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教育訓練休暇給付金の申請手順、会社に頼む書類と30日の条件

2026年10月10日|いろは堂キャリア編集部
木製の机にノートパソコンとペン、手帳を置いた俯瞰の写真

画像出典: ぱくたそ (pakutaso.com)

この記事の要点
教育訓練休暇給付金は、雇用保険の被保険者が勤務先の就業規則にもとづき連続30日以上の無給の教育訓練休暇を取り、事業主の承認を受けたときに、休暇中の生活費として賃金の一定割合を受け取れる制度です。2025年10月1日に施行され、給付日数は雇用保険の被保険者期間に応じて90日・120日・150日の3区分に分かれています。申請は本人がハローワークに行う一方、休暇開始時の賃金月額証明書の届け出は事業主が担うため、最初の一歩は自社の就業規則に教育訓練休暇の規定があるかの確認になります。
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資格の勉強を本気でやりたいけど、仕事を辞めるのは怖い。かといって平日夜と週末だけだと一年かけても終わらない気がする…

仕事を続けたまま、まとまった期間だけ仕事から離れて学ぶ。その期間の生活費を雇用保険から受け取れる仕組みが、2025年10月1日に施行された教育訓練休暇給付金です。離職して失業給付を受けるのではなく、会社に在籍したまま無給の休暇を取る、という形をとります。

正直なところ、この制度は「本人が申し込めば終わり」ではありません。勤務先の就業規則と、事業主の承認、そしてハローワークへの届け出が噛み合って初めて成立します。だからこそ、条件と書類の順番を先に知っておくと動きやすくなります。

教育訓練休暇給付金とは?

教育訓練休暇給付金は、2024年5月に成立した雇用保険法等の一部を改正する法律で新設された雇用保険の給付で、2025年10月1日に施行されました。働く人が離職せずに教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取って仕事を離れる場合に、失業給付(基本手当)に相当する額を支給して休暇中の生活費を保障するものです。

イメージとしては、「会社を辞めずに、失業給付と同じ計算の給付を受けながら学ぶ期間をつくる」制度です。離職して教育訓練給付や失業給付を使う道と比べると、雇用関係が続く、社会保険もそのまま、終わったら元の職場に戻れる、という違いがあります。ここが最大の特徴です。

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じゃあ、三日間の集中講座に行くときも使えるの?

短期の受講は対象になりません。この給付は連続した30日以上の無給の教育訓練休暇が条件になっているため、数日から数週間の講座では条件を満たしません。想定されているのは、長期の資格取得講座、大学院、職業訓練コースのような、まとまった期間を必要とする学び直しです。

対象になる条件は?

条件は、本人の雇用保険の加入歴と、休暇そのものの形の二本立てになっています。どちらか一方だけでは足りません。

教育訓練休暇給付金の主な条件
  • 雇用保険の一般被保険者(65歳未満で週20時間以上働く、もっとも標準的な加入区分)であること
  • 就業規則等にもとづき、連続した30日以上の無給の教育訓練休暇を取得すること
  • その休暇について事業主の承認(合意)を受けていること
  • 休暇開始前2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上あること
  • 休暇開始前に通算5年以上、雇用保険に加入していた期間があること

見落としやすいのが「無給」である点です。有給の研修扱いで給与が出る休暇は、この給付の前提とは別のものになります。給与が止まる代わりに、雇用保険から給付を受ける、という組み立てです。

もう一点が、勤務先側の体制です。就業規則等に教育訓練休暇の制度が規定されていることが前提で、本人が希望し、事業主が承認するという両者の合意が必要になります。規定が無い会社では、まず制度そのものを整えてもらう話から始まります。

使いにくいケースもあります

雇用保険の加入が通算5年に届いていない人、休暇開始前2年間の被保険者期間が12か月に足りない人は対象外です。また、30日以上連続して職場を離れる前提なので、引き継ぎ先が確保できない一人担当の業務を抱えている場合は、休暇そのものの承認が現実的に難しくなります。無給期間の生活設計も含め、受け取れる額を先に確かめてから判断するのが安全です。

給付はいくら、何日分もらえる?

給付日数は、雇用保険の被保険者期間に応じて3つの区分に分かれます。

雇用保険の被保険者期間給付日数
5年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

厚生労働省およびかいけつ(労務情報サイト)の公表データをもとに作成

上の区分のとおり、加入歴が長い人のほうが長く受け取れます。90日分であれば、三か月前後の講座やコースと期間がおおむね噛み合う計算になります。

給付額の計算のしかた

算定方式は離職時の基本手当と同じで、計算式は「(休暇開始前6か月の賃金合計 ÷ 180)× 50〜80%」です。60歳から64歳は45〜80%になります。かっこの中が賃金日額で、この賃金日額が低いほど給付率は高くなる段階設計です。

60歳未満の給付率の目安は、賃金日額2,869円以上5,200円未満で80%、5,200円以上11,490円以下で80%から50%へ漸減、11,490円超12,790円以下で50%です。つまり賃金が高い人ほど、手取りの落ち込みは大きくなります。

受け取れる日額には上限があります

給付日額には年齢区分ごとの上限があります。基本手当と同じ算定方式のため、基本手当日額の上限額がそのまま給付日額の上限として働きます。

年齢区分上限額
30歳未満7,450円
30歳以上45歳未満8,270円
45歳以上60歳未満9,110円
60歳以上65歳未満7,830円
最低額(年齢区分なし)2,562円

厚生労働省および補助金ポータルの公表データをもとに作成(2026年8月1日現在)

上の表の額は毎年8月に改定されます。自分の場合いくらになるかは、厚生労働省が公式ページで提供している「教育訓練休暇給付金シミュレーター」で算出できます。無給期間に入る前に、毎月いくら入るのかを数字で押さえておくのが、計画を立てるうえでいちばん効きます。

申請の手順はどう進む?

ここからが実務です。以下の流れは、厚生労働省の公式ページに示された手続の順序にもとづいています(筆者が独自に整理した項目立てではありません)。手続の主体が、事業主と本人で入れ替わるのがこの制度の特徴です。

  1. 就業規則を確認し、会社に申し出る自社の就業規則等に教育訓練休暇の制度が規定されているかを確認します。そのうえで休暇の取得を申し出て、事業主と合意します。
  2. 事業主がハローワークに届け出る休暇の開始にあたり、事業主が「雇用保険被保険者教育訓練休暇開始時賃金月額証明書」をハローワークに届け出ます。ここは本人ではなく会社の手続です。
  3. 受講中に証明書をもらう訓練を受けている間に、本人が訓練実施機関等から「教育訓練受講証明書」を取得します。
  4. 訓練終了後に本人が支給申請する「教育訓練休暇給付金支給申請書」を必要書類とともに、本人がハローワークに提出します。

事業主向けのリーフレットには「教育訓練休暇給付金を受けるのは労働者本人ですが、手続に関して事業主の皆さまのご対応が必要です」と明記されています。事業主の役割は、就業規則への休暇制度の整備、賃金支払状況(無給であること)の届出、各種証明書の交付です。本人の役割は、事業主とよく相談し、必要書類を揃えてハローワークに提出することです。

公式専用ページには、労働者向け・事業主向けのリーフレット(簡略版を含む)と、パンフレット「教育訓練休暇給付金のご案内」が公開されています。人事に相談するときは、事業主向けのリーフレットを一緒に渡すと話が早く進みます。制度を知らない担当者にとって、必要な対応が一枚で分かる資料になるためです。

最初の一歩は何をすればいい?

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人事にいきなり「30日以上休ませてください」って言うの、ハードルが高すぎる…

切り出し方には順番があります。給付の条件は勤務先の就業規則に左右されるため、休暇を願い出る前に、制度の有無を事実として確認するほうが先です。確認の結果「規定が無い」と分かれば、その時点では休暇の相談ではなく制度整備の相談に変わります。

相談前に手元で済ませておくこと
  • 自分の雇用保険の加入期間(通算5年以上あるか、直近2年で12か月以上あるか)
  • 就業規則に教育訓練休暇の規定があるか(社内ポータルや就業規則本体を検索)
  • 受けたい講座・コースが連続30日以上の期間になるか
  • シミュレーターで出した給付日額と、給付日数(90日・120日・150日のどれか)
  • 休暇中に止まる給与と、給付で入る額の差額

この5つが埋まっていれば、人事との会話は「制度を使えますか」ではなく「この条件で使えると思うのですが、会社側の手続はどうなりますか」という具体的な相談になります。無給期間の生活の見通しも自分で示せるため、思いつきの相談には見えません。

規定が無い場合でも、道が閉じるわけではありません。この給付は2025年10月1日に施行されたばかりで、就業規則の整備が追いついていない会社も少なくありません。制度の存在と事業主の対応内容を伝えること自体が、整備の入口になります。まずは自社の就業規則を開いて、「教育訓練休暇」の文字があるかを見てみるところからで十分です。

よくある質問

教育訓練休暇給付金はいつ始まった制度ですか?

2024年5月に成立した雇用保険法等の一部を改正する法律で新設され、2025年10月1日に施行された雇用保険の給付制度です。労働者が離職せずに教育訓練へ専念できるよう、自発的に取得した休暇期間の生活費を保障する目的で設けられました。

教育訓練休暇給付金の申請は本人がするのですか、会社がするのですか?

給付を受けるのは労働者本人で、支給申請書の提出も本人がハローワークに行います。ただし休暇開始時の「雇用保険被保険者教育訓練休暇開始時賃金月額証明書」の届け出は事業主が行うため、会社側の対応も必要です。事業主は就業規則への休暇制度の整備、無給であることの届出、各種証明書の交付を担います。

教育訓練休暇給付金は何日分もらえますか?

雇用保険の被保険者期間によって3区分です。5年以上10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日となります。給付額は離職時の基本手当と同じ算定方式で、休暇開始前6か月の賃金合計を180で割った賃金日額に50〜80%(60〜64歳は45〜80%)を掛けて算出します。

勤務先に教育訓練休暇の制度が無い場合は使えますか?

就業規則等に教育訓練休暇の制度が規定されていることが前提のため、規定が無い状態では利用できません。その場合は、休暇取得の相談ではなく勤務先に制度を整備してもらう相談が先になります。厚生労働省の公式ページには事業主向けのリーフレットが公開されており、必要な対応を社内で共有する資料として使えます。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。