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異動の内示が出たら確認する5項目と90日プラン

2026年9月6日|いろは堂キャリア編集部
机の上で女性1人がペンを持ち手帳に書き込む室内の見下ろし写真

画像出典: kaboompics / Pixabay

この記事の要点
異動の内示を受けたら、まず「異動日・正式辞令のタイミング・引き継ぎ期限・新しい配属先の担当範囲・処遇の変更有無」の5点を確認します。着任後は90日を30日ずつ3つに区切り、最初の30日は情報収集と関係づくり、次の30日は小さな成果、最後の30日は貢献範囲を広げる、という順で上司と合意しておくと動きやすくなります。
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来月から別の部署って、いま言われた……。何から手をつければいいの?

異動の話は、たいてい心の準備が整う前にやってきます。頭が真っ白になって、その場では「わかりました」しか言えなかった、という人も多いはずです。

正直なところ、内示の場で完璧に受け答えする必要はありません。大事なのは、そのあと数日のうちに確認すべきことを確認し、着任後の3か月をどう使うか決めておくことです。ここが決まっていると、新しい職場での立ち上がりの速さがまったく変わってきます。

内示とは何か?辞令との違い

内示は、正式な辞令(発令)の前に本人へ伝えられる事前通知です。「正式に決まる前に、心の準備と引き継ぎの時間をつくるために先に伝える」という位置づけで、内容がそこから大きく変わることは基本的にありません。

ここで押さえておきたいのが、断れるのかという点です。正社員は職種や勤務地を限定しない雇用契約を結んでいることが多く、この場合、会社は広く人事異動命令を出すことができ、従業員は内示の段階を含めて基本的に拒否できないとされています。正当な理由なく拒んだ場合、業務命令違反として懲戒処分の対象になり得ます。

例外もあります。職種や勤務地を限定する雇用契約を結んでいる場合です。2024年4月の労働基準法施行規則の改正で、労働条件の明示事項に「就業場所・業務の変更の範囲」が追加されました。自分の労働条件通知書や雇用契約書にこの範囲がどう書かれているかは、一度目を通しておく価値があります。

どうしても受けられない事情がある場合

育児や介護など、生活の土台にかかわる事情がある場合は、感情で拒むのではなく事情を具体的に説明して相談する形をとってください。転勤命令をめぐっては裁判例(ケンウッド事件など)もあり、事情の中身と会社側の配慮の有無が争点になります。まずは人事へ事実を伝えることが出発点です。

内示直後に確認すべき5項目は?

内示を受けた直後は、聞くべきことを聞き逃しがちです。数日以内に上司や人事へあらためて時間をもらい、次の5点を確認してください。

内示から数日以内に確認する5項目
  • 異動日(着任日)と、正式な辞令が出るタイミング
  • 現部署の引き継ぎ期限と、引き継ぎ書の提出先
  • 新しい配属先での担当範囲・役割・直属の上司が誰か
  • 役職・給与・手当・勤務地など処遇の変更の有無
  • 異動の理由や期待されている役割(会社が自分に何を求めているか)

とくに5つめは、遠慮して聞かない人が多いところです。ですが、期待されている役割がわからないまま着任すると、90日プランの中身を自分で決められません。上司の側も、内示から数日のうちに本人と再度話して率直な気持ちを聞くことが信頼づくりに有効とされています。つまり、こちらから話しかけるのは歓迎される動きです。

そのまま使える聞き方の例

切り出しにくい場合は、次の形をそのまま使ってください。

確認の切り出し方(口頭・チャットどちらでも)
  • 「先日の内示の件、あらためて15分ほどお時間いただけますか。引き継ぎの段取りを固めたいので」
  • 「引き継ぎの期限は◯月◯日を想定していますが、これで問題ないでしょうか」
  • 「新しい部署で、まず何から手をつけてほしいというご期待があれば伺いたいです」
  • 「役職や勤務地の扱いで変更になる点があれば、先に教えていただけると助かります」

処遇の話は聞きづらいものですが、「あとから知る」ほうがよほど気まずくなります。事務的な確認事項として、淡々と聞いてしまうのが結局いちばん楽です。

90日プランとは?なぜ30日ずつ区切るのか

90日プランは、異動者やキャリア採用者が着任してからの90日間にやることを、あらかじめ決めておくアクションプランです。着任前に関係者のあいだで準備しておくことで対応漏れを防ぎ、早く仕事に馴染んで成果を出すための手法として使われています。

1〜30日目情報収集と関係構築。人・業務・数字の全体像をつかむ
31〜60日目小さな成果を出す。目に見える形で1つ完了させる
61〜90日目チームへの貢献を広げる。担当外への提案や改善に踏み出す

ポイントは、90日をひとかたまりで考えないことです。上の表のように30日ずつ3つのタームに区切り、各タームで何を達成するかを上司と合意しておくのが要になります。区切りがあると、「まだ成果が出ていない」という焦りと「もう成果を求められている」という誤解の両方を防げるからです。

この区切りを、着任1週目のうちに上司と共有してください。自分の頭の中にあるだけでは合意になりません。

最初の30日で何をするか?

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早く成果を出さないと、使えないと思われそうで焦る……

最初の30日で成果を焦るのは、たいてい逆効果になります。前の部署のやり方をそのまま持ち込んで「うちではそれは通らない」と言われる、というのがよくある失敗です。この期間の仕事は、判断材料を集めることそのものです。

  1. 人を覚える直属の上司、同じチームのメンバー、そして他部署の窓口担当者。名前と役割と、その人が何に困っているかをメモに残します。
  2. 1対1で話す時間をもらうチームメンバー1人につき20〜30分。「今の業務で一番時間がかかっているのは何ですか」「引き継ぐ前任者のやり方で、変えたほうがいいと感じている点はありますか」の2問だけでも十分な情報が集まります。
  3. 数字と資料を押さえる担当領域の目標数値、直近の実績、定例で使う資料のありか。この3つが分かれば会話についていけます。
  4. 前任者の引き継ぎ資料を自分の言葉で書き直す読むだけでは頭に入りません。自分用に整理し直す過程で、抜けている情報が見つかります。
  5. 上司と30日目の振り返りを予約する着任した日に、30日後のカレンダーを押さえてしまいます。区切りが先に入っていると動きやすくなります。

この期間に「前の部署では」と言うのは、できるだけ控えたほうが無難です。比較ではなく質問の形にすると、同じ内容でも受け取られ方が変わります。「前はこうでした」ではなく「この工程はどういう経緯で今の形になったんですか」と聞く。それだけで、相手は説明したくなります。

31日目以降、成果をどう積み上げるか?

31〜60日目:小さな成果を1つ完了させる

2つめの30日は、目に見える形で1つ完了させることが目標です。大きな改革である必要はまったくありません。むしろ小さいほうがいいくらいです。

この時期に狙いやすい「小さな成果」
  • 誰も手をつけていない定例作業を、手順書に落として引き継げる状態にする
  • 最初の30日のヒアリングで複数人が挙げた困りごとを1つだけ解消する
  • 散らばっている資料の置き場所を整理し、チームに共有する
  • 前任者から引き継いだ案件のうち、止まっていた1件を動かす

共通しているのは、誰の合意も取り直さずに自分の裁量で完了できる範囲だという点です。この時期に大きな提案をすると、承認待ちのまま60日目を迎えて何も残らない、ということが起きます。

完了したら、報告してください。黙っていると誰も気づきません。「◯◯の手順書を作りました。今後は誰でも対応できます」と一行チャットに書くだけで十分です。

61〜90日目:貢献の範囲を広げる

最後の30日は、自分の担当の外へ一歩出す時期です。ここまでで人と業務の全体像がつかめ、小さな実績も1つできている状態なので、提案を聞いてもらえる土台があります。

  1. 担当外で気づいた改善点を1つ提案する最初の30日で集めたヒアリングメモを見返すと、複数の人が同じことに困っているテーマが見つかります。
  2. 次の3か月の目標を上司とすり合わせる90日プランはここで終わりです。そのまま次の期の目標設定につなげます。
  3. 90日目の振り返りを行うできたこと、できなかったこと、まだ分かっていないことを整理して上司へ共有します。「まだ分かっていないこと」を正直に出せると、その後の支援を得やすくなります。
90日で全部うまくいく前提では書かないでください

異動先の状況によっては、最初の30日が引き継ぎで埋まり、情報収集が2か月目にずれ込むこともあります。プランは守るためではなく、遅れに気づくためにあります。ずれたら上司に共有して組み直せばよく、計画どおりに進まないこと自体は問題ではありません。

引き継ぎ書には何を書けばいいか?

忘れられがちですが、新しい部署の準備と同じくらい、去る部署での引き継ぎの質が後々効いてきます。引き継ぎが雑だと、着任後に前の部署から問い合わせが来続け、新しい仕事に集中できません。

引き継ぎ書に必ず入れる項目
  • 担当業務の一覧と、それぞれの発生タイミング(毎日・毎週・月末など)
  • 関係する社内外の窓口担当者と連絡先
  • 過去にトラブルになった事例と、そのときの対処
  • ファイル・データ・アカウントの保管場所とアクセス権限
  • 判断に迷ったときに誰へ聞けばよいか

特に4つめのアクセス権限は抜けやすいところです。自分だけが持っている権限がないか、異動日の前に確認しておいてください。

これらを整理したうえで、着任後の90日プランを組み立てる。ここまで揃えば、急に告げられた異動でも、動き方は自分で決められます。

よくある質問

異動の内示は断れますか?

職種や勤務地を限定しない雇用契約を結んでいる正社員の場合、会社は広く人事異動命令を出すことができ、従業員は内示の段階を含めて基本的に拒否できないとされています。正当な理由なく拒むと業務命令違反として懲戒処分の対象になり得ます。例外は職種・勤務地を限定する契約を結んでいる場合で、2024年4月の労働基準法施行規則改正により、労働条件の明示事項に「就業場所・業務の変更の範囲」が追加されています。

内示と辞令はどう違いますか?

内示は正式な辞令(発令)が出る前に本人へ伝えられる事前通知で、心の準備や引き継ぎの時間を確保するために先に伝えられます。辞令は正式な発令であり、これをもって異動が公式に確定します。内示を受けた時点で、異動日・正式辞令の時期・引き継ぎ期限・新しい配属先・処遇変更の有無を人事や上司へ確認しておくことが実務上推奨されています。

90日プランとは何ですか?

90日プランは、異動者やキャリア採用者が着任してからの90日間に行うアクションプランです。着任前に関係者のあいだで準備しておくことで対応漏れを防ぎ、早く業務をキャッチアップして成果を出すことを狙います。90日を30日ずつ3つのタームに区切り、各タームで達成すべき成果を上司と合意しておくことが重要なポイントとされています。

異動先で最初の1か月は何をすればいいですか?

最初の30日は情報収集と関係構築にあてるのが基本です。チームメンバーと1対1で20〜30分ずつ話す時間をもらい、担当領域の目標数値・直近の実績・定例資料の場所を押さえ、前任者の引き継ぎ資料を自分の言葉で整理し直します。あわせて着任初日のうちに30日目の振り返り面談を上司と予約しておくと、区切りができて動きやすくなります。

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