副業の確定申告、必要になるのは所得20万円から
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副業の確定申告が必要なのは、経費を差し引いた「所得」が年間20万円を超える場合です。申告書を書くのは2月ですが、その時に必要な領収書・取引記録は今この瞬間から発生しています。9月に副業用口座とレシート保管の型を作っておけば、2月の作業は集計だけで済みます。
確定申告の作業そのものは、2026年分なら2027年の2月からです。ただ、そこで求められる領収書や入金の記録は、今この瞬間にも発生して、そして消えていっています。3月に買ったパソコン周辺機器のレシートを、来年2月に探し出せる人はほとんどいません。
正直なところ、初めての確定申告でいちばん時間を食うのは、税金の計算ではなく「1年分の記録をかき集める作業」です。逆に言えば、記録さえ残っていれば申告作業は数時間で終わります。下期が始まったこの時期は、その仕組みを作り直すのにちょうどいいタイミングです。
そもそも自分は確定申告が必要?
給与を1か所から受けている会社員の場合、給与所得・退職所得以外の所得の合計が年間20万円を超えると確定申告が必要です。いわゆる「20万円ルール」と呼ばれるものです。
ここで多くの人がつまずくのが、20万円が「収入」ではなく「所得」だという点です。所得とは、入ってきたお金から必要経費を差し引いた残りを指します。
- 副業で受け取った金額の合計 = 収入
- 収入 − 必要経費 = 所得
- 判定に使うのは「所得」のほう
たとえば年間30万円を受け取っていても、機材や通信費などの必要経費が12万円あれば所得は18万円で、20万円以下になります。つまり経費の記録が残っているかどうかで、申告が必要かどうかすら変わるということです。「たぶん20万円は超えないから」と記録を残さずにいると、超えていた場合に経費を証明できず、収入まるごとに税金がかかる形になりかねません。
20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は市区町村へ別途必要になる場合があります。所得税と住民税は別の手続きだと覚えておいてください。お住まいの自治体の案内を確認しておくと安心です。
記録は「残す義務」がある?
国税庁は、個人で事業や不動産貸付け等を行うすべての人に、記帳と帳簿書類の保存義務があるとしています。ここには所得税の確定申告義務がない人も含まれます。「20万円以下だから何も残さなくていい」とはならない、ということです。
保存期間を見る前に、区分の言葉を先に渡しておきます。副業の稼ぎは税金の計算上、原則として雑所得(本業のかたわらの収入など、他のどの区分にも当てはまらない所得)か、事業所得(継続的・反復的に営む仕事としての所得)のどちらかに分けられます。どちらに当たるかで、残すべき書類と年数が変わります。
| 区分 | 保存するもの | 保存期間 |
|---|---|---|
| 事業所得として帳簿書類を保存する場合 | 帳簿書類 | 7年間 |
| 雑所得で、前々年分の業務に係る収入金額が300万円を超える場合 | 現金預金取引等関係書類(領収書・請求書等) | 5年間 |
国税庁の公表データをもとに作成
上の表のとおり、事業所得なら帳簿書類を7年間、雑所得で前々年分の収入金額が300万円を超えるなら領収書・請求書等を5年間と、区分によって年単位の保存が求められます。レシートを財布に入れっぱなしにする運用では確実に破綻します。なお、雑所得であっても帳簿書類の保存があれば事業所得として認められる余地があるとされています(2022年の国税庁通達改正以降の運用)。記録を残すこと自体が、扱いを有利にする材料になり得るわけです。
9月の今日、何から手をつける?
やることを一度に増やすと続きません。順番はこの4つで十分です。
- 入金用の口座を1つ決める副業の報酬を受け取る口座を1つに固定します。新規開設でも、使っていない既存口座でも構いません。通帳やアプリの明細が、そのまま「いつ・どこから・いくら」の記録になります。
- 支払い用のカードも1枚に寄せる経費になりそうな買い物は、決めた1枚で払います。カードの利用明細が経費の一覧表として機能し、レシートを失くしても日付と金額は追えます。
- レシートを撮る場所を決めるスマホのカメラで撮って、クラウドの決まったフォルダに入れるだけ。ファイル名は「20260904_3980_USBハブ」のように日付・金額・品目にしておくと、後から検索で見つかります。
- 月末に30分の集計時間を取るその月の入金額と経費を1行ずつ表に書き出します。表計算ソフトで十分です。月次で整理しておくことが実務上も推奨されています。
この4つを回しておけば、9月から12月までの4か月分は完全な記録が残ります。1月から8月分は、口座とカードの明細をさかのぼって、思い出せる範囲で経費を拾い直してください。明細は過去にさかのぼって見られるので、今からでも間に合います。
どんな支出を記録しておけばいい?
迷ったものは、いったん全部記録しておくのが正解です。経費にするかどうかは申告のときに判断すればよく、記録が無ければその判断すらできません。捨てるのはいつでもできますが、失くしたレシートは戻ってきません。
- 副業のために買った機材・書籍・ソフトの領収書
- 取引先とのやり取りが分かる請求書・報酬の支払明細
- クラウドサービスやサブスクの支払い履歴(メールの領収書も保存)
- 自宅の通信費・電気代など、副業と私用が混ざる支出の明細
- 移動や打ち合わせにかかった交通費
通信費や電気代のように私用と混ざる支出は、副業に使っている割合で分けて経費にする考え方があります。この割合を後から思い出すのは難しいので、「週にどれくらい副業に使ったか」を月末のメモに一言残しておくと、2月の自分が助かります。
2月までのスケジュールはどう組む?
2025年分(令和7年分)の確定申告期間は2026年2月16日〜3月16日でした。毎年おおむね同じ時期に設定されるため、逆算の目安として使えます。
- マイナンバーカード等の本人確認書類
- 還付金を受け取る銀行口座の情報
- 領収書・レシート一式
- 勤務先から受け取る給与所得の源泉徴収票
源泉徴収票は年末調整のあと、12月から1月にかけて勤務先から配られます。これが届いたら、決められた場所に一緒にしまってください。毎年ここでつまずいて再発行を依頼する人がいます。
年内にやるのは記録の積み上げだけです。1月に1年分の集計を仕上げ、2月に申告する。この配分にしておけば、締切間際に慌てることはありません。
今日の30分でできること
ここまで読んで「やることが多い」と感じたなら、今日は次の3つだけで構いません。
- 副業の入金口座を1つ決めて紙にメモするすでに複数に散っているなら、今後の入金先を1つに統一する連絡だけ済ませます。
- クラウドに「副業_2026_領収書」フォルダを作るスマホからも開ける場所に作り、財布の中のレシートを今すぐ撮って入れます。
- スマホのカレンダーに毎月末の30分を登録する予定として押さえておかないと、月次の集計は必ず後回しになります。
この3つは合わせて30分もかかりません。それでも、来年2月の自分の作業時間は確実に何時間か減ります。確定申告の準備とは、税金の勉強ではなく記録の仕組み作りです。仕組みさえ動いていれば、税額の計算は申告ソフトがやってくれます。
勤務先との関係で気をつけることは?
気にする人が多い点なので、確かなことだけ書いておきます。まず、そもそも就業規則で副業が認められているかを確認するのが先です。認められた形で続けるほうが、隠す工夫を重ねるよりも精神的にずっと楽になります。
税金の手続きの面では、所得税の確定申告とは別に、住民税の申告が市区町村へ必要になる場合があります。住民税の納め方について不明な点は、お住まいの自治体の窓口や案内で確認してください。取り扱いは自治体ごとに異なるため、ここで一律に言えることはありません。
まずは財布の中のレシートを1枚、撮るところから始めてみてください。
よくある質問
副業の確定申告が必要になるのはいくらから?
給与を1か所から受けている給与所得者の場合、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が年間20万円を超えると確定申告が必要です。判定に使うのは受け取った金額(収入)ではなく、必要経費を差し引いた後の所得の金額です。
確定申告が不要な場合でも、何か手続きは必要?
所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は市区町村へ別途必要になる場合があります。また、個人で事業や不動産貸付け等を行うすべての人には、確定申告義務がない場合も含めて記帳と帳簿書類の保存義務があります。
副業の領収書は何年保存する必要がある?
継続的・反復的に営む仕事としての所得(事業所得)として帳簿書類を保存する場合の保存期間は7年間です。他のどの区分にも当てはまらない所得(雑所得)に区分される場合でも、前々年分のその業務に係る収入金額が300万円を超える人は、領収書や請求書などの現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。
確定申告の前に揃えておく書類は?
マイナンバーカード等の本人確認書類、還付金の受取に使う銀行口座情報、領収書・レシート、勤務先から交付される給与所得の源泉徴収票が基本のセットです。源泉徴収票は12月から1月にかけて配られるため、受け取ったらまとめて保管しておきます。
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