在宅勤務で集中できない人の、環境作り4つのコツ
画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
在宅で集中が切れるのは意志の弱さではなく、環境と時間割が未設計だからです。湿度40〜60%・室温を管理し、視界から割り込みを外し、25分作業+5分休憩で区切り、起床と食事の時間を固定します。この4点を先に決めておくと、集中は「頑張って出すもの」から「続く状態」に変わります。
在宅勤務そのものを手放したい人は、実はあまり多くありません。パーソル総合研究所が2025年7月に実施した調査では、テレワークの継続希望は82.2%と過去最高でした。つまり多くの人は「続けたい、でも集中が続かない」という状態にいます。
正直なところ、これは根性でどうにかする話ではありません。オフィスには照明も机も、周りの人の視線も、はじめから用意されていました。家にはそれがないだけです。用意されていないなら、自分で用意すればいい——やることはそれだけです。
ここでは、環境・時間割・休憩の3つに分けて、今日の午後から試せる形に落としていきます。
なぜ家だと集中できないのか?
原因は大きく2つに分かれます。ひとつは割り込み、もうひとつは体感の不快さです。
割り込みのほうは数字にも出ています。在宅勤務者を対象にした調査では「家族がいるときに仕事に集中しづらい」が27.6%、「仕事に集中できる空間がない」が13.6%でした。子どもと同居している人ではさらに顕著で、連合が2020年に行った調査では、高校生以下の子と同居する在宅勤務者の70.2%が「子どもが家にいるとテレワークに難しさを感じる」と答えています。小学生以下の子がいる人に限ると80.9%で、子がいない人の39.8%の約2倍でした。
ここで大事なのは、これが個人の集中力の問題として語られがちだけれど、実際には環境要因だということです。8割の人が同じ状態になるなら、それは性格ではありません。
小さな子どもと同じ部屋で終日仕事をする、といった状況は、机の配置や休憩の取り方では埋まりません。この場合に効くのは時間割のほう——「集中が要る仕事を、子どもが寝ている時間・預けている時間に寄せる」という配分です。環境で解こうとして解けず、自分を責めてしまう人が少なくないので、先に切り分けておきます。
湿度と室温は、集中の土台になる
意外と見落とされるのが空気です。人が快適と感じる湿度はおよそ40〜60%とされ、70%を超えると不快な症状が出やすくなります。雨の続く時期の室内は、この上限をあっさり超えます。
ここで効くのは、温度より湿度を先に下げることです。ダイキン工業の共同研究では、室温28℃のままでも湿度を下げることで疲労軽減に有効であることが実証されています。除湿を先に回し、それでも重ければ室温を26℃程度まで下げる、という順番が現実的です。
- 湿度計を見る(40〜60%に入っているか)
- 外れていればエアコンを「除湿」で先に回す
- それでも重だるければ室温を26℃前後まで下げる
- 手元が暗くないか(照明・音・香りといった感覚刺激のある環境のほうが集中を促す傾向が、経済産業省の2018年度調査でも示されています)
湿度計は数百円のもので構いません。「なんとなく集中できない」を「湿度が72%だった」に変換できるだけで、対処のしようが生まれます。
机まわりは「視界から割り込みを外す」だけでいい
買い揃えは後回しで構いません。効果が大きい順に並べると、最初に来るのはスマートフォンを視界の外に置くことです。ポモドーロ・テクニックの解説でも、スマホを視界の外に置く・電源を切るといった「割り込みを断つ準備」が効果を左右すると説明されています。
手の届く場所にあると、通知が鳴らなくても数分に一度は視線が行きます。引き出しの中、あるいは別の部屋の充電器の上——立ち上がらないと取れない距離が目安です。
- スマホを別室か引き出しへ「机の端」では近すぎます。取りに立つ手間が必要です。
- PCの通知を切るチャットとメールのデスクトップ通知をオフに。返信のタイミングは自分で決めます。
- 机の上を、今の1件だけにする別案件の資料が視界にあると、脳はそちらも処理しようとします。
- 着替えるパジャマのまま作業しないことは、在宅の集中術としてよく挙がる基本です。切り替えの合図として機能します。
4つとも、費用はゼロです。それでいて、机や椅子を買い替えるより先に効きます。
時間割はどう組めばいい?
在宅で崩れやすいのは、時間の輪郭です。オフィスなら会議や退勤時刻が勝手に区切りを作ってくれますが、家では朝から晩までが一枚の板になります。板のままだと、集中は「ずっと出し続けるもの」になり、続きません。
使えるのがポモドーロ・テクニック——25分作業+5分休憩を1セットとして繰り返す時間管理術です。目的は集中を強くすることではなく、切れる前に自分から切ることにあります。
1日をどう配分するか
| 時間帯 | 置く仕事 |
|---|---|
| 始業〜午前中 | 頭を使う仕事(資料の骨組み、企画、設計、判断が要るもの) |
| 昼過ぎ | 手を動かす仕事(データ入力、整形、定型のメール返信) |
| 夕方 | 連絡・確認と、翌日の優先順位付け |
頭を使う仕事を午前に寄せるのは、単に集中が残っているからだけではありません。午前に一番重い1件が片づいていると、午後に集中が落ちても「今日は進んだ」という実感が残り、翌日の立ち上がりが軽くなります。
朝いちばんにやること
その日のタスクに優先順位を付けてから始めることは、在宅勤務の集中術として繰り返し推奨されています。おすすめは、3件だけ書き出すやり方です。10件並べると、どれから手を付けるかの判断でまた時間が溶けます。
- 今日必ず終わらせる1件を書く(これだけは動かさない)
- できれば終わらせたい2件を書く
- 1件目を最初の25分に割り当てる
- 会議の予定を見て、25分がまるごと取れる枠を確認しておく
休憩はどう取るのが正解?
画面を見る休憩は、休憩として機能しにくいという問題があります。目も脳も同じ作業を続けているためです。5分の休憩に入れるなら、画面から目を離し、体を動かすものを選びます。
この点は在宅勤務の困りごとの傾向とも重なります。先のパーソル総合研究所の2025年調査で、テレワークの困りごとのトップに挙がったのは「運動不足を感じる」でした。休憩に体を動かす行動を置くと、集中の回復と運動不足の緩和を同時に拾えます。
- 立ち上がって窓の外を見る(遠くを見ると目の負担が抜けます)
- コップに水を汲みに行く(立つ理由が作れます)
- 肩を回す・首を伸ばす
- 洗濯物を1回分だけ動かす(家事を丸ごとやろうとしないのがコツ)
資料を一気に書き上げる、コードを書く、長い文章を読むといった仕事では、乗ってきたところで5分休憩が入ると、かえって流れが切れます。この場合は25分にこだわらず、50分作業+10分休憩のように倍のサイズで組んでください。大事なのは25分という数字ではなく、区切りを自分で決めてあることです。
生活リズムは、仕事時間より先に整える
在宅勤務の集中力について語られるとき、最後に必ず出てくるのが起床・就寝・食事の時間を一定に保つことです。地味ですが、これが崩れていると環境も時間割も効きません。
通勤がなくなると、起床時刻は毎日少しずつ後ろへずれていきます。ずれた分だけ始業直後の頭が働かず、午前に置いたはずの重い仕事が午後へ押し出され、夜に食い込む。集中が続かない日の原因は、たいてい前の晩か、その日の朝にあります。
- 起床時刻だけ固定する就寝時刻より先に、起きる時刻を1つ決めます。休日も1時間以内のずれに収めると崩れにくくなります。
- 昼食の時間を決める「きりが良くなったら」にすると、たいてい14時を過ぎます。
- 終業の合図を作るPCを閉じる、机の上を片づける、散歩に出る。何でも構いませんが、毎日同じ行動にします。
在宅勤務は、うまく設計できれば通勤時間がそのまま自分の時間になる働き方です。集中が続かないうちは、その利点まで削られてしまいます。まずは湿度計とスマホの置き場所——この2つだけでも、今日の午後から変わります。
よくある質問
在宅勤務で集中できないのは自分の意志が弱いからですか?
多くの場合は環境要因です。在宅勤務者を対象にした調査では「家族がいるときに仕事に集中しづらい」が27.6%、「仕事に集中できる空間がない」が13.6%を占め、高校生以下の子と同居する人では70.2%が難しさを感じると回答しています。同じ条件で多くの人が同じ状態になるため、意志の強さではなく環境と時間割の設計で対処するのが現実的です。
在宅勤務中の部屋の湿度と室温は、どのくらいがよいですか?
快適とされる湿度はおよそ40〜60%で、70%を超えると不快な症状が出やすくなります。ダイキン工業の共同研究では、室温28℃のままでも湿度を下げることで疲労軽減に有効であることが実証されており、まず除湿を優先し、それでも重だるい場合に室温を26℃程度まで下げる順番が有効です。
ポモドーロ・テクニックとは何ですか?
25分作業して5分休憩する、というサイクルを繰り返す時間管理術です。集中を強く保つことより「切れる前に自分で区切る」ことに意味があります。効果を左右するのは休憩の取り方より準備のほうで、スマートフォンを視界の外に置く・電源を切るなど、割り込みを断ってから始めることが重要とされています。
在宅勤務の休憩時間には何をすればいいですか?
画面から目を離し、体を動かす行動を選ぶのが有効です。立ち上がって窓の外を見る、水を汲みに行く、肩を回すなどが向いています。パーソル総合研究所が2025年7月に実施した調査では、テレワークの困りごとのトップが「運動不足を感じる」でした。休憩に立ち上がる行動を組み込むと、集中の回復と運動不足の緩和を同時に狙えます。
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