異動後の初回面談、新しい上司に聞くべき5つの質問
画像出典: 写真: Gobierno Aguascalientes(CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons)
新しい上司との初回面談は、経歴の要約・今の役割で大事にしたいこと・相手への一言質問の3点で自己紹介を組み立てると一方的になりません。質問は「仕事の進め方と期待値」「報連相の頻度と手段」「評価基準と優先順位」「チームのキーパーソン」「これまでの経験の活かし方」の5カテゴリで用意しておくと、30分の面談で必要な情報がそろいます。上司の話を聞く場ではなく、自分が話す場だと考えておくのがコツです。
10月1日付の異動は、4月ほど話題にはなりませんが実際にはよくある慣行です。9月・3月を決算期とする企業が多く、期の変わり目に組織を見直すためだと解説されています。つまり、いま同じ状況の人は社内にも社外にもそれなりにいます。
そして多くの場合、配属から数日以内に「顔合わせ」と呼ばれる30分ほどの面談が入ります。ここで何を話すかは、その後半年の仕事のしやすさをかなり左右します。正直なところ、何も準備せずに行くと「よろしくお願いします」で5分、あとは上司の一方的な説明で終わってしまいます。
用意するのは2つだけです。1分の自己紹介と、5つの質問。どちらもこのページの型をそのまま使えます。
初回面談で最初にやるべきことは?
結論から言うと、自分が話す量を増やすことです。感覚的な話ではなく、調査でもその傾向が出ています。
パーソル総合研究所と九州大学が2024年11月に実施した「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」(従業員300名以上の企業に勤める上司・部下ペア計1,000名が対象)では、部下が上司から信頼されていると感じる度合い(被信頼感)は、①1on1の実施頻度、②面談内での部下の発話量、③部下が個人的な深い内容を開示すること、の3つで有意に高まることが確認されています。なかでも部下の発話量の影響が大きいと報告されています。
同じ調査では、部下自身がその回のテーマを決めているケースほど部下の成長実感が高いという結果も出ています。つまり初回面談は、上司の説明を聞く受け身の場ではなく、自分から話題を出す場として設計したほうがいいということです。
初対面の相手にたくさん話すのは気が重いかもしれません。だからこそ、話す中身を先に決めておきます。自己紹介と質問を用意しておけば、その場で言葉を探さずに済みます。
自己紹介は何を話せばいい?
1分程度、3つの要素で組み立てます。経歴を長く語るのではなく、相手が知りたいことに答える構成です。
- 経歴の要約(20秒)どこで何をやってきたか。直近の担当業務と、そこで扱っていた規模感(人数・件数・金額のどれか)を1つ添えます。「前は何ができる人なのか」を上司が判断できる材料になります。
- 今の役割で大事にしたいこと(20秒)異動先での自分のスタンスを一言で。「まず3ヶ月は現場の流れを覚えることを優先したい」「前部署の◯◯の経験がここで使えそうだと思っている」など。抱負ではなく、行動の方針として言います。
- 相手への関心(20秒)最後に短い質問を1つ返します。これがないと一方的な報告で終わります。「まず何から手をつけるのがいいか、ご希望はありますか」でも十分です。
第一印象は後から覆すのに相応の時間と労力がかかるとされます。逆に言えば、この1分は準備した分がそのまま効く場面です。
そのまま使える自己紹介の例文
「◯◯部から参りました△△です。前部署では法人向けの請求業務を3年担当し、月200件ほどの処理と月次の締めを回していました。こちらではまず3ヶ月、業務の流れと関係先を覚えることを優先したいと思っています。そのうえで、前の部署でやっていた手順書の整備みたいなところはお役に立てるかもしれません。最初に、私が早めに把握しておいたほうがいい業務やお取引先があれば教えていただけますか」
自分の状況に合わせて、業務内容・規模の数字・得意分野の3ヶ所を差し替えれば、そのまま使えます。
前部署の実績を並べすぎると、「前のやり方を持ち込みそうだ」と身構えられることがあります。実績は1つに絞り、残りは聞かれたときに話す、くらいがちょうどいい配分です。特に前部署と異動先で仕事の進め方が違う場合(営業から管理部門、開発から企画など職種をまたぐ異動)は、実績よりも「覚える姿勢」を先に置いたほうが受け入れられます。
新しい上司に聞くべき質問は?
質問は5カテゴリに分けて用意します。全部聞く必要はありません。30分の面談なら3〜4個が現実的で、残りは2回目以降に回します。
| カテゴリ | そのまま使える聞き方 |
|---|---|
| ① 仕事の進め方と期待値 | 「最初の3ヶ月で、まずここまでできていてほしいという水準はありますか」 |
| ② 報連相の頻度と手段 | 「進捗の共有は、チャットで随時と週次でまとめて、どちらが助かりますか」 |
| ③ 評価基準と優先順位 | 「複数の案件が重なったとき、優先して判断する基準を教えていただけますか」 |
| ④ チームのキーパーソン | 「業務で困ったとき、まず相談するといい方はどなたでしょうか」 |
| ⑤ 経験の活かし方 | 「前部署でやっていた◯◯は、こちらで使えそうな場面はありますか」 |
上の表で、聞き方をすべて「はい/いいえで終わらない形」にしているのには理由があります。部下との面談では、はい/いいえで終わらないオープンクエスチョンのほうが新しい気づきを促すとされています。これは上司側の心得として語られることが多いのですが、聞く側が自分の質問に適用しても同じことが起きます。「報連相はチャットでいいですか」だと「いいですよ」で終わり、上司の実際の好みまでは出てきません。
②の報連相は最優先で聞いておく
5つのうち1つだけ選ぶなら、②です。頻度と手段のすれ違いは、後から「報告がない」「細かく聞きすぎ」というすれ違いに直結します。しかも初回なら自然に聞けます。1ヶ月経ってから聞くと、今さら感が出ます。
- 定例の1on1があるか、頻度はどのくらいか
- 急ぎの連絡はチャットか電話か(上司が会議続きの日の扱い)
- 報告のタイミング(終わってからか、着手前に相談か)
- 上司が不在のときの判断を誰に仰ぐか
ちなみに定例1on1については、パーソル総合研究所の同じ調査で、直近半年の1on1実施率は55.7%と報告されています。制度として無い職場も半分近くあるということです。無い場合は「月1回15分でも、相談の時間をいただけると助かります」と自分から提案してみる手もあります。同調査では月2〜3回・1回30分〜1時間の頻度が最も成長実感スコアが高い(10点満点中7.4点)とされているので、提案するときの目安になります。
質問をメモしていくのは失礼?
失礼ではありません。むしろ手ぶらで来られるより、準備してきたことが伝わります。スマホのメモでも構いませんが、画面を見ている時間が長いと視線が落ちるので、紙か手帳のほうが印象は良くなります。
持っていくメモに書くのは次の3行だけで足ります。
- 自己紹介のキーワード3つ全文を書くと読み上げになります。「請求3年/月200件」「3ヶ月は覚える」「手順書」程度の単語で十分です。
- 質問3つ上の表から選んだものを、聞く順に。
- 空白相手の答えを書き留める欄。ここを埋めながら聞くと、聞く姿勢がそのまま伝わります。
面談が終わったあとにやることは?
終わった直後、記憶が新しいうちに10分だけ使います。異動後の面談は「準備」「実施」「フォローアップ」の3段階で設計するのが望ましいとされており、多くの人が抜かすのが3つ目です。
- 聞いた内容をメモに清書する(特に報連相のルールと優先順位の基準)
- 面談中に出た「あとで確認します」を自分のタスクに登録する
- 教えてもらったキーパーソンに、その週のうちに一度あいさつに行く
- 次に相談したいことを1つ決めておく(2回目の面談の議題になる)
4つ目が地味に効きます。初回で「次の議題」を自分で持っておくと、2回目以降も自分から話題を出す流れをつくれます。前述の調査で、部下自身がテーマを決めているケースほど成長実感が高かったという結果と重なる部分です。
上司と合わなさそうだと感じたら?
初回で「この人とは合わないかもしれない」と感じることもあります。ただ、初対面の30分で判断するには材料が足りません。まずは3ヶ月、②で決めた報連相のルールを守って動いてみて、それでも噛み合わないなら考える、くらいの順番が現実的です。
参考までに、パーソルキャリアが2026年2月に発表した転職理由ランキング【2025年版】では、転職理由の1位は5年連続で「給与が低い・昇給が見込めない」(36.6%)、2位が「労働時間への不満」、3位が「成果が評価されない」でした。一方で、実際には職場の人間関係が本音の理由として大きいという調査結果もあるとされています(こちらは各メディアで紹介されている内容で、一次統計の詳細は公表されているものが限られます)。
3位の「成果が評価されない」は、上の質問リストの③(評価基準と優先順位)と直結します。評価軸を初回で言葉にしてもらっておくことは、半年後の自分を守る作業でもあります。合う・合わないの前に、基準がはっきりしているかどうかを先に確認するほうが実用的です。
異動から3ヶ月の組み立て方
初回面談はスタート地点です。人事異動には組織活性化という目的があり、新しい人が入ることで客観的な視点や新しいアイデアが生まれることが期待されている、と説明されます。ただし、その「新しい視点」を出すタイミングは最初ではありません。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1ヶ月目 | 業務の流れと関係者を覚える。質問を溜める |
| 2ヶ月目 | 任された範囲を自力で回す。詰まった点を記録する |
| 3ヶ月目 | 記録をもとに、改善の提案を1つだけ出す |
上の表のとおり、提案は3ヶ月目に1つで十分です。1ヶ月目に前部署のやり方を提案すると、内容が正しくても受け入れられにくくなります。逆に3ヶ月現場を回したうえでの提案には、根拠がついてきます。初回面談の①で「最初の3ヶ月の水準」を聞いておくと、この3ヶ月の設計がそのまま上司の期待とそろいます。
よくある質問
異動後の初回面談は何分くらい?
30分程度が一般的です。30分の場合、自己紹介に1〜2分、上司からの説明に10〜15分、自分からの質問に5〜10分という配分になります。質問は3〜4個までに絞り、残りは2回目以降の面談に回すと時間内に収まります。
新しい上司への自己紹介は何を話せばいい?
経歴の要約、今の役割で大事にしたいこと、相手への一言質問の3点構成が扱いやすい型です。経歴は直近の担当業務と規模感(人数・件数・金額のいずれか)を1つ添えると、上司が「何ができる人か」を判断しやすくなります。実績を並べすぎず1つに絞るのがコツです。
初回面談で質問メモを見ながら話しても大丈夫?
問題ありません。準備してきたことが伝わるため、むしろ印象は良くなります。全文を書くと読み上げになるので、自己紹介はキーワード3つ、質問は聞く順に3つ、あとは相手の答えを書き留める空白、という程度にとどめるのが実用的です。
10月の人事異動は珍しいことなの?
珍しくありません。9月・3月を決算期とする企業が多く、期の変わり目に組織を見直すため、4月1日付とともに10月1日付の定期異動を行う企業が多いと解説されています。4月ほど広く認知されていないものの、実際には一般的な慣行です。
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