いろは堂くらし ← 戻る

台風前のベランダ点検、確認すべき3本柱とは?

2026年8月6日|いろは堂くらし編集部
屋外、レンガ造りのベランダで赤いオーニングが開き植木鉢と樹木が見える写真。

画像出典: Enric Cruz López / Pexels

この記事の要点
台風前のベランダ対策は「飛ぶものを無くす・固定する」「窓と網戸のロックを確かめる」「排水溝の水はけを確保する」の3本柱です。作業はすべて風雨が強まる前に終わらせるのが鉄則で、平均風速15m/sを超えると屋外での作業自体が転倒や飛来物でケガをする危険な行為になります。
😟
台風が近づくたびに、ベランダを見て『何かしなきゃ』とは思うんです。でも結局、洗濯物を取り込むだけで終わっちゃって……

ベランダの台風対策は、やることの順番さえ決まっていれば数十分で終わります。難しいのは作業そのものではなく、「何が飛ぶのか」「どこまでやれば十分なのか」の線引きがはっきりしないことです。

ベランダに置いてあるものは、普段は動かないから安全に見えます。ところが強風下では、植木鉢ひとつが階下や隣家へ落ちる落下物になります。自分の家の被害だけで済まない、というのがベランダ対策の本質です。

そこで、気象庁が示す屋外の備えと、窓・エアコン・ガスボンベそれぞれのメーカー・団体が公表している点検項目を、上から順にこなせる9項目のチェックリストにまとめます。すべて、風雨が強まる前に終わらせることが前提です。

台風前のベランダ、何から手をつける?

まず大前提:作業は「風が強まる前」に終わらせる

気象庁は、大雨・強風への備えとして「風で飛ばされそうな物は固定したり家の中へ格納する」「側溝や排水口を掃除して水はけを良くする」「窓や雨戸をしっかりかけて、必要に応じて補強する」ことを挙げています。そしてこれらは、風雨が強まる前に済ませるべき作業とされています。

理由ははっきりしています。平均風速15m/s以上になると、人は歩くのが困難になり、転倒や飛来物によるケガの危険が出てきます。台風が来てから「そういえば鉢植えが」とベランダに出るのは、対策ではなく危険な行為です。

「まだ大丈夫」が一番あぶない

台風は接近の数時間前から急に風が強まります。天気予報で自分の地域の暴風域到達時刻を確認し、その半日前には作業を終える計画にしてください。夜間に接近するコースなら、明るいうちに済ませるのが安全です。

ベランダで飛ぶのは何? 優先順位の高い3つ

ベランダにあるもののうち、風で動きやすく、かつ動いたときの被害が大きいのは次の3つです。ここから手をつけると効率がいいです。

最優先で処理するもの
  • 物干し竿 — 長く軽いので風をつかまえやすく、外れると凶器になる
  • 植木鉢・プランター — 倒れるだけでなく、階下や隣家への落下事故につながる
  • サンダル・ゴミ箱・すのこ・小物 — 軽く、そのまま飛んで排水溝を詰まらせる
基本の対策動かせない場合
物干し竿室内へ取り込む物干し金物に紐でくくりつけて固定
植木鉢・プランター室内か玄関の中へ移動ブルーシートに包んでロープで固定、または固定物とまとめてくくる
サンダル・ゴミ箱・小物すべて室内へ(床を空にする)
エアコン室外機重量のある土台・防振マット・転倒防止金具で固定ぐらつきを確認し、設置業者へ相談
LPガスボンベチェーン等で転倒しないよう固定(鎖は2本が推奨)緩みがあれば契約先のガス供給会社へ連絡

気象庁Panasonic高圧ガス保安協会の公表情報をもとに作成

上の表のとおり、対策の考え方はどれも同じです。動かせるものは動かす、動かせないものは固定する。この2択しかありません。以下、ひとつずつ具体的に見ていきます。

物干し竿は「室内へ」が基本

物干し竿は室内に取り込むのが基本の対策です。長さの都合で室内に入れられない場合は、竿を物干し金物に紐でしっかりくくりつけて固定します。竿受けに載せてあるだけの状態が、いちばん外れやすい状態です。ビニール紐やロープはホームセンターで手に入り、一度買えば毎シーズン使えます。

植木鉢は移動、無理なら「まとめて重く」

植木鉢やプランターは、室内か玄関の中など風の影響を受けにくい場所へ移動させます。大きくて動かせないものは、政府広報オンラインでもブルーシートに包んでロープで固定する方法が紹介されています。手すりや固定物と一緒にビニール紐でくくり、まとめて重くしてしまうのが現実的です。

🤔
プランターって、水を入れて重くしておけば飛ばないんじゃ?

重さだけに頼るのはおすすめできません。強風は横からだけでなく、ベランダの壁に当たって巻き上がる形でも吹きます。重い鉢が倒れれば、そのまま手すりの隙間から落ちる可能性があります。移動できるなら移動、が結論です。

窓と網戸は何を確認すればいい?

飛ばされ対策と同じくらい大事なのが、窓まわりの点検です。LIXILが公開している点検項目では、次の2点が挙げられています。

窓まわりの点検項目
  • 窓・網戸の外れ止めが正しくセットされているか
  • シャッターや雨戸がスムーズに開閉できるか、ロックがかかるか

外れ止めは、網戸や窓のサッシ上部にある小さな部品です。掃除や網戸の張り替えのあとに解除したままになっていることがあり、この状態で強風を受けると網戸ごと外れて飛びます。指で押し上げる/ネジで留めるなど形状はいくつかありますが、上部を見て「固定されているか」を確かめれば十分です。

シャッター・雨戸は、台風接近時に閉めたあとロックまでかけたかを必ず確認します。閉めただけの状態だと、風圧で持ち上がったりガタついたりします。

飛散防止フィルムでできること・できないこと

窓の室内側のガラス全面に飛散防止フィルムを貼ると、割れたときの破片の飛び散りを抑えられます。ホームセンターで手に入る、手軽な対策として紹介されています。

フィルムはガラスが割れるのを防ぐものではありません

飛散防止フィルムの効果は、あくまで破片の飛散を抑えることです。飛来物が当たればガラスは割れます。台風の最中は窓のそばに近づかない、カーテンを閉めておく、といった行動とセットで考えてください。

ベランダの設備と排水溝はどうする?

ベランダの「動かせない設備」も点検対象です。見落とされやすい2つを挙げます。

エアコン室外機

室外機の転倒防止策として、Panasonicやダイキンでは、設置する土台をコンクリート製など重量のあるものにする、防振マット(室外機の脚の下に敷く厚手のゴム板。振動とずれを抑える)を敷く、転倒防止用の金具を使う、といった方法が紹介されています。土台のコンクリートブロックにアンカーボルト(コンクリートに穴を開けて打ち込み、機器をねじ留めするための太いボルト)で固定する方法や、L字金具(アルファベットのLの形をした金物で、壁と機器を直角に留める)で壁面に固定する方法が一般的です。

壁面へのアンカー固定は下地の判断が要るため、自分で穴を開けるより設置業者に依頼するほうが確実です。

今すぐ工事はできなくても、ぐらつきがないか手で軽く押して確かめることは今日できます。ぐらつくなら、台風シーズンのうちに設置業者へ相談する価値があります。台風のあとは、ドレンホース(室外機や室内機から出ている、結露水を外へ流す細い排水ホース)周りの状態確認と清掃、電源のオン/オフや運転切替の動作確認も推奨されています。

プロパンガスのボンベ

ベランダや家の脇にLPガスのボンベがある住まいでは、ここも確認します。高圧ガス保安協会は、台風・大雨の接近時に「LPガス容器は、チェーン等で容易に転倒しないように固定されているか」を確認するよう呼びかけています。

経済産業省と高圧ガス保安協会のLPガス災害対策マニュアルでは、鎖を2本取り付けることで転倒防止効果が上がり、水害時に容器が流されにくくなるとされています。浸水のおそれがある地域では、返しが付いた外れにくい鎖止め金具の使用が推奨されています。あわせて、付近の設置物が飛ばされてボンベに当たらないよう対策すること、避難する前にバルブを閉めることも示されています。固定は基本的にガス供給会社の作業範囲なので、緩みが見つかったら自分で直さず契約先へ連絡してください(対応の範囲や費用は契約内容によるため、あわせて確認してください)。

排水溝の掃除は、なぜ後回しにできないのか

ベランダの排水溝は、詰まると水が流れずベランダに溜まります。溜まった水が掃き出し窓のレールを越えると、室内に浸水します。台風の雨量では、これは十分に起こりうることです。

気象庁も備えとして側溝・排水口の掃除を挙げています。作業は簡単で、落ち葉・砂・髪の毛・洗濯バサミの破片などを取り除くだけです。買うものは何もなく、かかるのは5分ほどの手間だけで、室内浸水という最も高くつく被害を避けられます。ここで大事なのは順番で、先に鉢植えや小物を片づけてから排水溝を掃除することです。逆にすると、片づけの途中で出た土やゴミがまた流れ込みます。

台風前ベランダ点検チェックリスト(9項目)

ここまでの内容を、実際に動く順番に並べます。上から順にこなせば、ひととおり終わります。

  1. 作業時間を決める暴風域の到達予想より半日前、明るいうちに終える計画を立てる。
  2. 小物をすべて室内へサンダル・ゴミ箱・すのこ・洗濯バサミ・掃除道具まで、床にあるものを空にする。
  3. 物干し竿を取り込む室内へ移動。入らない場合は物干し金物に紐で固定する。
  4. 植木鉢・プランターを移動室内か玄関へ。動かせないものはブルーシートに包みロープで固定するか、固定物とまとめてくくる。
  5. 室外機のぐらつきを確認手で押して安定を確かめる。不安があれば設置業者へ相談する。
  6. LPガスボンベの固定を確認チェーンで確実に固定されているか。鎖は2本が推奨。
  7. 排水溝を掃除する落ち葉・砂・ゴミを取り除き、水はけを確保する。
  8. 網戸・窓の外れ止めを確認サッシ上部の外れ止めが正しくセットされているか見る。
  9. シャッター・雨戸を閉めてロック閉めるだけで終わらせず、ロックがかかったかを必ず確かめる。
😌
やることが決まってると、思ったより早く終わりそう。

この9項目のうち、時間がかかるのは2〜4番の「片づけ」だけです。紐・ブルーシート・飛散防止フィルムはいずれもホームセンターで手に入り、一度そろえれば次のシーズンも使えます。一度ベランダを空にしてしまえば、次の台風のときは確認だけで済みます。台風シーズンの間は、ベランダに物を出しっぱなしにしない前提で暮らすほうが、結果的に手間が減ります。

台風が過ぎたあと、何を見ればいい?

通過後も、風が完全に収まってから外に出ます。確認するのは次の3つです。

通過後の確認
  • 排水溝に飛来物・落ち葉が詰まっていないか(次の雨に備える)
  • エアコン室外機がずれていないか、ドレンホース(結露水の排水ホース)周りに異物がないか。使用前に運転切替の動作を確認する
  • 窓ガラス・網戸・シャッターに割れや歪みがないか

ガラスに割れやヒビを見つけたら、素手で触らず、破片が室内に落ちないよう注意しながら業者へ連絡してください。無理に自分で外そうとしないほうが安全です。

よくある質問

台風のとき、ベランダの物干し竿はどうすればいいですか?

物干し竿は室内へ取り込むのが基本です。長さの都合などで室内に入れられない場合は、竿を物干し金物に紐でしっかりくくりつけて固定します。竿受けに載せてあるだけの状態は風で外れやすく、外れた竿は飛来物になるため危険です。

植木鉢が重くて動かせない場合はどうしますか?

移動できない大きさのものは、ブルーシートに包んでロープで固定する方法が政府広報オンラインでも紹介されています。手すりなどの固定物とまとめてビニール紐でくくる方法も有効です。重さだけで安定しているように見えても、ベランダでは風が巻き上がるため倒れて落下する可能性があります。

網戸の外れ止めはどこにありますか?

網戸のサッシ上部に付いている小さな部品で、網戸が枠から外れるのを防ぐものです。掃除や網戸の張り替えのあとに解除したままになっていることがあり、その状態で強風を受けると網戸ごと外れて飛ぶおそれがあります。台風前に上部を見て、正しくセットされているか確認してください。

窓に飛散防止フィルムを貼れば割れませんか?

割れません。飛散防止フィルムは室内側のガラス全面に貼ることで割れた際の破片の飛散を抑えるもので、ガラスが割れること自体は防げません。ホームセンターで手に入る手軽な対策ですが、飛来物が当たれば割れるため、台風の最中は窓のそばに近づかない、カーテンを閉めておくといった行動と組み合わせて使ってください。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。