ボーナス後の転職、退職を伝える日はいつが正解?
画像出典: ぱくたそ
冬のボーナスを満額受け取ってから辞めたい場合、確認すべきは「賞与の算定対象期間を勤め終えているか」「支給日に在籍しているか」「退職予定者の減額規定が就業規則にないか」の3点です。支給日に在籍したうえで、支給日の翌営業日以降に上司へ口頭で伝えるのが、金額と人間関係の両方を守りやすい順番になります。退職は民法上2週間前の申し出で成立しますが、引き継ぎを考えると就業規則の「1ヶ月前」に合わせるのが実務の標準です。
辞めると決めてからボーナスまでの数週間は、妙に長く感じます。早く伝えてすっきりしたい気持ちと、何十万円かを取りこぼしたくない気持ちが同時にある。正直なところ、この二つは両立できます。順番を間違えないだけです。
ボーナスは法律で支給が義務づけられた制度ではなく、いくら・誰に払うかは会社の就業規則や給与規程で決まります。つまり勝負どころは交渉ではなく、自社の規程を先に読むことと、伝える日を一日単位で選ぶことです。
ボーナスを満額もらうには何を確認すればいい?
退職を考えているとき、賞与の満額受給で確認すべき条件は次の3つに整理できます。これは法律の条文ではなく、就業規則の一般的な定め方と判例の傾向から整理したものなので、最終的な判断は自社の賞与規程の原文で行ってください。
- 支給日在籍条項を満たす(退職日が支給日より後になっている)
- 査定期間中の評価が確定してから退職の意思を伝える
- 退職予定者向けの減額規定が就業規則に存在しない
このうち読者が自分でコントロールできるのは、1つ目と2つ目です。3つ目は会社側が定めているものなので、変えられません。確認して「ある」なら、減額を前提に転職時期を判断することになります。
「支給日在籍条項」とは?
支給日在籍条項とは、賞与の支給日にその会社に在籍していることを支給の条件とする就業規則の規定です。算定の対象期間をまるごと働いていても、支給日に退職済みなら支払われない、という形になります。
この規定は裁判でも争われてきましたが、自分の意思で辞める人に適用する限りは不合理ではないとされ、適法と判断されています(大和銀行事件 最一小判昭和57年10月7日、京都新聞社事件 最一小判昭和60年11月28日など)。一方、整理解雇のように本人が退職の時期を選べない場合に同じ条項を当てはめるのは不合理とされた例もあります。
つまり自己都合で辞めるなら、この条項は読者の側が合わせにいくべきものです。退職日を支給日の翌日以降にするだけで条件は満たせます。
退職を先に伝えると、なぜ金額が下がるの?
賞与の評価に含まれているのは、過ぎた半期の成果だけではありません。多くの会社で「これから先への期待」も査定の一部に入っています。辞めることが決まった社員は、この将来期待分がゼロで計算され、結果として最終評価が下がることがあります。
給与明細には「将来期待分」などという欄は出てきません。だからこそ、評価が固まる前に退職の意思を伝えると、下がった理由が本人には見えないまま金額だけが変わります。順番を守るというのは、この見えない部分を動かさないという意味です。
ボーナスを待つことが常に得とは限りません。転職先の入社日が先に決まっていて、待つと内定が流れる場合は、賞与より入社の確定を優先したほうが生涯の収入では有利になることがあります。体調や職場環境が限界に近い場合も同じです。数十万円は大きい金額ですが、健康と次の職の確定の代わりにはなりません。
そもそも冬のボーナスはいくら、いつ出るもの?
自分の金額を判断する材料として、公表されている平均額を押さえておくと比較しやすくなります。ただし調査によって対象企業の規模が違い、金額が倍近く変わる点には注意が必要です。
| 調査主体 | 対象企業規模 | 平均支給額 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 経団連(大手企業調査) | 従業員500人以上中心の大手企業 | 100万4841円 | +8.57% |
| ジョブカン(DONUTS運営) | 企業規模全体を含む広範な集計 | 50万6547円 | 記載なし |
2025年冬季ボーナスに関する各社の公表データをもとに作成
上の表のとおり、同じ「2025年冬のボーナス」でも大企業基準では100万円超、企業規模全体を含めた集計では50万円前後という二重の基準があります。経団連の集計は従業員500人以上の大手企業が中心のため、実態より高めに出る傾向があります。ニュースの見出しだけを自分の会社に当てはめると、金額の感覚がずれます。
支給日については、民間企業では12月1日〜15日ごろに支給される傾向があり、10日・15日・20日・25日・28日あたりに設定している会社が多く見られます。国家公務員は法律で12月10日(土日祝なら直前の金曜)と決まっており、地方公務員もおおむね12月10日とする自治体が多いです。
自分の支給日は推測せず、給与規程か過去の給与明細の支給日で確定させてください。退職日を一日単位で設計するには、この日付が起点になります。
ボーナス後に辞めるスケジュールはどう組む?
支給日が分かれば、あとは逆算です。退職の申し出は、民法第627条第1項により期間の定めのない雇用なら2週間前で足り、会社の承諾は要りません。ただし就業規則で「1ヶ月前まで」と定める会社が多く、引き継ぎと人間関係を考えるなら就業規則の期間に合わせるのが実務の標準です。法律上は2週間ルールが優先されるという事実は、もめたときの最後の拠り所として知っておく程度でよいと思います。
- 規程を読む(支給日の1〜2ヶ月前)就業規則・賞与規程で、支給日・算定対象期間・支給日在籍条項・退職予定者の減額規定の4点を確認します。社内ポータルで見つからなければ、人事に「就業規則を確認したい」と頼めば足ります(理由の説明は不要です)。
- 評価が確定するまで動かない査定期間が終わり、評価が固まるまでは退職の話を社内でしません。転職活動そのものは並行して進めて構いませんが、同僚への相談から伝わることがあります。
- 支給日に在籍して受給を確認する支給額が明細に反映されたことを確認します。ここまでが金額を守るパートです。
- 支給日の翌営業日以降に、上司へ口頭で伝える最初に伝える相手は直属の上司ひとりです。退職希望日から逆算し、就業規則の申告期間を満たす日に設定します。
- 退職願を出し、退職日を合意する引き継ぎ期間を織り込んだ退職日を上司と相談して決めます。
- 有給の残日数を確認して消化計画を立てる引き継ぎ期間と重ならないよう、残日数を先に確認してから並べます。
- 引き継ぎ資料と返却物を整える業務の引き継ぎ資料を作り、関係者への挨拶と社員証・PCなどの返却物を整理します。
算定対象期間は会社ごとに大きく違います。下期を10月〜3月とする会社もあれば、4月〜9月の評価を冬に反映する会社もあります。期間の切り方を自社の規程で確認しないと、逆算の起点そのものがずれます。
「退職願」と「退職届」はどちらを出す?
退職願は合意して辞めたいという申し出で、会社が承諾する前なら撤回できる場合があります。退職届は一方的に辞めるという意思表示で、原則として撤回できません。実際にはタイトルではなく書かれた内容の法的性質で判断されますが、円満に進めたいなら、まず口頭で伝えてから退職願を出す流れが無理のない順番です。
上司にはどう伝えればいい?
気まずさを減らす要素は、言い方よりも場の作り方にあります。立ち話で切り出さず、15分の打ち合わせを押さえてから話す。理由は会社や人の批判ではなく、自分がやりたいことの側に置く。この2つで、たいていの会話は穏やかに進みます。
最初のひと言は、短いほうが伝わります。
切り出しの言い方:「お時間をいただきありがとうございます。私事で恐縮ですが、退職を考えておりまして、まずは◯◯さんにご相談させてください。」
時期を伝える言い方:「◯月末での退職を希望しています。引き継ぎの期間は確保したいので、スケジュールはご相談させてください。」
理由を聞かれたときの言い方:「◯◯の領域に腰を据えて取り組みたいと考えるようになりました。今の環境に不満があるというより、自分の方向を決めた結果です。」
引き止められたときの言い方:「ありがたいお言葉です。ただ、時間をかけて考えて決めたことなので、気持ちは変わりません。引き継ぎでご迷惑をかけない形を一緒に考えさせてください。」
転職先の社名、提示された年収、同僚への不満は、聞かれても答える義務はありません。「まだ調整中です」「個別の社名は控えさせてください」で十分です。ボーナスを待っていたという事情も、わざわざ説明しないほうが話がこじれません。退職日と引き継ぎだけを具体的に話すのが、結果として双方に楽です。
順番が決まると、待っている数週間の落ち着きが変わります。今日できるのは、就業規則の賞与の章を開いて支給日と在籍条項の2行を探すところまで。それだけで、伝える日が自分で決められるようになります。
よくある質問
ボーナスをもらってすぐ退職を伝えると、支給額を返さなければいけませんか?
就業規則に返還を定める規定がない限り、支給された賞与を返す義務はありません。賞与の支給条件は会社の就業規則や給与規程で決まるため、まず自社の賞与規程に返還条項があるかを確認してください。
支給日在籍条項があると、算定期間を全部働いてもボーナスはもらえませんか?
支給日より前に退職している場合、算定対象期間を全て勤務していても支給されないことがあります。この規定は自発的に退職する人に対しては適法と判断されているため、退職日を支給日より後に設定することで条件を満たせます。
退職は何日前までに伝える必要がありますか?
期間の定めのない雇用契約であれば、民法第627条第1項により退職の2週間前までに申し出れば会社の承諾なく退職できます。一方で就業規則では1ヶ月前や2ヶ月前と定める会社が多く、引き継ぎを円滑にする観点から就業規則の期間に合わせるのが実務上の標準です。
冬のボーナスの支給日はいつですか?
民間企業では12月1日〜15日ごろに支給される傾向があり、10日・15日・20日・25日・28日あたりに設定されることが多いです。具体的な日付は就業規則や給与規程で定められており、国家公務員は法律で12月10日(土日祝の場合は直前の金曜)と決まっています。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。