いろは堂副業
← 戻る

国民年金の育児免除で浮く21万円、何に使えば戻る?

2026年10月27日|いろは堂副業編集部
室内の木製テーブルで1人が電卓と確定申告書らしき書類にペンで記入している

画像出典: ぱくたそ (すしぱく)

この記事の要点
国民年金第1号被保険者の育児期間保険料免除は2026年10月1日に施行され、父母それぞれ最大12か月分(2026年度は月額17,920円・12か月で215,040円)が免除されます。免除期間は保険料納付済みとして老齢基礎年金に満額反映されるため、将来の年金額は減りません。免除は申請主義のため、まず市区町村窓口かマイナポータルで届出を済ませ、浮いた資金は「稼働時間が足りないなら設備」「単価が足りないならスキル」で振り分けます。
😟
育児で稼働が半分になってるのに、国民年金は毎月そのまま引かれていく。この出費がなければ機材もソフトも入れ替えられるのに。

2026年10月1日から、国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランス・農業者・学生など20歳以上60歳未満の方)にも育児期間の保険料免除が始まりました。会社員や扶養配偶者には元からあった仕組みで、個人事業主がようやく同じ土俵に乗った制度です。

金額にすると、父母それぞれ最大12か月分。2026年度の保険料は月額17,920円なので、12か月で215,040円になります。正直なところ、育児中の事業にとってこの額は小さくありません。

そして大事なのは、この免除が未納とは違うという点です。免除された期間も保険料納付済みとして扱われ、将来の老齢基礎年金に満額で反映されます。つまり将来の年金を削って手元の現金を作るのではなく、権利を保ったまま21万円が手元に残ります。だからこの21万円は、迷わず事業に投じられるお金です。

国民年金の育児免除とは?対象と免除される期間

根拠は「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第47号)による国民年金法の改正で、施行日は2026年10月1日です。対象は国民年金第1号被保険者である実父母・養父母で、実父・養父母はいずれも対象になり、父と母が同時に適用を受けることもできます。

要件は、子と法律上の親子関係があること、そして子と同一住所であることの2点。所得要件はありませんので、事業の利益が出ている年でも利用できます。第2号被保険者(会社員・公務員)と第3号被保険者(被扶養配偶者)は対象外で、個人事業主・フリーランス固有の制度です。

免除される月数は父母で違う

実母は、すでにある産前産後免除(出産予定月の前月から4か月間)に引き続く9か月間が新たに免除対象になります。実父・養父母は、子を養育することとなった日の属する月から、子が1歳になる誕生日の前月までで最大12か月間です。

免除額の計算(2026年度の保険料で)
  • 月額保険料 17,920円
  • 最大12か月 → 17,920円 × 12 = 215,040円
  • この期間も納付済み扱いで、老齢基礎年金は満額換算

保険料の月額は年度ごとに改定されます。免除で浮く金額を自分で計算し直すときの基礎になる数字が、次の2年度分です。

年度月額保険料前年度比
令和7年度(2025年度)17,510円—
令和8年度(2026年度)17,920円+410円/月(年間+4,920円)

厚生労働省の公表データをもとに作成

上の表のとおり2026年度は月410円上がっているため、同じ12か月の免除でも前年度の保険料で計算すると約5千円少なく見積もることになります。手元に残る額を試算するときは、その年度の月額を使ってください。

2026年10月より前に生まれた子はどうなる?

施行日の時点でまだ1歳未満の子がいる場合も対象になります。ただし免除されるのは2026年10月1日から子が1歳になる前月までの分で、生まれてからの全期間が遡って免除されるわけではありません。子の月齢が進んでいるほど残り月数は短くなり、21万円に満たない額になります。

このお金を投資に回さないほうがいいケースもあります

事業の運転資金が数か月分も確保できていない、あるいはクレジットカードのリボ払いや年率の高い借入が残っている場合は、設備もスキルも後回しにしてください。回収に数か月かかる投資より、手元資金の厚みと利息の削減が先です。免除は毎年の制度ではなく子が1歳になるまでの一回性のものなので、ここで資金を薄くすると育児で稼働が落ちる時期に身動きが取れなくなります。

まず何をすればいい?申請の手順

この免除は自動では適用されません。申請主義なので、黙っていると保険料を納め続けることになります。使い道を考える前に、届出を済ませるのが最初のステップです。

  1. 自分が第1号被保険者か確認する国民年金保険料を自分で納めている状態なら第1号です。会社員との兼業で厚生年金に入っている場合は対象外になります。
  2. 免除される月数を数える母は産前産後免除の4か月に続く9か月、父は養育開始月から子の1歳誕生月の前月まで最大12か月。2026年10月より前に生まれた子なら、10月からの残り月数で数えます。
  3. 申請経路を選ぶ市区町村の国民年金担当窓口、郵送、マイナポータル経由の電子申請の3つ。電子申請は24時間受付で、一部の添付書類が不要になります。
  4. 必要書類をそろえて提出する紙で出す場合は「産前産後・育児免除 申請書」とマイナンバーカードの写しなど。窓口に行く手間を省くなら電子申請が早いです。
  5. 浮く月額を家計と事業の口座で分ける免除が始まったら、これまで保険料として出ていた17,920円を事業の投資用に別口座へ移します。生活費に溶けると使い道の判断自体ができなくなります。
🤔
21万円がまとめて振り込まれるわけじゃないんですね。

免除は毎月の納付が止まる形なので、現金が一度に入ってくるわけではありません。月17,920円ずつ出費が消えていく形です。だから使い道も「21万円を一括で何に使うか」ではなく、「月1.8万円の余力を何に積むか」で考えたほうが実際の資金繰りに合います。設備を先に買うなら、この月1.8万円で払い切れる範囲かを見てください。

設備とスキル、どちらに回すべき?判断の3基準

浮いた資金の振り分けで迷うのは、設備(PC・制作環境・事務機器)とスキル(講座・資格・ツール導入)のどちらが先かという点です。育児中は使える時間そのものが減るため、先に潰すべきは「自分のボトルネックがどちらか」になります。

基準①:止まっているのは時間か、単価か

受けたい案件があるのに時間が足りなくて断っているなら、ボトルネックは時間です。書き出しに30分待つ古いPC、スキャンのために出かける手間、毎回手で作っている請求書。こうした作業は設備やツールで短縮でき、短縮した分がそのまま受注可能量に変わります。

一方、時間は空いているのに単価が上がらない、提案しても専門性で選ばれないなら、ボトルネックは単価側です。この場合に高性能なPCを買っても受注は増えません。講座や資格、実務に直結するツールの習熟に回したほうが効きます。

基準②:回収までの期間で並べる

設備は数年かけて使い倒す前提の投資で、回収も年単位になります。スキル投資は、受注単価の引き上げや新しい領域の受注が決まれば数か月で回収できることもありますが、成果に結びつかなければ全額が戻りません。形に残らない支出ほど、何で回収するかを先に決めておく必要があります。

スキル投資を決める前に書き出すこと
  • 習得後に提案する具体的な案件の種類
  • いまの受注単価と、引き上げを狙う単価の差額
  • その差額で受講料を回収するのに必要な件数
  • 学習に充てられる週あたりの時間(育児中の実際の値で)

補足すると、個人事業主本人の自己投資に公的助成を当てるのは現実的ではありません。厚生労働省の人材開発支援助成金は、雇用保険適用事業所の事業主が雇用している労働者に訓練を実施した場合の助成であり、申請者自身の自己投資やオンライン学習には直接適用されません。計画届を訓練開始の1〜6か月前までに出す必要もあり、単発のスキル投資には手続きのコストが見合いません。講座受講や資格取得は全額自己負担が前提で考えてください。

基準③:設備なら取得日と金額を確認する

青色申告をしている個人事業主(従業員400人以下)は、少額減価償却資産の特例で取得価額が一定額未満の資産を取得年度に全額費用化できます。この上限が、2026年4月1日以降に取得する資産については40万円未満に引き上げられました(それ以前の取得は30万円未満)。年間合計300万円が上限です。

つまり今から買う設備なら、1点40万円未満に収まる限り取得した年に全額を経費にできます。21万円の枠で考える機材はほぼこの範囲に入るため、年内に取得・事業供用まで済ませれば当年の税負担を抑えながら設備を手に入れられます。白色申告の場合はこの特例を使えないので、10万円以上の資産は減価償却になります。

経費化できるからといって買う順番を変えないこと

即時償却できるのは支出が減る話ではなく、経費計上の時期が前に来るだけです。使わない機材を税金のために買えば、残るのは使わない機材です。基準①で時間がボトルネックだと確認できたものにだけ、この特例を乗せてください。

月1.8万円の余力はどう割り振る?

ボトルネックが片方に明確なら、そちらに全額を寄せるのがいちばん速いです。どちらとも言い切れないときは、先に止まっている工程から順に埋めます。

🤩
時間が足りないのは確かだけど、専門性も足りない気がする。両方やりたい。

両方に心当たりがあるときの順番は、効果が出るまでの早さで決められます。作業時間の短縮は買った翌日から効き、学習は身につくまで時間がかかります。育児で稼働が減っている時期は、まず時間を取り戻して学習時間そのものを作り、そのうえでスキルに回すほうが無理がありません。

  1. いまの週あたり稼働時間を記録する1週間でいいので、作業の種類ごとに実際にかかった時間を書き出します。短縮の余地はここにしか見つかりません。
  2. 最も時間を食っている工程を1つ選ぶ書き出し待ち、手作業の経理、移動など。複数に手を付けると効果が見えなくなります。
  3. その工程だけを設備やツールで埋める月1.8万円の余力で払える範囲か、40万円未満で即時償却できるかを確認します。
  4. 浮いた時間を学習に固定で割り当てる空いた時間を受注で埋め切らず、週あたりの学習枠として先に確保します。
  5. 単価を上げる対象の案件を1つ決めて提案する学んだことを使う先を決めてから投資する順番は変えません。

免除が続くのは子が1歳になるまでです。期間が終われば月17,920円の支払いは戻ってきます。この一回性を踏まえると、免除期間のうちに「終わったあとも残るもの」へ変えておくのが、21万円のいちばん素直な使い道です。設備なら数年使える機材、スキルなら単価が上がったあとの受注単価そのものが、その残るものにあたります。

まず申請だけ済ませておけばいい

使い道を決めるより先に、申請を済ませてしまって構いません。免除は申請しなければ始まらず、考えている間も保険料は出ていきます。マイナポータルからなら24時間申請でき、必要書類も紙より少なくなります。

21万円の振り分けは、免除が始まってから毎月の余力を見ながら決めても間に合います。権利を失わずに手元に残るお金だと分かっていれば、焦って決める必要はありません。まずは自分の免除月数を数えて、届出を出すところからです。

よくある質問

国民年金の育児免除を受けると将来の年金額は減りますか?

減りません。国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料免除は、免除された期間も保険料納付済みとして扱われ、将来の老齢基礎年金額に満額反映されます。保険料を納めないまま放置する未納とは扱いが異なります。

国民年金の育児免除はいくら免除されますか?

2026年度の国民年金保険料は月額17,920円で、最大12か月分が免除される場合は17,920円×12=215,040円が免除額の目安になります。実母は産前産後免除の4か月に続く9か月、実父・養父母は子を養育することとなった日の属する月から子が1歳になる誕生日の前月までで最大12か月が対象です。

2026年10月より前に生まれた子でも育児免除の対象になりますか?

施行日である2026年10月1日時点で子が1歳未満であれば対象になります。ただし免除されるのは2026年10月1日から子が1歳になる前月までの分で、出生時まで遡って全期間が免除されるわけではありません。

育児免除の申請はどこでできますか?自動で適用されますか?

自動適用ではなく申請が必要です。市区町村の国民年金担当窓口、郵送、マイナポータル経由の電子申請のいずれかで届出します。紙申請では「産前産後・育児免除 申請書」とマイナンバーカードの写し等が必要で、電子申請では一部の添付書類が不要になり24時間申請できます。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。