オンライン面接のノイズキャンセリング、無料5つの差は?
画像出典: フリー素材ぱくたそ (モデル: 大川竜弥)
オンライン面接の雑音対策は、まず使う会議アプリ内のノイズ抑制設定をオンにするのが最短で、Zoomは「背景雑音を抑制」、Teamsは既定で「自動」が入っています。会議アプリをまたいで効かせたい場合はKrisp(無料枠は1日60分)、RTX搭載PCならNVIDIA Broadcastが追加費用なしで使えます。設定を変えたら必ず本番前に自分の声を録って聞き返し、声が削られていないかを確かめます。
自宅は、面接用に設計された部屋ではありません。換気扇も、宅配のインターホンも、外を走る車も、こちらの都合では止まってくれません。雑音は「消す」より「拾わせない」ほうが現実的です。
そして雑音を拾わせない手段は、実はすでに手元にあることが多いです。ZoomやTeamsには雑音を抑える設定が最初から入っていて、オンにするだけで効きます。正直なところ、ここを触っていない人がかなり多いところです。
以下では、追加費用ゼロで始められるものから順に、何がどこまでできるのかと、面接前日にやっておく設定手順をまとめます。
オンライン面接のノイズキャンセリングとは何をしている機能?
ノイズキャンセリング(ここではマイク側の雑音抑制のこと)は、マイクが拾った音のなかから「人の声」と「それ以外」を分け、それ以外を小さくしてから相手に送る処理です。耳に当てるイヤホンの消音機能とは別物で、相手に届く音を整えるほうの話です。
イメージとしては、マイクの前に声だけを通すフィルターを一枚かける感じです。だから原理上、声と似た成分の音(別の人の話し声など)は苦手で、逆に換気扇やファンのような一定の音には強く効きます。
ここを押さえておくと、次の判断がしやすくなります。効きを強くすればするほど安全になるわけではなく、強くかけすぎると自分の声の一部まで削られます。Zoomも「高」設定について、声が十分に検出できない場合は音質に悪影響が出ることがあると案内しています。面接で声がブツッと切れるのは、雑音が少し入るより印象が悪いです。
追加費用なしで今すぐできるのはどれ?
まず、使う会議アプリの中にある機能です。インストールも不要で、設定画面を開くだけです。
Zoom:設定 > オーディオの「背景雑音を抑制」
- 設定を開くZoomデスクトップ版の設定から「オーディオ」を選びます。
- 抑制レベルを選ぶ「背景雑音を抑制」は自動・低・中・高の4段階です。
- 部屋の音に合わせる道路音のような持続的な低レベルの音なら「低」、換気扇やペンを叩く音のような通常レベルなら「中」、タイピング音や犬の鳴き声のような強い雑音なら「高」が目安とされています。
- 声を確認する「高」は声の検出が不十分だと音質に影響する場合があります。上げたら必ず自分の声を聞き返します。
スマホのZoomから参加する場合は、「詳細」から「オーディオ設定」に進み、「ノイズ除去」にチェックを入れると有効になります。
Microsoft Teams:既定は「自動」
Teamsのノイズ抑制は、紙をめくる音・ドアの開閉音・犬の鳴き声といった背景音を軽減する機能で、既定値が「自動」です。設定は自動・高・低・オフの4種類で、デスクトップ(Windows/Mac)、モバイル(iOS/Android)、Teams Rooms(Windows)、Azure Virtual Desktopに対応しています。
つまりTeams面接なら、何もしていなくても最低限は効いている状態です。それでも気になるなら「高」に上げる、という順番になります。
Windows 11:音声フォーカス(Voice Focus)
会議アプリより手前、OS側で声を分離する機能もあります。Windows 11バージョン24H2以降のWindows Studio Effectsにある音声フォーカスで、キーボードの打鍵音・PCのファン音・交通音などを抑えます。
ここで一点、ハードウェアの線引きがあります。NPU(AI処理用のチップ)を使う高度版は、NPUを積んだPC(Copilot+ PCという呼び名で売られている新しい世代のパソコン)が必要で、ソフトウェアのみで動く基本版は通常のCPUでも使えます。同系統のVoice Clarityも、当初はNPU搭載の一部機種に限られていたものが、一般的なWindowsパソコンに広く載っているx86/x64という種類のCPUへ対象を広げる方向で進んでいます。自分のPCで項目が出てこない場合は、設定が悪いのではなく世代の問題という可能性が高いです。
専用アプリを入れると何が変わる?
会議アプリ内蔵の機能は、そのアプリの中でしか効きません。面接がZoom、カジュアル面談がGoogle Meet、商談は電話アプリ——このように窓口が分かれる人は、どのツールにも被せられるタイプのほうが管理が楽です。
Krisp
Krispは常駐してマイク・スピーカー両方の音から雑音を除去するアプリで、会議ツールを問わず共通して効きます。無料のFreeプランはノイズキャンセリングが1日60分まで、文字起こしは無制限、AI議事録は1日2回までです。
面接1本なら60分枠で足りることが多く、「今日は面接があるから使う」という使い方なら無料で回せます。有料プランはノイズキャンセリング無制限・文字起こしや要約の無制限・録音・ストレージなどが付きますが、料金は情報源によって表記が分かれています。実際に契約を検討する段階では、krisp.aiの料金ページで最新の金額を確認してください。
NVIDIA Broadcast
GeForce RTXなどのRTX系GPU(映像処理を担う部品で、ゲーミングPCや動画編集向けPCに載っていることが多いもの)を搭載したPC向けに、無料配布されているAIノイズ抑制ソフトです(RTX Voiceの後継)。OBS Studio、Discord、Zoom、WebEx、Slack、Skype、Chromeなどに対応し、マイク音・スピーカー出力音の双方から犬の鳴き声・生活音・換気音などを除去できます。
NVIDIA Broadcastは、対応するRTX系のGPUと、一定以上の新しさのドライバ(その部品をWindowsが動かすための制御ソフト)が前提で、一般的な薄型ノートPCでは使えないことがあります。「無料だから全員におすすめ」ではなく、該当するGPUを積んだPCを持っている人だけの選択肢です。手持ちの機種で動かないなら、Zoom/Teamsの設定とKrispの無料枠で十分に戦えます。
結局どれを選べばいい?(比較表)
| 費用 | 必要な準備 | 効く範囲 | 向いている人 | |
|---|---|---|---|---|
| Zoom 背景雑音を抑制 | 無料(Zoom内蔵) | 設定 > オーディオで4段階から選ぶ | Zoomの通話のみ | 面接がZoom指定の人 |
| Teams ノイズ抑制 | 無料(Teams内蔵) | 既定で「自動」。自動/高/低/オフ | Teamsの通話のみ | Teams面接・社内会議が多い人 |
| Windows 11 音声フォーカス | 無料(OS機能) | Windows 11 24H2以降。高度版はNPU搭載機 | PCのマイク入力全般 | 打鍵音・ファン音が気になる人 |
| Krisp | 無料枠は1日60分/有料は未確認 | アプリをインストールして常駐 | 会議ツールを問わず(マイク・スピーカー両方) | 複数ツールを使い分ける人 |
| NVIDIA Broadcast | 無料 | RTX系GPUと対応ドライバ | 対応アプリ(Zoom・Slack・Chrome等) | RTX搭載PCを持っている人 |
各ツールの公表情報をもとに作成(Krispの有料プラン価格は情報源により表記が異なるため空欄としています)
選び方は単純です。面接で使うツールが1つに決まっているなら、そのツール内蔵の設定だけで十分。Zoom指定ならZoomの「背景雑音を抑制」、Teams指定ならTeamsの「高」。ここで止まっていい人が大半です。
応募先ごとに違うツールを指定される時期に入っているなら、Krispの無料枠を足します。1日60分なので、面接当日だけ起動する運用が現実的です。そしてRTX搭載PCを持っているなら、NVIDIA Broadcastが費用ゼロで一番強い選択になります。
面接前日にやっておく確認は?
どのツールを選んでも、設定を変えた直後の音を自分で聞いていないなら、本番で初めて確認することになります。前日に通しで確かめます。
- 静かな場所を確保する。騒音のリスクを先に排除できる部屋を選ぶのが場所選びの前提です
- 回線を確認する。モバイルWi-Fiルーターやスマホのテザリングは不安定になりやすく、安定した有線・固定回線が無難です
- 使用アプリをダウンロードし、アカウント・URL・パスワードを確認しておく
- 接続・音声・カメラを事前テストする。PCのCPU性能が低いと音声・映像の処理が遅れる可能性があるため、動作確認まで含めて行う
- ノイズ抑制をオンにした状態で自分の声を録り、語尾が削られていないか聞き返す
上のうち、省略されがちなのが最後の1行です。雑音が消えたかだけを確認して、声が無事かを確認していないケースがよくあります。「お世話になっております」の最初の一音が欠けるような症状が出たら、抑制レベルを1段下げます。
突発音はソフトで完全には防げません。先手として、宅配の時間指定を面接の時間帯から外す、同居している人に時間を伝えておく、インターホンの音量を下げておく、といった物理的な手当てが効きます。ノイズキャンセリングは「常時鳴っている音」に強く、「一度だけ鳴る大きな音」には弱い——この性質を前提に段取りを組むほうが確実です。
それでも鳴ってしまったら、黙って耐えるより「失礼しました、宅配が来たようです」と一言入れて続けるほうが自然に収まります。自宅から参加していることは相手も分かっています。
どこから手をつけるのが最短?
やることを1つに絞るなら、今日、面接で使う会議アプリの設定画面を開いて、ノイズ抑制の項目を確認する。ここです。Zoomなら設定のオーディオ、Teamsなら既定で自動が入っているかの確認。所要時間は数分で、費用もかかりません。
そのうえで音を録って聞き返し、まだ気になるならKrispの無料枠を試す。この順番で進めれば、お金を使う判断は最後まで保留できます。知ってから決めればいい部分です。
よくある質問
Zoomの背景雑音を抑制は、どのレベルを選べばいいですか?
Zoomの「背景雑音を抑制」は自動・低・中・高の4段階です。道路音のような持続的な低レベルの音は「低」、換気扇やペンを叩く音のような通常レベルの雑音は「中」、タイピング音や犬の鳴き声のような強い雑音は「高」が目安とされています。ただし「高」は声そのものが十分に検出できない場合に音質へ悪影響が出ることがあるため、上げたあとは自分の声を録って確認してください。
Microsoft Teamsのノイズ抑制は、自分でオンにする必要がありますか?
Teamsのノイズ抑制は既定値が「自動」のため、設定を変えていなくても有効な状態です。設定は自動・高・低・オフの4種類で、デスクトップ(Windows/Mac)、モバイル(iOS/Android)、Teams Rooms(Windows)、Azure Virtual Desktopに対応しています。紙をめくる音やドアの開閉音、犬の鳴き声などが軽減されます。
Krispは無料のままオンライン面接に使えますか?
KrispのFreeプランはノイズキャンセリングが1日60分まで使えるため、面接1本であれば無料枠で足りることが多いです。文字起こしは無制限、AI議事録は1日2回までとなっています。有料プランは価格表記が情報源によって分かれているため、契約前にkrisp.aiの料金ページで最新の金額を確認してください。
手持ちのノートPCでNVIDIA Broadcastは使えますか?
NVIDIA Broadcastは無料で配布されていますが、利用には対応するGeForce RTX系のGPU(映像処理を担う部品)と一定以上のドライバ(その部品を動かすための制御ソフト)が必要で、汎用的なノートPCでは使えない場合があります。該当するGPUがない場合は、ZoomやTeamsの内蔵ノイズ抑制、Windows 11の音声フォーカス、Krispの無料枠で代替できます。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。