通信費の棚卸し、総務省が示す3ステップ
画像出典: Vodafone x Rankin everyone.connected / Pexels
通信費が下がらない主因は、契約プランの容量と実際の使用量のズレ、そして使っていないオプションの放置です。総務省の携帯電話ポータルサイトは「データ使用量の把握→プラン選び直し→不要オプションの解約」という3ステップを案内しており、この順に直近3ヶ月分のマイページを見るだけで見直しの判断材料はそろいます。SIMロック解除手数料もMNP転出手数料も現在は原則無料化されているため、乗り換えを検討する場合の金銭的な障壁は制度上ほぼ消えています。
通信費は、家賃や保険と同じ固定費です。固定費のやっかいなところは、一度契約したあと自分から見に行かないかぎり、金額が視界に入らないまま何年も走り続けることにあります。電気代のように季節で上下しないぶん、違和感にも気づきにくい。
正直なところ、通信費の見直しは「面倒そう」の一言で先送りされがちです。ただ、実際にやることはマイページを開いて6項目を順番に確認するだけで、乗り換えるかどうかはその後に決めればかまいません。ここでは、その確認の順番を通しで渡します。
そもそも、なぜ通信費は下がらないまま放置されるのか?
理由は単純で、契約したときの前提と、今の使い方が別物になっているからです。子どもが動画を見る量、在宅勤務の有無、Wi-Fi環境の変化——生活が変われば必要なデータ量も変わりますが、料金プランは自分で変えないかぎり契約時のままです。
もうひとつがオプションです。加入時に「初月無料」で付いた補償サービスや動画サービス、留守番電話などは、解約しなければ毎月請求され続けます。1つ数百円でも、3つ残っていれば年間で1万円を超えることもあります。
つまり見直しとは、値切り交渉ではなく「今の自分に必要ないものを外す作業」です。ここが分かると、心理的なハードルはかなり下がります。
棚卸しは何から見ればいい?(総務省が示す3ステップ)
総務省は「携帯電話ポータルサイト」で、料金プラン見直しの手順を次の3ステップとして案内しています。
- データ使用量を把握するマイページや専用アプリで、実際に毎月どれだけ使っているかを確認します。
- 利用実態に合った料金プランを選ぶ使用量の実績と、契約している容量を突き合わせます。
- 使わなくなったオプションを解約するオプション契約の一覧を洗い出し、不要なものを外します。
総務省 携帯電話ポータルサイトの案内をもとに作成
同サイトでは、マイページで確認すべき項目として支払い料金の内訳・データ通信量・オプション契約の一覧・通話明細の4つが挙げられています。見直しの選択肢も、「同じ会社の中でプランを変える」か「他社(格安SIM事業者を含む)へ乗り換える」かの2種類に整理されています。いきなり乗り換えを考えなくていい、というのは覚えておくと気が楽です。
マイページで確認する6項目はどれ?
上の3ステップを、実際に画面を見ながら進められる形にすると次のようになります。上から順に潰していけば、判断に必要な材料はそろいます。
- 直近3ヶ月分の請求内訳とデータ使用量の実績を確認する
- 契約中のオプションを一覧で洗い出し、使っていないものを解約する
- 契約容量と実使用量のギャップを見る(使い切れていない分は払いすぎのサイン)
- 家族割・セット割が今も適用されているかを確認する
- 通話明細を見て、通話が「ほぼゼロ」か「毎月そこそこある」かを判断する
- オンライン専用プランに変えた場合の月額を試算して、差額を出す
ポイントは1ヶ月ではなく3ヶ月分を見ることです。旅行や帰省があった月だけを見ると使用量が多めに出ますし、逆に家にこもっていた月だけを見ると少なく出ます。3ヶ月並べると、自分の「普段の水準」が見えてきます。
使い切れていない容量は、そのまま毎月の払いすぎ額に直結します。逆に毎月きっちり上限まで使って速度制限にかかっているなら、容量不足で不便を買っている状態です。どちらも「合っていない」という意味では同じで、上げる方向の見直しも立派な棚卸しの結果です。
通話明細を見る意味は?
プラン選びで意外と効くのが通話です。オンライン専用プランには、5分以内のかけ放題が最初から含まれるものと、通話が30秒22円の従量制になっているものがあります。月に数分しか話さない人が、かけ放題込みの高いプランを選ぶ理由はありません。
逆に、宅配便の再配達や病院の予約などで短い電話を毎月何度もかけている人は、5分以内かけ放題が付いたプランのほうが結果的に安く収まります。通話明細は、この判断をするためだけに見る、と割り切ってかまいません。
オンライン専用プランに変えると、いくらになる?
試算の材料として、主要なオンライン専用プランの料金を並べます。自分の「3ヶ月平均のデータ量」と「通話の有無」を持った状態で見ると、候補が2つ程度まで絞れるはずです。
| プラン名 | 運営会社 | データ容量/料金体系 | 月額料金(税込) | 通話 |
|---|---|---|---|---|
| ahamo | NTTドコモ | 30GB | 2,970円 | 5分以内かけ放題込み |
| ahamo大盛り | NTTドコモ | 110GB | 4,950円 | 5分以内かけ放題込み |
| povo2.0 | au(KDDI) | 基本0円+トッピング従量 | 0円〜(トッピング次第) | トッピングで追加 |
| LINEMOベストプラン | ソフトバンク | 3GBまで/3〜10GB | 990円/2,090円 | 22円/30秒(従量) |
| LINEMOベストプランV | ソフトバンク | 30GB | 2,970円 | 5分以内無料 |
| Rakuten最強プラン | 楽天モバイル | 3GBまで/3〜20GB/20GB超(無制限) | 1,078円/2,178円/3,278円 | Rakuten Link使用で無料 |
ahamo・povo2.0・LINEMO・楽天モバイルの公表データ(2026年9月4日時点)をもとに作成
上の表を、3ヶ月平均の使用量から読むとこうなります。月3GB前後で通話がほぼないなら、LINEMOベストプランの990円や楽天モバイルの1,078円が候補になります。月20〜30GBを使い、短い通話もあるなら、5分かけ放題込みで2,970円のahamoやLINEMOベストプランVが該当します。
使う月と使わない月の差が大きい人には、基本料0円で必要なぶんだけ「トッピング」を買うpovo2.0という選び方もあります。ただしトッピングを買わない状態の通信速度は最大128kbpsで、地図やSNSも重く感じる水準です。加えて180日以内に合計660円以上のトッピング購入がないと利用停止の可能性があるため、「完全に0円で維持し続ける」使い方は想定されていないと考えたほうが安全です。
乗り換えの手数料はどうなっている?
「乗り換えたいけど、違約金や手数料で結局損をするのでは」という不安は、制度の変化でだいぶ事情が変わっています。
まずSIMロック(買った通信会社以外のSIMカードを挿しても使えないようにする制限)は、2021年10月1日以降に新しく販売される端末では原則として設定が禁止されました。さらに2023年10月以降は、SIMロック解除にかかる手数料の無料化も義務づけられています。MNP(電話番号を変えずに他社へ移る仕組み)の転出手数料も、総務省の指針改正によって原則無料化されています。
つまり、乗り換えを「試算してみる」こと自体にコストはかかりません。試算して、下がらないという結論なら今のまま続ければいいだけです。
オンライン専用プランは、申し込み・プラン変更・故障時の相談まで基本的にWebとアプリで完結します。店頭で顔を合わせて相談したい人、自分で設定作業をするのが不安な人には向きません。また、家族割やスマホと光回線のセット割が効いている場合、1回線だけ抜けると残った家族の割引まで縮むことがあります。乗り換え前に、割引の条件(何回線以上で成立するか)を必ず確認してください。キャリアメール(@docomo.ne.jp などのアドレス)を使い続けたい場合も、有料の持ち運びサービスへの申し込みが必要になります。
家計全体で見ると、通信費はどのくらいの位置づけ?
総務省統計局の「家計調査(家計収支編)」は毎月公表されており、直近では2026年6月分と2026年4〜6月期平均が2026年8月7日に公表されています。移動電話通信料は項目別に集計されているため、自分の支出が世間の水準と比べてどうかを確認する材料になります。最新の月次データは統計局のサイトで公開されており、家計に占める通信費の位置を客観的に見たいときに使えます。
ただ、平均額との比較はあくまで参考です。家族の人数も使い方も違う以上、他人の平均より「自分の契約容量と自分の実使用量が合っているか」のほうがはるかに重要な指標になります。棚卸しの主役は、平均値ではなく自分のマイページです。
30分で終わらせる進め方
最後に、実際の動き方をまとめます。難しい判断は最後の1つだけです。
- マイページを開く直近3ヶ月の請求内訳・データ使用量・オプション一覧・通話明細を表示します。
- 数字を3つメモする月平均のデータ使用量、月の通話回数、オプションの合計額。この3つで判断できます。
- 不要オプションをその場で解約するここは乗り換えの判断を待つ必要がありません。今日できる一歩です。
- 割引の適用状況を確認する家族割・セット割が今も効いているか、条件を満たしているかを見ます。
- 上の料金表と自分の3つの数字を突き合わせる差額が月1,000円を超えるなら、乗り換えを具体的に検討する価値があります。
1〜4まではその日のうちに終わりますし、それだけでも請求額が下がることがあります。乗り換えるかどうかは、数字を見てから決めればいい——この順番にしておくと、面倒さで止まらずに済みます。
よくある質問
通信費の見直しは、まず何から確認すればいいですか?
総務省の携帯電話ポータルサイトは「データ使用量の把握→利用実態に合ったプラン選び→不要オプションの解約」という3ステップを案内しています。最初にやるべきは、マイページで直近3ヶ月のデータ使用量の実績を確認することです。1ヶ月だけだと旅行や帰省の影響で偏るため、3ヶ月分を並べて普段の水準を把握します。
マイページでは具体的にどの項目を見ればよいですか?
総務省の案内では、支払い料金の内訳、データ通信量(契約プラン比の実使用量)、オプション契約の一覧、通話明細の4項目が挙げられています。このうちオプション一覧は、使っていないサービスを見つけてその場で解約できるため、乗り換えの判断を待たずに支出を減らせる項目です。
乗り換えると手数料がかかりますか?
MNP(電話番号を変えずに他社へ移る仕組み)の転出手数料は、総務省の指針改正により原則無料化されています。SIMロック解除の手数料も2023年10月以降に無料化が義務づけられ、2021年10月1日以降に新規販売された端末はそもそもSIMロックの設定自体が原則禁止されています。制度上、乗り換えの金銭的な障壁は大きく下がっています。
データを使う月と使わない月の差が大きい場合はどうすればいいですか?
基本料0円で必要なぶんだけ「トッピング」を購入するpovo2.0のような従量方式が選択肢になります。ただしトッピングがない状態の通信速度は最大128kbpsで、180日以内に合計660円以上のトッピング購入がないと利用停止の可能性があります。まったく購入せずに維持し続ける使い方は想定されていない点に注意が必要です。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。