議事録の書き方、会議中に書き終わる3つのコツ
画像出典: 写真: Helgi Halldórsson from Reykjavík, Iceland(CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons)
議事録は「全部書く」のをやめて、決定事項・担当と期限・次回日程の3つを拾うことに絞ると、会議中に書き終わります。事前に日付や出席者を埋めたテンプレを開いておき、会議中は時系列の走り書きにとどめ、終わりが見えてきた段階で議題ごとに整理します。聞き逃した箇所は色を付けておき、会議の最後に「決定事項を読み上げます」と確認すれば埋まります。
発言を全部書き取ろうとすると、耳と手が同時にフル稼働するので、意味を考える余裕がなくなります。能力の問題ではなく、人間の処理能力の順当な結果です。
解決の方向はひとつで、書く量を減らすことです。会議で後から必要になる情報は、実はかなり限られています。そこだけを拾うと決めてしまえば、手が空いて、議論が聞けるようになります。
「全部書いておいて」と指示された議事録も、読まれるのは決定事項と自分の担当分だけ、というのが実情です。全文の記録が本当に要るなら、それは議事録ではなく録音の仕事です。
議事録に本当に必要な項目は?
議事録の基本構成として広く使われているのは、次の7項目です。作成日、会議名、場所、出席者・欠席者、議題、決定事項、次回会議日時。必要に応じて議論内容・今後の課題・保留事項・次回議題を足します。
この7つを眺めると、会議中に頭を使って書く必要があるのは「決定事項」だけだと分かります。作成日も会議名も場所も出席者も議題も、会議が始まる前に分かっていることです。次回日程は最後に決まります。
- 作成日
- 会議名
- 場所(会議室名やオンラインツール名)
- 出席者・欠席者(招待リストからコピー)
- 議題(アジェンダからコピー)
ここを前日か直前の3分で埋めておくだけで、当日の負荷はかなり違います。空欄のテンプレを開いた状態で会議に入ると、最初の自己紹介や雑談の間に「えっと今日の議題って…」と焦ることになります。
その場で書き終わる議事録テンプレ
コピーしてそのまま使える形にしたものが下です。テキストエディタでもドキュメントでも、社内のツールに合わせて置いておいてください。
| 会議名 | ◯◯定例(第◯回) |
|---|---|
| 日時 | 2026年◯月◯日(水)14:00〜15:00 |
| 場所 | 会議室A / オンライン |
| 出席者 | 山田、佐藤、鈴木(欠席:田中) |
| 議題 | 1. 販売店向け説明会の進め方 2. 広告予算の配分 |
| 決定事項 | ・◯◯で進める ・◯◯は保留、次回再検討 |
| ToDo | ・販売店向け説明資料を作成:佐藤ー8月5日まで ・広告予算の再検討:鈴木ー8月7日まで |
| 次回 | ◯月◯日(水)14:00/議題:予算の最終確認 |
ポイントは「決定事項」と「ToDo」を分けていることです。決まった内容と、そのために誰が動くかは別物で、混ぜると後から読んだ人が自分の担当を見つけられません。
ToDoは「何を・誰が・いつまで」の3点セットで書く
ここが議事録の価値のほとんどを決めます。書き方の差を並べます。
| NG | 資料を準備:C 予算は検討が必要 |
|---|---|
| OK | 販売店向け説明資料を作成:Cー8月5日まで 広告予算の再検討:Bー8月7日まで |
スマート書記の解説をもとに作成
NG側は、会議に出ていた人には通じても、翌週の自分には通じません。「何の資料だっけ」「Cって誰だっけ」「いつまでだっけ」で、結局その場にいた人へ確認することになります。
担当者の名前と期限が入っていない行は、書かなかったのと同じです。逆にこの3点さえ揃っていれば、議論の経過が書かれていなくても議事録は仕事をします。
会議中は何を書けばいい?
会議中に整った文章を書こうとするから間に合いません。会議中と会議後で、やることを完全に分けます。
- 会議中は時系列の走り書き発言を箇条書きで、順番のまま落としていきます。整理は一切しません。文にもしません。「予算 → 来期に回す? 山田さん反対」程度で十分です。
- 関連する発言に印を付ける同じ話題の箇条書きを○や△で囲んでグループにします。因果関係のある発言同士は矢印で結びます。これが後で議題ごとにまとめ直すときの地図になります。
- 聞き逃した箇所は色を付けて飛ばす追いつけなかった行はマーカーや「?」を付けて、その場では放置します。止まって考え込むと、そこから後の話も全部落ちます。
- 終わりが見えたら決定事項へ集約議論が収束してきたら、走り書きから「決まったこと」だけを拾って、テンプレの決定事項とToDo欄に転記します。ここで初めて文の形にします。
- 会議後に清書時系列のメモを議題ごとに並べ替えて完成。当日中にやること。翌日になると自分のメモが読めなくなります。
時系列で取って、後から議題ごとに並べ替える。この順番が大事です。最初から議題ごとに整理して書こうとすると、話題が飛んだ瞬間に破綻します。会議の話題は行ったり来たりするのが普通なので、その場で構造化するのは無理があります。
聞き逃したとき、どう聞き返せばいい?
議事録係が黙って書き手に徹すると、分からないまま議事録が完成してしまいます。聞き返すのは仕事の一部です。ただ、聞き方によって場の空気は変わります。
- 「議事録に残したいので確認させてください。この件の担当は◯◯さん、期限は今月末という理解で合っていますか」
- 「すみません、いま決まったのは A案で進める、ということでよろしいでしょうか」
- 「◯◯の件は、今日は保留として次回に持ち越し、という記載で大丈夫ですか」
- 「最後に決定事項を読み上げます。違うところがあれば止めてください」
どれも「自分が分からなかった」ではなく「議事録に正確に残すため」という立て方になっています。議事録係にはこの大義名分があるので、遠慮なく使えます。むしろ確認せずに曖昧な議事録を出すほうが、後で全員の手間になります。
特に効くのが最後の「決定事項を読み上げます」です。会議の終わり際に少し時間をもらって読み上げると、認識のずれがその場で潰せます。参加者側から見ても、決まったことが確認できるのはありがたい進行です。
会議中に聞くのが難しい場合
発言の流れが速い会議や、役職者ばかりの場では、その場で止めにくいこともあります。その場合は色を付けた箇所を持って、会議直後に発言者へ個別に確認します。「先ほどの◯◯の件、議事録に残す表現を確認させてください」で通ります。
翌日以降に回すと、相手も記憶が薄れて「たしかそんな話だった気がする」という答えしか返ってきません。確認は当日中が原則です。
読みやすい議事録にする書き方のコツ
清書のときに気をつける点は多くありません。次の5つで十分です。
- 5W1H(誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように)が埋まっているか
- 事実と意見が区別されているか(見出しや網掛けで分ける)
- 時系列ではなく議題ごとにまとまっているか
- 1文が60文字前後に収まっているか
- 用語や語尾が統一されているか(常体なら常体で通す)
「事実と意見を分ける」が特に効きます。「単価が想定より2割高い」(事実)と「この価格では厳しいのではないか」(意見)を同じ調子で並べると、読んだ人が決定事項と誰かの感想を取り違えます。意見を書くなら発言者の名前を付けて、意見だと分かる形にしてください。
1文60文字というのも地味に効きます。会議の発言をそのまま書き起こすと、接続詞でつながった長文になりがちです。切って短くするだけで読めるようになります。
発言の逐語記録が求められる会議には使えません。取締役会や労使協議、監査対応、法的な証跡が必要な場面では、誰が何と言ったかを省略せずに残す必要があります。この場合は録音や文字起こしツールを併用し、議事録係が耳と手だけで対応しようとしないでください。
また、はじめて出る会議で背景知識がまったくない場合は、テンプレがあっても議論の意味が取れません。この時は事前に前回の議事録を読んでおくか、開始前に「今日の論点を一言で教えてください」と主催者に聞いておくほうが早いです。
1回目からうまくやろうとしなくていい
議事録が書けるようになると、会議の構造が見えるようになります。どの発言が決定につながり、どれが立ち消えになるか。誰が論点を戻す役割をしているか。書き取る側に回ると、参加しているだけでは気づかない部分が見えてきます。
最初の数回は、決定事項とToDoだけ正確に取れていればそれで合格です。議論の経過は取れなくて構いません。拾う情報を減らすことが、結果として議事録の質を上げます。
次の会議の前に、上のテンプレをコピーして日付と出席者だけ埋めておいてください。それだけで、当日の入りが変わります。
よくある質問
議事録に最低限必要な項目は何ですか?
作成日、会議名、場所、出席者・欠席者、議題、決定事項、次回会議日時の7項目が基本構成です。必要に応じて議論内容・今後の課題・保留事項・次回議題を追加します。このうち決定事項以外は会議前や会議終了時に機械的に埋められるため、会議中に集中すべきなのは決定事項の記録です。
会議中にメモが追いつかないときはどうすればいいですか?
整った文章にせず、発言を時系列のまま箇条書きで走り書きします。関連する発言は○や△の記号で囲んでグループにし、因果関係のある発言は矢印で結びます。聞き逃した箇所はマーカーや「?」で色を付けて飛ばし、後から発言者に確認してください。その場で止まって考え込むと、以降の発言もまとめて落とすことになります。
アクションアイテム(ToDo)はどう書けば伝わりますか?
「何を・誰が・いつまで」の3点をすべて書きます。「資料を準備:C」ではなく「販売店向け説明資料を作成:Cー8月5日まで」のように、対象を具体化し、担当者名と期限を明記してください。担当者と期限が抜けた行は、後から読んだ人が動けないため書かなかったのと同じ扱いになります。
議事録係が会議中に発言者へ聞き返しても失礼になりませんか?
議事録に正確に残すための確認は、議事録係の役割の一部なので問題ありません。「議事録に残したいので確認させてください。担当は◯◯さん、期限は今月末で合っていますか」のように、自分が分からなかったという立て方ではなく、記録の正確性を理由に聞くと自然です。会議の終わり際に決定事項を読み上げて確認するのも有効です。
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