フリーランス新法の相談窓口は?公取委への通報手順
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公正取引委員会は2026年10月8日から11月30日までを「フリーランス法の広報強化期間」とし、違反の申出窓口の周知を進めています。業務委託で副業する人も対象で、報酬の一方的な減額や60日を超える支払い遅延に気づいたら、公取委の地方事務所の取引適正化調査課または専用ダイヤル03-3581-5479へ申し出られます。弁護士に無料で相談したい場合は、フリーランス・トラブル110番(0120-532-110)が匿名でも使えます。
業務委託で受けた仕事の報酬を、納品後に一方的に下げられる。これは発注した側が法律で禁じられている行為のひとつです。副業であっても、法人であっても、立場は同じように守られます。
正直なところ、「どこに言えばいいのか分からない」ことが、我慢の一番の理由になりがちです。公正取引委員会は2026年10月8日から11月30日までをフリーランス法の広報強化期間と位置付け、まさにこの申出窓口の周知に力を入れています。守られている内容と、連絡先、伝え方の順番を押さえておけば、揉める前の一歩として使えます。
フリーランス新法とは?副業でも対象になる?
正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」で、フリーランス・事業者間取引適正化等法、通称フリーランス新法と呼ばれます。2024年11月1日に施行されました。
ここで押さえておきたいのは、対象が「会社の規模」ではなく「取引の形」で決まる点です。業務委託でフリーランス(法律上は特定受託事業者)に仕事を発注するすべての企業・個人事業主が対象で、資本金や従業員数は問いません。下請法のように「資本金いくら以上の会社が相手なら」という線引きを探す必要はありません。
そして受け手の側も、本業か副業かで区別されません。平日は会社員で、週末だけ動画編集を1本受けている人も、専業で月10件受けている人も、同じ法律の下にいます。従業員を雇わず個人で仕事を受けているなら、ここに入ります。
書面がない状態こそ、この法律が正面から扱っているところです。発注側には契約条件を書面または電磁的方法(メールやチャットなど)で明示する義務があり、条件を示さないまま仕事を進めさせること自体が義務違反にあたります。「契約書がないから何も言えない」ではなく、「契約書がないこと」が相談の材料になります。
はじめの1案件はどう取る?
この法律の後ろ盾があるので、受注する前の段階で身構えすぎる必要はありません。副業で業務委託を始めるときの入口は、だいたい次の順番で踏めます。
- 売れる作業をひとつに絞るいまの仕事や趣味でやっている作業のうち、他人の分を代わりにやれるものを1つ選びます。資料づくり、文字起こし、画像の切り抜き、ブログ記事の執筆など、工程が決まっているものほど最初の1件につながりやすいです。
- 作業サンプルを3点つくる実績がない段階では、仮のお題で自作した成果物がそのまま営業材料になります。「どんな形で納品されるか」が相手に見えることが、発注の判断材料になります。
- 相場より少し低い値付けで1件だけ受ける最初の1件は金額より「完納した記録」を取りに行きます。自分が納得して決めた価格なら、買いたたきにも当たりません。
- 受注の瞬間に条件を文字にする業務内容・報酬額・支払期日をメールかチャットで確認します。これは発注側の義務ですが、自分から送って確認を取れば1分で済みます。
- 納品したら、次の提案を1つ添える「この形式なら毎月分もまとめて作れます」と書き添えるだけで、単発が継続案件に変わることがあります。
単発を続けるより、継続的な業務委託に育てたほうが、法律が守ってくれる範囲も広がります。中途解除の原則30日前予告や禁止行為の多くは、継続的な業務委託を前提にしているためです。腕を上げて単価を上げ、継続契約に移していくほど、収入も立場も安定していきます。
発注側に義務づけられていることは?
法律が発注事業者に求めているものは、大きく分けて次の4つです。どれも、トラブルになったときに「相手がやるべきだったこと」として指し示せます。
- 契約条件を書面または電磁的方法で明示する
- 報酬は原則、物品やサービスを受領した日から60日以内のできるだけ早い期日に支払う
- ハラスメントに対する相談体制を整える
- 継続的な業務委託(1か月以上)なら、募集情報の的確な表示、育児介護等と業務の両立への配慮、中途解除の原則30日前の事前予告
副業の人にとって実務的に効いてくるのが、支払期日の60日です。「請求は翌月末締め、支払いは翌々月末」といった慣行が受領日から60日を超えていれば、そこは交渉の余地ではなく法律の線を越えています。入金が遅いと感じたら、感覚ではなく受領日からの日数で数えてみてください。
中途解除の30日前予告も、継続案件を収入の柱にしている人には大きい部分です。月末に「来月から発注を止めます」と言われる形は、継続的業務委託であれば原則として認められません。
禁止されている7つの行為とは?
継続的な業務委託で、フリーランス側に責任がないのに発注側がやってはいけない行為が、7つ定められています。
| 禁止行為 | 内容 |
|---|---|
| 受領拒否 | 業務委託した物品・情報成果物等の受領を拒否すること |
| 報酬の減額 | フリーランスに責任がないのに報酬を減額すること |
| 返品 | 受領した物品等を正当な理由なく返品すること |
| 買いたたき | 通常の対価より著しく低い報酬額を不当に定めること |
| 購入・利用強制 | 指定する物品・役務の購入・利用を強制すること |
| 不当な経済上の利益の提供要請 | 金銭・労務等の提供を不当に要請すること |
| 不当な給付内容の変更・やり直し | フリーランスの利益を不当に害する内容変更・やり直しを要請すること |
マネーフォワード クラウドの公表データをもとに作成(原典は公正取引委員会・厚生労働省の法令解説資料)
上の表のうち、副業の現場で起きやすいのは報酬の減額と、やり直しの要請です。「イメージと違うので全部作り直して」が無償で何度も繰り返される状態は、不当な給付内容の変更・やり直しにあたる可能性があります。逆に、こちらの納品物に不備があって直す場合は、フリーランス側に責任があるため別の話になります。
買いたたきも線引きが気になるところですが、これは「安い」ことではなく、通常の対価より著しく低い報酬額を不当に定めることを指します。相場より少し低い金額で自分が納得して受けた案件は、ここには当たりません。
違反に気づいたら、どう動けばいい?
窓口に連絡する前に手元を整えておくと、話が一度で通ります。順番は次のとおりです。
- 事実と証拠を集める契約書・発注書・メールやチャットの履歴、納品日が分かるもの、報酬の支払い記録を保存します。チャットは後から消される場合があるので、該当部分を書き出すか画面を保存しておきます。
- 時系列を1枚にまとめる「いつ発注され、いつ納品し、いつ何を言われたか」を日付順に並べます。受領日から支払予定日まで何日あるか、減額は何円から何円になったかを数字で書きます。
- 公正取引委員会に申し出るフリーランス取引適正化の直通窓口は03-3581-5479です。全国の地方事務所・支所の取引適正化調査課でも申告を受け付けています。公取委・中小企業庁・厚生労働省のいずれに申し出てもかまいません。
- 法的なアドバイスが欲しければ弁護士相談を使うフリーランス・トラブル110番(0120-532-110)は無料で弁護士に相談できます。
取引を続けられるかどうかが心配なときは、匿名で相談できる窓口から入る選び方があります。フリーランス・トラブル110番は匿名相談に対応しており、秘密厳守とされています。名前を出さずに「この状況は違反に当たるのか」だけを確かめてから、公取委への申告に進むか決める、という順番が取れます。
公取委とトラブル110番、どちらに連絡する?
2つの窓口は役割が違います。公正取引委員会は、違反している発注事業者に対して行政として動くところです。違反した発注事業者には、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省による助言・指導・勧告・命令があり、悪質な場合は企業名が公表されます。命令に違反した場合は最大50万円の罰金が科される可能性があります。
一方、フリーランス・トラブル110番は厚生労働省の事業として、個々のトラブルを解決する側に立つ窓口です。電話番号は0120-532-110、受付時間は9:30〜16:30(土日祝日を除く)。相談は無料・秘密厳守で匿名でもでき、対面やWebでの相談にも対応しています。メールは[email protected]、サイトはfreelance110.jpです。報酬未払い、契約書なし、ハラスメント、一方的な報酬減額などが相談の対象で、和解あっせん手続きの費用も無料です。
- 自分のケースが違反かどうかを確かめたい、名前を出したくない → フリーランス・トラブル110番(0120-532-110)
- 未払いの報酬を実際に取り戻したい、話し合いの場がほしい → フリーランス・トラブル110番の和解あっせん
- 発注事業者の行為そのものを是正してほしい → 公正取引委員会(03-3581-5479/地方事務所の取引適正化調査課)
どちらか一方しか使えないわけではありません。無料相談で状況を整理してから公取委へ申し出る流れは、そのまま取れます。
どれくらいの人が実際に申し出ている?
公正取引委員会の公表によれば、令和7年度(2025年度)の申出件数は604件、新規着手件数は1,626件でした。申出が604件に対して新規着手が1,626件なので、申出以外の端緒からも調査が始まっていることが読み取れます。
数としては、全国のフリーランス人口を思えば多いとは言えません。だからこそ公取委は広報強化期間を設けて、窓口の周知に動いています。2026年10月8日から11月30日までの期間中は、アニメ「秘密結社 鷹の爪」とタイアップした特設サイト(jftc.go.jp/freelancelaw_2026)が開設されています。法解説のスペシャルムービー、取引フローで見る義務と禁止行為、お役立ち資料のダウンロード、フリーランス法違反チェック、理解度診断などが置かれています。YouTube・Google・Yahoo! JAPAN・LINEなどのインターネット広告やラジオスポットCMも実施予定とされています。
違反チェックと理解度診断は、自分のいまの取引を当てはめて確かめるのに使えます。通報するかどうかを決める前の、材料集めとして開いてみる使い方で十分です。
フリーランス新法が扱うのは、業務委託で仕事を受けている事業者としての取引です。アルバイトやパートなど雇用契約で働いている場合は、労働基準法など別の法律の管轄になります。また、発注側が従業員を雇っていない個人事業主である場合、継続的業務委託を前提とする一部の義務(中途解除の30日前予告など)は条件によって及ぶ範囲が変わります。自分の契約がどちらに当たるか迷うときほど、無料相談で確かめる価値があります。
もうひとつ。窓口に申し出たからといって、未払いの報酬が自動的に振り込まれるわけではありません。お金を取り戻したいのか、相手の行為を止めてほしいのかで、向かう先が変わります。
今日できる備えは?
トラブルが起きてから証拠を探すより、普段の受注でそろえておくほうが早く済みます。副業で1案件だけ受けている人でも、やることは変わりません。
- 業務内容・報酬額・支払期日を、メールかチャットの文字として残す(口頭で決まったら「以下の内容で承知しました」と送り返す)
- 納品した日をカレンダーかメモに記録する(60日を数える起点になります)
- 修正依頼のやり取りは消さずに残す
- 報酬の入金日を通帳やアプリの履歴で確認できるようにする
契約条件の明示は発注側の義務ですが、相手が示してこないときに自分から文字にして確認を取るのは、角を立てずにできる方法です。「後から言った言わないにならないように」という一言を添えれば、たいていの発注先は応じます。
この備えができていれば、案件を増やすときも迷いが減ります。おかしいと感じたときは無料の窓口に聞いてみる。行動の前に、知ってから決めればいい話です。
よくある質問
フリーランス新法の相談窓口はどこですか?
公正取引委員会のフリーランス取引適正化に関する直通窓口は03-3581-5479で、全国の地方事務所・支所の取引適正化調査課でも申告を受け付けています。弁護士への無料相談を希望する場合は、フリーランス・トラブル110番(0120-532-110、受付9:30〜16:30・土日祝日を除く)が利用できます。
副業で業務委託を受けている会社員もフリーランス新法の対象ですか?
対象です。フリーランス新法は業務委託で仕事を受ける特定受託事業者を保護するもので、本業か副業かによる区別はありません。発注する側も企業・個人事業主を問わず、資本金や従業員規模にかかわらず対象になります。
報酬はいつまでに支払われるべきですか?
発注事業者は原則として、物品やサービスを受領した日から60日以内のできるだけ早い期日に報酬を支払う義務があります。受領日から数えて60日を超える支払期日が設定されている場合は、義務に反している可能性があります。
フリーランス新法に違反した発注事業者にはどうなりますか?
公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省による助言・指導・勧告・命令の対象となり、悪質な場合は企業名が公表されます。命令に違反した場合は最大50万円の罰金が科される可能性があります。
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