跡がないかを確認することを呼びかけています。異常があれば使用を中止し、メーカー等に相談してください。
特にアイロンやドライヤーのような電熱器具は、停電した時点で電源プラグをコンセントから抜いておく。倒れた状態や布に触れた状態で電気が戻ると、そのまま発熱します。停電中は暗くて気づきにくいぶん、抜いてしまうのが確実です。
- 停電した直後電熱器具のプラグを抜く。使っていた家電のスイッチを切る。
- 家を離れるとき時間があれば分電盤のブレーカーを落とす。
- 電気が戻ったあとプラグ・コードの損傷、焦げ跡を確認してから使う。
最低限、これだけそろえば形になる
全部を一度にやらなくて構いません。優先順位をつけるなら、次の3つです。
- 凍らせたペットボトル数本+保冷剤:冷蔵庫を守り、体も冷やし、最後は飲める。費用ほぼゼロ
- 満充電のモバイルバッテリー:情報と連絡が切れない
- 乾電池式のライト:スマホの電池を明かりに使わずに済む
この3つがあれば、数時間の停電はほぼ乗り切れます。ポータブル電源や発電機は、そのうえで「扇風機を回したい」「仕事を止められない」といった事情がある人が検討するもの、という順番で問題ありません。
残暑は9月まで続きます。冷凍室にペットボトルを1本入れるところからで十分です。
よくある質問
停電したとき、冷蔵庫の中身は何時間もちますか?
ドアを開けなければ約2〜3時間が目安です。ただし室温が高い夏場は、この時間はさらに短くなります。扉を10秒ほど開けるだけで庫内温度は約3〜5℃上がるため、確認のための開閉を繰り返さないことが最も効果的です。
停電中、冷蔵庫の冷たさを長持ちさせる方法はありますか?
あらかじめ冷凍室で凍らせておいた保冷剤や凍らせたペットボトルを、冷蔵室の一番上の棚に移すと温度上昇を緩和できます。冷気は上から下へ流れるため、上段に置くほうが庫内全体に効きます。
停電中にエアコンの代わりとして発電機を使ってもいいですか?
屋内では絶対に使用しないでください。消費者庁は、携帯発電機の排ガスに毒性の強い一酸化炭素が含まれるとして、屋内・車内・テント内での使用を禁止し、風通しの良い屋外で開口部から離れた場所で使うよう求めています。
電気が復旧したあとに気をつけることはありますか?
通電火災に注意が必要です。消費者庁は、避難時に時間があれば分電盤のブレーカーを切り、通電再開前に電源プラグやコードの損傷、製品の焦げ跡がないか確認するよう呼びかけています。電熱器具は停電した時点でプラグをコンセントから抜いておくのが安全です。
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