窓の遮熱、効果が出る3つの優先順位
画像出典: 写真: Basile Morin(CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
窓の遮熱は「外側で遮る→窓ガラス面で遮る→室内側で遮る」の順で効果が期待できます。まず西日と南向きの窓に、すだれやサンシェードを外側へ吊るすのが最も手軽で効きます。次に一度貼れば通年効く遮熱フィルム、最後に調光の自由が利く遮熱カーテンという順で足していくと、少ない費用から始められます。
冷房の効きが悪いとき、疑う場所はエアコンより先に窓です。夏に室内へ入ってくる熱の大半は、壁や屋根ではなく窓などの開口部を通って入ってくるといわれています。環境省も、熱の多くは窓やドアといった開口部を経由して出入りするため、開口部の断熱化が効果的だと説明しています。
つまり、冷たい空気を作る力を上げるより、熱が入ってくる入口をふさぐほうが早い、ということです。しかも窓の対策は、数百円のものから始められます。
ただ、すだれ・遮熱フィルム・遮熱カーテンと選択肢が並ぶと、どれから買えばいいのか迷います。この順番には、はっきりした理屈があります。
なぜ「窓の外側」から対策するのが効くのか?
順番の理屈はとてもシンプルで、日射が室内に入る前に止められるかどうかです。
すだれ・よしず・サンシェードは、窓の外側に吊るして日射を遮ります。太陽の熱はガラスに届く前に受け止められるので、そもそも部屋の中に熱が持ち込まれません。建物の南側・西側の窓の外に設置するのが主流なのは、日射が強く当たる面だからです。
一方、室内側のカーテンは、熱が一度ガラスを通り抜けてから遮る形になります。窓ガラス自体が温まってしまうため、外側で遮るのに比べると分が悪い。遮熱フィルムはその中間で、ガラス面そのもので日射を反射・遮断します。
- ① 外側:すだれ・よしず・サンシェード/熱が入る前に止める
- ② 窓面:遮熱フィルム/貼れば通年効き、手入れがいらない
- ③ 室内側:遮熱カーテン/調光を自分で切り替えられる
環境省がクールビズの取り組みとして、西側の日よけブラインドや緑のカーテンを挙げているのも、この「外側で遮る」考え方に沿ったものです。
外側が使えない住まいなら、②の遮熱フィルムから入るのが現実的です。順番はあくまで効果の期待値の並びであって、上から順に全部やらないと意味がない、というものではありません。自分の窓で実行できるところから始めれば十分です。
すだれ・フィルム・カーテンはどう違う?
3つは役割が違うので、置き換えるより足し算で考えるほうが失敗しません。
| 種類 | 置く場所 | 得意なこと | 弱いところ |
|---|---|---|---|
| すだれ・よしず | 窓の外側 | 熱が入る前に遮る。視線よけにもなる | 強風時は外す必要がある。設置場所を選ぶ |
| 遮熱フィルム | 窓ガラス面 | 貼れば手入れ不要で通年機能する | 貼り直しがきかない。施工に手間がかかる |
| 遮熱カーテン | 室内側 | 昼は開けて夜だけ遮る、と切り替えられる | 熱がガラスを通った後の遮断になる |
遮熱フィルムは金属層を含み、夏は日射を遮り、冬は室内の熱(赤外線)を反射して逃がしにくくします。夏だけの道具ではなく、一年を通して働くのが利点です。トイレ・浴室・出窓のような小さい窓には、扱いやすいシートタイプやクリアフィルムタイプが向きます。
遮熱カーテンは開閉できるのが持ち味です。日中は光を入れておいて、西日が差す時間だけ閉める、といった使い方ができます。リビングの掃き出し窓のような大きな窓には、二重レースカーテンタイプが合わせやすい選択肢です。
遮熱フィルムの効果はどのくらい見込める?
ここは数字の読み方に注意が必要なところです。
赤外線ランプを当てた実験では、フィルムを貼っていないガラスが46.1℃まで上がったのに対し、遮熱フィルムを施工したガラスは31.9℃に抑えられたという測定結果が報告されています。室内全体の温度が7℃以上下がったとするデータや、窓際の温度が平均5℃前後、条件次第で最大15℃下がったとする実験データもあります。
過去に、遮熱フィルムの広告表示が景品表示法違反(優良誤認)と認定された事例があります。その理由は、根拠となったメーカー実験が「窓際15cmの地点」で測ったもので、部屋全体の室温を示すものではなかったからです。窓際の温度と部屋全体の室温は別物です。大きな数字を見たときは、それがガラス面近くの値なのか、部屋の真ん中の値なのかを確認してから期待値を決めてください。
現実的な期待としては、「エアコンの設定温度をぐっと下げなくても済む」「窓際に座っていて焼かれる感じがなくなる」あたりを目安に置くとちょうどいいはずです。冷房そのものを不要にする道具ではありません。
今日からできる手順は?
順番どおりに全部そろえる必要はありません。効きやすい窓を1枚決めて、そこだけ手を入れるのが一番早い一歩です。
- 暑くなる窓を特定する夕方に部屋を歩き、手のひらを窓ガラスに近づけてみてください。熱を持っている窓が犯人です。多くの場合、西向きか南向きの大きな窓に集中します。
- その窓の外側が使えるか確認するベランダの手すりや窓枠のフックにすだれ・サンシェードを吊るせるなら、そこが最優先です。吊るせないなら次へ進みます。
- 外側が無理ならガラス面に貼る遮熱フィルムを窓のサイズに合わせて用意します。小窓なら扱いやすいシートタイプから試すと失敗が少なくて済みます。
- 仕上げに室内側のカーテンを見直す日射が強い時間だけ閉める運用に変えるだけでも違います。買い替えるなら遮熱タイプを選びます。
- 効果を体感で確かめる同じ時間帯・同じ設定温度で数日過ごしてみて、窓際の暑さの感じ方が変わるかを見ます。変化が薄いなら、対策した窓が犯人ではなかった可能性があります。
環境省は冷房時の室温の目安を28℃としています。窓の遮熱は、この目安の室温でも過ごしやすくするための下ごしらえだと考えるとしっくりきます。設定温度を下げる代わりに、熱の入口を減らす。やっていることはそれだけです。
やらないほうがいいケースは?
日当たりを楽しみにしている窓、観葉植物を置いている窓には、外側の遮蔽もフィルムも慎重に。とくに遮熱フィルムは一度貼ると貼り直しがきかず、冬の日差しの暖かさも減らします。迷う窓には、開け閉めできるすだれや遮熱カーテンのほうが後悔しません。
また、賃貸では窓ガラスへの施工や、外部への吊り下げが規約で制限されている場合があります。着手前に管理会社や規約の確認を。北向きの窓のように直射日光がほとんど当たらない窓は、遮熱の効果自体が小さいので優先度を下げて構いません。
窓の遮熱は、全部やって初めて意味が出るものではありません。一番暑い窓を一枚、外側から遮る。それだけでも夕方の体感は変わります。まずは自分の家のどの窓が熱いのかを確かめるところから、始めてみてください。
よくある質問
窓の遮熱対策は、すだれ・フィルム・カーテンのどれから始めるべきですか?
窓の外側に吊るすすだれ・よしず・サンシェードから始めるのが効果を期待しやすい方法です。日射がガラスに届く前に遮るため、室内に熱が入る前の段階で止められます。外側に設置できない住まいでは、次点として窓ガラス面に貼る遮熱フィルム、その次に室内側の遮熱カーテンという順で検討します。
遮熱フィルムを貼ると部屋は何℃下がりますか?
公表されている実験では、赤外線ランプ照射時に未施工ガラスが46.1℃まで上昇したのに対し、遮熱フィルム施工ガラスは31.9℃に抑えられたと報告されています。ただし数値の多くは窓際やガラス面近くの温度で、部屋全体の室温とは別物です。過去には窓際15cmで測った値を部屋全体の効果のように示した広告が景品表示法違反と認定された事例もあるため、測定地点を確認して判断してください。
遮熱フィルムは夏だけのものですか?
通年で機能します。遮熱フィルムは金属層により夏は日射を遮断し、冬は室内の熱(赤外線)を反射して外へ逃がしにくくします。一度貼れば特別な手入れは不要で、季節ごとの付け外しも必要ありません。
賃貸でも窓の遮熱対策はできますか?
できますが、事前確認が必要です。窓ガラスへのフィルム施工やベランダ外への吊り下げは、管理規約で制限されている場合があります。制限がある場合は、室内側で完結する遮熱カーテンや、突っ張り棒などで室内から吊るせるタイプの日よけが選択肢になります。着手前に管理会社や規約を確認してください。
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