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転職の年収見極め方、提示額が上がるか分ける3点

2026年10月2日|いろは堂キャリア編集部
木目の机にノートパソコンと電卓、ノート、ペン、定規を並べた俯瞰写真

画像出典: ぱくたそ (© タケル)

この記事の要点
パーソルキャリアが2026年9月18日に公表した「転職前後の年収変動レポート(2026年度第1四半期版)」では、転職後に年収が増加した人は59.2%、増加した人の平均増加額は+72.8万円、転職者全体の変動平均額は+8.0万円でした。平均は「上がる人もいれば上がらない人もいる」結果の合計であり、提示された年収が自分にとって上がる額かは、総支給の内訳・業種職種の相場・実質時給の3点を自分で分解して確かめる必要があります。
😟
今より50万円高い年収を提示されたけど、これって本当に「上がった」ことになるのかな…

提示された金額が今より大きいだけでは、手取りや働く時間まで含めて得になるかは決まりません。固定残業代が含まれていたり、賞与が業績次第だったりすると、総額が増えても月々の手取りはほとんど変わらないことがあります。

正直なところ、ここを分解せずに「年収アップ」という言葉だけで判断してしまう人は少なくありません。判断の材料になる公表データと、提示額を自分の基準で確かめる手順を順に見ていきます。

転職後に年収が上がった人は何割?

パーソルキャリア株式会社(転職サービス「doda」運営)は2026年9月18日、dodaエージェントサービスを使って転職を決めた人を集計した「転職前後の年収変動レポート(2026年度第1四半期版)」を公表しました。主要な数値は次のとおりです。

指標2026年度1Q前Q差
転職者全体の年収変動平均額+8.0万円-0.4万円
年収増加者の平均増加額+72.8万円+1.2万円
年収増加者の割合59.2%+0.1ポイント

パーソルキャリア株式会社(doda)の公表データをもとに作成

年収が増えた人だけを見ると平均+72.8万円で、これは2023年度1Q以降で最も高い水準です。一方、転職者全体でならした変動平均額は+8.0万円にとどまります。増えた人の増加幅は大きいのに全体平均が小さいのは、年収が増えなかった人がそれなりの割合でいるからです。

増加した人が59.2%ということは、残りの約4割(40.8%)は同額か減少した側に入る計算になります(割合の差し引きは編集部による算出です)。なお、この集計はdoda経由で転職を決めた人の実績であり、調査のサンプル数や集計方法の詳細は公表されていません。自分の提示額が妥当かを判定する数値ではなく、分布を知るための参照点として扱うのが安全です。

自分の業種・職種はどのあたりにいる?

同じレポートでは、年収が増加した人の割合を業種別・職種別にも集計しています。

転職後の業種別に年収増加・減少の割合を並べた表。IT・通信の年収増加64.8%が最上位、金融の50.1%が最下位。
業種別にみた転職後の年収増減の割合(出典: パーソルキャリア株式会社(doda))

業種では IT・通信が64.8%で最も高く、エネルギーが63.6%(前Q差+3.2ポイント)、商社が63.6%と続きます。職種別ではクリエイター・クリエイティブ職が68.8%で最多、技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)が65.4%、企画・管理が60.5%です。販売・サービス職は前Q差+4.7ポイントで、上昇幅が最も大きい職種として挙げられています。

この数字は「上がりやすさの地合い」です。増加者の割合が6割を超える領域なら、提示額が据え置き同然のときに一度立ち止まる理由になります。逆に割合が5割前後の領域では、わずかな増額でも相場の中では悪くない条件ということがあります。

🤔
じゃあ提示された金額そのものは、どう見ればいいんだろう

提示年収の中身を分解する方法は?

提示年収は、同じ金額でも中身がまったく違います。比較できる形に並べ替えるところから始めます。

  1. 総支給の内訳に割る提示額が「基本給+手当」だけなのか、想定残業代を含むのかを確認します。月45時間分の固定残業代が入っていれば、残業が少ない月でも増えない代わりに、残業が多い月も増えません。
  2. 月給×12か年俸かを合わせる現職が月給+賞与、転職先が年俸16分割といった組み合わせでは、年額が同じでも毎月の手取りが変わります。月あたりの支給額に直して並べます。
  3. 賞与・インセンティブの保証を確かめる「賞与年2回(業績連動)」は、支給されない年もありうる前提です。保証されているのは年額のうちいくらかを、求人票ではなく面接か内定時の労働条件通知書で確認します。

ここまで分解すると、提示年収は「確実に入る額」と「成果や会社業績で変わる額」に分かれます。現職の確実な額と、転職先の確実な額を比べるのが、上がったかどうかの最初の答えです。

労働条件通知書で確認したい項目
  • 基本給の額(手当と分けて記載されているか)
  • 固定残業代の有無と、何時間分に相当するか
  • 賞与の支給条件(保証分があるか、業績連動か)
  • 昇給の時期と、直近の昇給実績の目安
  • 住宅手当・通勤手当・退職金制度の有無

実質時給と昇給カーブはどう比べる?

年額をそろえても、働く時間が違えば得たものは違います。確実に入る年額を、年間の総労働時間で割って実質時給を出すと、比較の軸が1本に揃います。残業が月30時間減るなら年間で360時間分、同じ年収でも時給は上がっています。

もう1つは時間軸です。初年度の増加額が平均の+72.8万円に届かなくても、ポジションのグレードが上がって昇給の上限が変わるなら、数年後の水準は逆転することがあります。面接では「このポジションで入った人が3年後にどの等級にいるか」を聞くと、昇給カーブの実感が得られます。

2023年度1Qから2026年度1Qまでの、転職後に年収が増加した人の平均年収変動額の推移を示す折れ線グラフ。67.5万円から72.8万円の範囲で推移。
転職前後の平均年収変動額推移【転職後に年収増加した個人】(出典: パーソルキャリア株式会社(doda))

上のグラフは、年収が増えた人の平均増加額が2023年度1Qからどう動いてきたかを示したものです。最低の67.5万円から最高の72.8万円まで、幅はおよそ5万円です。増える人の増加幅は年単位で見ても大きく振れていません。つまり「今年は特別に上がりやすい」といった短期の波に合わせて動く必要は薄く、自分の提示額を落ち着いて見極めるほうが結果に効きます。

年収で判断しないほうがいいケースもあります

増額の提示でも、未経験領域への移動で評価が一度リセットされる場合は、数年間は現職より昇給が遅くなることがあります。また、現職で昇格が目前にある、育児や介護で勤務地や時間の制約が強いといった事情があるときは、年額の比較より勤務条件の比較が先です。年収が下がる前提でも納得できる理由があるなら、それは失敗ではありません。

見極めの結論はどう出す?

最後に、ここまでの材料を3行にまとめて書き出します。1つ目は確実に入る年額の差。2つ目は実質時給の差。3つ目は3年後の見込み等級です。この3つのうち2つ以上が現職を上回っていれば、提示額は自分にとって上がる条件だと判断できます。

1つしか上回らないなら、不足している部分を交渉の材料にできます。固定残業代の切り出し、賞与の保証分の明示、入社時等級の見直しは、いずれも内定承諾の前なら相談できる範囲です。決める前に数字を並べておけば、何を聞けばいいかも自然に決まります。

よくある質問

転職で年収が上がる人はどのくらいの割合ですか?

パーソルキャリアが2026年9月18日に公表した「転職前後の年収変動レポート(2026年度第1四半期版)」では、転職後に年収が増加した人の割合は59.2%(前Q差+0.1ポイント)でした。dodaエージェントサービスを利用して転職を決めた人の集計値で、残りの約4割は同額または減少した側に入る計算になります。

年収が上がった人は平均でいくら増えていますか?

同レポートでは、年収が増加した人だけの平均増加額は+72.8万円(前Q差+1.2万円)で、2023年度1Q以降で最も高い水準と記載されています。一方、転職者全体でならした年収変動平均額は+8.0万円(前Q差-0.4万円)です。

提示された年収が妥当かを判断する手順は何ですか?

提示額を「基本給+手当」「固定残業代の有無」「賞与の保証分」に分解して確実に入る年額を出し、現職の確実な年額と比べます。次にその年額を年間総労働時間で割った実質時給を比較し、最後に3年後の見込み等級を確認します。この3点のうち2つ以上が現職を上回れば、上がる条件と判断できます。

業種や職種によって年収が上がりやすさは変わりますか?

変わります。同レポートの業種別では IT・通信が64.8%で最も高く、エネルギーが63.6%、商社が63.6%でした。職種別ではクリエイター・クリエイティブ職が68.8%、技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)が65.4%、企画・管理が60.5%で、販売・サービス職は前Q差+4.7ポイントと上昇幅が最大でした。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。