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転職を考え始めたら最初にやる3ステップ

2026年5月19日|いろは堂キャリア編集部
デスクで仕事をする様子

画像出典: 写真: Christian Heilmann(CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
転職を考え始めた段階でいきなり求人に応募すると、判断基準がないまま「受かった会社」に流されます。先に、①辞めたい理由を条件の言葉に翻訳する、②譲れない条件を3つまでに絞る、③職務経歴書の下書きを作る——この3ステップを在職中に済ませておくと、求人を見たときの判断が速くなります。所要はあわせて2〜3時間、応募はそのあとで構いません。
😟
転職しようと決めたわけじゃないけど、このままでいいのかなと思い始めた。でも何から手をつければいいのか分からない…

この段階で多くの人が最初にやるのが、求人サイトへの登録です。悪くはないのですが、順番としては少し早い。判断の基準がないまま求人を見ると、年収と勤務地しか目に入らなくなります。そして目についた数社に応募して、受かったところに行く。それは「選んだ」というより「選ばれた」に近い結果です。

正直なところ、転職活動そのものは3ヶ月前後で終わる人が多い作業です。dodaの調査では活動開始から内定までが平均約3.0ヶ月、リクルートワークス研究所の調査でも半数近くが3ヶ月未満で終えています。長いのは活動ではなく、その前の「決めきれない期間」のほうなんです。

ここで渡すのは、応募より前にやる3つの作業です。全部あわせて2〜3時間、在職中のまま、誰にも言わずに進められます。

なぜ、いきなり応募してはいけないのか?

応募を先にすると、面接で必ず聞かれる質問に答えられません。「なぜ転職したいのですか」「うちで何をしたいですか」——この2つは、自分の中で言語化が済んでいないと、その場で作った言葉になります。面接官はそこを毎日聞いているので、作った言葉はかなりの確率で見抜かれます。

もうひとつ、基準がないと比較ができません。A社は年収が50万高い、B社はリモートができる、C社は仕事が面白そう。この3つを並べて選べるのは、自分の中に優先順位がある人だけです。無い状態で並べると、結局いちばん数字が大きいものを選んでしまいます。

厚生労働省の令和5年雇用動向調査では、転職して賃金が「増加」した人が37.2%、「減少」した人が32.4%、「変わらない」が28.8%でした。転職すれば年収が上がる、とは言い切れないのが実態です。だからこそ、年収以外の軸を自分で持っておく必要があります。

応募前に用意しておくもの(この3つだけ)
  • 辞めたい理由を「次の職場の条件」に翻訳したメモ
  • 譲れない条件3つと、諦めてもいい条件
  • 職務経歴書の下書き(完成品でなくてよい)

ステップ1:辞めたい理由を「条件」に翻訳する(所要30分)

最初にやるのは、自己分析という大げさなものではありません。今の職場で嫌なことを書き出して、それを「次の職場に求める条件」に置き換える作業です。

令和5年の雇用動向調査で、前職を辞めた理由として挙がった上位は、男性は「定年・契約期間の満了」16.9%に次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」9.1%、女性は「職場の人間関係が好ましくなかった」13.0%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」11.1%でした。前年からの上昇幅が最も大きかったのは、男性が「仕事の内容に興味を持てなかった」(+2.9ポイント)、女性が「職場の人間関係が好ましくなかった」(+2.6ポイント)です。

ここで注意したいのは、「人間関係が嫌」も「仕事に興味が持てない」も、そのままでは求人検索に使えないという点です。翻訳が要ります。

  1. 不満を10個、箇条書きで出すきれいな言葉にしなくて構いません。「朝礼が無駄」「上司が細かい」「同じ作業の繰り返し」レベルの粒度で出します。スマホのメモで十分です。
  2. 各項目に「転職で解決するか」を○△×で付ける×が付くもの(例:自分の苦手な作業そのもの)は、転職しても付いてきます。ここで×だらけなら、転職以外の手も検討対象に入ります。
  3. ○が付いた項目を「〜な会社」の形に書き換える「上司が細かい」→「裁量を持って進められる体制の会社」。「同じ作業の繰り返し」→「担当範囲が広い、または企画に関われる職種」。この言い換えたものが、そのまま求人を見るときのチェック項目になります。
この作業で「転職しなくていい」に着地することもあります

10個のうち大半が「今の会社でも部署異動や担当変更で解けそう」に見えたなら、それは有益な発見です。転職は手段のひとつで、目的ではありません。社内公募や上司への相談のほうが速いケースは実際にあります。この3ステップは、そう判断するための材料集めも兼ねています。

ステップ2:譲れない条件を3つに絞る(所要30分)

🤔
年収も休日もリモートも仕事内容も、全部良いところがいいんだけど…

全部を満たす求人は、探しても出てきません。ここでやるのは切り捨てではなく、順位付けです。上位3つが決まっていれば、4位以下が欠けている求人も検討できるようになります。逆に順位が無いと、1つ欠けるたびに見送ることになり、候補がゼロになります。

厚労省の調査で、求職申込み時に重視した条件は、男性は「前職の経験・能力を活かせる」41.4%、女性は「自分の希望にあった勤務形態・勤務時間」56.8%が最多でした。年収が最上位ではない、という点は頭に入れておくと楽になります。

絞り方:2つずつ比べる

候補を6〜8個出したら、上から順に2つずつ「どちらか一方しか手に入らないなら、どちらを取るか」で比較します。頭の中で並べると全部大事に見えますが、二者択一にすると意外とすぐ決まります。

条件書き方の例(数字を入れる)
年収「上げたい」ではなく「現状維持でも可/最低◯◯万円」
働き方「リモート希望」ではなく「週2以上の在宅、または通勤45分以内」
仕事内容「やりがい」ではなく「◯◯の業務が担当範囲に入っていること」
時間「残業が少ない」ではなく「月◯時間以内」

上の表のように、条件は必ず数字か固有の業務名まで落とします。数字が入っていない条件は、求人票と照合できないので機能しません。「風通しがいい会社」は、どの求人票を見ても判定できないままです。

時間軸も一緒に決めておく

いつまでに動くかを決めておくと、逆算が効きます。dodaの調査では活動開始から内定取得までが平均約3.0ヶ月、リクルートワークス研究所の調査では約7割が6ヶ月未満で準備から内定までを終えています。内定後に必要な引き継ぎ期間は職場によって差が大きいので、上司や就業規則で退職申し出の時期を確認したうえで、この3ヶ月前後に自分の引き継ぎ分を足して逆算するのが現実的です。

厚労省の転職者実態調査では、転職活動を始めてから前職を離職するまでの期間は「1ヶ月以上3ヶ月未満」が28.8%、「1ヶ月未満」が18.3%、「転職活動期間なし」が23.6%でした。在職中に動いている人が多数派で、辞めてから探すのが標準ではありません。

ステップ3:職務経歴書の下書きを作る(所要1〜2時間)

3つ目が、いちばん後回しにされやすく、いちばん効く作業です。応募すると決める前に、職務経歴書の下書きを作ってしまいます。

理由は2つあります。ひとつは、書いてみると自分の経験の棚卸しが強制的に終わること。もうひとつは、いい求人を見つけてから書き始めると、締切に間に合わないこと。求人には掲載期限があり、書類作成に1週間かかっていると、書き上がった頃には募集が終わっています。

  1. 職務要約を200字で書く「◯年からA社で◯◯を担当。現在は◯名のチームで△△を担当」程度。ここは最後に整えるので、粗くて構いません。
  2. 担当業務を時系列で並べる年月・所属・役割・扱った規模(人数、金額、件数)を書きます。数字は手帳や社内資料を見ながら、後から確認できるものだけ書きます。
  3. 各業務に「工夫したこと」を1行足すここが差の出る部分です。「担当した」だけの経歴書は誰でも書けます。「手作業だった集計をテンプレート化して月2時間短縮した」のような、自分の判断が入った行動を1つずつ添えます。
  4. 使えるスキル・資格を並べるツール名、業務システム名、語学、資格。判断せず全部並べて、後で削ります。
下書き段階でやらなくていいこと
  • 見た目の整形(フォーマットは応募時に整える)
  • 志望動機(応募先が決まってから書くもの)
  • completeにすること(8割で止めてよい)
😮‍💨
書けるような実績がない気がして、手が止まる…

実績が「表彰された」「売上を倍にした」レベルである必要はありません。書類で見られているのは、その人が何を任されてきて、どう考えて手を動かしたかです。定型業務の担当でも、後輩に教えた経験、手順書を作った経験、トラブル対応をした経験は、そのまま経歴書の行になります。書き出す前に「無い」と判断してしまうのがいちばんもったいないところです。

3ステップが終わったら、次に何をするか?

ここまで済むと、求人を見る目が変わります。条件が数字で決まっているので、求人票を3分見れば当てはまるかどうか判断でき、経歴書の下書きがあるので、良い求人が出たその週に応募できます。

次にやるのは情報収集です。いきなり応募せず、まず自分の職種・年代の求人がどれくらいの条件で出ているかの相場を見ます。ここで「思ったより条件が良い」となれば動く根拠になりますし、「今の会社のほうがマシ」と分かれば、それも十分な収穫です。転職サービスにはそれぞれ性質の違いがあるので、目的に合わせて使い分けるところから始めれば十分です。

向いていないケースもあります

今まさに心身の調子を崩している場合、この3ステップは後回しにしてください。不満の書き出しも経歴の棚卸しも、それなりに消耗する作業です。まず休むこと、産業医や社内の相談窓口に繋がることが先で、条件の整理はその後で間に合います。また、明確に決まった転職先や声がかかっている案件がある人は、この手順を飛ばして条件確認と引き継ぎ準備に進んで構いません。

今日やるなら、どれから始めればいい?

3つのうち最初の1つ、ステップ1の「不満を10個書き出す」だけなら30分で終わります。通勤の帰り道でもできます。10個出して○△×を付けたところで、一度止めていいのがこの手順の良いところです。翌日以降に条件の絞り込み、週末に経歴書の下書き、という分け方で十分間に合います。

転職するかどうかを、この段階で決める必要はありません。決めるための材料が手元にないから迷っているだけで、材料が揃えば判断は自然と出ます。まずは10行のメモからで大丈夫です。

よくある質問

転職を考え始めたら、まず何から始めればいいですか?

求人への応募より先に、①今の職場の不満を書き出して「次の職場に求める条件」に言い換える、②譲れない条件を3つに絞って数字で表す、③職務経歴書の下書きを作る、という3つを済ませます。合計2〜3時間で、在職中のまま進められます。この3つがあると求人を見たときの判断が速くなり、良い求人が出たその週に応募できます。

転職活動にはどれくらいの期間がかかりますか?

dodaの転職活動実態調査では、活動開始から内定取得までの平均は約3.0ヶ月です。リクルートワークス研究所の調査でも、転職活動を始めた人の約半数が3ヶ月未満、約7割が6ヶ月未満で準備から内定までを終えています。実際の入社日はこれに現職の引き継ぎ期間が加わるため、就業規則や職場の状況を確認したうえで逆算するとスケジュールが組みやすくなります。

転職すれば年収は上がりますか?

上がるとは限りません。厚生労働省の令和5年雇用動向調査では、転職入職者のうち前職より賃金が「増加」した人は37.2%、「減少」した人は32.4%、「変わらない」人は28.8%でした。増加した人が最も多いものの、3割超は下がっています。年収だけを軸にせず、働き方や仕事内容を含めた優先順位を先に決めておくことが重要です。

在職中と退職後、どちらで転職活動をすべきですか?

厚生労働省の転職者実態調査では、転職活動を始めてから前職を離職するまでの期間は「1ヶ月以上3ヶ月未満」が28.8%、「1ヶ月未満」が18.3%で、在職中に活動を進めている人が多数派です。収入が途切れず、条件が合わなければ現職に留まる選択肢も残せるため、まずは在職中に準備を進めるのが現実的です。

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