会議の進行役が初めてでも回る、時間配分3つの型
画像出典: 写真: Klean Denmark(CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons)
会議の進行は当日の話術ではなく、事前のアジェンダで8割が決まります。議題と担当を2〜3営業日前に共有し、決めることを前半に置き、全体の8割の時間で組んで残り2割をバッファにします。この3つを押さえるだけで、初めての進行役でも時間内に終わります。
進行役は「その場でうまく仕切る人」の仕事に見えますが、実際にうまく回っている会議ほど、当日の進行は淡々としています。会議の出来は、始まる前にどこまで決めておいたかでほとんど決まります。
正直なところ、話し方がうまいかどうかはあまり関係ありません。何を、どの順番で、何分で話すのか。これが紙に書いてあれば、あとは書いてある通りに進めるだけです。ここでは準備・時間配分・発言の引き出し方の順に、そのまま使える形で並べていきます。
会議の進行役は、当日何をする人?
進行役(ファシリテーター)の役割は、自分が一番たくさん話すことではありません。決めるべきことを、決められた時間内に決めきること。これに尽きます。
だから当日やることは、意外と少ないです。議題を読み上げる、時間を見る、発言が偏ったら別の人に振る、決まったことを言葉にして確認する。この4つです。
- 今からどの議題を話すのかを声に出す
- 残り時間を伝える(「あと5分です」)
- 話していない人に話を振る
- 決まったことと、誰がいつまでにやるかを口頭で確認する
逆に言えば、この4つを当日やるだけで済む状態を、事前に作っておく必要があります。それがアジェンダです。
アジェンダはいつまでに、何を書いて配る?
アジェンダと関連資料は、会議の2〜3営業日前までに参加者へ共有しておくのが望ましいとされています。当日その場で配ると、参加者は資料を読みながら考えることになり、議論が始まるまでに時間を食ってしまうからです。
前日夜に慌てて作るくらいなら、粗い状態でも3日前に出したほうが会議はうまくいきます。抜けがあれば参加者から指摘が来るので、それも含めて準備になります。
アジェンダに書く4つの項目
- 議題名「新サービスの件」ではなく「新サービスの告知チャネルを3つに絞る」のように、話す範囲がわかる書き方にします。
- ゴール(決める/共有する/意見をもらう)この議題は何をしたら終わりなのかを一言で。ここが曖昧だと議論が終わりません。
- 担当者誰が説明を始めるのかを書いておきます。名前が入っていると、その人は事前に考えてきてくれます。
- 持ち時間分単位で書きます。書いた瞬間に「これは1回の会議に詰めすぎだ」と気づけます。
もうひとつ効くのが備考欄です。「事前にやっておいてほしい作業」をアジェンダに明記しておくと、当日の議論がぐっとスムーズになります。「先方の見積書に目を通しておいてください」の一行があるかどうかで、冒頭5分の使い方が変わります。
順番の基準は「重要度」と「集中力」です。議題には重要度・緊急度に応じた優先順位をつけ、どうしても決定しなければならないことは、参加者の集中力が高い前半に置きます。
報告だけの議題を先に並べると、本題に入る頃には全員の頭が疲れています。決議事項を先、報告は後ろ。時間が押したときに削るのも後ろ側になるので、この順番なら被害が小さくて済みます。
60分の会議、時間はどう割り振る?
時間配分は感覚で決めず、先に数字で置いてしまうのが安全です。よく紹介される60分会議の目安を、議題の種類ごとの持ち時間として並べると次のようになります。
| 議題の種類 | 目安の持ち時間 |
|---|---|
| 報告事項 | 5分以内 |
| ディスカッション | 15〜20分 |
| 決議 | 10分 |
上の表にあるのは、議題そのものに割り当てる時間です。ここで見落とされがちなのがバッファで、全議題の合計時間は、会議全体の目安時間の8割程度に抑えておくのが基本とされています。60分なら、議題の合計は48分前後。残りの12分は、脱線・追加質問・延長のために空けておきます。
会議が時間内に終わらない原因の多くは、議論が長引いたからではなく、最初から60分ぴったりに詰め込んでいたからです。予定外のことは必ず起きるので、起きる前提で組んでおきます。
ブレストや企画出しのように、結論を出すことより案の量を出すことが目的の会議では、決議10分の枠は不要です。逆にディスカッションを長く取り、最後は「今日出た案を持ち帰って次回決める」で終わらせたほうが成果が出ます。配分の型は、決めることがある会議のためのものだと思ってください。
時間を守るための言い方
時間管理でつまずくのは、遮り方がわからないからです。人の話を止めるのは気が重いので、あらかじめ言葉を決めておきます。
- 開始時「この議題は15分で、◯時◯分に次へ移ります」
- 残り5分「あと5分なので、そろそろ結論の方向を出せればと思います」
- 脱線したとき「その話は大事なので、別途の議題として持たせてください」
- 終わらないとき「この件は◯◯さんと私で持ち帰って、来週たたき台を出します」
「その話は別途」は、進行役が持っておくと一番助かる言葉です。話を否定せずに切れるので、遮られた側も嫌な気持ちになりません。
誰も発言しないとき、どう声をかける?
沈黙が起きるのは、参加者にやる気がないからではありません。多くの場合、何について、どの立場で話せばいいのかが決まっていないからです。全体に向かって漠然と投げられた質問は、「自分が答えるべき問い」として誰にも届きません。
だから発言を引き出す仕込みは、当日ではなくアジェンダの段階で終わっています。事前に論点と担当を明確にしておくと、当日「何について誰が話すべきか」が参加者にも分かり、発言のハードルが下がります。
その場でできる4つの引き出し方
- 名前で指名する「ご意見ありますか」ではなく「◯◯さん、現場から見てこの案はどうですか」。範囲を絞って個人に渡します。
- 賛否ではなく事実から聞くいきなり意見を求めず「実際の運用ではどんな流れになっていますか」と、その人が確実に答えられることから始めます。答えの中に論点が出てきます。
- 選択肢の形にする「どう思いますか」より「A案とB案なら、どちらが現場で回りそうですか」。ゼロから考えさせるより負担が小さく、答えが返ってきやすくなります。
- 最初の一人を若手にしない先に役職の高い人が意見を言うと、その後の発言が同じ方向に寄ります。現場に近い人から順に聞いていくと、意見が潰れません。
返ってきた発言は、そのまま流さずに一度言い換えて返します。「つまり、運用の手間が増えるのが引っかかっている、ということですね」。こう受け止められると、次の人も話しやすくなります。
会議の終わり方で、次が決まる
終了3分前に必ずやることがひとつあります。決まったこと・決まらなかったこと・誰がいつまでに何をするかを、声に出して確認することです。
議事録に書くから大丈夫、では足りません。その場で読み上げると、認識がずれている人がその場で「あれ、それは自分の担当でしたっけ」と言えます。後日メールで気づくより、はるかに安く済みます。
- 「今日決まったのは、◯◯を△△の方針で進める、という点です」
- 「持ち帰りは◯◯の件。◯◯さんが来週水曜までにたたき台を出します」
- 「今日決めきれなかった△△は、次回の冒頭で扱います」
この3行をアジェンダの最後に固定の項目として書いておくと、忘れません。進行役の仕事は、会議を盛り上げることではなく、参加者が「で、結局どうなったんだっけ」と思わない状態で解散させることです。
ちなみにこうした原則は民間企業だけのものではなく、自治体の実務ガイドラインでも「会議の進め方改善」として、目的とアジェンダの明確化・時間管理の徹底が明文化されています。組織の種類を問わず効くやり方だと考えて差し支えありません。
初めての進行、当日までにやることまとめ
- 3営業日前議題・ゴール・担当・持ち時間を書いたアジェンダを共有。備考欄に事前準備を明記します。
- 前日議題の順番を見直し、決議事項が前半に来ているか確認。合計時間が全体の8割に収まっているかも数えます。
- 当日開始時「今日のゴールは◯◯を決めることです」と最初に宣言。終わりの条件を全員で揃えます。
- 議題ごと持ち時間を口頭で伝えてから始める。残り5分で一声かけます。
- 終了3分前決定事項・持ち帰り・担当と期限を読み上げて終了します。
最初から完璧に回そうとしなくて大丈夫です。時間を守ることと、決まったことを確認すること。この2つさえできていれば、進行役としては十分に役目を果たしています。
よくある質問
会議のアジェンダはいつまでに共有すればいいですか?
会議の2〜3営業日前までに、アジェンダと関連資料をあわせて参加者へ共有するのが望ましいとされています。事前に共有しておくことで、当日の理解の齟齬や準備不足を防げます。前日夜に完成度を上げるより、粗い状態でも早く出したほうが会議はうまく進みます。
60分の会議の時間配分の目安を教えてください。
報告事項は5分以内、ディスカッションに15〜20分、決議に10分が目安として紹介されています。さらに、全議題の合計時間は会議全体の8割程度に抑え、残り2割は延長や脱線、追加質問への対応のためのバッファとして空けておきます。60分の会議なら議題の合計は48分前後です。
議題の順番はどう決めればいいですか?
重要度・緊急度に応じて優先順位をつけ、どうしても決定しなければならない議題を、参加者の集中力が高い前半に配置します。報告だけの議題を後ろに回しておくと、時間が押したときに削る対象が自然と報告事項になり、重要な決議に影響しません。
参加者が誰も発言しないときはどうすればいいですか?
「何かご意見ありますか」と全体に投げるのをやめ、名前を挙げて範囲を絞って聞きます。意見よりも先に「実際の運用ではどうなっていますか」と事実を尋ねる、「A案とB案ならどちらですか」と選択肢の形にする、といった聞き方も答えやすくなります。根本的には、事前のアジェンダで論点と担当を明確にしておくことが最も効きます。
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