クラウドワークスのAI-BPOとは?未経験から挑戦できる案件
画像出典: ランサーズ
クラウドワークスは2024年2月に「AI・機械学習」を大カテゴリへ格上げして「AIアノテーション」(AIに学習させるデータへ正解のラベルを付ける作業)を追加し、2026年3月31日には「AI-BPO(AI活用の業務改善)」を新設しました。営業・経理・カスタマーサポートといった業務経験にAIツールの操作を掛け合わせる案件が中心のため、未経験でも既存の職務経験を入口にできます。
AI関連の案件=AIを作る仕事、とは限りません。いま増えているのは、AIを「使う側」の仕事です。議事録をAIで要約する、問い合わせ返信の下書きをAIに作らせる、営業リストの整理をAIで効率化する。こういった作業は、モデルを作る知識ではなく、その業務を知っていることのほうが価値になります。
正直なところ、募集ページの並びを上から眺めるだけだと、開発系の難しそうな案件ばかりが目に入ります。探す場所と絞り込み方を変えるだけで、見える景色はかなり変わります。入口は「AIの知識」ではなく「あなたが今の仕事で毎日やっていること」です。
AI関連の副業案件は、いま何が増えているの?
まず前提をそろえます。クラウドソーシング(仕事を依頼したい人と受けたい人をネット上で結ぶサービス)の案件カテゴリは、需要に合わせて増減します。カテゴリが新設されたということは、そこに募集が集まり始めたという運営側の判断です。
クラウドワークスの公式発表をたどると、AI関連カテゴリの拡充は次のように段階的に進んでいます。
| 発表時期 | 公表された内容 |
|---|---|
| 2024年2月5日 | 「AI(人工知能)・機械学習」を大カテゴリとして新設(従来は「システム開発」の中の一項目)。小カテゴリに「AIアノテーション」(AIに学習させるデータへ正解のラベルを付ける作業)、職種に「AIアノテーター」を追加 |
| 2026年3月31日 | 「AI-BPO(AI活用の業務改善)」を新設。小カテゴリ5つ(AI営業・マーケティング支援/AIバックオフィス支援/AIシステム開発・導入・自動化支援/AIメディア・コンテンツ構築支援/その他業務AI化支援)を追加 |
| 2026年7月28日 | AI人材特化のマッチングサービス「AIクラウドワークス」の事前登録者が1万名を突破と発表(正式リリースは2026年8月20日予定) |
クラウドワークスの公表データをもとに作成
2024年2月5日は、AIの仕事が「システム開発の一部」から独立した時点です。この段階ではまだ開発寄りですが、同時に追加されたAIアノテーションは開発知識を必要としない作業枠でした。
2026年3月31日が、いちばん大きな転換点です。公式の説明では、AI-BPOは「人がおこなっていた業務をAIで自動化・効率化する取り組み」を担う人向けのカテゴリとされています。AIを開発する枠ではなく、業務をAIで置き換える枠が独立したということです。同時に9つのスキル項目が追加されましたが、その多くは特定のAIツールの名前です。ツール名がスキルとして並ぶということは、「作れること」ではなく「使えること」が評価対象になったという意味です。
- AIマーケティング/AI業務改善 — 業務そのものを指すスキル名
- RPO(採用業務の外部委託。採用まわりをAIで効率化する枠)
- Claude/Gemini — 文章の作成・要約・整理に使う対話型AI
- n8n/Dify — プログラムを書かずに作業の流れを自動化するツール
- Stable Diffusion — 文章から画像を生成するAI
- HeyGen — 文章からアバターが話す動画を作るAI
顔ぶれを見ると、9つのうち実際に手を動かすツールは6つで、いずれも画面上の操作で使えるものです。プログラミング言語がひとつも入っていないところが、この拡充の性格を表しています。
2026年7月28日は、その流れがさらに専用サービスへ発展した時点です。次の章で見るとおり、ここで公表された登録者の内訳が、どんな人が集まっている領域なのかを教えてくれます。
未経験でも入りやすいのは、どのタイプの案件?
集まっている人の顔ぶれは、事前登録者の内訳から読み取れます。2026年7月28日の発表によると、「AIクラウドワークス」の事前登録者が登録したスキルは9カテゴリで延べ2.7万件超。そのうち「専門職×AI活用系」が6,074件超で全体の約6割を占め最多で、「開発・実装系」は4,413件超でした。専門職×AI活用系というのは、営業・人事・経理・カスタマーサポートといった業務知識に、AIツールの活用を掛け合わせた区分です。
つまり登録している側の主流も、エンジニアではなく実務職の人たちです。あなたが本業でやっている作業は、そのまま入口になります。
- 経理・総務 → 請求書処理や経費チェックの効率化、定型書類の下書き生成
- カスタマーサポート → 問い合わせ返信テンプレの整備、FAQ原稿の作成
- 営業 → 提案資料のたたき台作成、商談メモの整理・要約
- 事務全般 → 議事録の文字起こし整理、データの分類・タグ付け
もうひとつ、2024年に新設されたAIアノテーションも未経験者の入口として設計された枠です。画像に写っているものを選ぶ、文章がどの分類に当たるか選ぶといった作業が中心で、必要なのは正確さと指示を守る丁寧さです。クラウドワークスがこのカテゴリを新設した背景には、AI教師データ作成代行サービスの提供開始があります。単価は高くありませんが、AI関連カテゴリでの実績を1件作るという意味では現実的な選択肢です。
案件はどうやって探せばいい?
探し方でつまずく人の多くは、検索窓に「AI」とだけ入れています。それだと開発案件が上位に並び、そこで諦めることになります。カテゴリ側から入るのが正解です。
- カテゴリから絞る仕事検索でフリーワードではなく、カテゴリ一覧から「AI(人工知能)・機械学習」や「AI-BPO」を選びます。AI-BPOの中はさらに5つに分かれているので、自分の職種に近い「AIバックオフィス支援」「AI営業・マーケティング支援」などを開きます。
- 応募条件を先に読む募集文の魅力ではなく、まず「必須スキル」欄を見ます。プログラミング言語の指定がなく、ChatGPTやGeminiなどのツール利用経験のみを求めているものが、未経験から狙える案件です。
- スキル登録を先に済ませるプロフィールのスキル欄に、新設されたAI業務改善やClaude、Geminiなどを登録しておきます。クライアント側からのスカウトは登録スキルを条件に検索されるため、登録がないと候補に入りません。
- 1件目は小さく取るいきなり継続契約を狙わず、短時間で終わるタスク形式やアノテーション案件を1件納品します。実績と評価が0のままだと提案が通りにくいので、まず「0を1にする」ことを優先します。
- 実績を職務経験と結びつけて書く提案文では「AIに詳しいです」ではなく「経理を6年担当しており、月次の請求書処理をAIで下書き化した経験があります」のように、業務経験を軸に書きます。発注側が欲しいのは業務理解のほうです。
週にどのくらい動けば続けられる?
本業がある状態で、どこまで抱えられるかは最初に決めておいたほうが安全です。参考になる一次データとして、ランサーズ「フリーランス実態調査(2020年度)詳細版」があります。この調査では、副業従事者が副業にかける時間は週平均10.32時間。内訳は「週5〜10時間未満」が29.6%で最多、次いで「週10〜15時間未満」が19.2%でした。週2日、1日あたり2〜4時間という稼働イメージに近い水準です。
この数字は2020年度の調査で、対象は副業従事者全般です。AI関連案件に限定した稼働時間の統計ではないので、あくまで副業全体の平均像として見てください。
受注ペースの目安としては、月5万円を狙う場合に月5〜10件のプロジェクト案件をこなし、週2〜3件の応募を続けると受注のリズムが安定する、という解説があります。プロジェクト単価の中心帯は5,000円〜2万円程度、週10〜15時間の稼働を2〜3ヶ月続けて月2〜3万円というのが現実的な到達水準とされています。ただしこれはメディア解説による経験則的な目安で、公式統計ではありません。単価も案件内容と時期で動くため、自分の応募結果で更新していく前提の数字として扱ってください。
そして、この数字は下限ではなく出発点です。単価の中心帯は5,000円〜2万円ですが、これは1件あたりの金額です。月5〜10件という同じペースのまま、単価2万円側の案件で埋められるようになれば、同じ週10〜15時間で月10万円台が視野に入ります。伸びるのは稼働時間ではなく、1件あたりの単価のほうです。実務経験を持っている人にとって、ここは十分に狙える伸ばし方です。
- 1件目 — 実績と評価をつくる。単価は考えない
- 数件目 — 同じ発注者から継続で頼まれる。提案の手間が消える分、時間あたりの実入りが上がる
- その先 — 「経理×AI」のように業務名で指名される。ここまで来ると単価は自分で提示できる
始める前に確認しておくことは?
案件を探す前に、2つだけ片付けておくと後が楽です。
ひとつは勤務先の就業規則です。副業を全面禁止している企業や、事前の届出を義務付けている企業があります。AI関連の案件は本業の業務知識を活かす性質上、競業や情報の扱いで引っかかる可能性もあるため、届出制ならきちんと出しておくのが結果的に一番安全です。
もうひとつは確定申告です。副業の所得(収入から経費を引いた額)が年20万円以上になると、本業の年末調整とは別に確定申告が必要になります。1件目の報酬が入った時点から、報酬額と経費のメモを残し始めてください。後からまとめて集計しようとすると、たいてい記録が足りません。
AIツールを使えば作業時間が短くなる分、単価も抑えられている案件は少なくありません。1件目の報酬額そのものより、AI関連カテゴリでの実績と評価が手に入ることのほうが、この時期は価値があります。実績欄が埋まってから単価を上げていくほうが、結果的に早く伸びます。
また、AI-BPOのように業務改善を担う案件では、クライアントの社内データや顧客情報に触れる場面があります。守秘義務の意識や、情報の取り扱いに神経を使うことが苦手なら、まずはアノテーションのように扱う情報が限定された案件から入るほうが無難です。
1件目までの最短ルートをまとめると
- 就業規則の副業に関する記載を確認する
- クラウドソーシングに登録し、プロフィールに本業の職種と経験年数を書く
- スキル欄にAI業務改善・使っているAIツール名を登録する
- 「AI-BPO」の小カテゴリから、自分の職種に近い枠を開いて募集を10件読む
- 必須スキルにプログラミング指定がない案件を3件ブックマークする
ここまでで、AI関連案件が自分にとって現実的な範囲かどうかの感触はつかめます。応募するかどうかは、募集文を10件読んでから決めれば十分です。カテゴリが新設されたばかりの領域は、応募者の層もまだ固まっていません。実務経験を持っている人にとっては、むしろ入りやすい時期です。
募集文を読むだけならリスクはゼロです。しかも「どんな業務がAI案件として発注されているのか」を知ると、本業で自分が毎日やっている作業に値段が付いていることに気づきます。そこで見つけた1つが、あなたの最初の1件になります。
よくある質問
AI関連の副業案件は、プログラミングができないと応募できませんか?
できます。クラウドワークスが2026年3月31日に新設した「AI-BPO(AI活用の業務改善)」は、人が行っていた業務をAIで自動化・効率化する取り組みを担う人を対象としたカテゴリで、AI営業・マーケティング支援やAIバックオフィス支援など5つの小カテゴリに分かれています。営業・経理・カスタマーサポートといった業務知識にAIツールの活用を掛け合わせる案件が中心のため、プログラミング経験がなくても応募できる募集があります。
AIアノテーションとはどんな作業ですか?
AIに学習させるデータへ、正解にあたるラベルを付けていく作業です。画像に写っている対象を選ぶ、文章がどの分類に当たるかを選ぶといった内容が中心で、専門的な開発知識ではなく正確さと指示を守る丁寧さが求められます。クラウドワークスは2024年2月5日に、仕事カテゴリと職種、スキルに「AIアノテーション」「AIアノテーター」を新設しています。
副業でAI案件を受ける前に、勤務先へ申告は必要ですか?
勤務先の就業規則によります。副業を全面的に禁止している企業や、事前の届出を義務付けている企業があるため、案件に応募する前に自社の規定を確認してください。届出制の場合は、規定どおりに手続きを済ませておくのが安全です。
副業の収入がいくらから確定申告が必要になりますか?
副業の所得、つまり収入から経費を差し引いた額が年20万円以上になると、本業の年末調整とは別に確定申告が必要になります。最初の報酬が発生した時点から、報酬額と経費の記録を残しておくと、申告時期に慌てずに済みます。
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