昼休みの集中力を立て直す15分、午後に効く順番
画像出典: ぱくたそ (© すしぱく)
昼休み明けの眠気は、12〜15時の間に15〜20分の短時間仮眠(パワーナップ)を取ることで立て直せます。仮眠の15〜20分前にコーヒーや緑茶を飲んでおくと、カフェインが効き始めるタイミングと起床が重なり、目覚めがすっきりします。仮眠が取れない日は軽い散歩と昼食の量の調整で代え、午後は休憩直後に重いタスク、眠気が戻る時間帯に単純作業を置く順番にします。
残業が増えてくる時期は、夜に削った分が翌日の午後に回ってきます。昼休み明けにぼーっとするのは気合いの問題ではなく、食後と午後の早い時間に眠気の谷が来るという体のリズムが背景にあります。だからこそ、谷の位置が分かっていれば先に手を打てます。
正直なところ、昼休みは短いです。食事と移動を終えて残るのは15分か20分でしょう。その15分をどう使うか、そして午後のタスクをどの順番に並べるか。ここを決めておくだけで、午後の後半の進み方が変わります。
昼休み明けに頭がぼーっとするのはなぜ?
原因は大きく2つに分かれます。ひとつは昼食後の血糖値の変動、もうひとつは概日リズム(体内時計による1日の覚醒の波)で、午後の早い時間に眠気が強まる谷が来ることです。夜の睡眠が足りていない時期は、この谷がさらに深くなります。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」は、午後の早い時間に30分以内の昼寝をとると作業能率の改善に効果的だと明記しています。同指針では仮眠は20分程度が目安とされています。眠気と戦うのではなく、谷の時間帯に短く寝てしまうほうが効率がいい、という考え方です。
なお睡眠の指針は更新されていて、2024年2月に厚生労働省が約10年ぶりに「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を策定しました。成人・こども・高齢者の年代別に睡眠時間の目安と良質な睡眠のための取り組みをまとめたものです。夜の睡眠そのものを見直したい人は、こちらが最新の指針になります。
だるくなるのは、多くの場合「長すぎた」ときです。深い睡眠に入ってから起きると、頭が戻るまでに時間がかかります。短く切り上げる前提で設計するのが、昼休みの仮眠のポイントになります。
昼休みの仮眠(パワーナップ)はどうやる?
札幌市がさっぽろウェルネスプロジェクト監修で公開している資料では、短時間仮眠(パワーナップ)は日中の一時的な疲労感や眠気を解消し、心身機能を回復させて午後の集中力・生産性を高めるとされています。長時間労働の是正や健康経営の推進にも効果が期待される、という位置づけです。
同資料が示す推奨条件は、次のとおりです。これは札幌市の資料に書かれている条件で、筆者の工夫ではありません。
| 時間帯 | 昼12〜15時の間 |
|---|---|
| 長さ | 15〜20分程度 |
| 場所 | 仮眠室が最適。デスクや会議室でも可 |
| 姿勢 | 仰向けが基本。横向きなら約30度の傾斜、または座位 |
| 照明・室温 | 間接照明。暑すぎず寒すぎない程度 |
札幌市(さっぽろウェルネスプロジェクト監修)の公表データをもとに作成
仮眠室がある職場は多くありません。上の条件が許しているとおり、デスクや会議室でも成り立ちます。座ったまま机に伏せる、椅子の背に預けて少し倒す。これで条件の「座位」に当てはまります。明かりが落とせないなら、アイマスクやタオルで光を遮れば間接照明に近い状態をつくれます。
デスクでやる15分の手順
- 12〜15時の枠に置く昼食を食べ終えた直後が自然です。15時を過ぎると夜の睡眠に影響しやすいので、谷の時間帯に収めます。
- 先にコーヒーか緑茶を飲む寝る15〜20分前に飲みます(次の章で理由を説明します)。
- 終わりの時刻をアラームで決める20分後に鳴らします。起きる時刻が決まっていないと「寝すぎる不安」で眠れません。
- 光と音を遮るアイマスク、またはタオル。耳栓かイヤホンがあれば周囲の会話を切ります。
- 椅子を少し倒して座位で預ける机に伏せる形でも構いません。眠れなくても目を閉じて静かにしているだけで構いません。
- 鳴ったら立って動く席を立って歩く、顔を洗う、明るい場所に出る。起きてすぐ画面に戻らず、体を起こす動作を1つ挟みます。
仮眠前にコーヒーを飲むとどうなる?
「カフェインナップ」と呼ばれる組み合わせがあります。仮眠の直前(15〜20分前)にコーヒーや緑茶などのカフェイン飲料を摂ってから短時間眠る方法です。カフェインの覚醒効果は吸収に要する約30分後に現れるとされるため、15〜20分の仮眠から起きるタイミングと効き始めが重なり、すっきり目覚められるとされています。
順番が逆だと機能しません。起きてからコーヒーを飲むと、効いてくるのは30分後です。飲んでから寝る、が正しい順番です。缶コーヒーでもインスタントでも、冷たいお茶でも構いません。飲むのに時間をかけないことだけ意識します。
短時間の仮眠の効果については、パイロットに26分間の仮眠を取らせたところ注意力や課題遂行能力が向上したという研究が紹介されています。短い昼寝をする人の心疾患での死亡確率が低いという研究の紹介もあります。いずれも紹介記事を通じて知られているもので、具体的な数値をそのまま自分に当てはめて期待するのは避けたほうがいいでしょう。
夜に寝つけない状態が続いている人は、昼寝で夜の眠気をさらに削ってしまうことがあります。15時以降にずれ込む仮眠も同じです。この場合は昼寝より夜の睡眠時間の確保が先で、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が年代別の目安を示しています。また、カフェインで眠れない人・体質的に受けつけない人は、カフェインナップを無理に取り入れる必要はありません。仮眠だけで十分です。
仮眠が取れない日はどうする?
来客がある、電話当番にあたっている、そもそも横になれる場所も伏せられる空気もない。そういう日のほうが多いかもしれません。代わりになる手は2つあります。
ひとつは軽い散歩です。昼休みに軽い運動を挟むことは、午後の生産性を上げる手段として挙げられています。建物の外を5分歩くだけでも、光を浴びて体を動かす時間になります。もうひとつは昼食の量と内容の調整で、食べ過ぎないこと、血糖値の急な上昇を避ける炭水化物の摂り方を意識することが同じく挙げられています。
- 昼食を満腹まで食べていないか(八分目で止める)
- 丼物・麺類の単品になっていないか(おかずを足す)
- 食後に5分でも外へ出て歩けるか
- 目を閉じて座る3分だけでも確保できるか
- 午後いちばんに重い会議を自分で入れていないか
散歩も昼食の調整も、仮眠ほど劇的ではありません。ただ、満腹まで食べないだけで午後の谷の深さは変わります。眠気がどうしても抜けない日は、次の章の「順番を変える」ほうに重心を移します。
午後のタスクはどの順番に並べる?
ここから先は公的な指針があるわけではなく、実務上の工夫として広く提案されている組み方です。考え方は単純で、集中力が戻っているタイミングに重いタスクを置き、眠気が強い時間帯に単純作業を回すというものです。
仮眠や休憩の直後が、午後でいちばん頭が動く時間になります。ここに持ってくるのは、考えないと書けないもの。提案書の骨組み、見積もりの前提づくり、こみ入った返信メールの1通目。逆に眠気が戻ってくる時間帯には、手が覚えている作業を置きます。経費精算、ファイルの整理、議事録の清書、定型の連絡。
- 休憩直後(頭が動く)…資料の構成を考える、数字の前提を決める、込み入った相談メールを書く
- 眠気が戻る時間帯(手が動く)…経費精算、データ入力、ファイル整理、議事録の清書、定型連絡の送信
- 夕方(人と話せる)…確認の電話、短い打ち合わせ、翌日の段取り決め
この振り分けは筆者の整理で、公式の基準ではありません。自分の谷が何時に来るかは人それぞれなので、1週間ほど「午後のどの時間がつらかったか」をメモして位置を確かめるのが確実です。
並べ替えを現実に通すための一言
順番を変えるには、午後いちばんの時間を空けておく必要があります。日程調整のときに自分から枠を出せる場面では、言い回しひとつで動かせます。
- 「午後は15時以降のほうが落ち着いて議論できます。15時〜16時でいかがでしょうか」
- 「資料をまとめる時間を午後の前半に取りたいので、打ち合わせは夕方でも大丈夫でしょうか」
- (社内の相談なら)「13時台は作業に充てたいので、14時半以降で声をかけてください」
すべての予定を自分で決められるわけではありません。動かせる予定だけ動かす、で十分です。午後の2時間のうち、最初の30分を自分の手で守れれば流れが変わります。
明日からの1日の形
最後に、今日お伝えした内容を1日の流れに並べ直しておきます。
- 午前のうちに午後の順番を決める重いタスクを午後の最初に1つ置き、単純作業を後ろにまとめます。
- 昼食は八分目で切り上げる単品に偏らせず、食べ終わりの時刻も決めておきます。
- 食後にコーヒーか緑茶を飲む仮眠の15〜20分前という位置づけです。
- 20分のアラームをかけて目を閉じる座ったまま、光と音を遮って。眠れなくても構いません。
- 起きたら立って歩く画面に戻る前に、体を起こす動作を1つ。
- 決めておいた重いタスクから始める何をやるか考える時間を使わずに着手できます。
全部そろえなくても、効く部分から取り入れれば足ります。仮眠だけ、散歩だけ、順番だけでも午後の進み方は変わります。知ってから、自分の職場でできる形に削っていけばいい話です。
よくある質問
昼休みの仮眠は何分がいいですか?
札幌市(さっぽろウェルネスプロジェクト監修)の資料では、昼12〜15時の間に15〜20分程度の短時間仮眠が推奨されています。厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」も、午後の早い時間に30分以内の昼寝をとると作業能率の改善に効果的としており、仮眠は20分程度が目安とされています。
仮眠室がない職場でも昼寝はできますか?
できます。札幌市の資料では場所は仮眠室が最適としつつ、デスクや会議室でも可とされています。姿勢は仰向けが基本ですが、横向きなら約30度の傾斜、または座位でも条件に含まれます。机に伏せる形や椅子の背に預ける形で成り立ちます。
カフェインナップとは何ですか?
仮眠の直前(15〜20分前)にコーヒーや緑茶などのカフェイン飲料を摂ってから短時間眠る方法です。カフェインの覚醒効果は吸収に要する約30分後に現れるとされるため、仮眠から起きるタイミングと効き始めが重なり、すっきり目覚められるとされています。飲んでから寝る、という順番が前提です。
昼寝ができない日の午後の眠気はどう対処しますか?
軽い散歩と、昼食の量・内容の調整が対策として挙げられています。食べ過ぎないこと、血糖値の急な上昇を避ける炭水化物の摂り方を意識することが午後の生産性向上につながるとされます。あわせて、眠気が強い時間帯に経費精算やデータ入力などの単純作業を回し、重いタスクを休憩直後に置く並べ替えも有効です。
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