AI議事録ツール比較、無料で足りる人と有料が要る人
画像出典: ぱくたそ
AI議事録ツールの選択は「今使っている会議ツールの内蔵機能で足りるか」で最初に分かれます。Zoomなら有料プランにAI Companionが追加料金なしで付き、TeamsはPremiumライセンスで自動要約が使えます。複数の会議ツールを横断する人や外部との会議が多い人は、どれにもボットで参加できるNottaやtl;dvのような専業ツールのほうが運用を一本化しやすくなります。
会議そのものより、その後の議事録作成のほうが時間を食っている。正直なところ、これは珍しい話ではありません。発言を思い出しながら打ち直し、決定事項を拾い、欠席者に送る。この一連が毎週何本も積み重なります。
AI議事録ツールは、この作業のうち「文字起こし」と「要点の抽出」を肩代わりします。ただ、ツールの数が多く、料金体系もプランごとの上限もバラバラで、比べ始めると手が止まります。選択の起点は「どれが一番高機能か」ではなく、「今使っている会議ツールの内蔵機能で足りるか」です。
ここでは、会議ツールに内蔵された機能と専業ツールの違いを料金と上限の事実で並べ、自分がどちらに当てはまるかを3つの質問で切り分けます。そのうえで、導入した日から要約・共有までを回す手順まで落とします。
AI議事録ツールには2つの種類がある
先に言葉をそろえておきます。AI議事録ツールと呼ばれるものは、大きく2種類に分かれます。
1つめは会議ツール内蔵型。Zoom・Google Meet・Microsoft Teamsといった会議ツール自体に、文字起こしと要約の機能が組み込まれているものです。新しいアプリを入れる必要はなく、会議を始めれば対象の機能が動きます。
2つめは専業ツール。Nottaやtl;dvのように、会議に「ボット」(会議の参加者として入室し、録音・録画を担当するプログラム)を参加させて記録を取るサービスです。会議ツールが何であっても同じ場所に記録が貯まります。
この2種類の差は、機能の優劣ではなく記録がどこに貯まるかです。内蔵型は会議ツールごとに記録が分かれ、専業ツールは1か所に集まります。ここが後の選び分けの軸になります。
会議ツール内蔵の機能で足りるのはどんな人?
会議ツールを1つに絞って使っていて、必要なのが「要約」と「やることの洗い出し」だけなら、内蔵機能で完結します。追加で払うコストが、すでに契約している会議ツールのプラン内か、その上乗せ分だけで済むからです。
Zoom AI Companion
有料のZoom Workplaceプランに、追加料金なしで付属するAI会議要約・議事録機能です。無料プランでは使えません。Zoom Workplaceの有料プランは年払いで1ユーザー月額$14.16から。AI Companionだけを単体で契約するスタンドアロンプランは月額$8.33からとされています(2026年8月時点、ドル建て)。
「ミーティング要約」機能では、会議中の発言をリアルタイムで文字起こしし、終了後に議論内容・決定事項・主要論点・ToDoリストを自動で抽出して要約を作ります。すでにZoomの有料プランを会社が契約しているなら、追加の稟議なしで今日から試せる可能性があります。
Google Meet(Geminiの自動メモ生成)
Geminiによる自動メモ生成・文字起こしは、Google Workspace Business Standard以上のプランで使えます。Business Standardは年間契約で月額1,600円/ユーザー(2026年6月時点)。下位のBusiness Starter(月額800円)では自動メモ生成に対応していません。ここが見落としやすい分岐点です。
会議が終わると数分以内に、メモがGoogleドキュメントとして主催者のGoogleドライブに自動保存され、メールで通知が届きます。要点・決定事項・アクションアイテムが自動で抽出されます。日本語は2025年以降、英語・フランス語に加えて対応しました。
Microsoft Teams Premium(インテリジェントリキャップ)
Teams Premiumライセンス(年間契約で月額$7/ユーザーが目安)を持ち、会議の録画・文字起こしを有効にしておくと、終了後にAIが自動で要約します。Microsoft 365 Copilot(月額$30/ユーザー)の約4分の1のコストで使えるという比較もあります。
機能は、AIによる議事録要約、誰が・何を・いつまでに行うかのタスク抽出、そして自分の名前が呼ばれた場面などを自動で印を付ける「パーソナライズされたタイムラインマーカー」です。会議中に自分に話が振られた箇所へ後から飛べるので、聞き逃しの確認がしやすくなります。
- 社内・社外とも、会議ツールがほぼ1つに固定されている
- 必要なのは要約と、やること(ToDo)の抽出まで
- 会社がすでにその会議ツールの有料プランを契約している
- 記録の保存先が会議ツール側でも支障がない
専業ツールが要るのはどんな人?料金と上限の比較
一方、複数の会議ツールを横断して使う人や、外部との会議が多い人は、専業ツールのほうが運用を一本化しやすくなります。Zoom・Meet・Teamsのいずれにもボットで参加できるため、記録が1か所に集まるからです。
| ツール | プラン | 月額料金 | 文字起こし上限 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Notta | Free | $0 | 120分/月(1回最大3分) | AI要約10回/月 |
| Notta | Pro | $8.17(年払い時・40%OFF適用) | 1,800分/月(1回最大5時間) | AI要約100回/月 |
| Notta | Business | $16.67(年払い時・40%OFF適用) | 無制限(1回最大5時間) | AI要約200回/月 |
| Rimo Voice | 文字起こしプラン | ¥1,650(税込) | 月2,100分 | 話者分離・URL共有 |
| Rimo Voice | プロプラン | ¥4,950(税込) | 無制限 | Bot無制限録画・AI詳細要約・AIアシスタント対話 |
| Rimo Voice | チームプラン | ¥6,600(税込) | 無制限 | プロプラン機能+チーム招待・共同フォルダ |
| tl;dv | Free | ¥0 | 録画は無制限(AI要約は月10回目安、要公式確認) | Zoom/Meet/Teams対応、Slack・メール連携 |
Notta/Rimo合同会社/AI Smiley(tl;dv紹介記事)の公表データをもとに作成
上の表で目を向けてほしいのは、料金より「1回あたりの上限」と「要約回数」です。Notta Freeは月120分に加えて1回最大3分という制限があり、実際の会議はほぼ入りません。無料プランは機能の下見用と考え、実務で回すなら有料プランが前提になります。tl;dv Freeは録画・文字起こしが無制限とされており、ここが大きく性格の違うところです。
では、どれをどんな人に。Notta Proは、会議が週に数本で、Zoom・Meet・Teamsを行き来する個人に合います。月1,800分(30時間)あれば通常の会議量はまかなえます。Notta Businessは文字起こし無制限のため、会議が毎日ある人向けです。Rimo Voiceは日本語特化のAIエンジンを掲げ、業界特有の専門用語にも対応するとされており、日本語の専門用語が多い会議に向きます。カスタム要約機能で、自社のひな型に沿った議事録を自動生成できる点も、フォーマットが決まっている職場には効きます。全プランで「AI学習なし」を保証している点も、社外に出せない話題を扱う会議では判断材料になります。tl;dvは、欠席者への共有を最優先する人に。録画URLや要約をSlack・メールでシェアするだけで完了する設計です。
料金は必ず公式サイトで確認する
上の表の数値は2026年9月時点で各社サイト等から確認したものですが、AI議事録ツールの料金は改定の頻度が高い領域です。特にNottaの価格は年払い×プロモーション割引を適用した金額のため、申し込みのタイミングで変わります。tl;dvの料金は公式のpricingページが確認できず二次情報のため、契約前にtldv.ioで必ず直接確認してください。会社の経費で申請するなら、申請書に書く前に公式サイトのスクリーンショットを取っておくと差し戻しを防げます。
自分はどれを選ぶ?3つの質問で切り分ける
ここまでの内容を、順番に答えるだけで結論が出る形にします。
- 会議ツールは1つに固定されているかほぼZoomだけ、ほぼTeamsだけ、という状態なら内蔵型が第一候補です。Zoomなら有料プランにAI Companionが追加料金なしで付きます。Teamsなら Premium ライセンス(月額$7/ユーザー目安)の追加で済みます。2つ以上を行き来しているなら、次の質問へ。
- 外部との会議が多いか相手の会社が用意した会議室に招かれる形が多いなら、自分の会議ツールの内蔵機能は使えません。この場合は、どの会議ツールにもボットで参加できる専業ツール(Notta / tl;dv / Rimo Voice)が現実的です。
- 共有相手は誰か欠席者に「会議の様子ごと」渡したいならtl;dvのような録画URL共有型。決定事項のテキストだけでよく、自社のひな型が決まっているならRimo Voiceのカスタム要約。特に縛りがなくコストを抑えたいならNotta Proが起点になります。
選ぶ順番を「機能の多さ」から「自分の会議の形」に変えると、候補は1つか2つまで絞れます。あとは実際に動かして確かめる段階です。
導入してから要約・共有までの手順は?
契約前にやることと、導入後に毎回回す手順を分けます。まず試用の段階から。
契約前:無料プランで2〜3ツールを並走させる
無料プランはいずれも文字起こし時間や要約回数に上限がありますが(Notta Freeは120分/月、tl;dv Freeは録画無制限だが要約に制限あり)、まず無料で2〜3ツールを試してから有料化するという流れが現実的です。同じ1本の会議を2つのツールで同時に記録すると、日本語の精度差がその場でわかります。
- 自社・業界の専門用語が正しく文字になっているか
- 誰の発言かの区別(話者分離)が合っているか
- 要約に「決定事項」と「担当者・期限」が入っているか
- 自分が使っている会議ツールにボットが問題なく入れるか
- 会社のルールで外部サービスへの録音持ち出しが許されているか
導入後:毎回の5ステップ
- 会議の冒頭で記録を伝える「記録のためにAIツールで文字起こしを取らせてください」と最初に一言。社外との会議では特に必須です。無言で録音を始めるとトラブルになります。
- 会議中は決定事項だけ手でメモする文字起こしはツールに任せ、自分は「決まったこと」「持ち帰りになったこと」の2点だけを短く書き留めます。後で要約と突き合わせる基準になります。
- 終了後に自動要約を開くGoogle Meetなら数分以内にGoogleドキュメントが主催者のドライブに保存されメール通知が届きます。専業ツールならアプリ内に要約が生成されます。
- 要約を3点だけ直す全文を読み返さず、(1)決定事項、(2)担当者と期限、(3)固有名詞の誤変換、この3点に絞って確認・修正します。ここが人の手を残す価値のある部分です。
- その日のうちに共有するtl;dvなら録画URLと要約をSlack・メールへ送るだけ。Rimo VoiceならURL共有。共有までを当日に終えると、記憶が新しいうちに参加者から訂正が入ります。
AIに任せるのは文字起こしと下書きまで、決定事項の確認は人が持つ。この線引きを決めておくと、AI要約の間違いをそのまま社内に流す事故を防げます。
導入時に気をつけることは?
まず、会社のセキュリティ規定で外部サービスへの会議音声の持ち出しが禁止されている場合、専業ツールは選択肢になりません。この場合は、すでに契約済みの会議ツールの内蔵機能に限られます。上司や情報システム部門に聞くときは、「議事録のためにAIツールを使いたいのですが、会議の録音を外部サービスにアップロードすることは就業規則・情報取扱規程で認められていますか」と、アップロードの可否を具体的に聞くのが早いです。
また、人事評価や懲戒に関わる面談、条件交渉の場など、発言が記録に残ること自体が相手の発言を縛る会議もあります。ツールの性能とは別の問題として、記録を取らない判断が必要な場面があります。
料金面では、無料プランの上限が実務に耐えないケースが多い点も正直に。Notta Freeは1回最大3分で、通常の会議は1本も丸ごと入りません。「無料でずっと運用する」前提では組み立てないほうが安全です。
それから、ツールを自費で契約する前に、会社が何をすでに契約しているかを確認してください。Zoomの有料プランを使っているならAI Companionは追加料金なしで付属しており、払わずに済む可能性があります。Google Workspaceを使っているなら、自社のプランがBusiness Standard以上かどうかが分岐点です。Starterなら自動メモ生成は使えません。情報システム部門への確認は、「自社のGoogle Workspaceのプランは何ですか」「Zoomの有料プランにAI Companionは有効化されていますか」の2問で済みます。
議事録の書き方そのものを整えたい場合は議事録の取り方とテンプレートも合わせて確認すると、AIの要約を自社の形に直す作業が速くなります。会議の進め方から見直すなら会議ファシリテーションの基本が土台になります。
よくある質問
AI議事録ツールは無料プランだけで運用できますか?
実務での常用は難しいのが実情です。Notta の無料プランは月120分かつ1回最大3分という上限があり、通常の会議を1本丸ごと記録できません。一方 tl;dv の無料プランは Zoom・Google Meet・Teams の録画と文字起こしが無制限とされ、AI要約やSlack・メール連携も使えます。無料プランは複数ツールの精度を比べる試用に使い、常用するツールは有料化する前提で選ぶのが現実的です。
Zoom AI Companion は追加料金がかかりますか?
有料の Zoom Workplace プランを契約していれば、追加料金なしで付属します。無料プランでは利用できません。Zoom Workplace の有料プランは年払いで1ユーザー月額$14.16から、AI Companion のみのスタンドアロンプランは月額$8.33からです(2026年8月時点、ドル建て)。会社がすでに Zoom の有料プランを契約している場合、新たな費用なしで使える可能性があります。
Google Meet の自動メモ生成はどのプランで使えますか?
Google Workspace の Business Standard 以上のプランで利用できます。Business Standard は年間契約で月額1,600円/ユーザーです(2026年6月時点)。下位の Business Starter(月額800円)は自動メモ生成に対応していません。利用できる場合、会議終了後に数分以内で Google ドキュメントとしてメモが主催者のドライブに保存され、メール通知が届きます。
日本語の専門用語が多い会議にはどのツールが向きますか?
日本語特化をうたう Rimo Voice が候補になります。日本の株式会社Rimoが開発する国産ツールで、日本語特化のAIエンジンにより業界特有の専門用語にも対応するとされています。カスタム要約機能で企業独自のひな型に沿った議事録を自動生成でき、全プランで「AI学習なし」を保証しています。料金は文字起こしプランが月額1,650円(税込・月2,100分)、無制限のプロプランが4,950円(税込)です。
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