つみたて投資枠の対象商品とは?288本に絞られる条件
画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
つみたて投資枠で買えるのは、金融庁へ届出のあった「長期・積立・分散投資に適した」投資信託等に限られます。販売手数料ゼロ、信託報酬は国内資産で年0.5%以下・海外資産で年0.75%以下(いずれも税抜)、毎月分配型でないこと、信託契約期間が無期限または20年以上であることなどが条件で、2024年4月末時点の対象は288本でした。最新の対象商品は金融庁の「つみたて投資枠対象商品」ページで随時公表されています。
投資信託は国内で買えるものだけで約6000本あります。そのうちつみたて投資枠で買えるのは、2024年4月末時点で288本。全体の4〜5%程度です。
この差は、証券会社が品揃えをサボっているからではありません。つみたて投資枠の対象商品は、金融庁に届出のあった「長期・積立・分散投資に適した」投資信託等に限定されているためです。何をもって「適した」とするかは、コストや分配の出し方といった具体的な条件で決まっています。条件がわかれば、対象外だったファンドがなぜ外れたのかも読めるようになります。
つみたて投資枠の対象商品は誰がどう決めている?
つみたて投資枠で買える商品は、証券会社が自由に決めているわけではありません。金融庁への届出が必要で、届出のあった商品が公式サイトの一覧に載り、そこから各社が取り扱うものを選んでいます。つまり「金融庁の一覧に載っている」ことが大前提で、証券会社の品揃えはその一部という二段構えです。
ここで先に言葉をひとつ渡しておきます。信託報酬(運用管理費用)は、投資信託を保有している間ずっと差し引かれ続ける費用のことです。買うときに一度だけ払う販売手数料とは別物で、年率で表示されます。以降もこの語で通します。
この信託報酬をはじめとする条件が、対象商品を絞り込む本体になっています。
対象商品の条件は具体的に何が決まっている?
届出の対象になるための主な条件は次のとおりです。数字が入っているものは政令で規定されています。
| 販売手数料 | ゼロ(ノーロード) |
|---|---|
| 信託報酬の上限 | 国内資産を対象とするもの:年率0.5%以下(税抜) 海外資産を対象とするもの:年率0.75%以下(税抜) |
| 分配頻度 | 毎月分配型でないこと |
| 信託契約期間 | 無期限または20年以上 |
| デリバティブ取引 | ヘッジ目的等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと |
日本取引所グループ(東証マネ部!)の公表データをもとに作成
上の表を、条件がひとつずつ何を弾いているかという視点で見ていきます。
販売手数料ゼロと信託報酬の上限
販売手数料がゼロという条件は、買うたびにコストが引かれる商品を除きます。積立は毎月・毎週といった頻度で買い付けを繰り返すので、1回あたりの手数料は回数分そのまま効いてきます。
信託報酬の上限は、保有し続ける間のコストに天井を設けるものです。国内資産で年0.5%以下、海外資産で年0.75%以下(いずれも税抜)。海外資産の方が高めなのは、現地市場での売買や保管にかかる手間の分です。この上限は「安いものを選びなさい」ではなく「これを超えるものは並べない」という足切りの線で、対象内でもさらに低い水準の商品は多くあります。
毎月分配型が外れている理由
分配金を毎月出すタイプは対象から外れています。分配金を出すと、その分だけファンドの基準価額は下がります。受け取った分配金を使ってしまえば、運用に回るお金はそのぶん減ります。長期で運用益を再び運用に回していく積立の設計と、毎月現金化する設計は方向が逆になるためです。
契約期間20年以上とデリバティブの制限
信託契約期間が無期限または20年以上、という条件は、積立の途中でファンド自体が終了してしまう事態を避けるためのものです。20年積み立てるつもりの器が10年で閉じては困ります。
デリバティブ取引の制限は、値動きを大きくする仕組みを組み込んだ商品を除きます。ヘッジ目的(為替変動の影響を抑えるなど)は例外として認められています。
ここまでの条件は、あくまで「長期・積立・分散に適した形をしているか」という枠組みの審査です。対象商品リストに載っていることは、値上がりを保証するものでも、あなたの目的に合うことを意味するものでもありません。同じ対象内でも、投資対象(国内株式・全世界株式・債券を含むバランス型など)によって値動きの幅はまったく違います。
対象商品の最新リストはどこで確認する?
対象商品は届出によって随時追加・変更されます。本数を暗記しても意味がなく、確認先を覚えるほうが実用的です。
- 金融庁の対象商品ページを開く金融庁サイトの「つみたて投資枠対象商品」ページ(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/products/)に、届出のあった商品の一覧が公表されています。ここが一次情報です。
- 公表されている一覧ファイルを開くページ内で公表されている一覧から、商品名・運用会社・信託報酬などを確認します。更新日の表示を最初に見て、いつ時点のリストかを把握します。
- 気になるファンド名で一覧内を検索するファイル内検索(Ctrl+F)でファンド名を入力し、載っていれば対象、載っていなければ対象外と判断できます。証券会社の画面表示より、こちらが原本です。
- 自分が使う証券会社の取扱一覧と突き合わせる金融庁の一覧に載っていても、その証券会社が取り扱っていなければ買えません。証券会社のNISA商品ページで、つみたて投資枠の取扱本数と該当商品の有無を確認します。
- 金融庁の一覧に載っているか(載っていなければ制度上の対象外)
- 載っているのに買えないなら、証券会社が取り扱っていない可能性
- 信託報酬が上限を超えていないか(目論見書・交付目論見書で確認できます)
- 分配頻度が毎月になっていないか
- 信託契約期間が20年未満で設定されていないか
制度上の区分と商品の良し悪しは別の話です。つみたて投資枠の条件を満たさない商品でも、成長投資枠や課税口座で買えるものは多くあります。条件はあくまで「毎月コツコツ積み立てる用途に形が合っているか」で切っているので、それ以外の使い方まで否定するものではありません。
逆に言えば、対象リストに載っているという事実から読み取れるのは「販売手数料がなく、信託報酬が一定以下で、毎月分配せず、20年以上続く設計になっている」ことまでです。そこから先、どの資産に投資するファンドを選ぶかは条件の外側にあり、自分で判断する部分になります。
本数が変わったという情報を見たときはどうする?
制度は2024年に新NISAへ移行しており、対象本数は届出の追加・除外で増減します。ここで挙げた288本という数字も、2024年4月末時点の値です。
記事やSNSで本数を見かけたら、その数字がいつ時点のものかを必ず確認し、判断に使うなら金融庁の一覧で現在値を見直すのが確実です。同じように、市場の見通しやアナリスト予想を見かけたときも、それが予想であって前提ではないこと、いつ時点の見方かを分けて読むと、情報に振り回されにくくなります。
投資は自己責任であり、元本が保証されるものではありません。ここで整理したのは制度上の条件と確認手順であり、特定の商品の購入を推奨するものではありません。実際の商品選択にあたっては、交付目論見書などの一次資料を確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。
よくある質問
つみたて投資枠の対象商品は何本ありますか?
2024年4月末時点で288本でした。国内で購入可能な投資信託は約6000本あるため、その4〜5%程度にあたります。対象商品は届出によって随時変更されるため、最新の本数と一覧は金融庁の「つみたて投資枠対象商品」ページで確認してください。
つみたて投資枠の信託報酬の上限はいくらですか?
国内資産を対象とする投資信託は年率0.5%以下(税抜)、海外資産を対象とするものは年率0.75%以下(税抜)と政令で規定されています。この上限を超える信託報酬の商品は、つみたて投資枠の対象になりません。
毎月分配型の投資信託がつみたて投資枠で買えないのはなぜですか?
つみたて投資枠の対象条件に「分配頻度が毎月でないこと」が含まれているためです。分配金を出すとその分だけ基準価額は下がり、運用に回る資金が減るため、長期の積立という制度の設計と方向が合わないことが理由とされています。
つみたて投資枠の対象商品リストはどこで見られますか?
金融庁の公式サイト内にある「つみたて投資枠対象商品」ページ(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/products/)で、届出のあった商品の一覧が随時更新・公表されています。証券会社の画面表示ではなく、こちらが一次情報です。
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