いろは堂くらし ← 戻る

台風のペット対策、備えの4本柱とは?

2026年8月28日|いろは堂くらし編集部
室内のソファでバッグに寄りかかり眠る一匹の子犬の写真

画像出典: Malcolm Winter / Pexels

この記事の要点
ペットの台風対策は「フードと水を1日量×5〜7日分」「停電時の暑さ対策」「避難所がペット同伴可か事前確認」「キャリーに普段から慣らす」の4本柱で足ります。環境省のガイドラインが平常時の準備を柱に置いているのは、当日にできることがほとんどないからです。今日ひとつ買い足すだけでも、次の台風の夜は変わります。
😟
台風の夜になると、うちの子が震えて狭いところから出てこなくなるんです。何をしてあげたらいいのか…

風の音や気圧の変化に反応する動物は珍しくありません。ただ、その夜にできることは実はあまり多くありません。ペットの台風対策は、ほとんどが「台風が来ていない日」に終わっています。

環境省が公表している「人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」も、飼い主が平常時に取り組む準備を対策の柱に置いています。逆に言えば、晴れた日に30分あれば、次の台風の夜の景色はかなり変えられるということです。

台風でペットに何が起きる?まず想定する3つの事態

備えを買う前に、何から守るのかをそろえておきます。台風でペットに起こりうることは、大きく3つに整理できます。

台風で想定しておく事態
  • 停電 — エアコンが止まり、室温が上がる
  • 避難 — 家を離れる。行き先がペット同伴可とは限らない
  • 脱走・迷子 — 大きな音に驚いて飛び出す

このうち、飼い主が見落としやすいのが停電です。台風は夏から秋にかけて来るため、エアコンが止まった室内の暑さが実際の危険になります。ペット関連の解説でも、大規模停電時にまず警戒すべきものとして熱中症が挙げられており、体温を下げることと水分をとらせることが対応の中心とされています。

フードと水はどれくらい備蓄すればいい?

目安ははっきりしています。普段の1日量×5〜7日分です。環境省のガイドラインを引用する防災系の解説で共通して示されている数字です。

とくに療法食や、決まった銘柄しか食べない子の場合、代わりがきかないと考えておいたほうが現実的です。

  1. 1日量を量るいつもの一食をキッチンスケールに載せ、1日の合計グラム数をメモします。
  2. 7倍するその数字が備蓄の目標量です。ドライフードなら未開封の袋1つで足りることも多いです。
  3. 水も同じ発想で飲水量の1日分×7日。人用の保存水で兼ねられますが、普段と違う水を嫌がる子もいるので一度試しておきます。
  4. 使いながら入れ替える備蓄用を先に開け、買った新しい袋を備蓄に回します。賞味期限切れを防げます。

この「使いながら入れ替える」やり方にすると、備蓄が特別な作業ではなくなります。買い置きの置き場所を決めるだけで済みます。

停電したとき、暑さはどう乗り切る?

エアコンが止まったあと、まず効くのは空気を動かすことです。ポータブルバッテリーがあれば扇風機を回せます。フル充電で半日以上動く製品が多く、1万円程度から選べるものもあります(価格は変動するので、購入前に最新の表示を確認してください)。

電源がない場合の手当ても用意しておきます。

電気がなくてもできる暑さ対策
  • 保冷剤をタオルで包み、ケージの外側や下に置く(直接触れさせない)
  • 凍らせたペットボトルを、風の通り道に置く
  • 家の中で一番涼しい場所(北側の部屋・床に近い高さ)へ移動する
  • 水の器を複数箇所に増やす

保冷剤を直接かじれる位置に置かないことだけは守ってください。中身を口にすると別の事故になります。

冷やしすぎにも注意が必要です

暑さへの強さも冷えやすさも、犬種や猫種、年齢、体格によって差があります。どの子にどこまで冷却が必要かを飼い主が判断するのは難しいので、保冷剤を使うときは、ペットが自分で離れられるように、冷えていない場所も残しておくのが基本です。様子がおかしいと感じたら、対策を続けるより動物病院に連絡してください。かかりつけの病院に、その子に合った暑さ対策を平常時に聞いておくと確実です。

避難するとき、ペットは一緒に行ける?

ここが一番、当日に慌てるところです。すべての避難所がペット同伴を受け入れているわけではありません。受け入れの可否も、受け入れ方(同じ室内か、別棟か、屋外のケージか)も自治体ごとに違います。

調べるのは晴れた日で構いません。自治体名と「避難所 ペット」で検索するか、役所の防災担当に電話で聞けば分かります。確認したいのは次の3点です。

確認すること聞き方の例
同伴できる避難所はどこか「うちの地区で、ペットと一緒に行ける避難所はどこですか」
どう過ごす形になるか「室内で一緒ですか、別のスペースですか」
持参が必要なもの「ケージやフードは自分で持っていく形ですか」

ケージ持参が条件になっている避難所は多く、それが次の話につながります。

キャリーを嫌がる子は、どう慣らす?

環境省のパンフレットでも、普段使いのリードやキャリーバッグ(クレート)を非常時にも使えるよう、日頃から慣らしておくことが勧められています。避難のときだけキャリーを出す家庭では、ペットは「キャリー=病院」と覚えていて、いざというときに入ってくれません。

  1. 扉を外して部屋に置くまず「そこにある家具」にします。1週間ほど放置で構いません。
  2. 中でごはんをあげる入口付近から始め、少しずつ奥へ器を移動します。
  3. 扉を閉めて数秒閉めたらすぐ開ける。嫌がる前に終わらせるのがコツです。
  4. 持ち上げて部屋を一周移動しても怖いことは起きない、という経験を作ります。

猫の場合、パニックになった子を安全に保定する(暴れないよう体をやさしく押さえて動きを止めること)道具として、環境省のガイドラインの備蓄品リストには洗濯ネットも挙げられています。畳めばポケットに入る大きさなので、キャリーの中に一枚入れておくだけで済みます。

脱走と迷子には何を用意する?

大きな音に驚いて飛び出す事故は、台風の日に起こりやすいものです。備えは「戻ってこられる手段」を複数持たせることです。首輪と迷子札、そしてマイクロチップによる所在確認手段の準備が推奨されています。

今日できる迷子対策
  • 迷子札の連絡先が古くなっていないか読み直す
  • マイクロチップの登録情報(引っ越し・電話番号変更)を更新する
  • 全身が写った写真をスマホに1枚、印刷して防災袋に1枚
  • 体の特徴(模様・傷・体重)をメモしておく

写真は捜索のチラシやSNSにそのまま使えます。かわいく撮れた顔アップより、体の模様が分かる横向きの写真のほうが役に立ちます。

台風の夜、落ち着かせるのに効くことは?

当日にできることは限られますが、ゼロではありません。

ひとつは、隠れられる場所を用意しておくこと。狭くて暗いところに入るのは、動物にとって自然な反応です。無理に引っ張り出さず、毛布をかけたケージなど「入っていい隠れ家」を家の中の静かな場所に作っておきます。窓から離れた、雨戸やカーテンで音と光をやわらげられる部屋が向いています。

もうひとつは、飼い主の態度です。飼い主自身が落ち着いていることがペットの不安をやわらげる、というのはペット関連事業者の解説でも基本として挙げられています。心配して過剰に構うと、かえって「これは大変な事態だ」と伝わってしまいます。いつもと同じトーンで、いつもと同じ時間にごはんをあげる。それが一番わかりやすいメッセージになります。

今日ひとつだけやるなら、どれから?

全部そろえようとすると腰が重くなるので、順番をつけます。

  1. フードと水を用意する1日量×7日分を買い置きします。
  2. 避難所を調べる自治体のペット同伴可能な避難所を確認します。
  3. キャリーを出しておく部屋に出しっぱなしにして慣らし始めます。
  4. 迷子対策を点検する迷子札とマイクロチップの登録情報を確認します。

このうち最初の2つは、どちらも今日中に終わります。買い物ついでにフードをもう1袋、帰ってきたら自治体のサイトを5分。それだけで、次の台風の夜にできることが増えます。

参考にした公的資料は、環境省の人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>と、パンフレット「ペットも守ろう!防災対策」です。住んでいる地域の運用は自治体ごとに違うので、最終的な確認はお住まいの役所の情報でお願いします。

よくある質問

ペットのフードは何日分を備蓄すればいいですか?

普段与えている1日量の5〜7日分が目安です。環境省の災害対策ガイドラインを引用する解説で共通して示されている量です。療法食や特定の銘柄しか食べない場合は、代替が入手しにくいと考えて多めに用意します。

避難所にペットを連れて行けますか?

すべての避難所がペット同伴を受け入れているわけではありません。受け入れの可否も、室内同伴か別スペースかといった形も自治体ごとに異なります。平常時に自治体名と「避難所 ペット」で検索するか、役所の防災担当へ電話し、同伴可能な避難所の場所・過ごし方・持参が必要なものの3点を確認しておきます。

停電でエアコンが止まったとき、暑さはどう防げばいいですか?

ポータブルバッテリーで扇風機を回すのが基本で、フル充電で半日以上動く製品が多く1万円程度から選べます(価格は変動するため購入時に確認が必要です)。電源がない場合は、タオルで包んだ保冷剤や凍らせたペットボトルを近くに置き、家の中で最も涼しい場所へ移動し、水の器を増やします。保冷剤はかじれない位置に置き、ペットが自分で離れられるよう冷えていない場所も残します。

キャリーバッグを嫌がるペットはどう慣らせばいいですか?

扉を外して部屋に置きっぱなしにし、まず家具として認識させることから始めます。次に中でごはんを与え、器を少しずつ奥へ移動します。慣れたら扉を数秒だけ閉めて開ける、持ち上げて部屋を一周する、と段階を上げます。猫の場合は、パニック時に体をやさしく押さえて動きを止める(保定する)ために、洗濯ネットをキャリーへ入れておくと役立ちます。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。