転職サイトとエージェントの違い、併用の組み方
画像出典: 写真: Tomer Gabel from Israel(CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons)
転職サイトは「自分で探す」、エージェントは「非公開求人と伴走」、スカウトは「待ちながら市場価値を測る」ための入口で、役割が重なりません。迷ったらスカウト登録→サイトで相場観→エージェント面談の順に足すのが負担が少なく、エージェントは複数社の併用が可能です。10月・1月入社を狙うなら、選考に2〜3ヶ月かかる前提で逆算します。
3つとも登録した方がいいと言われる一方で、通知が増えて結局どれも中途半端になった、という話もよく聞きます。正直なところ、迷う原因は「どれが優れているか」で比べてしまっていることにあります。
この3つは優劣ではなく役割が違うサービスです。求人を自分で探す道具、人に相談する窓口、待っている間に市場価値を測る仕掛け。役割が分かれば、全部使っても手間は増えません。むしろ、片方だけだと見えない求人が出てきます。
下期が始まり、10月入社や1月入社を意識し始める時期でもあります。選考には時間がかかるので、まず入口の整理から始めましょう。
転職サイト・エージェント・スカウトは何が違う?
まず3つの違いを、それぞれ「誰が動くか」で区切ると分かりやすくなります。
| サービス | 動くのは誰か | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 転職サイト | 自分 | 掲載された求人を自分で検索・選定して応募する。自分のペースで進められる |
| 転職エージェント | 担当者と自分 | キャリアアドバイザーが企業との間に立ち、求人紹介・書類添削・面接対策まで支援する。非公開求人を多く持つ |
| スカウト型サービス | 企業・ヘッドハンター | 職務経歴を登録しておくと企業側からオファーが届く。ハイクラス・高年収帯の求人が多い |
この表のとおり、3つは「探し方」がそれぞれ違うだけで、競合していません。サイトだけを使っていると非公開求人には出会えず、エージェントだけだと紹介された範囲でしか相場を知れません。スカウトだけだと、こちらから狙った企業には近づけません。
スカウト型の弱点も知っておく
スカウト型サービスには、エージェントのような伴走型のサポート(書類添削や面接アドバイス)が基本的にありません。有料プランで相談機能が付く場合はありますが、標準では「オファーが届く」ところまでです。書類を整える作業は、自分かエージェント側で持つことになります。
職務経歴書が未完成のままスカウト型に登録しても、企業側が見る材料がないためオファーは届きにくくなります。スカウトは「登録すれば勝手に進む」仕組みではなく、書いた内容の質がそのまま返ってくる仕組みです。
目的別に、どれを主役にすればいい?
全部登録するとしても、力を入れる先は目的で変わります。今の自分がどれに近いかで選んでください。
- まだ転職するか決めていない → スカウト型が主役。登録して置いておくだけで、自分にどんな声がかかるかが見える
- 行きたい企業・業界が決まっている → 転職サイトが主役。自分で検索して、その企業の求人を直接追える
- 書類も面接も自信がない/初めての転職 → エージェントが主役。添削と面接対策を受けながら進められる
- 年収を上げたい → スカウト型+エージェント。相場の提示を受けながら、条件交渉を任せられる
- 在職中で時間が取れない → エージェント+スカウト。求人探しの時間を他人に預けられる
ここで大事なのは、主役を決めても他を切らないことです。主役は「毎週見るもの」、それ以外は「登録して通知だけ受け取るもの」と考えると、負担がほとんど増えません。
併用は具体的にどう組めばいい?
3つ同時に登録すると、初日で疲れます。おすすめは、手間の軽い順に足していく組み方です。
- ステップ1:スカウト型に登録して寝かせる(所要60〜90分)職務経歴を書いて登録します。ここが一番時間を使いますが、この文章は後でエージェント面談でも職務経歴書でもそのまま使えるので、投資として一番効率が良い作業です。登録後は届くオファーを眺めるだけにします。
- ステップ2:転職サイトで相場観をつかむ(週30分)希望の職種・年収帯で検索し、どんな条件の求人がどれくらい出ているかを見ます。この段階では応募しません。目的は「自分の希望が市場とどれくらいずれているか」を知ることです。
- ステップ3:エージェント2社に面談を申し込む相場観ができてから面談に行くと、紹介された求人が良いのか悪いのか自分で判断できます。逆にここを最初にやると、比較対象がないまま勧められた求人に流されがちです。
- ステップ4:応募先をサイトとエージェントで分ける自分で見つけた企業はサイトから、非公開求人はエージェント経由で。同じ企業に両方から応募すると企業側で重複扱いになるため、応募先は必ず一覧で管理します。
この順番を勧めるのは、判断材料を持ってから人に会うためです。相場を知らないまま面談に行くと、提示された条件が妥当か判断できません。
エージェントは何社まで併用していい?
転職エージェントは複数社の掛け持ち登録が可能で、多くのサービスで利用規約上も問題ありません。ただし現実的に管理できるのは2〜3社です。それ以上になると面談・連絡だけで在職中の時間が埋まります。
併用する際は、担当者に他社も利用中であることを伝えるのが望ましいとされています。隠すメリットがなく、同じ企業を別ルートで重複応募してしまう事故も防げます。
担当者にとって困るのは、他社利用そのものではなく、重複応募や急な辞退で企業との関係が崩れることです。伝えたうえで「御社からはこの領域の求人を中心にお願いしたい」と役割を示すと、むしろ紹介の精度が上がります。伝え方は次の一文で十分です。
「他にも2社ほど登録していますが、○○業界に強いと伺ったので御社を中心に進めたいと考えています。応募先は重複しないよう自分でも管理します。」
10月・1月入社を狙うなら、いつ動けばいい?
期間の目安を先に押さえておくと、焦らずに済みます。dodaの調査では、活動開始から内定取得までの平均期間は約3.0ヶ月とされています。リクルートワークス研究所の全国就業実態パネル調査では、転職活動を始めた人の約半数が3ヶ月未満で準備から内定までを終え、6ヶ月未満で終える人が全体の約7割です。
つまり入社したい月の3ヶ月前には動き始めている必要があります。1月入社を目標にするなら10月には登録と書類作成が終わっている計算です。さらに現職の引き継ぎ期間を1ヶ月見るなら、内定はその前月に欲しいところです。
- 3ヶ月前:スカウト登録・職務経歴書の作成・サイトで相場確認
- 2〜3ヶ月前:エージェント面談、応募開始
- 1〜2ヶ月前:選考・面接
- 1ヶ月前:内定・退職交渉・引き継ぎ
厚生労働省の転職者実態調査では、転職活動をはじめてから前職を離職するまでの期間は「1ヶ月以上3ヶ月未満」が28.8%、「転職活動期間なし」が23.6%、「1ヶ月未満」が18.3%となっています。在職中に動く人の方が短期間で決まる傾向があり、その意味でも「辞めてから探す」より「働きながら入口だけ作っておく」方が有利です。
そもそも転職すべきか迷っている場合は?
登録は、転職を決めた人だけの行動ではありません。厚生労働省の令和5年雇用動向調査によると、前職を辞めた理由は、男性では「その他の個人的理由」を除くと「定年・契約期間の満了」16.9%が最多で、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」9.1%。女性では「職場の人間関係が好ましくなかった」13.0%が最多で、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」11.1%でした。前年からの上昇幅が最も大きかったのは、男性が「仕事の内容に興味を持てなかった」(+2.9ポイント)、女性が「職場の人間関係が好ましくなかった」(+2.6ポイント)です。
人間関係や労働条件が理由の上位に来るということは、今の職場を離れるかどうかは、外の選択肢を知らないと判断できないということでもあります。スカウト登録は、その材料を集めるための行動です。
収入面も、同じ調査で転職入職者の賃金は「増加」37.2%、「減少」32.4%、「変わらない」28.8%と分かれています。転職すれば必ず上がるものではないので、条件を見比べたうえで決める前提が要ります。
応募先の管理を一覧にできない状態で3サービスを同時に走らせると、重複応募や返信漏れが起きます。手帳でもスプレッドシートでも構わないので、企業名・応募経路・日付を記録できないうちは、まずエージェント1社に絞った方が安全です。また、極端に急いでいる場合も、伴走してくれるエージェント1社に集中させた方が早く決まることがあります。
登録前に決めておく「譲れない条件」
求人を見る前に希望条件を言語化しておくと、比較がぶれません。厚生労働省の調査では、求職申込み時に重視した条件は、男性は「前職の経験・能力を活かせる」41.4%が最多、女性は「自分の希望にあった勤務形態・勤務時間」56.8%が最多でした。
この2つは、多くの人にとって最初に決めるべき軸だということでもあります。次の3行を埋めてから登録すると、エージェント面談での説明もそのまま使えます。
- 絶対に譲れない条件(1つだけ。例:年収○○万円以上/リモート週3以上)
- できれば欲しい条件(2〜3個。優先順位をつける)
- 妥協できる条件(例:勤務地、企業規模、肩書き)
最初の90分でスカウト用の職務経歴を書けば、残りは週30分の求人チェックと、面談の予定を入れるだけです。応募するかどうかは、材料が揃ってから決めれば間に合います。
よくある質問
転職サイトとエージェントは両方登録してもいいですか?
問題ありません。転職サイトは自分で求人を検索して応募する仕組み、転職エージェントは担当者が求人紹介や書類添削を行う仕組みで、役割が重なりません。両方使うことで、自分で見つける求人と非公開求人の両方にアクセスできます。ただし同じ企業へサイトとエージェントの両方から応募すると重複扱いになるため、応募先は一覧で管理してください。
転職エージェントは何社まで登録できますか?
複数社の掛け持ち登録が可能で、多くのサービスで利用規約上も問題ないとされています。現実的に管理できるのは2〜3社程度です。登録する際は、担当者に他社も利用中であることを伝えておくのが望ましいとされており、重複応募の事故も防げます。
転職活動にはどれくらいの期間がかかりますか?
dodaの調査では、活動開始から内定取得までの平均期間は約3.0ヶ月です。リクルートワークス研究所の全国就業実態パネル調査では、約半数が3ヶ月未満、約7割が6ヶ月未満で準備から内定までを終えています。入社したい月の3ヶ月前には動き始めておくと逆算が成り立ちます。
転職すると年収は上がりますか?
必ず上がるとは限りません。厚生労働省の令和5年雇用動向調査によると、転職入職者の前職と比べた賃金は「増加」37.2%、「減少」32.4%、「変わらない」28.8%と分かれています。年収を上げたい場合は、複数の選択肢の条件を比較したうえで判断する必要があります。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。