給料が上がらないとき、下期前に試す3つの順番
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給料が上がらないときは「社内で上げる」「市場で相場を確かめる」「転職する」の順に検討するのが安全です。いきなり転職に飛ぶと危険な理由は、doda調査で転職後に年収が増えた人が59.6%にとどまるからです。まずは9月の下期スタート前に、直属の上司へ相談する材料を作るところから始めます。
給料の悩みは、いきなり転職で解決しようとすると失敗しやすいところがあります。順番があるからです。社内で上げられる余地を確かめ、自分の給料が世間の相場とどれだけ離れているかを知り、その上で転職を判断する。この3ステップを踏むかどうかで、同じ「転職」でも結果がかなり変わります。
正直なところ、賃上げの恩恵は会社によって差が激しいのが現実です。2026年春闘では連合の第1回回答集計(2026年3月23日時点)で賃上げ率5.26%、300人未満の中小組合でも5.05%という数字が出ています。ただしこれは労働組合のある企業の数値で、組合のない中小企業や昇給制度が形だけになっている会社には、この相場がそのまま届きません。「世の中は上がっているのに自分だけ上がらない」という感覚は、気のせいではないことが多いのです。
9月から下期が始まる会社は多く、評価面談や目標設定の時期が近づきます。動くなら、この助走期間が一番やりやすいタイミングです。
なぜ順番を守る必要があるの?
結論から言うと、転職は「相場を知らないまま」やると足元を見られるからです。自分の適正年収がわからない状態で提示額を出されると、それが高いのか安いのか判断できません。だから相場確認を先に置きます。
| 転職後に年収が増加した人の割合 | 59.6% |
|---|---|
| 増加した人の平均増加額 | 71.6万円 |
| 転職者全体の平均年収変動 | +6.3万円 |
パーソルキャリア(doda)の公表データをもとに作成
これはdoda(パーソルキャリア)の「転職前後の年収変動レポート」2025年10月版の数字です。転職後に年収が増加した人は59.6%。増えた人の平均増加額は71.6万円と大きい一方、転職者全体の平均変動額は+6.3万円にとどまります。裏を返せば約4割は、年収が変わらないか下がった状態で転職しているということです。
この「増える人と増えない人が分かれる」構造こそ、順番を守る理由です。社内で上がる余地があるならコストゼロで解決しますし、相場を知っていれば転職時に安く買われずに済みます。
ステップ1: 社内で上げる余地はどこにある?
最初にやるのは、いまの会社で上がる可能性を潰しきることです。転職には時間も労力もかかるので、ここで解決できるなら一番安く済みます。
誰に、いつ話すか
相談相手は直属の上司が基本です。人事に直接持ちかけたり、上司を飛び越えて上層部に話を通すのは避けます。評価の話は上司の権限領域なので、飛び越えられた側の心証を悪くするだけで、話が前に進みません。
タイミングは、年1〜2回の人事評価面談が最も自然です。9月に下期が始まる会社なら、目標設定の面談がまさに好機になります。加えて、新規受注を取った・新しいサービスを立ち上げた・社内の仕組みを改善したなど、目に見える成果を出した直後は評価が高まっているので切り出しやすくなります。
言い方ひとつで受け取られ方は変わります。「昇給してください」と断定で伝えるより、「今後の役割と処遇について相談したいのですが」という柔らかい切り出しのほうが受け入れられやすいとされています。会社側も即答できない事情があるため、詰め寄る形にすると防御されて終わります。
持っていく材料を作る
感情で「生活が苦しい」と言っても動きません。動かすのは事前の情報整理です。
- 成果を数字にする直近1年でやったことを、金額・件数・時間・割合のどれかに変換します。「業務を改善した」ではなく「月8時間かかっていた集計を2時間にした」と書けるところまで落とします。
- 担当範囲の変化を書き出す入社時や前回の昇給時と比べて、何が増えたかを並べます。後輩指導、他部署との調整、担当顧客数など、給与テーブルに反映されていない役割は交渉材料になります。
- 相場との差を添える次のステップ2で調べた同年代・同学歴の平均額を持っていきます。攻撃材料にせず「参考までに」の温度で出すのがコツです。
- 代替案を用意する原資がなくて昇給が難しい場合に備え、「役割を広げてもらう」「等級を上げる条件を教えてもらう」という着地点を用意しておきます。次回に繋がる約束を取り付けられれば十分な成果です。
- この1年で出した成果と、その数字
- 前回の昇給時から増えた担当・役割
- 同年代・同職種のおおよその相場
- 昇給が無理だった場合に聞くこと(昇格条件・次の評価時期)
会社に賃上げの原資そのものが乏しい場合、どれだけ材料を揃えても答えは変わりません。労働組合がなく春闘の相場が反映されない中小企業や、昇給制度が長く運用されていない会社では、交渉の限界が先に来ます。その場合は「この会社では上がらない」という事実がはっきりしただけでも収穫で、ステップ2へ進む判断材料になります。
ステップ2: 自分の給料は相場とどれくらい違う?
ここが飛ばされがちな一番大事な工程です。転職するかどうかを決める前に、自分の給料が世間の水準から何万円ずれているのかを数字で把握します。ずれが小さいなら転職しても大きくは変わりませんし、大きいなら動く価値がはっきりします。
公的統計で「世間の平均」を見る
一次情報として使えるのが、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」です。
| 学歴 | 一般労働者の賃金(月額) |
|---|---|
| 高校卒 | 297.2千円 |
| 大学卒 | 396.3千円 |
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の公表データをもとに作成(2025年6月分の賃金)
令和7年(2025年)調査は2025年6月分の賃金を対象に、全国で常用労働者10人以上を雇用する民営事業所52,242事業所を集計したものです。一般労働者の月額賃金は高校卒297.2千円、大学卒396.3千円でした。
この調査は年齢別・産業別にも数値が分かれているので、自分の属性に近いところを見にいくと、平均額との距離が具体的にわかります。全体像としては、doda「平均年収ランキング2025」で正社員の平均年収は429万円、2022年以降3年連続で上昇しており2017年以降の8年間で最高値でした。
転職市場の「いまの自分の値段」を見る
統計の平均は、あくまで全体の真ん中です。もうひとつ知りたいのは、いまの経験・スキルを持った自分に、企業がいくら出すのかという値段のほうです。
これは転職エージェントの無料の年収査定や、スカウト型サービスに職務経歴を登録して届くオファーの提示額で確認できます。この段階の目的は転職ではなく、あくまで相場の測定です。登録しても応募する義務はありませんし、届いた提示額を見て「思ったより高い」「意外と変わらない」と知るだけで判断が変わります。
相場を測るだけで止めても問題ありません。むしろこの段階で「いまの会社の給与は相場並みだった」とわかれば、転職ではなく社内での昇格ルートに力を注ぐ判断ができます。知ってから決めればいい、という順番です。
比べるときの注意
年収を比べるときは、条件を揃えないと誤読します。賞与を含むか、みなし残業が何時間分入っているか、住宅手当などの手当が総額に含まれているか。提示額の額面だけを並べると、実際の手取りや働く時間が全く違うものを比較してしまいます。
- 賞与を含んだ年収か、月給ベースか
- 固定残業代(みなし残業)が何時間分含まれるか
- 手当(住宅・家族・役職)の有無
- 同じ年齢・同じ職種・同じ地域で比べているか
ステップ3: 転職に踏み切る判断はどこで下す?
ステップ1と2を終えると、判断に必要な材料が揃います。「社内で上がる見込みがない」かつ「相場と自分の給料に明確な差がある」。この2つが同時に成立したときが、転職を本気で検討する地点です。
逆に、社内で昇格ルートが示された場合や、相場と比べて差が小さかった場合は、転職しても年収が動かない可能性が高くなります。前述のとおり転職後に年収が増えた人は59.6%で、約4割は横ばいか減少です。増えた人の平均が71.6万円と大きい一方で、全体平均が+6.3万円にとどまるのは、この分かれ方が理由です。
踏み切る前に確認する順序
- 今の会社の限界を言語化する「上司から昇給は難しいと言われた」「昇格条件を聞いたが該当まで数年かかる」など、事実ベースで書き出します。感覚ではなく事実にしておくと、面接で転職理由を聞かれたときにそのまま使えます。
- 希望額の下限を決める相場調査で得た数字をもとに、「この額を下回るなら動かない」というラインを先に決めます。決めておかないと、提示額に引きずられて当初の目的を見失います。
- 年収以外の条件も並べる残業時間、通勤、リモートの可否、評価制度の透明性。年収だけで選ぶと、時給換算で損をする転職になりかねません。
- 在職中に動く辞めてから探すと、生活費の減りが判断を焦らせます。相場確認から応募までは在職のまま進めるのが基本です。
相場と自分の給料の差が小さい場合、転職しても年収はほとんど動きません。また、いまの会社で評価が上がり始めた直後や、昇格の条件を満たしつつある段階なら、社内で待つほうが結果的に早いこともあります。転職には環境に慣れ直すコストもかかるので、「不満があるから」だけを理由に動くのはおすすめしません。動く理由は、数字の差で説明できる状態が理想です。
下期が始まる前の1週間で何をする?
3ステップを一度に進める必要はありません。9月の下期スタートに間に合わせるなら、逆算して次の順で動けます。
- 1〜2日目: 成果の棚卸しこの1年でやったことを箇条書きにし、数字に変換できるものだけ残します。
- 3〜4日目: 相場を調べる賃金構造基本統計調査で同学歴・同年代の平均を確認し、年収査定やスカウトサービスで自分への提示額も見ておきます。
- 5日目: 面談の材料を1枚にまとめる成果・増えた役割・相場との差・聞きたいこと(昇格条件と次の評価時期)を並べます。
- 下期の面談当日: 相談として切り出す「今後の役割と処遇について相談したい」と伝え、回答が難しければ昇格条件と時期を必ず聞いて持ち帰ります。
ここまでやって答えが出なければ、ステップ3の判断材料が自動的に揃っています。不満を抱えたまま何年も過ごすより、事実を集めて「まだ待つ」「動く」を自分で選べる状態のほうが、ずっと楽になります。
よくある質問
給料が上がらないとき、最初に何をすればいいですか?
最初は直属の上司への相談です。人事や上層部に直接持ちかけるのは避け、年1〜2回の人事評価面談のタイミングで「今後の役割と処遇について相談したい」と切り出します。その前に、直近1年の成果を数字にし、前回の昇給時から増えた担当・役割を書き出しておくと話が具体的になります。
自分の給料が相場より低いかどうかは、どう調べますか?
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」で同学歴・同年代の平均額を確認できます。令和7年(2025年6月分)調査では、一般労働者の月額賃金は高校卒297.2千円、大学卒396.3千円でした。あわせて転職エージェントの無料年収査定やスカウトサービスの提示額を見ると、統計の平均だけでなく「いまの自分に企業がいくら出すか」も把握できます。
転職すれば給料は上がりますか?
必ず上がるわけではありません。doda「転職前後の年収変動レポート」2025年10月版によると、転職後に年収が増加した人は59.6%で、約4割は変わらないか下がっています。増加した人の平均増加額は71.6万円と大きい一方、転職者全体の平均変動は+6.3万円にとどまります。相場を確認せずに動くと、年収が動かない側に入る可能性があります。
世の中は賃上げしているのに自分の会社だけ上がらないのはなぜですか?
報道される賃上げ率は主に労働組合のある企業の数値だからです。2026年春闘の連合第1回回答集計(2026年3月23日時点)では賃上げ率5.26%、300人未満の中小組合でも5.05%でしたが、これは集計対象1,100組合の数字です。労働組合がない中小企業や、昇給制度が実質的に運用されていない会社では、この相場は反映されません。
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