オウンドメディア案件を直接提案で取る5手順
画像出典: ぱくたそ (pakutaso.com)
企業のオウンドメディア案件は、クラウドソーシングの募集を待つのではなく、企業の採用ページ・Wantedlyの編集/ライティング枠・各メディアの編集部お問い合わせ窓口から直接提案して獲得できます。提案時は「そのメディアを読んで何を感じたか」を具体的に書き、実績はメディア名・ジャンル・担当内容・掲載URLの表で渡すのが基本形です。クラウドソーシングのプロジェクト形式は文字単価1〜3円が中央値で、取材やSEOなど専門領域では5〜10円帯もあります。
募集を探して応募する形だと、どうしても相手が出してきた条件の中から選ぶことになります。そこに自分で条件を持ち込む余地は、ほとんどありません。
一方で、企業側はいま外部の書き手を増やす方向に動いています。株式会社グリーゼが2025年7月に実施したBtoB企業のマーケティング担当者への調査では、課題への対策として「コンテンツ制作に関する外部パートナーとの連携強化」が45.3%で最多でした。募集として表に出ていなくても、相談先を探している会社はあるということです。
正直なところ、直接提案は1通送って終わるものではありません。ただ手順自体は決まっていて、順番に埋めていける作業です。ここでは探し方から提案文、条件の決め方まで、今日から着手できる形で並べます。
オウンドメディア案件の直接提案とは?
オウンドメディアとは、企業が自社で運営している記事メディアのことです。製品サイトとは別に「◯◯マガジン」「◯◯ラボ」といった名前でコラムを出している、あのページです。直接提案とは、そこへクラウドソーシングなどの仲介を通さず、自分から企業に声をかけて執筆を引き受ける形を指します。
ここまでは募集への応募と同じく「書いてお金をもらう」話です。違うのは条件の話を誰と最初にするかという点です。仲介経由だと、報酬も分量も納期もすでに決まった状態で提示されます。直接なら、記事の本数や関わる範囲を相談しながら決める余地があります。
単価の目安も見ておきます。クラウドソーシングのタスク形式の記事は文字単価0.25〜0.5円が中心、プロジェクト形式の記事執筆では文字単価1〜3円が中央値とされています。SEO・取材・薬機法(医薬品・化粧品・健康食品の広告表現を規制する法律)といった専門領域では5〜10円まで上がります。また2026年時点では、生成AIの普及で文字単価0.1〜0.5円帯の量産記事の需要が縮小傾向にあり、単価の二極化が進んでいるとされています。低単価帯に留まり続けるリスクは、以前より大きくなっています。
直接契約で単価が◯倍になる、といった倍率のデータは統計として確認できていません。仲介手数料が差し引かれない分が手元に残りやすいのは構造上そうですが、交渉の結果はメディアの予算次第です。倍率を期待値の前提にしないでください。
なぜ今、企業は外部ライターを探しているのか?
前出のグリーゼの調査では、AIの影響として「記事制作の効率が向上した」と答えた企業が最多でした。ただ同時に「品質管理が難しくなった」「差別化が難しくなった」という課題も挙がっています。大企業の55.1%は「独自の一次情報を核にしたコンテンツが最重要」と回答しています。
つまり企業が困っているのは、文章の量ではありません。社内の人に話を聞いて書ける、現場を見て書ける書き手が足りていないという部分です。雑誌の仕事で人に会って原稿にしてきた経験や、クラウドソーシングで複数ジャンルを書き分けてきた経験は、ここに直接当てはまります。
市場の大きさも補足しておきます。2024年実績でフリーランス人口は1,303万人、経済規模は20兆3,200億円超で、10年前と比べて人数・規模ともに38〜39ポイント増えています。活動職種のうち「ライター」は全体の23.3%を占める最多カテゴリーの一つです。書き手の数自体は多いので、提案で差がつくのは実績の見せ方と、そのメディアを読んでいるかどうかになります。
直接提案できる企業はどこで探す?
募集一覧以外にも、企業の公式チャネルから接点を持てるルートがあります。次の3つが基本です。
- 企業の採用ページ — 業務委託・フリーランス枠の記載を探す
- Wantedly の「編集・ライティング」カテゴリ — フリーランス向けの募集が集まる
- 各社オウンドメディアの「編集部お問い合わせ」窓口 — 募集が出ていなくても相談できる
3つ目が見落とされがちです。記事の末尾やフッターに編集部の問い合わせフォームがあるメディアは少なくありません。募集として公開されていない相談は、ここから入ります。
探す順番としては、まず自分が書いたことのあるジャンルのメディアを10〜20件リスト化するところから始めます。業界・メディア名・URL・更新頻度・問い合わせ窓口の有無をスプレッドシートに並べるだけで、送る順番が決まります。更新が止まって半年以上たっているメディアは外して構いません。
提案メールには何を書けばいい?
返信率を左右するのは、そのメディアを読んだ上で何を感じたかが書かれているかだとされています。「貴社のご活躍を拝見し」では、どのメディアにも送れる文章になってしまいます。記事のタイトルを挙げて、そこで扱われていた切り口に触れる。それだけで、送り先を選んで書いた文であることが伝わります。
- 件名で用件を言い切る「オウンドメディアの記事執筆のご提案(フリーランスライター・◯◯)」のように、何の連絡か一読でわかる形にします。
- 読んだ記事に具体的に触れる記事名を挙げ、その切り口の良かった点や、読者としてもう少し知りたかった点を1〜2文で書きます。
- 書ける領域を絞って示す「何でも書けます」ではなく、取材記事・導入事例・用語解説など、担当できる型を2〜3つに絞ります。
- 実績はリンクで渡す本文に実績を列挙せず、ポートフォリオのURLを1つ置きます。
- 次の一歩を軽くする「まずは1本テスト記事から」「オンラインで15分お話を伺えれば」のように、相手が返信しやすい選択肢を添えます。
提案書まで作る段階では、施策の開始日・主要なマイルストーン・完了予定日といったタイムラインを入れると実現性が伝わります。構成はPASONAの法則(問題提起→親近感→解決策→提案→絞り込み→行動)が一般的に使われます。ただ初回のメールでそこまで作り込む必要はありません。最初は読んだ証拠と実績リンク、この2つで十分です。
ポートフォリオはどう整えるか?
ポートフォリオは、クライアントが最も重視する要素の一つとされています。実績はメディア名・ジャンル・担当内容・掲載URLをテーブル形式で整理すると見やすくなります。形としては、こう並べるだけです。
| メディア名 | ジャンル | 担当内容 | 掲載URL |
|---|---|---|---|
| ◯◯マガジン | 人事・採用 | 取材・構成・執筆(3,000字) | 記事リンク |
| 月刊◯◯ | 暮らし | インタビュー原稿(2P) | 誌面PDF |
| ◯◯ラボ | IT | SEO記事の構成・執筆 | 記事リンク |
上の形で並べる利点は、相手が自社に近い行だけを拾って判断できることです。雑誌の仕事は掲載URLが無いことも多いので、その場合は誌名・号数・ページ数と、可能なら誌面のPDFや写真を用意します。守秘義務でURLを出せない案件は「非公開(業界・文字数・担当範囲のみ記載)」として行を残します。
プラットフォーム上の評価スコアや受注件数は、そのサイトの外ではあまり意味を持ちません。載せるなら評価の数字ではなく、実際に書いた記事そのものを示してください。また掲載許可の確認は必須です。クライアント名を出す前に、担当者へ一言確認を入れておきます。
単価と条件はどう決める?
直接契約では、こちらから金額を出す場面が来ます。文字単価だけで決めると、取材や構成の手間が反映されません。見積もりは記事1本あたりの作業時間から逆算するのが基本です。構成2時間・取材1.5時間・執筆4時間・修正1時間なら8.5時間。希望時間単価を掛けて、本単価の下限が出ます。
手取りの考え方も整理しておきます。クラウドソーシング経由の報酬は、提示額からプラットフォームの仲介手数料が引かれ、源泉徴収の対象になる場合はさらに差し引かれた金額が入金されます。直接契約では仲介手数料は発生しませんが、源泉徴収や消費税の扱いは契約条件によって変わります。比較するときは「提示額」どうしではなく、手数料と源泉徴収を引いた入金額どうしで並べてください。同じ文字単価1円でも、仲介経由と直接で手元に残る額は変わります。
収入の分布も、冷静に見ておく価値があります。フリーランス協会の2025年度調査(独立系フリーランス・パラレルキャリア活動者1,426名)では、年収400万円以上が全体の49.5%、200〜400万円未満が27.7%、400〜600万円未満が19.9%でした。一方、別の調査ではフリーランス全体で年収99万円以下が73.1%、10万円未満が37.6%という結果もあります。前者は協会の活動者を対象にした調査で、継続的に活動している層に寄った母集団です。自分の相場として読むより、二極化している市場のどちら側に寄せていくかの材料として見るほうが実態に合います。なお同じフリーランス調査では、収入に満足している人は約30%にとどまっています。
最初の1件まで、何から手を付ける?
ここまでの内容を、着手できる順に並べます。1日で全部やる必要はありません。
- 1〜2日目:実績表をつくるメディア名・ジャンル・担当内容・掲載URLの4列で、既存の実績を全部書き出します。URLが出せないものは非公開として行を残します。
- 3日目:送り先リストを20件つくる自分が書いたジャンルのオウンドメディアを探し、問い合わせ窓口の有無を一緒に記録します。
- 4日目:提案メールの骨組みを1本書く件名・読んだ記事への言及・書ける領域・実績リンク・次の一歩の5要素で組みます。言及部分だけ送り先ごとに差し替える前提で作ります。
- 5日目以降:1日3件ずつ送る記事を読む時間を含めて1件20〜30分です。送信日と返信の有無を記録し、2週間返信がなければ次に進みます。
- 返信が来たら:条件を書面で確認する本数・納期・報酬・修正回数・権利の扱いを文面に残します。口頭だけで進めません。
本業が繁忙期で、平日に1時間も確保できない時期に始めるのは向きません。直接提案は返信までに時間がかかり、来たときは相手のペースで話が進みます。また会社員の方は、副業の可否と競業の制限を就業規則で先に確認してください。実名で企業と契約する形になるので、クラウドソーシング上の匿名案件とは前提が変わります。
返信が来ないことは普通に起きます。20件送って反応が数件、という前提で数を積むのが現実的です。1件決まれば、そのメディアでの実績がまた次の提案材料になります。
よくある質問
クラウドソーシングの実績だけで、企業のオウンドメディアに提案しても大丈夫ですか?
問題ありません。企業側が見るのは契約の経路ではなく、実際に書いた記事の内容と担当範囲です。クラウドソーシング経由で書いた記事でも、掲載URLと担当内容(構成から担当したのか執筆のみか)を示せば実績として機能します。ただしクライアント名や記事を公開する前に、担当者へ掲載許可を確認してください。
募集が出ていないメディアに問い合わせるのは迷惑になりませんか?
多くのオウンドメディアは編集部の問い合わせ窓口を公開しており、そこは相談を受け付ける前提の窓口です。2025年7月のBtoB企業のマーケティング担当者への調査では、課題対策として「コンテンツ制作に関する外部パートナーとの連携強化」が45.3%で最多となっており、企業側も外部の書き手を探している状況です。送り先のメディアを実際に読み、何を書けるかを具体的に示した文面であれば、不躾な連絡にはなりません。
オウンドメディアの記事執筆の単価はどのくらいですか?
クラウドソーシングのプロジェクト形式の記事執筆では文字単価1〜3円が中央値とされ、SEO・取材・薬機法(医薬品や化粧品、健康食品の広告表現を規制する法律)などの専門領域では5〜10円まで上がります。タスク形式の記事は0.25〜0.5円が中心です。直接契約の単価はメディアの予算次第で、直接にすれば何倍になるといった統計データは確認されていません。見積もりは構成・取材・執筆・修正の作業時間から逆算して出すのが実務的です。
会社員が副業で企業と直接契約する場合、気をつけることは何ですか?
まず就業規則で副業の可否と競業避止の範囲を確認してください。直接契約は実名で業務委託契約を結ぶ形になるため、匿名で受けられるクラウドソーシング案件とは前提が異なります。契約時は本数・納期・報酬・修正回数・著作権の扱いを書面で確認します。また副業の所得が一定額を超えると確定申告が必要になるため、報酬の記録は初回から残しておくと後が楽です。
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