TOEICデジタル受験票が延期、次の受験で変わることは?
画像出典: すしぱく / ぱくたそ
IIBCは2026年8月18日、TOEIC Listening & Readingのデジタル受験票の運用開始を2027年7月実施回へ変更すると発表しました。つまり2027年7月より前に受験する人は、これまでどおり紙の受験票と本人確認書類の原本を持参する現行方式のままです。当日の準備で本当に注意すべきなのは、2026年4月以降のすべての公開テストに適用されている本人確認書類のルール変更のほうです。
この「デジタル受験票」という言葉だけがSNSやまとめ記事で先に広まり、直前期の受験者が自分の回も対応が必要かと不安になる——という流れが起きやすい話題です。結論から言うと、2027年7月実施回より前に受験する人は、これまでと同じ紙の受験票のままです。
正直なところ、直前期に一番もったいないのは、自分には関係のない先の制度を調べることに時間と気力を使ってしまうことです。ここでは発表の中身を事実として押さえたうえで、次の受験で本当に確認すべき持ち物の話に進みます。
デジタル受験票の延期で何が決まった?
IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会。TOEICを日本で運営する団体)は2026年8月18日、TOEIC Listening & Reading公開テストへのデジタル受験票の導入・運用開始時期を変更すると発表しました。当初は「2026年9月までの導入」と案内されていたものが、2027年7月実施回からの運用開始へと後ろ倒しになっています。
あわせて、専用アプリの提供開始時期も「2026年内」相当の予定から2027年5月へ変更されました。導入時に現行の紙の受験票を廃止するという方針そのものは変わっておらず、時期だけが動いた形です。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 当初案内 | 2026年9月までに導入予定(延期前) |
| 2026年8月18日 | 運用開始時期を2027年7月に変更する旨を発表 |
| 2027年3月まで | 当日の手順・必要な通信環境などの詳細告知を公式サイト等で順次実施予定 |
| 2027年5月 | デジタル受験票用の専用アプリ提供開始 |
| 2027年7月実施回 | 申込み開始時点からデジタル受験票の運用を開始。現行の紙の受験票は廃止 |
ReseEd(リシード)の公表データをもとに作成
上の表のとおり、受験者が何か行動を求められるのは2027年5月のアプリ提供以降です。それまでは詳細告知が順次出る段階で、今の受験者側でやることはありません。一次情報はIIBC公式サイトのインフォメーションページでも確認できます。
なぜ延期になった?
IIBCは理由を2つ挙げています。ひとつは、利用できる本人確認書類の見直しに追加の開発・検証期間が必要になったこと。ICチップの有無、国内パスポートと海外パスポート、在留カードの新書式など、書類の種類ごとに扱いが異なります。特定の書類を持たない受験者が受験機会を制限されないようにする配慮だと説明されています。
もうひとつは、全国の試験会場で安定して運用できる状態を作ること。受付時にICチップ内のデータを読み取って照合する仕組みのため、どの会場でも同じように動く必要があります。その検証期間を当初の見込みより延ばす判断になりました。
そもそもデジタル受験票が計画された背景には、2025年に発覚した不正受験事案があります。IIBCはこれを深刻に受け止め、段階的に本人確認を強化してきたと説明しており、デジタル受験票はその一連の対策の延長線上にあります。
デジタル受験票はどういう仕組み?
マイナンバーカードのようなICチップ搭載の本人確認書類を、スマートフォンでオンライン登録します。ICチップに記録された顔写真・氏名・住所などの情報と、申込み時に登録した情報を照合する——という流れです。窓口で人が目視していた確認を、申込みの段階で機械が突き合わせるイメージに近いと考えるとつかみやすいかもしれません。なりすましの防止と、登録情報の確認精度を上げることが狙いとされています。
次の受験で本当に確認すべきことは?
デジタル化が先送りになった一方で、本人確認書類のルールはすでに変わっています。IIBCは2026年1月8日に不正受験対策としてルール変更を発表し、2026年4月以降に実施するすべての公開テストに適用されています。こちらが、次の受験で実際に効いてくる変更点です。
最大のポイントは、使用できる書類が有効期限内・顔写真付きの原本に限定されたこと。スマートフォンの電子証明書やスクリーンショットなどの複製画像は使えません。日本国籍の方も対象外ではなく、全員に適用されます。
| 国籍区分 | 利用可能な本人確認書類(有効期限内・顔写真付き原本のみ) |
|---|---|
| 日本国籍 | 運転免許証(日本国内発行)/パスポート(日本政府発行)/マイナンバーカード/障害者手帳/学生証・生徒手帳(顔写真貼付) |
| 外国籍 | 在留カード/特別永住者証明書/マイナンバーカード |
IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)の公表データをもとに作成
上の表で学生の方に見てほしいのは、日本国籍なら顔写真が貼付された学生証・生徒手帳が使える一方、外国籍の方は学生証もパスポートも使えないという点です。留学生が学生証だけを持って会場に行くと受験できません。在留カードか特別永住者証明書、マイナンバーカードのいずれかを用意してください。
社会人の方でありがちなのが、運転免許証の有効期限切れです。会社の身分証は使えませんし、更新を忘れたまま当日を迎えると、受験料も移動時間もそのまま消えます。財布の中身を一度出して、期限の数字を目で見て確認するのが確実です。
「マイナンバーカードはスマホに入れてあるから大丈夫」という確認のしかたが一番危ない部分です。スマートフォンの電子証明書は本人確認書類として認められておらず、カードそのもの(原本)が必要です。紙の受験票と同じく、物理的に鞄へ入れるものだと考えてください。
当日の持ち物はどう揃える?
受験票は試験日の約1週間前までに発送されます。届いていない場合は、試験ごとに定められた受験票未着問い合わせ期間内にテストセンターへ連絡が必要です。手元に届く前でも、申込サイトの「受験票情報詳細」ページで内容を確認できます。
- 受験票
- 証明写真1枚(規定サイズ等を満たしたもの)
- 本人確認書類(原本・有効期限内)
- HBの鉛筆またはシャープペンシル、消しゴム
- 腕時計(計時機能のみのもの。置時計や他機能付き機器は不可)
腕時計は意外と落とし穴で、スマートウォッチや多機能つきのものは使えません。教室に時計がない会場もあるため、Part7の時間配分を自分で管理したい人ほど、計時機能だけの安い時計をひとつ持っておくと安心です。
当日の注意事項も一度だけ目を通しておきます。試験教室内ではガムやあめを含めて食事ができません。携帯電話や電子機器は電源を切ることが必須で、撮影・録画・録音・通信機能のある機器の使用は禁止です。問題用紙や解答用紙を教室から持ち出す行為も禁じられています。
受付時刻の確認だけは、必ず受験票の記載で行ってください。公式案内では「9:55までに受付にお越しいただけない場合は受験をお断りいたします」といった形で示されますが、時刻は回によって異なります。ネットで見かけた時刻をそのまま覚えて動くと、会場最寄り駅の混雑ひとつでずれます。
残った時間は何に使う?
制度の確認に使っていた気力は、そのまま直前の学習に回せます。前日〜当日朝にやることは増やさず、次の3つに絞るだけで十分です。
- 耳を本番の速度に慣らす前日と当日の朝に、リスニング音源を10〜15分だけ流します。新しい教材ではなく、一度解いた音源を使ってください。聞き取れる状態で会場に入ることが目的で、新しい知識を足すことが目的ではありません。
- Part別に時間配分を一度だけ確認する各Partに何分かけるかを紙に書き出します。本番中に迷う時間をなくすための作業で、5分もあれば終わります。
- 解き直した問題の間違いだけ見返す過去に間違えた設問を、答えではなく「なぜ間違えたか」の側から確認します。新しい問題を解くより、直前の伸びしろはこちらにあります。
学生の方は後期の授業開始や学内試験と重なる時期になりますし、社会人の方は平日の可処分時間がそもそも限られます。どちらの場合も、直前に確保できる時間は自分が思っているより短いのが普通です。だからこそ、すでに手をつけた教材の中だけで回すのが現実的です。
デジタル受験票の話は、2027年3月以降に詳細告知が出てから改めて確認すれば間に合います。今は紙の受験票と本人確認書類の原本、この2つが鞄に入っているかだけ確かめれば大丈夫です。
よくある質問
TOEICのデジタル受験票はいつから始まりますか?
IIBCは2026年8月18日の発表で、デジタル受験票の運用開始を2027年7月実施回からに変更しました。当初は2026年9月までの導入と案内されていましたが、後ろ倒しになっています。専用アプリの提供開始は2027年5月の予定です。
2026年秋にTOEICを受験しますが、デジタル受験票の準備は必要ですか?
必要ありません。デジタル受験票の運用開始は2027年7月実施回からのため、それより前に受験する人は、これまでと同様に紙の受験票と本人確認書類の原本を持参する現行方式のままです。
TOEICの本人確認書類にスマートフォンの電子証明書は使えますか?
使えません。2026年4月以降に実施するすべての公開テストで、本人確認書類は有効期限内・顔写真付きの原本に限定されています。スマートフォンの電子証明書やスクリーンショットなどの複製画像は、日本国籍の方も含めて認められていません。
外国籍の受験者は学生証で本人確認できますか?
できません。外国籍の方が利用できる本人確認書類は、在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカードのいずれかです。学生証とパスポートは外国籍の方の本人確認書類として利用できません。
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