転職しないで成長を取り戻す7つの行動
画像出典: ぱくたそ
転職しないまま成長を取り戻す近道は、下期の目標設定に「今の担当の外側にはみ出す仕事」を1つ書き込むことです。社内公募・部署横断プロジェクト・OFF-JTで経験を広げ、その結果を数値・期間・役割の3点セットで記録すれば、会社を出なくても社外に通用する実績になります。自己啓発を実施した労働者は36.8%、OFF-JT受講者は37.0%(厚生労働省 令和6年度能力開発基本調査)で、動くだけで上位3分の1に入れる領域です。
下期が始まる時期は、この感覚がいちばん強く出ます。上期の振り返り面談で「安定して回せています」と言われて、褒められたはずなのに少しだけ引っかかる。あの引っかかりの正体は、仕事の量は増えたのに、仕事の種類が増えていないことです。
正直なところ、これは能力の問題ではありません。担当が固まると、放っておけば同じ種類の仕事だけが流れてくる仕組みになっているだけです。だとすれば、やることは1つ——流れてくるのを待つのをやめて、下期の目標設定という年に2回しかない機会に、自分から種類を足しにいくことです。
「成長したい」は目標欄に書いても通りません。上司の側に評価する手立てがないからです。通るのは「担当外だが会社にとって必要で、自分がやると早い仕事」です。その探し方から順に見ていきます。
なぜ転職しなくても成長が止まるのか?
成長の実感は、新しい判断をした回数で決まります。手順が体に入った仕事は、こなすほど速くなりますが、判断の回数は増えません。3年目以降に「止まった気がする」が来るのは、たいていこの段階です。
ここで「では転職を」と考えなくていいのは、判断の種類を増やす手が社内にもあるからです。担当の外側に一歩出るだけで、調整相手が変わり、見る数字が変わり、判断の種類が増えます。転職はその手段の1つにすぎず、最も手続きの重い手段でもあります。
- 今週やった仕事を、去年の同じ週にもやっていた
- 社外の人に説明できる成果が、直近1年で思い出せない
- 職務経歴書を開いても、書き足す行が浮かばない
- 相談される内容が、いつも同じ範囲に収まっている
2つ以上当てはまるなら、能力ではなく置かれた場所の問題です。場所は下期の目標設定で動かせます。
今の会社で経験を広げる方法は?
広げ方は大きく3つあります。手続きの軽い順に並べると、次のとおりです。
- 部署横断プロジェクトに手を挙げる異動を伴わないため最も軽い一手です。全社の業務改善、新システムの導入、マニュアル整備など、他部署の人と組む仕事を1つ拾います。判断の相手が変わるのが効きます。
- 社内公募・ジョブローテーションに応募する制度がある会社なら、応募そのものが情報収集になります。募集要項には、その部署が求める経験が書かれています。落ちても「何が足りないか」が手に入ります。
- OFF-JT(社外の研修)を業務として受ける厚生労働省の令和6年度能力開発基本調査では、OFF-JTを受講した労働者は37.0%。裏を返せば約6割は使っていません。会社の教育予算は労働者一人当たり平均1.5万円あり、申請しなければ他の誰かが使うだけです。
厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」の公表データをもとに作成
どれも「上司の許可が要る」ように見えますが、実際に必要なのは許可ではなく今の担当に穴が空かないという説明です。次の節でその言い方をそのまま渡します。
上司にどう切り出せばいい?(そのまま使える言い回し)
下期の目標設定面談は、この話を出すのに最も自然な場です。評価の話をする前提で時間が取られているため、切り出しても唐突になりません。
- 「下期の目標に1つ、担当の外の仕事を入れたいと考えています」
- 「◯◯(具体名)が手つかずのままなので、そこを引き取れないかと思っています」
- 「今の担当は◯月までに手順書を残して、後輩に渡せる形にします」
3文目が肝心です。上司がいちばん警戒するのは「今の仕事が回らなくなること」なので、そこを先に潰すと話が前に進みます。逆に、意欲だけを伝えて引き継ぎ計画を出さないと、たいてい保留になります。
人手不足を理由に断られた場合は、規模を落として再提案するのが有効です。半年専任ではなく「月2日だけ」「議事録係として参加だけ」に切り替えると通ることがあります。参加の事実さえ作れば、次の期に広げる根拠になります。1回で通そうとせず、下期で足がかりを作り、来期で本体を取りにいく組み立てにしてください。
社外で通用する実績はどう作る?
社内での頑張りが社外で通じなくなるのは、成果が社内の文脈でしか書かれていないからです。「◯◯システムの改善に貢献」は、その会社を知らない人には何も伝わりません。
通じる形にするには、数値・期間・自分の役割の3点を揃えます。この3つが揃うと、業界が違う相手でも規模と難度が想像できます。
| 社内向けの書き方 | 社外に通じる書き方 |
|---|---|
| 受発注業務の改善に貢献 | 受発注の手順を見直し、月40時間かかっていた確認作業を12時間に短縮(3か月・自分含む3名、要件整理と手順書作成を担当) |
| 後輩の指導を担当 | 新人2名の育成担当として、独り立ちまでの期間を平均6か月から4か月に短縮(1年・教育計画の作成と週次面談を担当) |
| 部署横断プロジェクトに参加 | 3部署にまたがる在庫データの統一プロジェクトに参加し、部署ごとに異なる管理表を1つに統合(半年・6名中、営業部側の要件取りまとめを担当) |
右の書き方は、あとから思い出して書けるものではありません。着手時に「何がどれだけ変わったら成功か」を決めて、開始時点の数値を控えておく必要があります。逆に言えば、それさえやれば普段の仕事がそのまま実績になります。
四半期に一度、15分の棚卸し
- 3か月分の予定表を開く記憶ではなくカレンダーとメールから拾います。人は自分の成果を忘れます。
- 3点セットで1行にする数値・期間・役割。数値が取れないものは「対象人数」「頻度」「関わった部署数」で代用します。
- 職務経歴書に追記する転職しない人でも1本持っておきます。書けない期が続いたら、それが止まっているサインです。
副業や社外の活動は必要?
必須ではありませんが、社外の物差しが手に入るという点で効率のいい手です。値付けされる経験は、社内評価とは別の情報を返してくれます。
企業の容認状況は調査によって幅があります。パーソル総合研究所の調査では副業容認率64.3%、エン・ジャパンの調査では約49%、JBRCの調査では兼業・副業を認める人事制度がある企業が60.7%と、調査によっておおむね5割〜6割台という結果です(母集団や定義が異なるため単純比較はできません)。少なくとも「例外的な制度」ではなくなっています。
パーソル総合研究所「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」ほかの公表データをもとに作成
もう1つの選択肢が越境学習(所属先を変えず、社外や普段と異なる環境に一時的に身を置いて学ぶ手法)です。企業研修の分野で広がっており、社外プロジェクトへの一時参加やNPOへの出向などの形をとります。制度として用意している会社なら、副業より手続きが軽い場合があります。
今の担当が繁忙期に入っている、家庭や体調の事情で可処分時間が限られている——そんな時期に社外活動まで足すのは勧めません。その場合は「社内で1つ広げる」だけに絞ってください。3つ同時に始めて全部中途半端になるより、下期に1つ通すほうが実績としては強く残ります。また、副業は就業規則の確認が先です。容認が増えているとはいえ、届出制・許可制の会社は珍しくありません。
下期でやることを1つに絞るなら?
ここまでの手を、9月からの半年で実行する順に並べます。10月入社・1月入社を狙う人にも、そのまま転職活動の逆算スケジュールとして機能します。
- 9月:目標設定面談で1つ足す担当外の仕事を1件、目標欄に書き込む。引き継ぎ計画をセットで出す。
- 9月中:開始時点の数値を控える作業時間・件数・対象人数。ここを飛ばすと実績が書けません。
- 10〜12月:走らせながら月1行メモやったこと1行と、判断に迷った点1行。あとの棚卸しが一瞬で終わります。
- 12月:15分の棚卸し3点セットで職務経歴書に追記。書ける行が増えていれば、成長は再開しています。
- 1〜3月:外の物差しを当てる社外研修、越境学習、副業のいずれかを1つ。合わなければやめてよく、やめても経験は残ります。
自己啓発を実施した労働者は36.8%(正社員では45.3%)。3人に1人しか動いていない領域なので、1つ実行するだけで差がつきます。転職はいつでもできますが、下期の目標設定は年に一度しか来ません。
よくある質問
転職しないでキャリアアップすることは可能ですか?
可能です。成長の実感は新しい判断をした回数で決まるため、担当外の仕事を1つ引き受けるだけでも判断の種類は増えます。部署横断プロジェクトへの参加、社内公募への応募、社外研修(OFF-JT)の受講が、異動や転職を伴わずに経験を広げる代表的な手段です。
社外でも通用する実績とは、具体的にどう書けばいいですか?
数値・期間・自分の役割の3点を揃えて書きます。「業務改善に貢献」ではなく「月40時間の確認作業を12時間に短縮(3か月・3名中、要件整理と手順書作成を担当)」の形にすると、その会社を知らない人にも規模と難度が伝わります。着手時点の数値を控えておくことが前提です。
副業を認めている企業はどのくらいありますか?
調査によって幅がありますが、おおむね5割〜6割台です。パーソル総合研究所の調査では副業容認率64.3%、エン・ジャパンの調査では約49%、JBRCの調査では兼業・副業を認める人事制度がある企業が60.7%となっています。母集団や定義が異なるため単純比較はできません。実際に始める前に自社の就業規則を確認してください。
上司に「今は人手が足りない」と断られたらどうすればいいですか?
規模を落として再提案するのが有効です。半年専任ではなく「月2日だけ」「議事録係として参加のみ」に切り替えると通ることがあります。参加の事実さえ作れば、次の期に範囲を広げる根拠になります。同時に、今の担当を後輩へ渡す引き継ぎ計画を示すと、上司の懸念が減り話が進みやすくなります。
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