特別費とは?年間40万円を毎月の家計から守る積立法
画像出典: 写真: Kurrency Kween Budgets(CC BY 3.0 / Wikimedia Commons)
帰省・旅行・車検・税金など毎月は発生しない支出は「特別費」と呼ばれ、月の予算に入れずにいると家計が崩れます。年間に必要な項目を全部書き出して合計し、12で割った額を生活費口座とは別の専用口座へ毎月自動送金しておけば、支払いの月が来ても月の予算は無傷のままです。年間40万円なら毎月約33,000円が積立額になります。
夏は出費が固まる季節です。帰省の交通費、宿泊、外食、子どもの遊び場。どれも「毎月あるもの」ではないので、月の家計簿の中に居場所がありません。だから月末になって、はじめて赤字として姿を現します。
正直なところ、これはやりくりが下手だから起きているのではありません。毎月ではない支出を、毎月の予算だけで受け止めようとしているから崩れるのです。仕組みの問題なので、仕組みで直せます。
やることは3つだけ。年間で書き出す、12で割る、別口座に置く。今日1時間で終わります。
特別費とは何のことですか?
特別費とは、毎月は発生しないけれど年間を通してみると確実に発生する、高額・イレギュラーな支出のことです。家計管理では月々の生活費と分けて扱います。
具体的には次のようなものが該当します。
- 帰省の交通費・宿泊費、家族旅行、レジャー
- 固定資産税・自動車税などの税金
- 車検代
- 冠婚葬祭費
- 住居の更新料、家電の買い替え
- 子どもの誕生日・クリスマス・修学旅行費用
見ていただくと分かるとおり、どれも「今月たまたま出た」ように感じるのに、実は毎年ほぼ同じ時期に来るものばかりです。自動車税は5月、車検は2年に一度の決まった月、帰省は夏と年末年始。予測できる支出を、予測せずに迎えているだけなのです。
毎年同じ月に同じことが起きるなら、それはもう「特別」ではなく「予定」です。予定なら予算が組めます。
年間予算にするとどう変わりますか?
ここが一番の変化点です。特別費を年間で予算化すると、支払いの月が来ても、月の生活費予算がまったく揺れなくなります。
今の状態は、8月の家計簿に帰省費6万円がいきなり乗ってくる形です。食費も光熱費もいつもどおりなのに、合計だけが跳ね上がる。だから「何を削ればよかったのか分からない赤字」になります。
年間予算化すると、この6万円は8月の家計簿ではなく、1月から少しずつ貯めてきた専用口座から出ていきます。8月の家計簿には帰省費が計上されません。生活費は生活費、特別費は特別費で完結します。
もうひとつ効くのが、金額を先に知れることです。書き出してみると想定より高額になる家庭が多く、年間100万円以上になるケースもあります。事前に総額が分かっていれば、旅行の規模を先に決められますし、逆に「思ったより余裕がある」と分かることもあります。
特別費を年間予算にする3ステップ
- 年間の項目を全部書き出す1月から12月まで、月ごとに「何の支出があるか」を紙かスプレッドシートに書き出します。去年のカード明細と通帳を横に置いて、1年分をさかのぼるのが一番早い方法です。金額はざっくりで構いません。書き出したら合計を出します。
- 合計を12で割って月の積立額を決める年間40万円が特別費予算なら、40万円÷12ヶ月=毎月33,000円が積立額です。ボーナスがある世帯なら、ボーナスから一定額を特別費に充て、不足分だけを毎月の給与から積み立てる形でも構いません。月の負担が軽くなります。
- 給与口座とは別の「特別費専用口座」に先取りする生活費と同じ口座に置いておくと、まず間違いなく使ってしまいます。別口座を用意し、銀行の定額自動送金サービスや積立式定期預金で、給料日に自動で移るようにしてください。手で移す方式は続きません。
初めて洗い出す場合、まずは年間50万円程度を予算の目安として置いてみるとよいとされています。書き出した結果がそれより大きくても小さくても問題ありません。目安はあくまで、真っ白な状態から始めるときの取っかかりです。
月別カレンダーにすると資金繰りが見えます
年間合計を出したら、もう一手間かけると効果が上がります。項目を月別に並べ替えて、「何月に何の特別費が発生するか」をカレンダーの形にするやり方です。
| 月 | 発生する特別費の例 |
|---|---|
| 5月 | 自動車税 |
| 8月 | 帰省の交通費・宿泊・レジャー |
| 9月 | 残暑の電気代の上振れ分、行楽 |
| 12月 | クリスマス、年末年始の帰省 |
こうして並べると、夏と年末年始に山が2つあることが目で分かります。積立を1月から始めた場合、8月の山までに貯まっている額は7ヶ月分です。年間の合計は足りていても、山が来る時点では足りない、という事態が起こり得ます。
カレンダー化しておけば、この「時期のずれ」に先に気づけます。夏の山が大きい家庭なら、年明けの数ヶ月だけ積立を多めにしておく、といった調整ができます。
特別費とは別に、緊急予備資金も分けてください
特別費は「発生が予測できる支出」のための備えです。予測できない支出——急な入院、失職、家電の突然の故障——は、これとは別枠で持っておく必要があります。
目安として、生活費の半年分程度を緊急予備資金として確保しておくことが推奨されています。特別費の積立と混ぜてしまうと、旅行のために貯めたお金を緊急時に使い、緊急用のつもりが旅行で消えた、という往復が起きます。用途の違うお金は口座を分けるのが、結局いちばん手間がかかりません。
毎月の生活費が今すでに赤字の家庭では、積立を始めても続きません。先に月の固定費(通信費・保険・サブスク)を見直して、毎月の収支を黒字にするのが先です。積立はそのあとで始めても遅くありません。
また、収入が月ごとに大きく変わる働き方の場合、毎月定額の自動送金は無理が出ます。この場合は「収入があった月に、決めた割合を特別費口座へ移す」形に変えてください。定額でなくても、分けて置くという本質は変わりません。
今日やることは、書き出しだけで十分です
口座の開設も自動送金の設定も、後日でかまいません。今日いちばん価値があるのは、1年分の特別費を書き出して合計を出すことです。金額が見えた時点で、次に何をすればいいかは自然に決まります。
夏の出費で崩れた今こそ、記憶が新しい状態です。何にいくらかかったか思い出せるうちに、書き出しておいてください。年末年始の山は、もう4ヶ月後に来ます。
よくある質問
特別費と生活費はどう区別すればいいですか?
毎月継続して発生するものが生活費、毎月ではないが年間では発生するものが特別費です。食費・光熱費・通信費は生活費、車検代・自動車税・帰省費・冠婚葬祭費・家電の買い替えは特別費にあたります。判断に迷ったら「去年12回発生したか」を基準にすると分けやすくなります。
特別費の年間予算はいくらに設定すればいいですか?
初めて洗い出す場合は年間50万円程度を目安として置き、実際の項目を書き出して調整するとよいとされています。家庭によっては年間100万円以上になるケースもあり、書き出すと想定より高額になることが多いため、目安の金額よりも自分の家庭の実額を優先してください。年間40万円なら毎月の積立額は約33,000円です。
特別費専用の口座は本当に必要ですか?
必要です。給与振込口座に置いたままだと、生活費として使ってしまうリスクが高くなります。別口座に分け、銀行の定額自動送金サービスや積立式定期預金で先取りしておくと、意識しなくても貯まり、誤って使う事故も防げます。
ボーナスがない場合はどう積み立てますか?
年間合計額を12で割った額を、毎月一定額で積み立てます。年間40万円なら毎月約33,000円です。ボーナスがある世帯はボーナスから一定額を特別費に充当し、不足分を月々の給与から積み立てる併用ができますが、ボーナスがない場合は毎月定額の自動送金だけで完結させるほうが管理が簡単です。
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