いろは堂キャリア ← 戻る

1on1の質問、下期目標をすり合わせる3ブロック

2026年8月17日|いろは堂キャリア編集部
デスクでクリップボードの書類を見ながら話す年配男性と隣の女性、ノートPC2台

画像出典: Pavel Danilyuk / Pexels

この記事の要点
下期に向けた1on1は「上期の振り返り→下期目標のすり合わせ→次回までの小さな一歩」の3ブロックで組み立てると迷いません。質問は事前に3〜4本だけ決めておき、上司は傾聴に徹して「なぜそう思うの?」「具体的にはどういうこと?」で掘り下げます。最後は必ず、次回までに何をするかを一文で言葉にして終わります。
😟
「最近どう?」って聞いて、「まあ、ぼちぼちです」で終わる。あと25分あるんだけど…

1on1がうまくいかないとき、たいてい原因は上司の話術ではありません。その日の1on1で何を決めるのかが、始まる前に決まっていないのです。目的がないまま向き合うと、どうしても「最近どう?」から入るしかなくなります。

1on1は上司と部下が1対1で定期的に行う対話の場で、主目的は部下の成長支援です。評価面談と違って主役は部下側で、部下自身が課題を考え、自分で動けるようにするための時間とされています。つまり上司の仕事は、良いことを言うことではなく、部下が考えられる問いを渡すことです。

ちょうど今は上期が終わり、下期の目標を立てる時期です。ここでは「上期の振り返り」と「下期の目標すり合わせ」を軸に、45分をどう配分し、どんな言葉で聞くかを具体的にお渡しします。

1on1で話すことは、6つの引き出しから選ぶ

1on1で聞く内容は、大きく6つに分類できます。「プライベートの理解」「健康状態」「モチベーション」「業務・組織課題」「目標設定・評価」「キャリア支援」の6つです。

この6つを毎回すべて話そうとすると時間が足りず、結果として全部が浅くなります。運用のコツは、プライベート・健康・モチベーションの3つは毎回軽く確認し、業務課題・目標評価・キャリアは状況に応じて選ぶことです。

1on1の6分類(毎回/選択)
  • 毎回:プライベートの理解(近況・家庭の状況など)
  • 毎回:健康状態(睡眠・残業・体調)
  • 毎回:モチベーション(今なにが楽しいか、しんどいか)
  • 選択:業務・組織の課題
  • 選択:目標設定・評価
  • 選択:キャリア支援

下期スタートのこの時期なら、選ぶのは「目標設定・評価」と「キャリア支援」です。冒頭で「今日は下期の目標を一緒に決めたいと思ってる」と宣言してしまえば、それだけで沈黙の大半は消えます。何を話す場か分からないから黙るのであって、話す気がないわけではありません。

下期の目標をすり合わせる45分の型

時間配分をあらかじめ決めておくと、その場で迷わなくなります。おすすめは45分を3つのブロックに割る形です。

  1. 近況の確認(5〜10分)体調・稼働・今の気分を軽く聞く。ここは掘らない。「今月、残業どのくらいだった?」のように事実から入ると答えやすくなります。
  2. 上期の振り返り(15分)部下に語ってもらう時間。上司は事実確認と掘り下げの質問だけを担当します。
  3. 下期の目標すり合わせ(15分)部下が置きたい目標と、会社・チームが期待していることを突き合わせて、言葉を一つにそろえます。
  4. 次の一歩を決める(5分)次回までにやることを一文にして、その場で口に出してもらいます。

この配分で重要なのは、振り返りに15分を確保することです。振り返りを飛ばして目標だけ決めると、下期の目標が「上期にできなかったことの再掲」になりがちで、部下から見ると同じ宿題を突き返されただけになります。

上期の振り返りは、どう聞けばいい?

目標の振り返りとは、設定した目標に対する達成度を確認し、未達の原因を分析して次の改善策を導き出すプロセスです。ここを型なしでやると「達成できました/できませんでした」の報告で終わってしまいます。

使いやすいのはYWTという型です。Y(やったこと)、W(わかったこと)、T(次にやること)の順に話してもらうもので、事実→学び→行動と自然に流れます。似た型にKPT(続けること/やめること/試すこと)やPDCAもありますが、1on1で口頭でやるならYWTが最も軽くて回しやすい形です。

上期振り返りの質問(そのまま使えます)
  • 「上期でいちばん時間を使った仕事って、何だった?」(Y:事実から入る)
  • 「それをやってみて、前と考え方が変わったところはある?」(W:学びを引き出す)
  • 「もう一回同じ状況になったら、どこを変える?」(T:次につなげる)
  • 「逆に、うまくいかなかったやつを1つ挙げるとしたら?」
  • 「それって、何が足りなかったからだと思う?」

ここでの上司の役割は傾聴です。話を遮らず、自分の意見を先に置かず、「なぜそう思うの?」「具体的にはどういうこと?」で部下自身の考えを深めていきます。沈黙が5秒続いても、先に埋めないこと。埋めた瞬間、その日の1on1は上司の話す場に変わります。

この進め方が向かないケースもあります

評価が確定していて、その通知が目的の面談では、この型は合いません。1on1は部下が主役の成長支援の場であり、評価を伝える場とは分けたほうがお互いに話しやすくなります。また、部下がメンタル面で明らかに消耗している時期は、目標のすり合わせを一旦後ろに倒し、健康状態と業務量の確認だけで45分を使ってかまいません。目標は来月でも立て直せますが、体調はそうはいきません。

下期の目標は「部下の言葉」で置く

目標のすり合わせでつまずくのは、たいてい順番の問題です。上司が期待値を先に全部言ってしまうと、部下は「わかりました」と受け取るだけになり、自分の目標ではなくなります。

順番やることかける言葉
1部下の案を先に出す「下期、自分としてはどこを伸ばしたい?」
2上司の期待を伝える「チームとしては、この領域を任せられる人が欲しいと思ってる」
3重なりを探す「今の話と、さっき言ってた◯◯って、つながりそう?」
4一文にまとめる「じゃあ下期は、こう言い切っていい?」

上の表のとおり、部下の案が先で、上司の期待は次です。そして最後の「一文にまとめる」は、必ず部下に言ってもらうか、その場でメモに書いて画面共有します。口頭で合意したつもりでも、下期の3か月後に「そんな話だったっけ」となるのは、文字にしていないからです。

キャリアの話をここに少し混ぜておくのも有効です。「その目標って、3年後にやりたいことにつながってる?」と一言聞くだけで、下期の目標が作業リストから本人の意味のある目標に変わります。

最後の5分で必ずやること

1on1で最ももったいない終わり方は、「じゃあ頑張ります」「うん、頼むね」です。良い対話をしても、これで終わると次の1on1までの1か月間、何も動きません。

対話を通じて課題や目標が見えたら、最後には必ず具体的な次の行動を決めます。ポイントは、大きな決意ではなく次回までに終わる小さな一歩に落とすことです。

ネクストアクションの良い例・惜しい例
  • 惜しい:「マネジメントを勉強します」→ 期限も範囲もなく、来月確認できない
  • 良い:「来週の定例で、進行役を1回やってみる」
  • 惜しい:「他部署と連携を強めます」
  • 良い:「今月中に、営業の◯◯さんに30分もらって現場の困りごとを聞く」
  • 締めの一言:「じゃあ次回、それがどうだったか最初に聞くね」

最後の「次回、最初に聞くね」は必ず言ってください。次の1on1の冒頭ネタが確定するので、翌月に「最近どう?」から始めなくて済みます。これを続けると、1on1は毎回ゼロから話題を探す場ではなく、前回の続きから始まる連続した時間になります。

😌
聞くことを3つ決めておくだけで、こんなに楽になるとは思わなかった

準備は10分で足りる

1on1は最低でも月1回以上の頻度で実施することが求められるとされています。毎月あるものに毎回1時間の準備をかけるのは現実的ではありません。準備は10分で終わる形にしておきます。

  1. 前回のメモを見る(3分)前回決めたネクストアクションを確認する。ここが冒頭の質問になります。
  2. 今日の主題を1つ決める(2分)6分類のうち、今日は「目標設定・評価」を中心にする、と決めるだけ。
  3. 質問を3本だけ書く(5分)上の質問例から3本選んで手元に置く。多くても4本まで。

質問を書き出す紙は、部下に見えても問題ありません。むしろ「今日はこの3つを聞きたい」と冒頭で見せてしまうほうが、身構えずに話してもらえます。準備しているという事実そのものが、この時間を大事にしているという意思表示になります。

よくある質問

1on1はどのくらいの頻度で行うべきですか?

最低でも月1回以上の頻度で実施することが求められるとされています。頻度を落とすと前回の話とのつながりが切れ、毎回近況報告からやり直すことになるため、短時間でも月1回を維持するほうが機能します。

部下が話してくれず沈黙が続くときはどうすればいいですか?

冒頭で「今日は下期の目標を決めたい」と主題を宣言し、事実から答えられる質問(今月の稼働時間、いちばん時間を使った仕事など)から入ると答えやすくなります。沈黙が数秒続いても上司が先に埋めず、部下が考える時間として待つことが重要です。

1on1と評価面談は分けるべきですか?

分けるのが基本です。1on1は部下が主役で、自分自身の課題解決や成長を支援するための対話の場とされており、評価を伝える面談とは目的が異なります。同じ場で行うと部下が評価を意識して本音を話しにくくなります。

上期の振り返りに使える手法にはどんなものがありますか?

代表的な手法にYWT(やったこと・わかったこと・次にやること)、KPT(続ける・やめる・試す)、PDCAがあります。1on1のように口頭で短時間に振り返る場面では、事実から学び、行動へ自然に流れるYWTが扱いやすい型です。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。