全国労働衛生週間、健康診断とストレスチェックの確認手順
画像出典: 写真: Ryosuke Hosoi from Kyoto, Japan(CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)
全国労働衛生週間は2026年10月1日(木)〜10月7日(水)で、9月1日〜30日が準備期間です。この時期は職場でも健康診断・ストレスチェックの案内が動くため、受診票が届いているか、今年度の実施予定はいつかを総務・人事に確認するタイミングとして使えます。健診で所見が出た場合と、ストレスチェックで高ストレスと判定された場合では、次の一手が違います。
下期が始まると、目標設定や年末調整の書類が一気に来て、健康診断はいちばん後ろに回りがちです。締切が曖昧で、誰かに催促されるわけでもない。正直なところ、後回しにしやすい種類の予定だと思います。
ただ、健康診断は会社に実施義務があり、働く側にも受診義務がある仕組みです。つまり「受けるかどうか」を自分で決める予定ではなく、いつ受けるかを決めるだけの予定です。この違いがわかると、動き出しがだいぶ軽くなります。
ちょうど10月1日から全国労働衛生週間が始まります。職場側も呼びかけをしやすい時期なので、総務や人事に「今年度どうなっていますか」と聞いても浮きません。この機会に、確認から受診・相談までを一度で片づけてしまいましょう。
全国労働衛生週間とは?いつ何がある期間?
全国労働衛生週間は、厚生労働省と中央労働災害防止協会が主唱して昭和25年(1950年)から続いている取り組みです。2026年度は第77回目にあたります。
2026年度の実施期間は10月1日(木)から10月7日(水)まで。そして9月1日から9月30日までが準備期間と位置づけられています。つまり、この記事を読んでいる時期はすでに準備期間の中です。
2026年度のスローガンは「ひとりひとりが貴重な人材 心も体も健やかに みんな生き生き健康職場」。重点分野としては、労働者の健康管理、長時間労働対策、メンタルヘルス対策、化学物質対策などが挙げられています。
働く側にとってのポイントは、この期間は職場の安全衛生担当が動きやすい時期だということです。社内報や朝礼で健康関連の案内が出たり、未受診者への呼びかけが強まったりします。自分から問い合わせるハードルも、この1ヶ月はぐっと下がります。
- 社内ポータル・就業規則で今年度の健康診断の日程を探す
- 受診票・受診案内が自分宛てに届いているか確認する
- ストレスチェックの実施時期が案内されているか確認する
- 前回の健診結果通知を手元に出しておく
自分の職場の実施状況はどこで確認する?
まず見るのは、就業規則と社内ポータル、それから総務・人事からの一斉メールです。健康診断は年に一度の定例業務なので、たいていどこかに日程の告知が残っています。メールの検索窓に「健康診断」「健診」「受診票」と打ち込むのが最短です。
探しても出てこない、あるいは自分宛ての受診案内が見当たらない場合は、人事労務の担当者か産業保健スタッフに直接聞きます。言い方は難しく考えなくて大丈夫です。
- 「お疲れさまです。今年度の定期健康診断について、実施予定日と受診方法を確認させてください。受診票が手元に見当たらず、配布済みでしたら再発行をお願いできますでしょうか。」
- 「ストレスチェックの今年度の実施時期について、決まっていれば教えていただけますか。」
- 「健診が委託先の医療機関で個別受診の形式でしたら、予約可能な期間も合わせて教えてください。」
健康診断は、労働安全衛生法第66条にもとづいて業種や会社の規模を問わず実施義務があります。定期健康診断は1年以内ごとに1回、有害業務に従事している人向けの特殊健康診断は6か月以内ごとに1回です。だから「うちの会社は小さいので」と遠慮する必要はありません。聞くこと自体が想定されている手続きです。
健康診断の実施状況は、会社にとっても管理しなければならない情報です。未受診者が残ることは会社側のリスクになるため、むしろ状況を教えてもらえるほうが担当者は助かります。健診結果の個人票は5年間保存する義務もあり、記録として扱われる前提の手続きです。
健診で「要精密検査」が出たら次に何をする?
結果通知を封筒に入れたまま、という人は少なくありません。ただ、所見がついた場合は、そこから先に会社側の手続きが用意されています。
健康診断の結果に異常の所見があった労働者について、事業者は健診実施日から3か月以内に医師(産業医を選任している事業場では産業医)の意見を聴く義務があります。そのうえで、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数減少といった事後措置を検討することになっています。
この仕組みは、健診結果が会社の担当部署に届いていて初めて動きます。個別に医療機関で受診した場合など、結果の共有が遅れているケースもあります。所見が出たら、自分からも人事に結果を渡し、産業医面談を希望する旨を伝えるのが早いです。
- 結果通知を開いて所見欄を確認する「要精密検査」「要治療」「要医療」といった区分が書かれていないかを見ます。
- 会社に結果が届いているか確認する個別受診の場合、結果の写しを提出する運用になっていることがあります。
- 産業医面談を希望すると伝える「健診結果に所見がありました。産業医の先生に相談する機会をいただけますか」と人事に伝えます。
- 精密検査の予約を先に押さえる面談の前でも後でも構いません。日程が埋まりやすいので、枠の確保を優先します。
- 業務上の配慮が必要なら具体で伝える「深夜対応のある日を減らしたい」など、業務の形で伝えると検討しやすくなります。
3か月以内の意見聴取も、事後措置の検討も、会社に課された義務です。ただし、それによって必ず希望どおりの配慮が受けられると決まっているわけではありません。医師の意見をふまえて検討する仕組みなので、結果は個々の状況によります。制度に期待しすぎず、「相談の場をつくるための足場」として使うのが現実的です。
ストレスチェックで高ストレスと出たら自動で面談になる?
ここが、健康診断といちばん違うところです。ストレスチェックの面接指導は「本人の申出」が起点になっています。高ストレス者と判定され、本人が申し出た場合に、事業者は医師による面接指導を実施する義務を負う、という組み立てです。
つまり、結果の通知が届いても、黙っていれば面談は設定されません。判定を見て「まあ、そこまでではないか」と思って何もしないでいると、そのまま何も起きないまま1年が過ぎます。
申出をためらう人は多く、実務の現場でもそれは織り込まれています。結果通知のときに案内する、通知から一定期間たってから状況を確認して勧める、申出のなかった対象者に改めて勧める——といった働きかけの方法が使われているのは、申し出にくさが前提にあるからです。
逆に言えば、申出は制度が想定している通常の行動であって、例外的な訴えではありません。面接指導は医師が行うもので、健康診断で所見が出たら精密検査に行くのと、手続きとしては同じ並びにあります。
- いつから、どんな状態が続いているか(眠れない・朝に起きられない等)
- 直近の労働時間と、繁忙のピークがいつだったか
- 業務のどの部分がいちばん負荷になっているか
- 変えられたら楽になりそうな点(人数・期限・担当範囲など)
職場でストレスチェックをやっていない場合は?
ストレスチェックは2015年12月から、常時使用する労働者が50人以上の事業場で年1回の実施が義務づけられています。50人未満の事業場は、現時点では努力義務です。
この点は今後変わります。2025年5月14日に労働安全衛生法などの改正法が公布され、2026年6月10日には施行期日を定める政令が公布されました。これにより、2028年4月1日から労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されることが確定しています。なお、2028年4月1日以降も、労働基準監督署への実施結果の報告義務があるのは50人以上の事業場のみです。
実際にどのくらいの職場が取り組んでいるのかは、厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査(実態調査)に出ています。
| 事業所規模 | 何らかのメンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合 |
|---|---|
| 労働者50人以上 | 94.3% |
| 30〜49人 | 69.1% |
| 10〜29人 | 55.3% |
| 全体 | 63.2% |
厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」の公表データをもとに作成
上の表のとおり、規模が小さくなるほど取り組み率は下がります。メンタルヘルス対策を実施している事業所のうちストレスチェックを実施している割合も、50人以上では89.8%ですが、30〜49人では57.8%、10〜29人では58.1%です。小さい職場ほど、未実施のところが一定割合で残っているのが実態です。
自分の職場が50人未満で未実施でも、2026年9月現在は努力義務の段階なので違法ではありません。それでも、実施予定があるかを一度聞いてみる価値はあります。義務化の期日が決まっている以上、いずれ準備が必要になるためです。厚生労働省は2026年2月に、50人未満の事業場向けの新しいストレスチェックマニュアルを公開しています。
職場に相談先がない場合は、地域産業保健センターなど外部の窓口を使う方法もあります。産業医を選任していない規模の事業場を支える仕組みです。
下期の忙しさに飲み込まれないための入れ方
10月からは下期の目標設定、11月には年末調整の書類、12月には年内最終出社に向けた前倒し。予定を入れる余地は、月が進むほど減っていきます。
- 今週:状況確認だけ済ませる受診票の有無と実施予定日を調べる、または人事に1通送る。ここは5分で終わります。
- 9月中:予約を取る個別受診なら医療機関の枠を押さえます。健診の予約は10月〜12月が混みやすい時期です。
- 10月上旬:受診する労働衛生週間の期間中は職場でも話題に出やすく、半休も取りやすくなります。
- 結果が届いたら:その日のうちに開封する所見があれば人事へ連絡、なければ次年度まで保管。判断は5分で済みます。
今まさに体調を崩している、眠れない日が続いているという場合は、年1回の健診やストレスチェックの順番を待つ必要はありません。制度の周期とは関係なく、医療機関の受診を先に検討してください。この記事の手順は、あくまで「特に不調はないが後回しにしている」「結果通知を放置している」状態から動き出すためのものです。
健康診断もストレスチェックも、受けること自体が目的ではありません。結果を見て、必要なら次の手続きにつなげるところまでが一式です。準備期間のうちに状況を確認しておけば、10月以降は予定どおり消化するだけになります。
よくある質問
2026年度の全国労働衛生週間はいつですか?
2026年度(令和8年度)の全国労働衛生週間の実施期間は2026年10月1日(木)から10月7日(水)までです。9月1日から9月30日までが準備期間とされています。厚生労働省と中央労働災害防止協会の主唱により昭和25年(1950年)から実施されており、2026年度で第77回目です。
健康診断を受けないと違法になりますか?
労働安全衛生法第66条により、事業者には労働者に医師による健康診断を実施する義務があり、労働者側にも受診する義務があります。業種や事業規模を問わず対象です。なお、特殊健康診断の未実施や結果報告義務の違反については労働安全衛生法120条により50万円以下の罰金の可能性があるとされますが、一般の定期健康診断の未実施については行政指導や是正勧告の対象になりうるものと考えておくのが安全です。
ストレスチェックで高ストレスと判定されたら、面談は自動で設定されますか?
自動では設定されません。ストレスチェックの面接指導は本人の申出が起点となる制度設計で、高ストレス者と判定された本人が申し出た場合に、事業者は医師による面接指導を実施する義務を負います。結果の通知を受け取っただけでは面談は始まらないため、相談したい場合は自分から申し出る必要があります。
従業員50人未満の会社でもストレスチェックは実施されますか?
現時点では、常時使用する労働者が50人以上の事業場に年1回の実施義務があり、50人未満の事業場は努力義務です。ただし2025年5月14日公布の改正法と2026年6月10日公布の政令により、2028年4月1日から50人未満の事業場にも実施が義務化されることが確定しています。義務化後も労働基準監督署への実施結果の報告が必要なのは50人以上の事業場のみです。
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