四季報の読み方、最初に見るべき3か所
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会社四季報は全部読むものではなく、①業績欄の予想数値、②記者コメント脇の矢印マーク(↑↓)、③株主欄の3か所から見ると迷いません。矢印は東洋経済記者の独自予想が会社予想と目安10%以上ずれたときに付く印です。四季報は主要ネット証券の口座があればアプリやWebから無料で読める場合があります。
四季報は1社ぶんの枠に、売上高も利益も配当も株主も株価チャートも、まとめて詰め込んだ誌面です。初めて開いて圧倒されるのは、単純に情報量の問題です。
ただ、四季報は全部を読むために作られた誌面ではありません。欄ごとに役割が決まっているので、「この欄には何が書いてあるか」を先に覚えてしまえば、必要なところだけ拾えるようになります。まずは誌面の地図から作っていきましょう。
会社四季報とはどんな本?
『会社四季報』は東洋経済新報社が発行する季刊誌で、年4回(3月・6月・9月・12月)発売されます。上場企業の業績・財務・株価動向などを、1社ぶんずつ同じフォーマットに落とし込んで並べたものです。
ここが四季報の性格を決めています。全社が同じ欄割りで書かれているため、A社で覚えた読み方がそのままB社にも使えます。逆に言えば、最初の1社で欄の意味を覚える手間さえ越えれば、あとは同じ作業の繰り返しになります。
もうひとつ、四季報には会社の発表をそのまま載せている部分と、東洋経済の記者が独自に取材・予想している部分の両方が入っています。この2つは性質がまったく違うので、読むときに区別が必要です。後半の矢印マークの話は、まさにこの区別の話になります。
四季報の誌面はどんな欄でできている?
誌面は大きく次の情報ブロックに分かれています。
- 基本情報/社名・事業内容・特色。その会社が何で稼いでいるか
- 業績欄/売上高・営業利益・純利益などの実績と予想の数値
- 記者コメント欄/東洋経済記者が書く記事。通常2本
- 配当/配当の実績と予想
- 株主・役員・連結子会社欄/主要株主とその持株比率、役員、連結子会社(その会社が経営を支配していて、決算を合算して報告する子会社)
- 株価推移/チャートと株価関連の指標
初めのうちは、この中の業績欄・記者コメント欄・株主欄の3つだけに絞って構いません。残りの欄は、その会社を本格的に調べる段階になってから戻ってくれば十分です。
業績欄には何が並んでいる?
業績欄は数字の行が縦に積まれた部分です。過去の実績が上に、下へ行くと今期・来期の予想が並びます。売上高・営業利益・経常利益(本業のもうけに、利息や為替差損益など本業以外の常時発生する損益を加えた利益)・純利益といった項目が横方向に並ぶ形式です。
ここで最初に見るのは、個々の金額そのものよりも数字が伸びているのか縮んでいるのかという向きです。売上高が増えて利益も増えていれば増収増益、どちらも減っていれば減収減益。売上は増えているのに利益が減っている、というねじれ方をしている会社もあります。この向きが、その会社に今何が起きているかを一番早く教えてくれます。
記者コメント欄は何を書いている?
業績欄の脇にある文章が、東洋経済の記者による記事です。通常2本あり、今期・来期の業績が何によって左右されるのかという見通しが書かれています。決算短信(会社が決算のたびに自ら公表する業績のまとめ資料)のような会社側の資料ではなく、取材にもとづく第三者の見方という位置づけです。
数字だけを見ていると「利益が減った」までしか分かりませんが、コメント欄には「何が原因で」の部分が書かれています。業績欄とコメント欄はセットで読むものと考えてください。
株主欄からは何が分かる?
株主・役員・連結子会社欄には、主要株主の名称と持株比率、役員名、連結子会社の情報が載っています。ここを見ると、その会社の資本構成や支配関係が把握できます。
たとえば親会社が過半数を握っている会社と、金融機関や個人株主に広く分散している会社とでは、意思決定のされ方も株式の需給の性質も変わります。株主欄は地味な欄ですが、その会社が誰のものなのかという一番土台の情報がここにあります。
四季報の矢印マーク(↑↓)は何を意味している?
矢印マークは株価の予測ではなく、2つの業績予想のズレを示す印です。四季報には「会社が自分で発表した業績予想」と「東洋経済記者が独自に立てた業績予想」の2つが存在します。この2つが一定以上食い違ったときに、コメント欄の脇に矢印が付きます。
| マーク | 呼び方 | 意味 |
|---|---|---|
| ↑ | 独自増額 | 四季報の予想が会社予想より強気(目安として10%以上の上振れ) |
| ↓ | 独自減額 | 四季報の予想が会社予想より弱気(目安として10%以上の下振れ) |
つまり↑は「会社の言っている数字より、取材した記者はもっと伸びると見ている」というサインです。会社側の公式な業績予想の修正が出るより前に付くことがあるため、四季報の発売日にこのマークの付いた銘柄が物色される、という現象が相場ではよく話題になります。いわゆる「四季報砲」と呼ばれるものです。
矢印はあくまでひとりの記者による予想と、会社予想との差を示す印であり、予想が当たる保証はありません。会社予想も四季報予想も、どちらも「予想であって前提ではない」ものです。矢印が付いた銘柄が必ず上がるという統計的な裏づけを示すものでもなく、発売直後に株価が動いた後では、その情報はすでに価格に織り込まれている場合もあります。矢印は「この会社は何かが動いているらしい、コメントを読んでみよう」という入口の印として使うのが妥当な扱い方です。
四季報は証券会社のアプリからも読める?
紙の四季報を毎号買わなくても、主要ネット証券では口座があれば四季報の主要情報を無料で閲覧できるサービスが提供されています。閲覧できる範囲や更新頻度は証券会社ごとに異なるため、詳細は各社のサイトで確認してください。
SBI証券アプリでの開き方
- 銘柄を検索するスマホアプリ「SBI証券 株アプリ」で、見たい銘柄を検索して個別銘柄画面を開きます。
- タブを切り替える「株価」「チャート」「気配値」が並んでいる列の「▼」タブをタップし、「四季報」を選びます。
- 内容を確認する企業概要や業績などが表示されます。
楽天証券での開き方
- 日経テレコンから入る楽天証券の口座があれば、日経新聞などの記事を検索・閲覧できるサービス「日経テレコン(楽天証券版)」を無料で使えます。会社四季報もここから閲覧できます。
- 個別銘柄ページで四季報を開く「四季報」をクリックすると、まず「企業概要」(記者コメントにあたる部分)が表示されます。
- 目的の情報のタブへ移る業績推移を見たいときは「財務状況」タブ、株式分割などの資本異動情報は「資本異動」タブで確認します。
アプリ版は紙面のレイアウトそのままではなくタブで分割されているため、紙で欄の役割を一度覚えておくと、アプリのどのタブに何があるかも迷わなくなります。企業概要=記者コメント欄、財務状況=業績欄、と対応づけて考えると分かりやすいはずです。
最初の1社はどう読み進めればいい?
欄の意味が分かったところで、実際の手順に落とします。知っている会社を1社決めて、この順番でなぞってみてください。
- 業績欄で数字の向きを見る今期・来期の予想数値を確認し、増収増益なのか減収減益なのか、あるいは売上と利益がねじれていないかを見ます。
- 矢印マークの有無を確認するコメント欄の脇に↑↓が付いているかを見ます。付いていれば、記者の予想が会社予想と食い違っているということなので、コメント本文でその理由にあたる記述を探します。
- 株主欄で顔ぶれを確認する大株主が親会社なのか、金融機関なのか、創業者個人なのか。持株比率とあわせて、経営の安定度や資本構成を把握します。
この3ステップを、まずは知っている会社で5〜10社ぶん繰り返すのが早道です。同じ業種の会社を続けて読むと、業績欄の数字の水準やコメントの書かれ方に業種ごとの癖があることが見えてきます。1社を深く読むより、同じ読み方で複数社を並べたほうが、比較の目が先に育ちます。
四季報の使い方は、通読ではなく「必要な欄を引く」です。辞書に近い読み方だと考えてください。3か所を引く習慣ができてから、配当欄や株価指標の欄へ広げていけば十分間に合います。
四季報を読むときに気をつけたいこと
四季報に載っている来期の数値も、記者コメントの見通しも、矢印マークも、すべて発行時点での予想です。四季報は年4回の発行なので、発売直後と次号直前とでは情報の鮮度が大きく違います。決算発表や業績予想の修正など、発行後に出た会社側の開示があれば、そちらのほうが新しい情報になります。四季報を出発点にしつつ、最新の情報は会社の開示で確認する、という組み合わせ方が安全です。
また、四季報の数値が良いことと、その株を買うべきかどうかは別の話です。業績が伸びている会社の株価には、その期待がすでに反映されていることも珍しくありません。四季報は会社を理解するための道具であって、売買のシグナルを出す道具ではない、という前提で使ってください。
投資は自己責任です。株式投資に元本保証はなく、株価の下落により損失が生じる可能性があります。本記事は会社四季報の読み方に関する教育・解説を目的としたもので、特定の銘柄の推奨や投資助言を行うものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
よくある質問
会社四季報はいつ発売されますか?
会社四季報は東洋経済新報社が発行する季刊誌で、年4回、3月・6月・9月・12月に発売されます。年4回の発行のため、発売直後と次号の直前とでは掲載情報の鮮度が異なります。
四季報の矢印マーク(↑↓)はどういう意味ですか?
矢印マークは、東洋経済の記者が独自に立てた業績予想が、会社が発表した業績予想と一定以上食い違ったときに付く印です。↑は四季報予想が会社予想より強気(目安10%以上の上振れ、独自増額)、↓は弱気(目安10%以上の下振れ、独自減額)を示します。株価の予測を示すものではありません。
四季報は無料で読めますか?
主要ネット証券では、口座を持っていれば四季報の主要情報を無料で閲覧できるサービスが提供されています。SBI証券はスマホアプリの個別銘柄画面から、楽天証券は日経新聞などの記事を検索・閲覧できるサービス「日経テレコン(楽天証券版)」経由で閲覧できます。閲覧できる範囲や更新頻度は証券会社ごとに異なるため、各社のサイトで確認してください。
四季報で最初に見るべき欄はどこですか?
業績欄・記者コメント欄・株主欄の3か所です。業績欄で今期・来期の予想数値と増収増益か減収減益かの向きを確認し、コメント欄脇の矢印マークで会社予想とのズレを見て、株主欄で大株主の顔ぶれと持株比率から資本構成を把握します。他の欄は必要になってから読めば足ります。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。