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社会人の勉強時間、疲れた日でも続く3つの工夫

2026年5月31日|いろは堂キャリア編集部
机で課題に取り組む学習者

画像出典: 写真: Heidy Garcia(CC BY 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
平日の夜にまとまった学習時間を確保しようとすると、疲労でほぼ確実に崩れます。朝30分・通勤の往復・週末の午前という3か所に学習を分散し、5分用・15分用・30分用に教材をあらかじめ仕分けておくと、疲れた日でも学習が止まりません。学習時間は「空いたらやる」ではなく、先にカレンダーへ入れて確保します。
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資格の勉強、始めたはずなんです。でも帰宅すると21時で、ご飯食べてお風呂入ったらもう無理で……。テキストが3週間開かれてません。

平日の夜は、社会人にとって一番学習に向かない時間帯です。一日分の判断を使い切ったあとに、新しいことを覚える作業を持ってくるのですから、続かないほうが自然です。

正直なところ、ここでやりがちなのが「意志が弱いからだ」と結論づけて、翌週また同じ夜の計画を立て直すことです。同じ場所に置き直しても、同じところで崩れます。

変えるのは自分の根性ではなく、学習を置く時間帯そのものです。朝・通勤・週末という、疲労がまだ溜まりきっていない3か所へ分散させます。以下、その組み方を順に見ていきます。

そもそも社会人はどのくらい勉強しているのか?

総務省統計局の令和3年社会生活基本調査によると、学業以外の「学習・自己啓発・訓練」を過去1年間に行った人の割合(行動者率)は39.6%でした。5年前の2016年調査(36.9%)から2.7ポイント上がっており、70〜74歳を除く全ての年齢階級で上昇しています。

裏を返せば、6割の人は1年間まったく学習していません。「周りはみんなやっているのに自分だけ」という感覚は、数字の上ではかなり事実とずれています。

もうひとつ、同じ調査で興味深い数字があります。1日あたりの生活時間配分(週全体平均)で見た学習・自己啓発・訓練の時間は、総数で0時間13分。2016年から横ばいです。これは学習していない人も含めた全人口の平均なので、実際に学習している人の1日はこれより長くなりますが、社会全体としては「1日十数分」の規模で動いているということです。

😲
13分……? 毎日2時間くらいやらないと駄目だと思ってました。

最初の設計ミスは、たいていここにあります。いきなり1日2時間の枠を置こうとするから、平日の夜という一番苦しい場所にしか収まらなくなる。1日30分でも、崩れずに半年続けば90時間です。

通勤時間を学習に回すと、実際どのくらい変わる?

同じ調査に、平日・有業者の学習・自己啓発時間をテレワーク実施の有無で分けた数字があります。テレワーク実施者と非実施者で、通勤時間の有無が学習時間にどう表れているかが見えます。

テレワーク実施者非実施者
総数0時間10分0時間4分
25〜34歳0時間15分0時間4分
35〜44歳0時間10分0時間3分
45〜54歳0時間6分0時間3分

総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」の公表データをもとに作成

上の表で、どの年齢層でも実施者のほうが長くなっています。25〜34歳では0時間4分と0時間15分で、3倍以上の差です。統計局はこの傾向について、通勤時間が減った分が学習・自己啓発や趣味の時間に回っていると説明しています。

通勤の往復は、それ自体が学習時間になり得る大きさを持っているということです。ただし、テレワークができない場合は「通勤をなくす」のではなく「通勤中に学習を入れる」方向で使います。電車内でスマホのタイムラインを見ている時間、あるいは半分眠っている時間が、そのまま置き換え先になります。

朝・通勤・週末をどう組み合わせる?

3つの時間帯には、それぞれ向いている学習の種類があります。同じ教材を全部の枠に持ち込むと、朝には重すぎ、通勤には開けない、ということが起きます。

時間帯目安向いている中身
30分頭を使う中心作業(問題演習・新しい単元)
通勤(往復)10〜20分×2手を使わない反復(音声・単語・一問一答)
週末午前2時間まとめ・模試・週の穴埋め

朝の学習を勧める理由は3つあります。前日の予定が延びても影響を受けないこと、出勤時刻というタイムリミットが自動的にあって集中しやすいこと、そして疲れていないことです。始め方は30分早く起きるところからで十分です。

週末午前に置くのは、平日に取りこぼした分の回収枠です。ここを「予定どおり進んだご褒美の休み」ではなく最初から回収用として空けておくと、平日に1日崩れても計画全体が破綻しません。

1週間の骨組み(例)
  • 平日朝 30分 × 5日=2時間30分
  • 通勤 往復20分 × 5日=1時間40分
  • 週末午前 2時間 × 1日=2時間
  • 合計 週6時間10分(平日夜はゼロで計算)

この骨組みの要点は、平日の夜を最初から計算に入れていないことです。夜にできた日はボーナス扱いにします。できない前提で組んでおけば、できなかった日に自己嫌悪が発生しません。

細切れ時間を実際に使い切るには?

スキマ時間が使えない一番の理由は、時間がないことではなく「今5分あるが、何を出せばいいか分からない」ことです。5分考えているうちに5分が終わります。

対策は、教材のほうを時間の長さで仕分けておくことです。15分のスキマが1日4回あれば1時間になります。

  1. 5分用を決める単語アプリ、一問一答、前日の間違い直しの見返し。開いて即始められるものだけを入れる。
  2. 15分用を決める問題を5問解く、参考書を1節読む、音声講義を1本聞く。区切りが自分で分かる単位にする。
  3. 30分用を決める新しい単元、演習と答え合わせまでを一続きで。朝の枠に入れるのはこれ。
  4. スマホのホーム画面を並べ替える5分用の教材アプリを一番押しやすい位置へ。SNSは1画面奥へ移す。
  5. 前夜に「明日の朝やること」を1行メモする朝、何をやるか決める時間をゼロにする。

ステップ5は地味ですが効きます。朝の30分のうち10分を「何をやろうか」に使ってしまうと、実質20分になるうえ、決めるのが面倒で布団に戻ります。前夜に決めておけば、朝の自分は判断せず作業するだけで済みます。

「空いた時間にやる」ではなぜ続かない?

🤔
時間ができたらやろうと思ってるんですけど、その時間が来ないんです。

空き時間は、放っておくと必ず別の用事に埋まります。予定表の上で名前を持っていない時間は、誰にとっても「空いている」ように見えるからです。自分自身にとっても同じで、疲れていれば動画に埋まります。

忙しい社会人に合っているのは、逆向きの手順です。先に学習時間をスケジュールへ書き込み、残りで他の予定を組む。会議を入れるのと同じ扱いにします。

カレンダーへの入れ方
  • 平日朝の30分を、繰り返し予定として5日分登録する
  • 件名は「勉強」ではなく具体名(例:「簿記 第3章 演習」)にする
  • 週末午前の2時間も同様に固定枠で登録する
  • 他人からの予定依頼は、この枠の外で受ける

件名を具体名にするのは、通知が来た瞬間に何をするか分かるようにするためです。「勉強」とだけ書かれた通知は、そこからもう一度考える必要があり、無視されやすくなります。

崩れた週はどう立て直す?

繁忙期や出張が入れば、朝の枠も通勤の枠も飛びます。ここでの分かれ目は、崩れたこと自体ではなく、崩れたあとに戻れるかどうかです。

  1. 遅れを取り戻そうとしない飛んだ分を翌週へ足し込むと、翌週も破綻して連鎖する。飛んだ分は捨てる。
  2. 週末午前の回収枠だけ使う取り戻すのはここまで。それ以上は広げない。
  3. 1日分の最小単位に落として再開する復帰の初日は5分用だけでよい。開く習慣を戻すのが目的。
  4. 崩れた原因を1行だけ記録する「月末は朝が無理」と分かれば、翌月は月末の朝枠を最初から外して組める。
この方法が向かないケースもあります

朝型に寄せる前提の組み方なので、深夜勤務やシフト制で起床時刻が日ごとに変わる働き方には、そのままでは合いません。その場合は「朝」を「勤務開始前の30分」と読み替えて、出勤時刻から逆算した固定枠を作ってください。

また、短期の試験直前期には向きません。細切れの反復は知識の定着には効きますが、2時間続けて解く体力が要る試験形式の場合、直前1か月はまとまった演習枠を別に取る必要があります。細切れ学習は、そこへ至るまでの土台作りの方法です。

何を勉強するか決まらないときは?

枠は作れても中身が決まらない、という場合の手がかりとして、同じ社会生活基本調査に学習内容の内訳があります。2021年の種類別行動者率は次のとおりです。

学習の種類男性女性
パソコンなどの情報処理20.1%13.0%
家政・家事9.1%17.7%
英語13.5%12.2%
芸術・文化9.7%12.5%
自然科学11.9%7.8%
商業実務・ビジネス関係11.5%5.6%
英語以外の外国語3.5%4.8%
介護関係2.8%4.4%

総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」の公表データをもとに作成

上の表では、男性は「パソコンなどの情報処理」、女性は「家政・家事」が最も高くなっています。情報処理と英語は男女とも上位に入っており、職種を問わず取り組む人が多い領域だと分かります。

選ぶ基準としては、細切れ時間と相性がいいかどうかを一度確認しておくと挫折しにくくなります。単語や一問一答の形に分解できるもの(語学・資格)は通勤枠が使えますが、まとまった作業時間が要るもの(制作物を作る類)は週末に寄せる設計が必要です。中身を決める前に、自分の空いている枠の形を見ておくほうが早いということです。

よくある質問

社会人はどのくらいの割合が勉強しているのですか?

総務省統計局の令和3年社会生活基本調査では、学業以外の学習・自己啓発・訓練を過去1年間に行った人の割合は39.6%でした。2016年調査の36.9%から2.7ポイント上昇しています。逆に言えば6割の人は1年間学習していません。

1日何分くらい勉強すればいいですか?

同調査における学習・自己啓発・訓練の時間は、週全体平均で1日あたり総数0時間13分です(学習していない人を含む全人口平均)。まずは朝30分の枠をひとつ確保し、通勤時間の10〜20分を加える形が現実的です。1日30分でも半年続けば約90時間になります。

朝の勉強はなぜ続きやすいのですか?

前日の予定が延びても影響を受けないこと、出勤時刻というタイムリミットが自動的にあり集中しやすいこと、疲労が溜まっていないことの3点が理由として挙げられます。始めるときは30分早く起きるところからで十分です。

スキマ時間をうまく使えないのはなぜですか?

時間の長さではなく、その場で何をやるか決めるのに時間を使ってしまうことが主な原因です。教材を5分用・15分用・30分用に事前に仕分けておくと、開いてすぐ始められます。15分が1日4回あれば1時間の学習時間になります。

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