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国民年金の育児免除、フリーランスは月17,920円が浮く

2026年10月7日|いろは堂副業編集部
自宅のダイニングで女性1人がノートパソコンと書類を見ながら作業している室内の写真。

画像出典: 写真: Shixart1985(CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
2026年10月1日から、国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランスなど)を対象に育児期間の保険料免除制度が始まります。休業要件や所得制限がなく、仕事を続けながら受けられるうえ、免除期間は保険料納付済期間として扱われ将来の年金額も減りません。免除期間は実母が産前産後免除に続く最大9か月、実父・養父母は最大12か月で、令和8年度保険料は月17,920円です。
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出産しても仕事は止められないし、国民年金の免除なんて会社員だけの話だと思ってた…

国民年金の保険料には、2026年10月1日から「育児期間の保険料免除」が加わります。対象は国民年金第1号被保険者、つまり自営業・フリーランス・農業者・無職の人です。会社員(第2号)や扶養される配偶者(第3号)の制度ではなく、むしろ今まで産休・育休の仕組みから外れていた側に向いた制度です。

しかもこの免除には休業要件がありません。案件を受けながら、収入を得ながらでも免除を受けられます。所得制限もないので「稼いでいるから対象外」にもなりません。正直なところ、フリーランスにとっては珍しく使い勝手のいい制度です。

ここからは、自分が対象になるかの確認、申請の具体的な手順、そして浮いた保険料を仕事復帰の準備にどう振り分けるかを順に見ていきます。

国民年金の育児期間免除とは?

国民年金の育児期間免除は、子を養育する国民年金第1号被保険者の保険料を、一定期間免除する制度です。日本年金機構の案内では、対象は「子を養育する国民年金第1号被保険者の実父母・養父母」とされています。

要件は3つだけです。子と親子関係があること、子と同一住所であること、そして第1号被保険者であること。任意加入被保険者(海外在住者や60歳以上の人など、義務ではなく自分の希望で国民年金に加入している人)は対象外です。

対象になるかの確認ポイント
  • 国民年金第1号被保険者か(自営業・フリーランス・農業者・無職)
  • 子の実父母または養父母か
  • 子と住民票上の住所が同じか
  • 所得の多さは問われない(所得制限なし)
  • 仕事を休んでいるかも問われない(休業要件なし)

この「休業要件がない」点が、会社員の育児休業保険料免除との大きな違いです。納期を抱えたまま、収入が続いたままでも免除を受けられます。フリーランスが出産後すぐに完全に手を止められないという現実に、制度の側が合わせた形です。

免除された期間の年金額はどうなる?

通常の所得による免除(全額免除・一部免除)では、将来の老齢基礎年金が満額より減ります。育児期間免除はここが違います。

免除された期間は「保険料納付済期間」として扱われ、老齢基礎年金の受給額に反映されます。払ったことになる扱いなので、将来の年金額は減りません。保険料を納めないのに年金が目減りしないという点で、所得免除とは性質が別だと理解しておくとよいでしょう。

免除される期間はどれくらい?

免除期間は、申請する人の立場で分かれます。

立場免除期間
実母(産前産後免除期間を有する場合)産前産後免除期間に引き続く最大9か月間
実父・養父母子を養育することとなった月から、子が1歳の誕生日を迎える前月までの最大12か月間

日本年金機構の公表データをもとに作成

実母の場合は、もともとある産前産後免除(出産予定日または出産日の前月から4か月間、多胎は6か月間)が先にあり、その終了後に育児期間免除が続きます。母親は産前産後免除と合わせて最大13か月間の免除になるケースがあると整理している解説記事もあります。

出産予定日を起点に、産前産後免除期間と育児免除期間を月単位の帯で示した実母向けのイメージ図
育児期間免除制度イメージ図(実母の場合)(出典: 日本年金機構)

上の図では、出産予定日(令和9年5月1日)を起点に、産前産後免除期間が点柄の帯、育児免除期間が黄色の斜線の帯で月単位に並んでいます。産前産後免除終了から9か月を経過した日(令和10年5月1日)に矢印が付き、2つの免除がつながって続く形が月の帯で追えます。

父親も申請できる?

できます。実父・養父母は、子を養育することとなった月から子が1歳の誕生日を迎える前月までが対象で、最大12か月間です。母親の免除とは別枠なので、夫婦ともに第1号被保険者であれば両方が申請できます。

子の出産日を起点に、最大12か月の育児免除期間を月単位の帯で示した実父・養父母向けのイメージ図
育児期間免除制度イメージ図(実父・養父母の場合)(出典: 日本年金機構)

図は子の出産日(令和9年5月1日)を起点に、1歳の誕生日(令和10年5月1日)の前月までが斜線の帯になっています。出産日の前月は対象外で、出産した月から数え始める点が帯の切れ目で確認できます。

免除でいくら浮く?

令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円です。免除額の目安は「免除対象月数×17,920円」です。

免除額の目安(令和8年度・月17,920円で計算)
  • 9か月(実母の育児期間免除分)…161,280円
  • 12か月(実父・養父母の最大)…215,040円
  • 父母それぞれが12か月…最大44万8,000円とする解説記事もあります

家計の中で44万円規模の支出が消えるのは大きい金額です。ただし自分の免除月数は出産日や産前産後免除の有無で変わるので、上の計算式に自分の月数を当てて確かめてください。

申請はどうやる?

まず、届出が要るかどうかが分かれます。

届出が不要なケース
  • 産前産後免除に該当している実母で、基礎年金番号とマイナンバーが紐付けされており、マイナンバー情報連携で確認できる場合

この条件に当てはまれば自動的に適用されます。それ以外の人、つまり父親や養父母、紐付けが済んでいない人は申請が必要です。自分の紐付け状況がわからない場合は、申請する前提で動いたほうが確実です。

マイナポータルからの電子申請の手順

マイナンバーカードがあれば、スマートフォンから完結します。日本年金機構が案内している流れは次のとおりです。

  1. 年金を選ぶマイナポータルのトップ画面で「年金」を選択します。
  2. 国民年金の手続きへ「国民年金に加入する方・加入中の方の手続き」を選択します。
  3. 届書を選ぶ希望する手続き(育児免除該当・終了届)を選択します。
  4. パスワードを入力券面事項入力補助用パスワード(数字4桁)を入力します。マイナンバーカードの受け取り時に自分で設定した4桁の暗証番号です。
  5. カードを読み取って送信マイナンバーカードをスマートフォンの背面にあてて読み取り、本人確認をして送信します。

4桁のパスワードは思い出すのに時間がかかりがちな部分です。産後に慌てないよう、出産前のうちに一度マイナポータルにログインして通ることを確かめておくと、当日は数分で終わります。

紙で出す場合の窓口と書類

紙の届書は、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ提出、または郵送します。年金事務所ではなく市区町村の窓口です。

紙申請で用意するもの
  • マイナンバー確認書類(マイナンバーカード、または通知カード+身元確認書類)
  • 親子関係証明書…原則添付不要。マイナンバー連携で確認できない場合など急ぐ時は戸籍謄抄本
  • 住民票…原則添付不要(急ぐ場合に添付を求められることがある)
  • 外国籍の親の場合…本国公的機関の証明書+和訳文

戸籍謄抄本も住民票も原則は不要です。「書類を揃えてから」と考えて先送りする必要はなく、マイナンバー確認書類だけ持って窓口に行けば話が進みます。

「令和8年(2026年)10月から 国民年金保険料の育児免除制度が始まります!」と題した案内リーフレット
育児期間免除制度 公式リーフレット(出典: 日本年金機構)
様式名と受付の細則は窓口での確認が必要です

育児免除で使う届書は、通常の所得免除で使う「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」とは別の「育児免除該当・終了届」です。ただし様式の記入欄の細目や、出生後いつまでに届け出るかといった受付の細則は、日本年金機構の案内や市区町村の国民年金窓口で最新の内容を確認してください。制度開始が2026年10月1日のため、運用の案内が追って更新される部分があります。

浮いた保険料は何に充てる?

🤔
浮いたお金はありがたいけど、気づいたら生活費に溶けてそう…

免除で浮く月17,920円は、仕事復帰の準備費として先に用途を決めておくと残ります。フリーランスの復帰は、会社員のように「育休明けに同じ席に戻る」形ではありません。保育園の確保、収入が落ちる期間、復帰直後の立ち上げという3つの山があり、それぞれにお金がかかります。

以下は一般的な資金計画の考え方を整理したもので、公式に推奨されている使い道ではありません。自分の状況に合う部分だけ取ってください。

  1. 保育園の申請まわりの準備費フリーランスは就労証明書を自分で作成する必要があり、収入状況の確認として確定申告書の提出を求められる自治体もあります。書類の取得費や、確定申告を税理士・会計ソフトで整える費用に充てます。
  2. 慣らし保育期間の収入減のカバー入園直後は預かり時間が短く、稼働を上げられません。この期間の目減り分に充てる枠として、免除額の一部を手元に置いておきます。
  3. 復帰直後の外注費・時短ツール代作業時間が細切れになる時期は、自分で全部やる前提を崩すほうが早く戻れます。一部工程の外注費や、作業を短縮するツールの導入費に回します。
  4. 別の積立へ振り替える付加年金(国民年金の保険料に月400円を上乗せして納め、将来の年金額を増やせる任意の仕組み)やiDeCoなど、老後資金の積立に回す選択もあります。保険料の支出が止まっている期間だけ積立額を増やす形なら、家計の月額を変えずに動かせます。

保育園の点数と保育料で見落としやすい点

フリーランス・個人事業主でも保育園の利用自体はできます。児童福祉法上の保育を必要とする認定があれば対象です。ただし自治体によっては在宅就労者の点数(保育の必要性の指数)が会社員より低く設定され、入園審査で不利になりやすいとされています。

また保育料は前年の住民税(所得割)をもとに算定されます。経費計上を適切に行って所得を圧縮しておくことが、翌年の保育料に効いてきます。免除の申請と同じ時期に、帳簿と確定申告の精度も上げておくと二重に効きます。

この制度だけでは埋まらない部分があります

育児期間免除は国民年金保険料に限った制度です。国民健康保険料は対象ではなく、売上が落ちた期間の生活費を補う給付でもありません。会社員の育児休業給付金のような所得補償はフリーランスにはないため、生活費の手当ては貯蓄や仕事量の調整で別に考える必要があります。免除は「支出がひとつ止まる」制度であって、収入を作る制度ではありません。

いつ何をすればいい?

制度の開始は2026年10月1日です。出産の時期によって動く順番が変わるので、自分の位置を先に決めておくと迷いません。

時期別にやること
  • 出産前…マイナポータルにログインできるか、4桁のパスワードが通るかを確認する
  • 出産前…マイナンバーと基礎年金番号の紐付け状況を確認しておく(実母の自動適用に関わる)
  • 出産後…産前産後免除の扱いと合わせて、育児免除の届出が必要かを市区町村の国民年金窓口で確認する
  • 出産後…父親・養父母は自分の分を別に申請する
  • 申請後…浮く月17,920円の用途を、保育園準備・慣らし保育期間・復帰費用に割り振る

手続き自体はスマートフォンから数分で終わる種類のものです。制度を知らずに払い続けるのがいちばん損なので、まず自分が第1号被保険者かどうかの確認から始めてみてください。

よくある質問

国民年金の育児期間免除はいつから始まりますか?

2026年(令和8年)10月1日から始まります。対象は国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランス・農業者・無職等)で、第2号被保険者・第3号被保険者と、希望して加入している任意加入被保険者は対象外です。

仕事を続けていても国民年金の育児期間免除は受けられますか?

受けられます。育児期間免除には休業要件がないため、仕事を続けて収入を得ながらでも免除の対象になります。所得制限もないため、収入の多さで対象外になることもありません。

国民年金の育児期間免除を受けると将来の年金額は減りますか?

減りません。育児期間免除で免除された期間は「保険料納付済期間」として扱われ、老齢基礎年金の受給額に反映されます。所得による通常の免除とは異なり、満額として換算されます。

国民年金の育児期間免除の申請はどこにすればよいですか?

紙の届書は住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ提出または郵送します。マイナンバーカードがあれば、マイナポータルから「育児免除該当・終了届」を電子申請できます。産前産後免除に該当する実母で基礎年金番号とマイナンバーが紐付けされ情報連携で確認できる場合は、届出不要で自動的に適用されます。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。