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年末調整の基礎控除欄、2026年分で変わった書き方

2026年11月5日|いろは堂キャリア編集部
室内の机で電卓と税金の申告書類にペンで記入する人の手元。

画像出典: ぱくたそ (PAKUTASO)

この記事の要点
令和8年分(2026年12月1日以後に行う年末調整)から、基礎控除申告書の「控除額の計算」表と配偶者控除等申告書の「判定」欄の金額が改正後の数値に変わりました。基礎控除は合計所得132万円以下で104万円、132万円超336万円以下で62万円、655万円超2,350万円以下で58万円など区分が細かくなり、配偶者控除の対象となる配偶者の合計所得要件も58万円以下から62万円以下に引き上げられています。記入欄に書くのは給与収入額ではなく給与所得(収入から給与所得控除を引いた額)で、前年の数字をそのまま写すと控除額を誤ります。
😟
毎年なんとなく書いてるけど、基礎控除の欄って去年と同じでいいんだよね?

令和8年分の年末調整では、基礎控除申告書の「控除額の計算」表と、配偶者控除等申告書の「判定」欄の金額が改正後の数値に差し替わりました。去年の控え通りに書き写すと、控除額が合わなくなります。

正直なところ、用紙の名前からして長いです。「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」——これが1枚の紙に詰まっているので、どこが自分に関係する欄なのか分かりにくい。

やることは多くありません。自分の「合計所得金額」を1つ出して、表のどの行に当たるかを見る。配偶者がいれば、同じことを配偶者の分でもう一度やる。それだけです。順番に見ていきます。

2026年分(令和8年分)の年末調整は何が変わった?

変更の出どころは令和8年度税制改正です。基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円→74万円)、配偶者・扶養親族等の所得要件の改正が行われ、それに合わせて申告書の様式そのものが変わりました。改正規定は令和8年12月1日に施行され、同日以後に行う年末調整から適用されます。今年の年末調整が最初の適用になります。

用紙の上で実際に変わったのは、次の3か所です。

様式で変わったところ
  • 基礎控除申告書の「控除額の計算」表の金額
  • 特定親族特別控除申告書の「控除額の計算」表の金額
  • 配偶者控除等申告書の「判定」欄の金額

加えて、保険料控除申告書の生命保険料控除欄に、23歳未満の扶養親族がいる場合の特例記載欄が追加されています。

国税庁は令和8年分の各種様式を2026年6月30日に、「令和8年分 年末調整のしかた」を2026年8月31日に公表しています。手元の用紙が令和8年分かどうかは、用紙の左上の年分表記で確認してください。

あなたは「配られる側」?それとも「自分で取りに行く側」?

年末調整の書類は、勤務先から配られる人と、自分で様式を入手する人で、最初の一歩が変わります。先に自分がどちらか決めておくと迷いません。

配られる側(会社員・パートで勤務先が1つ)
  • 勤務先が配る用紙に記入して提出する
  • やることは「自分の合計所得金額の見積もり」を出して、表から控除額を読むこと
  • 記入例が分からなければ、国税庁「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」の記載例を見る
自分から動く側(掛け持ち・副業あり・年の途中で転職した)
  • 主たる給与の支払者に、すべての給与を合算した見積もりを記載する必要がある
  • 前職がある場合は前職の源泉徴収票を取り寄せて合算する
  • 副業の所得も合計所得金額に含めて判定する(年末調整とは別に確定申告が要る場合もある)

基礎控除の欄には何を書く?給与収入ではなく「所得」

🤔
源泉徴収票に書いてある金額を写せばいいのかな…

基礎控除申告書の判定欄に書くのは「合計所得金額」で、給与の支払金額(年収)そのものではありません。ここが毎年いちばん多い誤りです。給与収入から給与所得控除を引いた残りが給与所得で、控除が使えるかどうかの判定はすべてこの所得ベースで行われます。

イメージとしては、年収という「売上」から、会社員の必要経費にあたる分(給与所得控除)を引いた「利益」が所得、という関係です。年収300万円の人の合計所得金額は300万円ではありません。

令和8年分は給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました。給与収入だけの人なら、目安として給与収入190万円以下は「給与収入−74万円=給与所得」という形になります。それより上の収入帯は国税庁の「給与所得控除後の金額の表」で換算するので、用紙と一緒に配られる表、または「令和8年分 年末調整のしかた」で自分の収入に当たる行を見てください。

合計所得金額を出す3ステップ

  1. 給与を所得に換算する見積もりの給与収入を、給与所得控除後の金額の表で給与所得に直します。勤務先が複数あるなら全部を合算してから換算します。
  2. 給与以外の所得を足す副業の所得、個人年金、その他の所得があれば加えます。これで「合計所得金額」になります。
  3. 表の行を探す出た金額が、基礎控除申告書の「控除額の計算」表のどの区分に入るかを見て、その行の控除額を記入します。

この3ステップは、国税庁の様式が求めている記載の順序を手順の形に整理したものです。用紙そのものに「ステップ1・2・3」と印字されているわけではありません。

令和8年分の基礎控除額

合計所得金額基礎控除額
132万円以下104万円
132万円超 336万円以下62万円
336万円超 489万円以下68万円
489万円超 655万円以下63万円
655万円超 2,350万円以下58万円
2,350万円超 2,400万円以下48万円
2,400万円超 2,450万円以下32万円
2,450万円超 2,500万円以下16万円
2,500万円超0円(適用なし)

国税庁タックスアンサーNo.1199(令和8年分)の公表データをもとに作成

上の表のとおり、所得が増えるほど控除額が単純に下がるわけではなく、336万円超〜489万円以下の区分で68万円に戻るなど、行ごとに金額が動きます。だからこそ「去年と同じ額を書く」が通用しません。自分の合計所得金額を出したうえで、必ず行をたどって読んでください。

配偶者控除の欄はどこが変わった?

令和8年分では、配偶者控除の対象になる配偶者の合計所得金額の要件が、58万円以下から62万円以下に引き上げられました。給与収入だけの配偶者なら、目安で年収136万円以下(令和7年分は123万円以下)が対象です。この136万円は「合計所得62万円+給与所得控除の最低保障額74万円」から出てくる目安の数字です。

配偶者特別控除の側も、対象となる配偶者の合計所得金額が62万円超133万円以下に変わりました(従来は58万円超133万円以下)。給与収入のみの場合、満額38万円の控除を受けられる給与収入の上限の目安は169万円です(本人の合計所得金額900万円以下の場合)。

控除額は「本人の所得区分 × 配偶者の区分」で決まる

配偶者控除等申告書は、本人の合計所得金額の区分(A:900万円以下/B:900万円超950万円以下/C:950万円超1,000万円以下)と、配偶者の区分を交差させて控除額を特定する作りになっています。つまり配偶者の所得だけ見ても控除額は決まりません。自分の所得も先に出しておく必要があります。

本人の合計所得金額一般の控除対象配偶者老人控除対象配偶者(70歳以上)
900万円以下38万円48万円
900万円超 950万円以下26万円32万円
950万円超 1,000万円以下13万円16万円
1,000万円超配偶者控除・配偶者特別控除とも適用なし

令和8年分の配偶者控除額について一創税理士法人が公表している区分をもとに作成

上の表は所得税の控除額です。住民税の配偶者控除額は所得税とは別建てで33万円(配偶者が70歳以上なら38万円)と決まっています。所得税で38万円だったから住民税も同額、ではない点だけ頭に入れておくと、翌年6月の住民税額を見たときに戸惑いません。

なお、配偶者特別控除の控除額は配偶者の所得に応じて段階的に下がっていきます。その逓減の各段階の金額は手元の令和8年分の様式に印字された表で確認してください。年の途中で配偶者の働き方が変わった場合は、12月時点の見込みで記入します。

提出前に見る7つのチェック

ここまでの内容を、書き終えた用紙を前にして上から確認できる形にしました。以下は編集部で手順として整理したもので、公式様式にこの順序が印字されているわけではありません。

出す前に指でたどる7項目
  • 判定欄に書いたのは「所得」か(年収をそのまま書いていないか)
  • 給与所得への換算は令和8年分の表を使ったか
  • 勤務先が複数ある場合、すべての給与を合算したか
  • 副業・個人年金などの所得を合計所得金額に足したか
  • 基礎控除額は令和8年分の区分表の行をたどって読んだか
  • 配偶者の合計所得金額を62万円以下/62万円超133万円以下で判定したか
  • 本人の所得区分(A/B/C)と配偶者の区分を交差させて控除額を転記したか
この書き方でカバーできないケースもあります

医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を使わない場合)は、年末調整では処理できず確定申告が必要です。副業の所得が一定額を超える場合や、2か所以上から給与を受けていて従たる給与がある場合も、年末調整だけでは完結しません。また、配偶者の所得が見積もりと実際でずれた場合は、確定申告か翌年の手続きで調整することになります。自分のケースが当てはまるか判断がつかないときは、勤務先の担当部署か所轄の税務署に、用紙を手元に置いた状態で聞くのが早いです。

去年の控えを写すのが危ないのはなぜ?

😌
去年のコピーを取っておいたから、それを見ながら書こうと思ってた

前年の控えは「自分の給与収入のおおよその水準」「配偶者の働き方」を思い出す材料としては役に立ちます。使ってはいけないのは控除額そのものです。令和8年分は、基礎控除額の区分も、配偶者の所得要件も、給与所得控除の最低保障額も、すべて変わりました。前年の控除額をそのまま転記すると、どの数字も現行の表と一致しません。

手順としては、前年の控えから収入の見当だけ借りて、控除額は令和8年分の表で引き直す。これが一番安全です。数字を出すのに使った計算のメモを用紙のコピーと一緒に残しておくと、翌年また同じところで迷わずに済みます。

最新の様式・記載例・解説動画は、国税庁の「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」(国税庁 各種申告書・記載例)で公開されています。手元の表と見比べながら進めれば、迷う時間はかなり減ります。

よくある質問

2026年分の年末調整はいつから新しい様式になりますか?

令和8年度税制改正による改正規定は令和8年12月1日に施行され、同日以後に行う年末調整から適用されます。国税庁は令和8年分の各種様式を2026年6月30日に、「令和8年分 年末調整のしかた」を2026年8月31日に公表しています。

基礎控除申告書の判定欄には年収を書くのですか?

年収(給与の支払金額)ではなく「合計所得金額」を書きます。給与収入から給与所得控除を引いた額が給与所得で、副業などの他の所得があればそれを合算した金額が合計所得金額です。所得控除が使えるかどうかの判定はすべてこの所得ベースで行われます。

令和8年分の配偶者控除は、配偶者の年収いくらまで対象ですか?

配偶者の合計所得金額が62万円以下であれば配偶者控除の対象です。給与収入のみの配偶者なら目安で年収136万円以下にあたります(令和7年分は123万円以下でした)。これを超えても合計所得133万円以下であれば配偶者特別控除の対象になります。

勤務先が2か所ある場合、年末調整の用紙はどう書きますか?

主たる給与の支払者に提出する申告書に、すべての勤務先の給与を合算した見積額をもとにした合計所得金額を記載します。片方の勤務先の分だけで判定すると控除額が実際と合わなくなります。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。