配当再投資とは?30年で複利は単利より約100万円差
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配当を再投資すると保有株数が増え、翌期以降に受け取る配当そのものが増えていきます。元本100万円・年利4%の試算では、30年後の利益が単利120万円に対し複利では約224万円と、約100万円の差がつきます。個別株の配当は口座に現金で入るだけなので自分で買い増す必要があり、投資信託の分配金再投資型のように自動では増えません。
配当金の入金は、金額が小さいほど扱いに困ります。数千円では株を買い足すこともできず、気づけば口座の中でそのまま眠っている——という人は少なくありません。
ただ、この「そのまま置いておく」という選択は、長い目で見ると想像以上に大きな差を生みます。配当を再投資するかどうかで、30年後の利益が2倍近く変わる試算もあります。
正直なところ、1年や2年では差はほとんど見えません。効いてくるのは10年、20年という単位です。まずはそのしくみを数字で確かめてから、自分がどうするかを決めれば十分です。
配当再投資はなぜ効くのか?
配当再投資の正体は複利です。複利とは、元本に加えて生じた利益(利子・分配金・配当)を再び投資に回し、その利益がさらに利益を生む状態を指します。反対に、元本にだけ利益がつき、生じた利益は運用に回さないのが単利です。
株式でいえば、こういう違いになります。受け取った配当を使ってしまえば、翌年も配当を生むのは最初に買った株数のままです。配当で株を買い増せば、翌年の配当は「増えた株数」に対して支払われます。配当が配当を連れてくる状態が、株式における複利です。
保有株数が増えれば、1株あたりの配当金額が同じでも受け取る総額は増えます。増えた配当でまた買い増せば、株数はさらに増えます。この積み重ねが、年数を重ねるほど加速していきます。
30年でどれだけの差がつく?(数値例)
野村アセットマネジメントが示している試算が、単利と複利の差をわかりやすく表しています。元本100万円を年利4%で30年間運用した場合の比較です。
| 運用方法 | 30年間の利益 | 元利合計(元本+利益) |
|---|---|---|
| 単利(利益を再投資しない) | 120万円 | 220万円 |
| 複利(利益を再投資する) | 約224万円 | 約324万円 |
野村アセットマネジメントの公表データをもとに作成
右端の元利合計は、最初に投じた元本100万円と、そこで生じた利益を足した最終的な金額です。元本も利回りも同じ、違うのは「生じた利益を投資に回したかどうか」だけです。それだけで30年後の利益に約104万円、元本と同じくらいの差が生まれています。
積み立てながら再投資する形でも同じことが起こります。毎月1万円を年5%の利回りで20年間積み立てた場合、投じた元本240万円に対して運用資産は約411万円、運用収益は約171万円という試算があります。
いずれも年4%・年5%といった利回りが毎年変わらず続いた場合の計算例で、特定の銘柄やファンドの実績ではありません。実際の株価や配当は増減し、減配や無配になることもあります。数字はしくみの大きさを掴むための目安として見てください。
倍になるまでの年数を暗算する「72の法則」
複利の効き方をざっくり掴むのに便利なのが72の法則です。資産が2倍になるおおよその年数を、次の式で概算できます。
- 年利3% → 72 ÷ 3 = 約24年
- 年利4% → 72 ÷ 4 = 約18年
- 年利6% → 72 ÷ 6 = 約12年
利回りが1.5倍(4%→6%)になると、2倍到達までの年数は18年から12年へ短くなります。再投資するかどうかは、この「実質的な利回り」を自分で押し下げるかどうかの選択でもあります。
個別株の配当は自動では再投資されない
ここが投資信託との一番大きな違いです。個別株の配当金は、証券口座へ現金として振り込まれるだけで終わります。投資信託のような自動再投資のしくみは基本的になく、その現金で同じ銘柄(あるいは別の銘柄)を買い増すかどうかは、投資家自身が注文を出して決めることになります。
口座に置いたままの配当は、運用されずに止まったままです。数千円が数回積み上がって数万円になった頃には、入金があったこと自体を忘れているケースもあります。だからこそ、受け取った配当をどう扱うかを最初に決めておく価値があります。
受け取った配当を再投資する手順
- 入金を確認する証券口座の入出金明細で「配当金」の入金額を確認します。支払いは権利確定日(その日に株主名簿へ載っている人が配当を受け取れる、という基準の日)から2〜3カ月後が一般的で、3月末決算なら5〜6月頃、9月末なら11〜12月頃が目安です。
- 再投資に回す金額を決める全額を回すのか、一定額が貯まったらまとめて回すのかを先に決めておきます。少額配当は都度買うと非効率になりがちです。
- 買い付ける対象を決める同じ銘柄を買い増すか、別の銘柄や投資信託に回すかを選びます。同じ銘柄に集中させると、その1社に資産が偏る点は意識しておく必要があります。
- 単元と手数料を確認する国内株は原則100株単位のため、数千円の配当では1単元に届きません。単元未満株(1株単位)の取扱いがあるか、手数料が投資額に対して重すぎないかを確認します。
- 発注して記録する約定後、いつ・いくらの配当をどこへ回したかを記録に残しておくと、翌年以降の判断がしやすくなります。
なお、証券会社によっては配当金を自動で買い付けに回すサービスを用意している場合もありますが、すべての会社の標準機能ではありません。利用している証券会社の案内で確認してください。
投資信託の「分配金再投資型」とは何が違う?
投資信託には、購入時に分配金受取型と分配金再投資型のコースを選ぶしくみがあります。再投資型を選ぶと、支払われる分配金がそのまま同じファンドの追加購入に充てられ、保有口数が自動的に増えていきます。
| 比較の軸 | 個別株の配当再投資 | 投信の分配金再投資型 |
|---|---|---|
| 再投資のしかた | 自分で買い注文を出す | 口座の設定だけで自動 |
| 最低の投資単位 | 原則100株(単元未満株の取扱いは会社による) | 分配金相当額で口数が追加される |
| 売買手数料の考慮 | 買い増しのたびに必要 | 都度の発注が不要 |
| 投資先の選択 | 同じ銘柄でも別の銘柄でも選べる | 同じファンドへの追加購入 |
個別株のように自分で買い注文を出す必要がない、というのが最も大きな差です。受取型を選ぶと、分配金は指定口座に入金されるだけで、それ以降は運用されません。個別株の配当を口座に置いたままにするのと同じ状態です。再投資型が優れているのは「利回りが高いから」ではなく、手をかけなくても複利の状態を維持できるからです。
再投資型は分配金相当額で口数が追加されるため、下落局面では追加された口数の分も含めて評価額が減少します。自動で積み上がるということは、値下がりしている時期にも買い続けるということです。また、分配金が出るかどうか・いくら出るかはファンドの運用状況によって変わり、あらかじめ決まっているものではありません。
手間の差をどう考えるか
個別株の配当再投資は「自分で判断して発注する」形なので、手数料や単元の制約を毎回考える必要があります。一方、投資信託の分配金再投資型は口座設定だけで自動化されます。この運用の手間の違いが、両者を比べるうえで最も実務的な差です。
- 個別の企業を選んで持ちたい/株主優待も受け取りたい → 個別株の配当再投資
- 判断や発注の手間をできるだけ減らしたい → 投信の分配金再投資型
- 配当を生活費や趣味に使う前提で持っている → 受取型のままでも問題ない
- 少額の配当が口座で眠りがち → 一定額が貯まるまで待つルールを決めておく
再投資が向いていない場合もある
近い将来に使う予定のあるお金で投資している場合、再投資は現金化のタイミングを難しくします。配当を生活の足しにする目的で株を持っている人にとっても、受け取って使うこと自体が目的なので再投資が正解とは限りません。また、配当が数千円のうちに毎回買い増すと、手数料の負担が投資額に対して重くなることがあります。複利は「長い期間、使わずに置いておける資金」でこそ効くしくみです。
逆にいえば、当面使う予定のない資金で長期に持ち続けるつもりなら、配当を口座に眠らせておく理由はあまりありません。金額が小さくても、数え始めた年からしか複利は働きません。
再投資は、始めるのに手続きも申込みも要りません。次に配当が入ったとき、その金額をどう扱うかを一度決めておく。それだけで、10年後・20年後に受け取る配当の大きさが変わってきます。
投資は自己責任です。株式・投資信託は元本が保証された商品ではなく、価格の変動により損失が生じる可能性があります。配当・分配金の金額や有無も企業やファンドの運用状況により変動し、減配・無配となる場合があります。本記事は特定の銘柄・商品の推奨や投資助言を目的としたものではありません。最終的な投資判断はご自身で行ってください。
よくある質問
配当を再投資すると、どれくらいの差が出ますか?
野村アセットマネジメントの試算では、元本100万円を年利4%で30年間運用した場合、利益を再投資しない単利では利益120万円(元本と利益を足した元利合計は220万円)、再投資を続ける複利では利益約224万円(元利合計約324万円)となり、約104万円の差が生じます。これは一定の利回りが続いた場合の計算例であり、実際の運用成果を保証するものではありません。
個別株の配当は自動で再投資されますか?
基本的に自動では再投資されません。個別株の配当金は証券口座に現金で振り込まれるだけで、その資金で株を買い増すかどうかは投資家自身が注文を出して決めます。証券会社によっては配当金を買い付けに回すサービスを提供している場合もありますが、標準機能ではないため利用中の証券会社で確認が必要です。
投資信託の分配金受取型と再投資型はどちらを選ぶべきですか?
分配金を使う予定がなく長期で資産を増やしたい場合は再投資型が適しています。再投資型は分配金が自動的に同じファンドの追加購入に充てられ、保有口数が増えて複利効果が働きます。受取型は分配金が口座に入金されるだけでそれ以降は運用されません。ただし再投資型は下落局面では追加された口数分も含めて評価額が減少する点に注意が必要です。
配当が数千円しかない場合でも再投資できますか?
国内株は原則100株単位のため、数千円の配当だけでは1単元を買えないことが多くあります。方法としては、単元未満株(1株単位)の取扱いがある証券会社を利用する、一定額が貯まるまで配当を貯めてからまとめて買い増す、投資信託など少額から購入できる商品に回す、といった選択肢があります。少額のたびに買い付けると手数料負担が相対的に重くなる点も考慮してください。
72の法則とは何ですか?
資産が2倍になるおおよその年数を概算する式で、「72 ÷ 年利回り(%)」で求めます。年利4%なら約18年、年利6%なら約12年が2倍になる目安です。あくまで概算であり、利回りが毎年一定で推移した場合の目安である点に注意が必要です。
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