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副業20万円ルールとは?住民税は対象外という誤解

2026年5月24日|いろは堂副業編集部
整理されたデスクのノートパソコン

画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

この記事の要点
副業の「20万円以下は申告不要」は所得税だけの特例で、基準は収入(売上)ではなく所得(収入−必要経費)です。住民税にはこの特例がなく、原則として市区町村への申告が別途必要になります。さらに医療費控除やふるさと納税で確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も申告に含める必要があります。
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副業で入ってきたお金、年間20万円までなら確定申告しなくていいんですよね?

この「20万円ルール」は副業を始めた人がほぼ全員一度は耳にする話です。ただ、言葉だけが独り歩きしていて、「20万円」が売上のことなのか手元に残った利益のことなのか、そこから食い違っているケースがとても多いのが実情です。

正直なところ、ここを曖昧にしたまま1年目を過ごすと、翌年に市区町村から住民税の問い合わせが届いて慌てる、という流れになりがちです。逆に言えば、収入と所得の違い・所得税と住民税の違い、この2つの区別さえ押さえておけば怖い話ではありません。順番に整理していきます。

「20万円ルール」とは、そもそも何の話?

国税庁のタックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」に、根拠となる説明があります。給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となっている人は、給与所得・退職所得以外の各種所得金額の合計額が20万円を超える場合に確定申告が必要とされています。裏を返すと、20万円以下なら所得税の確定申告書を出さなくてよい、というのがこのルールの正体です。

ここで大事なのは、これが「所得税の確定申告書を提出する義務」だけを免除する行政上の特例であって、その所得が非課税になるという意味ではないことです。税金がかからなくなるのではなく、申告の手続きを省いてよい、という話にすぎません。

この特例が使えるのは、こういう人
  • 本業の給与が1か所から支払われていて、年末調整が済んでいる会社員
  • その給与の全部が源泉徴収の対象になっている
  • 給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下

逆に、給与所得がない専業のフリーランスや個人事業主にはこの特例は適用されません。本業の年末調整という「すでに税額が確定している土台」があるからこその省略措置だからです。副業を辞めて独立した年からは前提が変わる、と覚えておくと安全です。

20万円の判定は「収入」と「所得」のどちら?

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クラウドソーシングの入金合計が25万円だったから、もうアウトってことですか…?

判定の基準になるのは、振り込まれた金額の合計ではありません。所得 = 収入(売上) − 必要経費で計算した後の金額が20万円を超えるかどうかで判断します。つまり売上が25万円あっても、その仕事のために使った経費が6万円あれば所得は19万円となり、所得税の確定申告は不要になり得ます。

項目金額の例
副業の年間売上(収入)25万円
必要経費(通信費・機材・ソフト代など)6万円
副業の所得(判定に使う金額)19万円 → 20万円以下

この計算をするには、当然ながら売上と経費の記録が残っていることが前提になります。「経費を引けば20万円以下だったはず」は、帳簿とレシートがなければ主張できません。逆に言えば、副業を始めた初日から入出金と領収書を残す習慣をつけておけば、それだけで判定に必要な材料はそろいます。

副業の種類によって判定の仕方が変わります

ここまでの「収入−必要経費」は、雑所得や事業所得として扱われる副業(業務委託の執筆・制作・物販など)の話です。パートやアルバイトのように給与として支払われる副業は、経費を差し引く形ではなく給与所得として計算され、本業の給与と合算される扱いになります。自分の副業がどちらの区分なのかは、支払元との契約形態(雇用契約か業務委託か)で確認してください。

所得税の申告が不要なら、住民税の申告も不要?

ここが最もつまずきやすい部分です。20万円ルールは所得税についての特例であり、住民税には同じ趣旨の明文の特例がありません。地方税法上は原則としてすべての所得を市区町村に申告することになっているため、所得税の確定申告を省略した場合でも、住民税の申告は別途、お住まいの市区町村へ行う必要があるというのが実務上の一般的な取り扱いです。

この点は弥生・freeeなど税理士監修の解説記事でも一致して説明されています。ただし手続きの細かい運用は自治体ごとに異なるため、実際に申告書を出す前に、市区町村の住民税担当窓口またはサイトで確認するのが確実です。

  1. 所得税の確定申告をする場合確定申告のデータが市区町村へ回るため、住民税の申告は別途不要です。1回の手続きで完結します。
  2. 所得税の確定申告を20万円以下で省略する場合市区町村へ住民税の申告書を提出します。様式や提出期間は自治体のサイトで案内されています。
  3. どちらか迷う場合確定申告をしてしまうほうが手続きは一本化されます。所得が20万円以下でも確定申告をすること自体は認められています。

還付を受けるために申告するとき、副業所得も書く?

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医療費控除を受けたいので確定申告はします。副業の18万円は20万円以下だから、そこは書かなくていいですよね?

医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)などで還付を受けようと確定申告書を出すのであれば、その申告書には20万円以下の副業所得も含めて記載する必要があります。20万円ルールは「確定申告書を出さない人」のための省略措置なので、申告書を出す時点でその前提が外れるからです。

還付目当ての申告で副業分だけを書かずに出す、という組み合わせは選べません。「還付は受けたい、副業分は伏せたい」は成立しないと理解しておくと、判断で迷わなくなります。還付額と副業所得にかかる税額を比べて、そのうえで申告するかどうかを決めれば十分です。

会社に副業を知られるのはどんなとき?

副業が勤務先に伝わる主な経路は、噂話ではなく住民税の通知です。住民税には給与から天引きされる特別徴収と、自分で納付書を使って納める普通徴収の2つがあり、特別徴収のままだと副業分を含めた住民税額が勤務先の給与担当者に通知されます。本業の給与額から想定される金額とずれるため、そこで気づかれることになります。

所得税の確定申告をしない場合でも、市区町村へ提出する住民税の申告書で副業分の住民税の納付方法として「普通徴収(自分で納付)」を選べるのが一般的です。この欄を埋めておけば、副業分は自宅に届く納付書で自分で納めることになります。

普通徴収が選べないケースもあります

パート・アルバイトなど給与所得に区分される副業収入は、原則として本業の給与と合算して特別徴収される仕組みのため、普通徴収への切り替えが認められない場合があります。また、勤務先の就業規則で副業そのものが制限されていることもあります。徴収方法の工夫は社内規定への対応にはならないので、まず自社の規定を確認してから始めるほうが結果的に安全です。

判定に備えて、今日から何をしておけばいい?

20万円を超えるかどうかは、年末になってから慌てて計算するものではありません。日々の記録さえあれば、判定も申告も一気に楽になります。

  1. 副業専用の入出金の場所を決める本業の生活費と混ざった口座では、売上と経費の切り分けに時間がかかります。副業用の口座やカードを分けるだけで、通帳の記録がそのまま帳簿の代わりになります。
  2. 経費のレシート・請求書を残す通信費、機材、ソフトの利用料、書籍など、仕事のために使った支出の証拠を保存します。所得が20万円以下だったと言える根拠になります。
  3. 年に一度、所得を計算して区分を確認する売上から経費を引いた金額を出し、20万円を超えるかどうかを確認します。超えていれば確定申告、超えていなければ住民税の申告、と進む先が決まります。

なお令和8年度(2026年度)の個人住民税では、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へ引き上げられ、扶養控除等の所得要件も10万円引き上げられています。これは令和7年中(2025年1〜12月)の所得に対して課税される分から適用されるもので、副業の所得計算そのものへの直接の影響は限定的ですが、控除まわりの数字が変わっている点は頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

迷ったら、確定申告をしてしまうほうが早い

所得が20万円以下でも、確定申告をすること自体は問題ありません。むしろ確定申告をすれば住民税の申告は別途不要になり、手続きが一本化されます。「申告しなくてよい」は「申告してはいけない」ではないので、判定に自信がないときは申告してしまうのが結果的にいちばん手間が少ない選択になることも多いです。

副業を始めたばかりの段階では、まず売上と経費を記録するところから。その記録があれば、20万円ルールに当てはまるかどうかも、申告が必要になったときの作業も、どちらも短時間で片づきます。制度を知ってから、自分がどちらの道を通るか決めれば十分です。

よくある質問

副業の20万円ルールは、収入と所得のどちらで判定しますか?

所得で判定します。所得は収入(売上)から必要経費を差し引いた金額なので、売上が20万円を超えていても、経費を引いた後の所得が20万円以下であれば所得税の確定申告は不要になり得ます。ただし経費を差し引いたことを示すには、売上と経費の記録・領収書の保存が前提になります。

所得税の確定申告が不要なら、住民税の申告も不要ですか?

いいえ、住民税は別です。20万円以下で申告不要とする特例は所得税についてのものであり、住民税には同じ明文の特例がないため、原則として市区町村への住民税の申告が別途必要になります。手続きの運用は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村の窓口やサイトで確認してください。

医療費控除やふるさと納税で確定申告をする場合、20万円以下の副業所得も書く必要がありますか?

必要です。20万円ルールは確定申告書を提出しない人のための省略措置なので、還付を受けるために確定申告書を出す時点でその前提が外れ、20万円以下の副業所得も含めて申告することになります。還付だけを受けて副業所得の記載を省く、という組み合わせは選べません。

副業の20万円ルールは、フリーランス専業の人にも使えますか?

使えません。この特例は、給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる給与所得者を対象としたものです。本業の給与がなく事業所得や雑所得だけで生活しているフリーランス・個人事業主は対象外で、原則として確定申告が必要になります。会社員から独立した年は前提が変わる点に注意してください。

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