フリーランス法 申出窓口はどこ?契約の9項目点検から
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フリーランス法違反の疑いがある取引は、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省に「申出」ができ、申出を理由とした契約解除や報酬減額は法律で禁止されています。申出の前に、発注時に示されるべき9項目が書面やメールにそろっているか、報酬支払期日が納品日から60日以内かを点検すると、何を伝えればよいかがはっきりします。迷う段階では無料・匿名可の「フリーランス・トラブル110番」(0120-532-110)で弁護士に相談できます。
報酬の減額や支払いの遅れは、相談窓口に寄せられる声のなかでも多い部類で、「フリーランス・トラブル110番」では相談内容の約3割が報酬関連です。つまり、同じところでつまずいている人がたくさんいます。
2024年11月1日に施行されたフリーランス法(正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)は、こうした扱いに対して発注側に守るべきルールを課し、フリーランス側には「申出」という手段を用意しています。公正取引委員会は2026年10月8日から11月30日まで、この法律の広報強化期間として特設サイトやラジオCMでの周知を行っています。
正直なところ、窓口の名前だけ知っていても動けません。自分の取引のどこがルールに触れているのかを言葉にできて、はじめて相談も申出も形になります。契約の点検から窓口への連絡まで、順番に見ていきます。
フリーランス法の申出窓口はどこ?
フリーランス(法律上は「特定受託事業者」と呼びます)は、発注事業者にフリーランス法違反の疑いがある行為があったとき、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省に対して「申出」を行えます。申出を受けた行政機関は必要な調査を行い、違反の事実が確認されれば指導・助言・勧告・公表といった措置を取ります。
窓口の案内は、公正取引委員会のフリーランス取引適正化に関する相談窓口のページに集約されています。電話での問い合わせ先は、公正取引委員会事務総局 経済取引局 取引部 フリーランス取引適正化室(TEL 03-3581-5479)です。
申出をしたことを理由に、契約解除や報酬減額などの不利益な取扱いをすることは法律で禁止されています(申出者保護規定)。これは「気をつけましょう」という心がけの話ではなく、法律が明文で禁じているルールです。取引を続けたいから黙る、という選択を前提にしなくてよい設計になっている、と考えてください。
申出の前に、契約の何を点検すればいい?
申出でも相談でも、最初に聞かれるのは「どんな条件で受けた仕事か」です。ここが曖昧だと話が進みません。発注時のメールや発注書を開いて、次の順で見ていきます。
- 9項目がそろっているか発注事業者は業務委託をするとき、書面やメール等で9つの取引条件を直ちに明示する義務があります。
- 支払期日が60日以内か物品等を受領した日から起算して60日以内のできるだけ早い日に報酬支払期日を設定し、その期日内に支払う義務があります。
- 禁止行為に当たる扱いがないか業務委託期間が1か月以上の取引では、7つの禁止行為が発注側に課されます。
- 長期取引の上乗せルールを確認する業務委託期間が6か月以上なら、育児介護等との両立への配慮や、中途解除時の原則30日前予告が加わります。
明示が義務づけられている9項目
義務の対象は、次の9つです。発注メールを見ながら、ひとつずつ消し込むように確認してください。
- 業務の内容
- 報酬の額
- 発注事業者の名称とフリーランス(自分)の名称
- 業務委託をした日
- 給付を受領する日(または役務の提供を受ける日)
- 給付を受領する場所
- 検査を完了する日(検査をする場合)
- 報酬の支払方法に関する事項
- 支払期日
「報酬は後日あらためてご相談で」「納品物の確認が終わったら払います」のように、報酬額や支払期日が空欄のまま進んでいる取引は、この時点でルールを満たしていません。口頭で決まった内容をこちらからメールで送り、文字に残すところから始めるのが現実的です。
1か月以上の取引で禁じられている7つの行為
業務委託期間が1か月以上の場合、発注側には次の7つが禁止されます。冒頭の「クオリティを理由に少し下げます」は、このうち報酬の減額に当たる可能性があります。
| 受領拒否 | 注文した給付の受領を拒むこと |
|---|---|
| 報酬の減額 | あらかじめ定めた報酬を後から減らすこと |
| 返品 | 受領した給付を引き取らせること |
| 買いたたき | 著しく低い報酬の額を不当に定めること |
| 購入・利用強制 | 指定する物や役務を強制的に購入・利用させること |
| 不当な経済上の利益の提供要請 | 金銭や役務などの利益を不当に提供させること |
| 不当な給付内容の変更・やり直し | 費用を負担せずに内容変更ややり直しをさせること |
厚生労働省・公正取引委員会のフリーランス法リーフレット(2024年時点)の公表データをもとに作成
名前だけでは伝わりにくいものを補っておきます。買いたたきは、同種の仕事の相場や作業量からみて著しく低い金額を、発注側の立場を使って一方的に決めてしまうことです。「今回は予算がないので半額で」と押し切られる形が典型になります。不当な経済上の利益の提供要請は、契約した仕事の外にある金銭や作業を無償で求めること。納品物とは別のデザイン修正をサービスで頼まれる、協賛金を求められる、といった場面が当たります。不当な給付内容の変更・やり直しは、発注側の都合で内容を変えたのに、追加で発生した費用をこちらに負わせる扱いを指します。
どれも、現場では「お願い」の顔をしてやってきます。追加の修正を無償で何度も求められた、納品後に単価を下げると言われた、といった出来事を日付つきでメモに起こしておくと、相談のときにそのまま使えます。
自分のケースが違反か自信がないときは?
公正取引委員会は2026年10月8日から11月30日まで、フリーランス法の広報強化期間を設けています。アニメ「秘密結社 鷹の爪」とのタイアップで特設サイトが開設され、インターネット広告やラジオCMでの周知が行われています。
特設サイトには、法律の解説ムービー、取引フローで見る義務と禁止行為、お役立ち資料のダウンロード、フリーランス法違反チェック、理解度診断が置かれています。「自分の取引が違反かどうか」を確かめたいなら、違反チェックと取引フローの2つから見るのが早いです。取引フローは、発注から納品・支払いまでのどの段階でどの義務が発生するかを並べたもので、自分が引っかかっている場面を特定しやすくなっています。
この広報強化期間が設けられた目的は、法律の認知度と理解度を高めて、発注事業者による違反行為を未然に防ぐことです。裏を返せば、発注側も「知らなかった」で済ませられない状況になりつつある、ということでもあります。
無料で相談できる窓口はある?
いきなり行政機関へ申出をするのはハードルが高い、という感覚は自然です。その手前に、「フリーランス・トラブル110番」という無料の相談窓口があります。厚生労働省の委託事業として第二東京弁護士会が運営していて、弁護士に直接相談できます。
- 電話 0120-532-110(受付 9:30〜16:30、土日祝を除く)
- 電話・web・対面に対応
- 相談は無料・秘密厳守・匿名でも可
- 契約、報酬、ハラスメントなどのトラブルが対象
- 和解あっせん手続き(裁判外紛争解決手続=ADR。裁判をせずに第三者を介して話し合いで解決する方法)も無料
匿名で相談できるという点は、取引を続けながら判断したい人にとって大きい選択肢です。「これは違反に当たるのか」「相手にどう伝えればいいのか」を先に弁護士と整理してから、申出に進むかどうかを決められます。
申出をしても、行政機関が行うのは調査と、違反が確認された場合の指導・助言・勧告・公表です。未払いの報酬が自動的に振り込まれる仕組みではありません。お金を取り戻すことが目的なら、和解あっせん(ADR)のような話し合いの手続きのほうが近い場合があります。どちらに向かうかを決めるためにも、先に無料相談で見通しを聞いておくほうが遠回りになりません。
また、申出には発注書やメール、納品の記録といった材料が要ります。やりとりがすべて口頭やチャットの履歴消去設定で残っていない場合、話を裏づけるのは難しくなります。
これから最初の1案件を受けるなら、どう進める?
まだ受注の経験がない段階なら、ここまでのルールはそのまま「案件の受け方の手順」として使えます。法律が発注側に求めている9項目は、裏返せば自分が受注前に確認しておくべき項目のチェックリストだからです。初回の打ち合わせから入金までを、次の順でたどってみてください。
- やる仕事の範囲を一文で書く「記事を3本、1本3000字、修正は2回まで」のように、作業量が数えられる形にする。ここが曖昧なまま始まると、あとからのやり直し要請を断りにくくなります。
- 金額と支払期日をこちらから提示する報酬額と、納品日から何日後に支払われるかを自分の言葉で先に出す。60日以内という法律の線を知っていれば、「月末締め翌々月払い」のような条件もその場で判断できます。
- 打ち合わせ当日にメールで送る決まった内容を9項目の順に並べて送信する。相手がそのまま承諾すれば、それが取引条件の明示を満たす記録になります。
- 納品と受領の日付を残す納品メールの送信日、相手の受領連絡の日をカレンダーに控える。支払期日の起算点はここです。
- 入金を確認して、次につなげる入金まで終えたら、その案件でやった作業と成果物を実績として1行にまとめておく。次の商談で「同じ条件で受けられます」と言える材料になります。
この順番で進めると、条件を先に文字にして渡せる相手だと受け取られます。発注側からすれば、認識のずれで差し戻しが起きにくい相手ということでもあり、条件が明確な取引は、継続の相談や次の依頼につながりやすくなります。トラブルを避けるための点検は、そのまま仕事を増やすための準備にもなる、ということです。
今日からできる備えは?
トラブルが起きてから記録を作るのは大変です。すでに動いている案件にも、これから受ける案件にも共通して効く備えを3つ挙げます。
- 発注条件をメールで確定させる打ち合わせで決まった業務内容・報酬額・納品日・支払期日を、その日のうちに自分からメールで送って残す。相手の返信が記録になります。
- 支払期日を受領日から数える納品日をカレンダーに入れ、そこから60日の線を引いておく。期日が過ぎたら事実として問い合わせられます。
- 言われた内容を日付つきで控える減額・やり直し・追加作業の依頼は、日時と相手の発言内容をそのままメモに残す。相談窓口で最も役に立つ材料です。
相談は無料で、匿名でもできます。違反かどうかの判断を自分ひとりで背負う必要はありません。発注書を開いて9項目を照らし合わせるところまでやったら、あとは窓口に話してみる。それで十分に一歩です。
よくある質問
フリーランス法違反の申出は、どこにすればいいですか?
公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省に対して申出ができます。公正取引委員会の電話での問い合わせ先は、事務総局 経済取引局 取引部 フリーランス取引適正化室(TEL 03-3581-5479)です。窓口の案内は公正取引委員会サイトの「フリーランス取引適正化に関する相談窓口」ページにまとまっています。
申出をすると、発注元から契約を切られませんか?
フリーランス法は、フリーランスが申出をしたことを理由に、発注事業者が契約解除や報酬減額などの不利益な取扱いをすることを禁止しています。申出者を保護する規定が法律に明記されています。
報酬の支払いが遅れていますが、いつまでに払われるべきですか?
発注事業者は、物品等を受領した日から起算して60日以内のできるだけ早い日を報酬支払期日として設定し、その期日内に支払う義務があります。納品日から60日を超える支払期日の設定は、この義務に反します。
無料で弁護士に相談できる窓口はありますか?
厚生労働省の委託事業として第二東京弁護士会が運営する「フリーランス・トラブル110番」(電話0120-532-110、受付9:30〜16:30、土日祝を除く)があります。相談は無料・秘密厳守で匿名でも可能で、和解あっせん手続き(ADR)も無料で利用できます。
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