台風の停電、スマホは何日もつ?備えの計算方法
画像出典: ぱくたそ
停電に備えるモバイルバッテリーは「容量(mAh)×70%÷スマホの電池容量(mAh)」で実際の充電回数を見積もるのが基本です。実際に取り出せる電力は表示容量の65〜70%程度なので、10,000mAhでも6,500〜7,000mAh相当にとどまります。さらに台風では停電に加えて基地局の停止による通信障害も起きるため、乾電池式ラジオなど電気を使わない情報収集手段を併せて用意しておくと安心です。
2026年8月の台風13号では、沖縄県内で8月8日午後6時時点、14市町村・計10,040世帯が停電しました。うち約9,000世帯が沖縄本島北部に集中しています。停電だけではありません。KDDI(au/UQ mobile/povo)は8月9日午後5時時点で、台風の影響による停電および伝送路故障等(伝送路は基地局と通信網をつなぐ回線のことで、ここが切れると基地局に電気があっても通信できなくなります)を原因とする通信障害が8月7日午後1時26分から継続中だと公表しました。緊急通報も利用できない、または利用しづらい状況が発生し、復旧時期は「現地状況を確認中」で未定とされていました。
つまり停電時のスマホには「充電が尽きる」と「電波そのものが止まる」という2種類のリスクがあるということです。備えもこの2つに分けて考えると、必要なものがはっきりします。
モバイルバッテリーは何mAhを選べばいい?
売り場で並ぶ「10,000mAh」「20,000mAh」という数字は、そのままスマホに入る電力量ではありません。バッテリーからスマホへ送る際に電圧を変換する必要があり、その過程で電力の一部が熱として失われます。実際の充電効率はおおむね65〜70%程度です。
そのため、充電回数の目安はこの式で計算できます。
- モバイルバッテリー容量(mAh) × 70% ÷ スマホの電池容量(mAh)
- 10,000mAhのバッテリーで実際に取り出せるのは6,500〜7,000mAh程度
- iPhone 14クラスなら、5,000mAhのバッテリー1個でフル充電1回弱が目安
Androidはバッテリー容量が大きい機種が多い傾向にあるため、フル充電を狙うなら10,000mAh以上を選んでおくと計算が合いやすくなります。逆に言えば、5,000mAhの小型モデルを「2〜3回充電できる」と思って持っていると、停電が長引いたときに足りません。
| 取り出せる電力(70%換算) | 電池3,000mAhのスマホ | 電池4,500mAhのスマホ | |
|---|---|---|---|
| 5,000mAh | 約3,500mAh | 約1.1回 | 約0.7回 |
| 10,000mAh | 約7,000mAh | 約2.3回 | 約1.5回 |
| 20,000mAh | 約14,000mAh | 約4.6回 | 約3.1回 |
充電回数の目安に関する公表情報をもとに作成
上の表のように、同じ10,000mAhでも自分のスマホの電池容量によって回数は1.5回にも2.3回にも変わります。停電が2日続く想定なら、この列を見て必要な容量を決めるのが手堅い選び方です。
パッケージの「最大◯回」表示は参考程度に見ておくのが実務的です。実際の充電回数は、スマホのバッテリー容量、ケーブルの品質、充電中に画面を操作しているかどうか、気温、電池セルの劣化度などで変動します。「最大◯回」ではなく、自分のスマホの電池容量を先の式に当てはめて、必要な回数を満たせるかで選ぶのが確実です。
安全性はどこで見分ける?
もうひとつ確認しておきたいのが、PSEマークの有無です。PSEは電気用品安全法にもとづく表示で、国内で正規に流通する製品の基準を満たしていることを示します。停電時に長時間つなぎっぱなしにする道具なので、ここは妥協しないほうがいい部分です。
| どこを見るか | 確認できること |
|---|---|
| 本体の側面・底面の印字 | ひし形の枠に「PSE」の3文字。モバイルバッテリーはひし形が対象 |
| PSEマークの近くの表記 | 届出事業者名(輸入元・製造元)が併記されているか |
| パッケージ・取扱説明書 | 本体が読み取りにくい場合はこちらにも同じ表示があるか |
本体を裏返して、ひし形の枠の中に「PSE」と書かれているかを見る。この一手間だけで、国内基準を満たさない製品をつかむ確率はかなり下がります。
2026年4月からの新ルールで、モバイルバッテリーは航空機の受託手荷物へ預けることが原則禁止になりました。機内持ち込みは100Wh(ワットアワー。電力量の単位で、多くの製品は本体に「◯Wh」と印字されています)以下で1人2個まで、160Wh超は持ち込み自体ができません。自宅や車中での停電対策が主目的なら直接は関係しませんが、避難や帰省で飛行機を使う可能性があるなら、手持ちの製品の印字を一度確認しておくと安心です。
電波が止まったら、情報はどこから取る?
台風13号では、KDDIが公表した対象地域に鹿児島県奄美市・大島郡龍郷町、沖縄県島尻郡伊平屋村が含まれていました(名護市・国頭郡大宜味村・大島郡宇検村・瀬戸内町・喜界町・天城町は復旧済み)。停電が基地局にも及ぶと、スマホの充電が満タンでも通信自体ができなくなります。沖縄本島北部では、実際にスマホ・携帯がつながりにくい状況となりました。
ここで効いてくるのが、電力にも通信網にも依存しない手段です。停電するとテレビは映らなくなり、スマホの充電もいずれ尽き、災害時は回線の混雑でインターネットにつながりにくくなることもあります。消防庁の手引きでも、テレビ・ラジオは住民への災害情報伝達の基本的な手段と位置付けられています。乾電池式ラジオを1台用意しておく理由はここにあります。
- 乾電池式ラジオで面の情報を取る地域全体で何が起きているか、避難の呼びかけが出ているかをつかむ。電池の予備も一緒に保管しておく。
- 緊急速報メールで一報を受け取るスマホには緊急地震速報や自治体の避難情報を知らせる「緊急速報メール」機能がある。通信が生きている間はこれが最速の一報になる。
- 電力会社の停電情報で復旧の見通しを確認する沖縄電力は公式サイトと沖縄電力アプリ(おきでんメール/防災サイト)で停電状況をリアルタイムに公開している。通信が生きていればスマホから確認できる。
ラジオで詳細を確認しつつ、緊急速報メールで一報を受け取る。この「ラジオ+スマホ」の併用が、情報の抜け漏れを減らす現実的な組み合わせです。どちらか一方だけだと、停電と通信障害が重なったときに穴が生まれます。
電力会社の停電情報は事前に登録しておく
停電情報のサイトやメール配信は、停電してから探すのでは遅くなりがちです。通信が不安定な状況でブラウザから検索し直すのは、思っている以上に手間がかかります。台風シーズンに入る前に、お住まいの地域の電力会社の停電情報ページをブックマークし、メール配信があれば登録を済ませておくのが確実です。
消費を抑える優先順位は、画面の明るさを下げる、使っていないアプリのバックグラウンド更新を止める、そして電波が届かない場所では機内モードにする、の順です。特に最後のひとつは効果が大きく、圏外や電波が弱い場所ではスマホが基地局を探し続けて電力を消耗します。通信できないとわかっている間は機内モードにしておき、確認したいときだけ解除する使い方が電池を長持ちさせます。
今日のうちに何を用意しておけばいい?
- 自分のスマホの電池容量(mAh)を調べ、必要な充電回数から逆算した容量のモバイルバッテリーを選ぶ
- PSEマークのある国内正規流通品を選ぶ
- モバイルバッテリー自体を満充電にしておく(半年に一度は残量を確認)
- 乾電池式ラジオと予備の乾電池を、家族が場所を知っている所に置く
- 緊急速報メールの受信設定が有効になっているか確認する
- 電力会社の停電情報ページをブックマーク、メール配信があれば登録
モバイルバッテリーは、買って引き出しにしまったまま何年も放置すると、いざというときに残量がほとんどないことがあります。台風が近づいてからでは充電の時間そのものが取れないので、季節の変わり目に残量を確認する習慣にしておくと確実です。
今回の台風13号のように、通信障害の復旧時期が「現地状況を確認中」で未定という状況も実際に起こります。スマホの充電が満タンでも、基地局が止まっていれば通話もネットもできません。モバイルバッテリーは「スマホを使える状態に保つ道具」であって、「通信できることを保証する道具」ではない、という前提で備えを組むことが大切です。
よくある質問
10,000mAhのモバイルバッテリーで、スマホは何回充電できますか?
電圧変換などのロスがあるため、10,000mAhの製品から実際に取り出せるのは6,500〜7,000mAh程度です。充電回数は「バッテリー容量(mAh)×70%÷スマホの電池容量(mAh)」で計算でき、スマホの電池が3,500mAhなら約2回が目安になります。
停電でスマホの電波が入らなくなるのはなぜですか?
携帯電話の基地局も電気で動いているため、停電が長引くと基地局の予備電源が尽きて停止します。2026年8月の台風13号でも、KDDIは停電および伝送路(基地局と通信網をつなぐ回線)の故障等を原因とする通信障害を公表し、緊急通報も利用できない、または利用しづらい状況が発生しました。
停電時にスマホの電池を長持ちさせる方法はありますか?
画面の明るさを下げる、使っていないアプリのバックグラウンド更新を止める、圏外や電波の弱い場所では機内モードにする、の3つが有効です。特に機内モードは、スマホが基地局を探し続けて電力を消耗するのを防げます。
災害時にラジオはまだ必要ですか?
必要性は高いままです。停電するとテレビは映らず、スマホの充電もいずれ尽き、災害時は回線の混雑でインターネットにつながりにくくなることもあります。消防庁の手引きでもテレビ・ラジオは災害情報伝達の基本的手段と位置付けられており、乾電池式ラジオは電力にも通信網にも依存しない情報源になります。
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