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人事院勧告5年連続、自分の給与交渉に使える民間相場

2026年9月9日|いろは堂キャリア編集部
屋内の机で人が虫眼鏡を使って明細書のような書類を確認している様子

画像出典: RDNE Stock project / Pexels

この記事の要点
2026年8月7日の人事院勧告で、国家公務員の月給は1万5,056円・3.51%引き上げ、ボーナスは年4.70か月分へと5年連続のプラス改定になりました。この勧告は民間水準に公務員を合わせる「官民較差」に基づくため、民間の賃上げ実績(労働組合の中央組織である連合の最終集計5.01%、厚生労働省の主要企業5.18%)が先行データとして使えます。年末の考課・賞与査定面談に向けては、自社の昇給率をこれらの水準と並べ、10月の下期スタート時点で上長に相談の場を確保しておくのが現実的な準備です。
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公務員のボーナスが上がったってニュースで見たけど、うちの会社は何も言ってこないな…

国家公務員の給与が5年連続で引き上げられる、という話題は毎年この時期に流れてきます。自分の会社は関係ない話に見えて、実はそうでもありません。公務員の給与は民間に合わせて決まる「後追い」の仕組みだからです。

つまり勧告に載っている数字は、民間ですでに起きた賃上げの反映です。ここを逆にたどると、自分の待遇を会社と話すときの材料になります。正直なところ、面談の場で「上げてほしい」とだけ言っても話は進みません。数字を持っていくかどうかで、返ってくる言葉が変わります。

下期が始まる10月は、年末の考課・賞与査定に向けて上長と話す口実を作りやすい時期です。ここでは、その面談までに揃えておく材料と、実際の切り出し方を順に見ていきます。

人事院勧告で何が決まったのか?

人事院は2026年8月7日、国家公務員の月給とボーナスの引き上げを国会と内閣に勧告しました。人事院勧告とは、国家公務員の給与を民間企業の水準に合わせるために、毎年その差を調べて改定を求める制度のことです。

項目内容
月例給(官民較差)1万5,056円・3.51%引き上げ
ボーナス(期末・勤勉手当)年4.65か月分 → 4.70か月分(0.05か月増)
プラス改定の連続年数月給・ボーナスともに5年連続
新設予定の手当転居手当(2027年度新設、単身赴任者は月額1万1,000〜10万5,000円等を3年間支給)

人事院の公表データをもとに作成

上の表で押さえておきたいのは、月例給の1万5,056円という数字の意味です。これは「公務員の給与を1万5,056円増やしたい」という願望ではなく、調査の結果、公務員の月給が民間より1万5,056円低かったという較差の実額です。前年度の引き上げ幅は3.62%で、34年ぶりに3%を超えた水準でした。

そして今年も3.51%。2年続けて3%台ということは、民間側でそれだけの賃上げが実際に起きていたことになります。

民間の賃上げ相場はいくらだったのか?

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民間の相場って、どこの数字を見ればいいんだろう

賃上げの集計を出している機関は複数あり、それぞれ対象が違います。よく引かれるのは、労働組合の全国中央組織である連合(日本労働組合総連合会)、大企業を中心とする経済団体の経団連(日本経済団体連合会)、そして厚生労働省の3つです。自分の会社の規模に近いものを選ぶのが実用的です。

これらの集計に出てくる「妥結額」とは、労働組合と会社の交渉がまとまった時点で決まった、1人あたりの月給の引き上げ額のことです。以下ではこの語をそのまま使います。

調査主体対象平均妥結額(月給の引き上げ額)賃上げ率公表日
連合(第7回最終集計)5,368組合16,400円5.01%2026-07-01
連合(中小組合、300人未満)中小労組12,866円4.69%2026-07-01
経団連(1次集計)大手企業非公表(集計)5.46%2026-05
厚生労働省資本金10億円以上・従業員1,000人以上の労組ある428社18,167円5.18%2026-07-31

厚生労働省/連合/日本経済団体連合会の公表データをもとに作成

上の表の4つは集計対象も時点も違うので、単純に横並びで比べることはできません。使い方としては「自分の会社に一番近い対象はどれか」を1つ選び、それを比較の基準にするのが現実的です。従業員300人未満の会社なら連合の中小組合4.69%、1,000人を超える規模なら厚生労働省の5.18%が近い目安になります。

業種によっても幅があります。経団連の1次集計では、情報通信8.28%、建設7.63%、印刷6.81%が上位でした。自分の業種が全体平均より上か下かを知っておくと、「うちの業界は厳しいので」と言われたときに話が続きます。

非正規・時給で働いている場合は?

連合の最終集計では、有期・短時間・契約で働く人の時給引き上げ率は6.18%(時給+75.01円)で、一般組合員の伸びを上回りました。人手を確保しにくい職種ほど時給の上がり方が大きいという傾向が、この数字に出ています。時給制で働いている人は、正社員の平均より高い水準が相場になっている点を押さえておくと交渉の入口が変わります。

賞与(ボーナス)の相場はどう調べる?

賞与は月給よりも会社ごとの差が大きく、業績連動の要素も入るため、単純な比較は難しくなります。それでも大まかな伸び率は参考になります。

経団連の調査では、2025年冬季賞与(22業種164社)の平均妥結額は100万4,841円、前年比8.57%増でした。大手企業の冬季ボーナスが100万円を超えたのはこのときが初めてです。2026年の夏季賞与については、第一生命経済研究所が前年比+2.5%、5年連続の増加という予測を出しています。

この時期の賞与データには限界があります

2026年冬季賞与(12月支給分)の確定額は、例年12月中旬〜下旬に経団連の最終集計が出るまで分かりません。年末の面談で使えるのは前年冬季の実績と夏季の伸び率までです。「まだ出ていない数字」を前提に話を組み立てると、その場で崩れます。

実務上の使い方としては、自社の夏季賞与が前年から何%増えたかを自分で計算し、+2.5%という民間予測と並べるのが分かりやすい形です。前年より下がっていた、あるいは横ばいだったなら、その差が話す理由になります。

年末の面談までに何を準備すればいい?

ここからは実際の手順です。10月の下期スタートから12月の考課面談までを逆算して動きます。

  1. 自社の実績を数字にする(10月上旬)直近2〜3年の基本給の推移と、賞与の支給額を給与明細から拾います。昇給率は「(今年の基本給−昨年の基本給)÷昨年の基本給×100」で出せます。感覚ではなく%で持つことが出発点です。
  2. 比較する相場を1つ決める(10月中旬)会社の規模・業種に最も近い集計を上の表から選びます。中小なら連合の4.69%、大手なら厚生労働省の5.18%。複数を並べると論点がぼやけるので1つに絞ります。
  3. 差分と理由を1枚にまとめる(11月)「自社◯%/相場◯%/差◯pt」に加えて、この1年で自分が担った業務の変化を3つほど書き出します。相場だけでは「会社の事情」で返されるため、自分側の材料が要ります。
  4. 面談の場を先に確保する(11月中)考課面談の日程が組まれる前に、上長へ「下期の目標と処遇について30分いただけますか」と依頼します。査定が終わってからでは、判断はもう動きません。
  5. 面談では要求でなく確認から入る(12月)「いくら上げてほしい」ではなく「自分の水準が社内・社外のどのあたりか教えてほしい」と聞く形にします。答えが返ってくれば、次の材料になります。
面談前に手元に揃っているか
  • 直近3年の基本給と昇給率(%で計算済み)
  • 直近2年の賞与支給額と、前年からの増減率
  • 比較基準に選んだ相場データ1つ(調査名と公表日つき)
  • この1年で増えた担当業務・役割を3つ
  • 上長との面談枠(考課の締め切り前の日程)

面談ではどう切り出せばいい?

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数字は用意したけど、最初のひと言が出てこない…

切り出しの言い回しは、事前に一度声に出しておくと本番で詰まりません。使いやすい型を3つ挙げます。

① 相場の確認から入る型
「今年の民間の賃上げは連合の最終集計で5.01%と出ていました。自分の水準が社内でどのあたりに位置しているのか、下期の目標を立てる前に把握しておきたいです。」

② 役割の変化を先に置く型
「今期は◯◯と△△を新しく担当しました。この範囲が来期も続く前提なら、処遇の見直しについてどう考えればよいか伺いたいです。」

③ 次の評価に向けた条件を聞く型
「昇給の判断で見られている項目を教えていただけますか。来期そこに合わせて動きたいので。」

③は今回の昇給が動かなくても損がなく、次の期の材料が手に入ります。一度で決着させようとせず、情報を取る場として使うほうが結果的に通りやすくなります。

この準備が効かないケースもあります

賃上げの原資を会社全体で一律に決めている場合、個人交渉で動かせる余地はほとんどありません。また、業績が明確に落ちている年に相場だけを持ち出すと、話がかみ合わないまま終わることもあります。その場合に得られるのは「自社では動かない」という事実の確認です。それはそれで、社外の相場を見に行くかどうかを判断する材料になります。

それでも差が埋まらないと分かったら?

面談の結果、自社の水準が相場から離れていて、かつ動かす仕組みもないと分かることがあります。転職を決める必要はありませんが、自分の市場価値がいくらなのかを知っておくと、翌年の面談で持てる材料が変わります。

転職サイトに職務経歴を登録して届くスカウトの提示年収を見るだけでも、社外の相場感はつかめます。応募せずに眺めるだけでも構いません。知ってから決めればいい話です。

もし実際に動くことを考えるなら、時間軸は2つあります。年内入社を狙うなら10月中には応募を始める必要があり、12月の賞与を受け取ってから動くなら1月〜2月入社が現実的な線です。後者の場合、12月に賞与が支給されてから退職の意思を伝え、引き継ぎに1か月前後を見る流れになります。賞与の支給日を確認してから逆算すると、受け取り損ねる事故を避けられます。

いずれにしても、まず今年の自社の数字を%にするところからです。それが手元にあるだけで、年末の面談は違う会話になります。

よくある質問

2026年の人事院勧告で国家公務員の給与はどれだけ上がりましたか?

2026年8月7日の人事院勧告では、月例給が官民較差1万5,056円・3.51%の引き上げ、ボーナス(期末・勤勉手当)が年4.65か月分から4.70か月分へ0.05か月の引き上げとされました。月給・ボーナスともにプラス改定は5年連続です。

人事院勧告は民間企業の会社員にも関係がありますか?

直接の適用はありませんが、人事院勧告は公務員の給与を民間水準に合わせる「官民較差」に基づいて決まるため、勧告の数字は民間ですでに起きた賃上げの反映です。自分の待遇を会社と話すときは、勧告の元になっている民間の賃上げ実績データを直接参照するのが有効です。

自分の昇給率が高いか低いか、何と比べればわかりますか?

会社の規模に近い集計を1つ選んで比較します。従業員300人未満なら労働組合の全国中央組織である連合(日本労働組合総連合会)の中小組合平均4.69%(2026年7月1日公表)、従業員1,000人以上の規模なら厚生労働省の主要企業428社の5.18%(2026年7月31日公表)が目安です。大手全体では経済団体である経団連(日本経済団体連合会)の1次集計が5.46%となっています。

賃上げの集計に出てくる「妥結額」とは何ですか?

妥結額とは、労働組合と会社の賃上げ交渉がまとまった時点で決まった、1人あたりの月給の引き上げ額のことです。たとえば厚生労働省が2026年7月31日に公表した主要企業428社の平均妥結額は18,167円で、これは月給が平均18,167円上がったことを意味します。

給与交渉はいつ上長に切り出すのがよいですか?

年末の考課・賞与査定が確定する前、11月中に面談の枠を確保するのが現実的です。査定が終わってから相談しても、その期の判断は動きません。切り出し方は「上げてほしい」ではなく「自分の水準が社内・社外のどのあたりかを知りたい」という確認の形から入ると話が続きやすくなります。

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