労働条件通知書とは?承諾前に見るべき5つの項目
画像出典: ぱくたそ(© すしぱく)
労働条件通知書は求人票とは法的性質が異なる、個別に交付される正式書面です。承諾前に確認したいのは、基本給と諸手当の内訳、固定残業代が何時間分か、「完全週休2日制」かどうか、雇用形態、配属先の5点です。疑問があれば承諾前に質問して問題なく、件名を明確にした箇条書きメールか、オファー面談の依頼で確認できます。
内定が出た直後は、正直なところ書類をじっくり読む気力が残っていないことが多いです。選考が長引いたあとならなおさらで、金額の欄だけ目で追って、あとは同意ボタンへ手が伸びます。
ただ、この書類は求人票とは別物です。求人票は不特定多数への告知ですが、労働条件通知書はあなた個人に交付される正式な書面で、労働基準法第15条により、使用者は労働契約を結ぶ際に賃金・労働時間などの労働条件を明示する義務があります。入社後の「聞いていた話と違う」の答え合わせは、ほぼこの1枚の中で完結します。
承諾前の15分で見る場所を決めておきましょう。
労働条件通知書と求人票は何が違う?
求人票は、企業が不特定多数に向けて出す募集の告知です。幅を持たせた記載(「月給25万〜40万円」のような)が許されますし、応募段階では条件が確定していません。
対して労働条件通知書は、あなたという個人と結ぶ契約の中身を書いた書面です。労働基準法第15条に基づき、賃金や労働時間といった労働条件を明示する義務のもとで交付されます。両者は法的な性質が違うので、求人票で見た数字が通知書にそのまま載っているとは限りません。ここがずれていたら、それは確認すべきポイントです。
- 業務内容と勤務地
- 勤務時間と残業の規定
- 休日制度
- 給与の内訳(基本給と諸手当)
- 賞与・昇給のルール
- 雇用形態
- 入社日と退職に関する条件
複数の情報源で共通して挙げられている確認事項がこの範囲です。全部を精読する必要はなく、次から挙げる「ずれやすい3か所」に時間を配分するのが現実的です。
給与欄はどこを見ればいい?
総支給額が求人票どおりでも、中身の配分は別の話です。ここで見るのは金額そのものより、基本給がいくらで、残りが何の手当なのかという分解です。
賞与や退職金は基本給を算定基準にすることが多く、総支給額が同じでも「基本給+諸手当」の配分次第で、将来受け取る額が変わります。基本給18万円+手当7万円と、基本給25万円では、月の手取りが近くても賞与の計算結果は同じになりません。
固定残業代(みなし残業)は必ず時間数を確認する
給与欄で最も見落としが起きるのが、固定残業代の扱いです。確認するのは2点だけ。
- 何時間分か「固定残業代◯円(◯時間分)」と時間数まで書かれているかを見ます。書かれていなければ質問対象です。
- 超過分は別途支給されるか設定時間を超えて働いた分が、追加で支払われる旨の記載があるかを確認します。
この2点が書かれていない、あるいは「基本給に含む」とだけ書かれている場合、実質の基本給が想定よりかなり低い可能性があります。あわせて、割増賃金率、締日と支払日も見ておくと、初回給与がいつ振り込まれるかまで把握できます。
「完全週休2日制」と「週休2日制」はどう違う?
この2語は意味が違います。「完全週休2日制」は毎週必ず2日の休みがある制度、「週休2日制」は月に1回以上、休みが2日ある週がある制度です。後者は、他の週が週1日休みでも表記として成立します。
実際に起きているトラブルとして、完全週休2日制のつもりが月1回土曜出勤があった、という例が報告されています。表記が「週休2日制」なら、月の休日日数や土曜出勤の有無まで踏み込んで聞いてよいところです。
実際にどんな食い違いが起きている?
報告されているトラブルは、おおむね次の4パターンに集約されます。
| 起きた食い違い | 書面で見る場所 |
|---|---|
| 正社員のはずが契約社員だった | 雇用形態の欄と契約期間の有無 |
| 固定残業代が基本給に含まれていた | 基本給の額と固定残業代の時間数 |
| 完全週休2日制のはずが月1回土曜出勤 | 休日欄の表記が「完全」付きか |
| 希望職種と異なる部署に配属された | 業務内容欄が面接での話と一致するか |
社労士JOBの公表情報をもとに作成
並べてみると、どれも「書面に書いてある内容を読めば承諾前に気づけたもの」です。逆に言えば、この4か所を見るだけで大半は防げます。面接の段階で相違に気づいたなら、その場で確認するのが望ましいとされています。
疑問点はどう質問すればいい?
内定後・入社前に疑問点を企業へ質問することは、一般的に推奨されている行動です。条件を正確に理解したうえで入社したい、という姿勢は企業側にとっても不利益になりません。むしろ入社後に食い違いが発覚するほうが、双方にとって面倒です。
メールで聞く場合
件名を「内定の件に関するご質問」のように明確にし、本文は箇条書きで簡潔にまとめます。長文で背景を説明するより、聞きたいことが何個あるのかが一目でわかる形のほうが、返信も早く正確になります。
- 「労働条件通知書を拝見し、2点確認させてください。」と冒頭で件数を示す
- 「固定残業代について、何時間分の相当額か、また超過分の取り扱いをご教示いただけますでしょうか。」
- 「休日について、記載の週休2日制は月あたりの休日日数がどのようになりますでしょうか。」
- 「配属予定の部署と担当業務について、現時点での想定を伺えますでしょうか。」
- 最後に「お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。」で締める
ポイントは、条件に異議を唱える形ではなく「記載の内容を正確に理解したい」という聞き方に統一することです。上の文例はすべて、事実確認の形になっています。
聞くことが多い場合
質問が3つ4つと増えたり、内容が込み入っていたりする場合は、メールで往復するより「オファー面談」の設定を依頼する方法があります。「いくつか確認させていただきたい点がございますので、可能でしたらお時間をいただけますでしょうか」と伝えれば、口頭でまとめて解消できます。
質問した結果、条件が求人票と違う理由に納得できない、あるいは回答が曖昧なまま進もうとするケースもあります。内定後に相違が改善されない場合は、内定辞退も選択肢として検討すべきとされています。
また、給与額や入社日そのものを動かす交渉は、企業の制度や採用の事情に左右され、必ず通るものではありません。まずは「書いてある内容を正しく理解する」ところまでを目標にするのが現実的です。
承諾前の15分でやること
最後に、届いた通知書を開いてから承諾するまでの流れをまとめます。
- 求人票と並べる応募時に見た求人ページを開き、金額・勤務地・雇用形態を突き合わせます。
- 給与欄を分解する基本給がいくらか、固定残業代は何時間分か、超過分の記載があるかを確認します。
- 休日欄の「完全」を探す「完全週休2日制」か「週休2日制」かで、月の休日日数が変わります。
- 業務内容と勤務地を面接の記憶と照合する面接で聞いた配属イメージと文面がずれていないか見ます。
- ずれた項目だけを箇条書きにする気になった点を並べ、件名を明確にしたメールで質問します。
- 回答を得てから承諾する回答が書面の内容と一致していることを確認して、同意します。
やることを決めておけば、内定で気持ちが高ぶっているときでも手が動きます。承諾の期限までに1回この流れを通せるだけの余裕を、スケジュールに入れておくといいです。
よくある質問
労働条件通知書と求人票の内容が違っていたら、どうすればいいですか?
求人票は不特定多数に向けた告知、労働条件通知書は個別に交付される正式書面で、両者は法的性質が異なります。違いに気づいた時点で企業に確認し、面接段階であればその場で質問するのが望ましいとされています。内定後に相違が改善されない場合は、内定辞退も選択肢として検討すべきとされています。
固定残業代について、何を確認すればいいですか?
確認すべきは「何時間分の残業に相当する額か」と「設定時間を超えた分は別途支給されるか」の2点です。この記載がないまま基本給に含まれていると、実質の基本給が想定より低くなります。基本給は賞与や退職金の算定基準になることが多いため、将来の受取額にも影響します。
「週休2日制」と「完全週休2日制」の違いは何ですか?
「完全週休2日制」は毎週必ず2日の休みがある制度、「週休2日制」は月に1回以上、休みが2日ある週がある制度です。後者は他の週が週1日休みでも表記として成立するため、月あたりの休日日数や土曜出勤の有無を確認する必要があります。
内定後に労働条件について質問しても失礼になりませんか?
内定後・入社前に疑問点を企業へ質問することは一般的に推奨されています。件名を「内定の件に関するご質問」のように明確にし、本文を箇条書きで簡潔にまとめると伝わりやすくなります。内容が複雑な場合は、メールで済ませずオファー面談の設定を依頼する方法もあります。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。