いろは堂投資
← 戻る

騰落レシオの見方、日経平均が上がっても保有株が下がる理由

2026年9月27日|いろは堂投資編集部
日本語の株価表示ボードを接写した、始値・高値・安値の数字が並ぶ画面

画像出典: ぱくたそ

この記事の要点
日経平均の上昇は、指数への影響が大きい一部の大型株だけで起きることがあります。2026年9月24日は日経平均が4営業日続伸して一時6万6249円11銭まで上げた一方、終値時点では東証プライムで値下がり銘柄が800を超え全体の5割超を占めました。値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数×100で求める騰落レシオを見れば、指数の上昇に多くの銘柄がついてきているかを数字で確認できます。
😟
ニュースは「日経平均が続伸」って言ってるのに、自分の持ち株はマイナス。銘柄選びを間違えたんでしょうか…

指数が上がった日に自分の株が下がるのは、めずらしいことではありません。日経平均は225銘柄の指数で、しかも株価の高い銘柄や値動きの大きい銘柄の影響を強く受けます。半導体関連のような一部の主力株がまとまって上がれば、それだけで指数は数百円動きます。

正直なところ、この状態を感覚だけで判断しようとすると、たいてい「自分の判断が悪かったのだ」という方向に傾きます。市場全体のうち、実際に何銘柄が上がって何銘柄が下がったのか。それを数字で確かめる道具が騰落レシオです。

騰落レシオとは?

騰落レシオは、東証プライム全体の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から、相場全体の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を測るテクニカル指標です。計算式はシンプルで、値上がり銘柄数 ÷ 値下がり銘柄数 × 100。値上がりと値下がりが同数なら100%になります。

日経平均やTOPIXが「どれだけ動いたか」を表すのに対して、騰落レシオは「どれだけ多くの銘柄が動いたか」を表します。市場の広がり(ブレッドス)を見る指標、と考えるとイメージしやすいはずです。株価ボードの赤と緑がどちらに何個傾いているか、その偏りを一つの数字にしたものです。

期間の取り方は2種類が一般的です。短期の過熱感を見るなら直近5日間の値上がり銘柄数合計と値下がり銘柄数合計を使う5日騰落レシオ、中期なら25日間の合計を使う25日騰落レシオ。単日の値上がり・値下がり銘柄数だけでは「その日の相場の広がり」の目安にしかならず、過熱感の判定には複数日の累積が必要です。

2026年9月24日の相場は実際どうだったのか?

直近で分かりやすい例が2026年9月24日です。この日の日経平均は前場に一時1230円16銭高の6万6249円11銭まで上昇し、午前9時32分に取引時間中としては9月8日以来となる6万6000円台を回復しました。前場終値は864円46銭高の6万5883円41銭で4営業日続伸、終値も495円04銭高(+0.76%)の6万5513円99銭でした。

見出しだけ追えば「続伸」「6万6000円台回復」で終わる日です。ところが市場の中身は、時間帯によって表情が違いました。

時点東証プライムの内訳
6万6000円台に乗せた前場値上がり828・値下がり670・変わらず56
終値時点値下がり銘柄が800を超え、全体の5割超

株式新聞およびザイ経新聞の報道をもとに作成

上の表のとおり、指数が高値を付けた瞬間は値上がりが値下がりを上回っていたのに、大引けに向かうと値下がりが多数派に変わっています。日経平均は続伸で終わっているのに、保有株が下がっていた人のほうが多かった、ということです。この日に持ち株がマイナスだったのは、銘柄選びの失敗ではなく市場の構造の話です。

ちなみに翌9月25日は、日経平均が5営業日続伸して終値6万6364円20銭(850円21銭高、+1.30%)。半導体関連や銀行株が買われ、値上がり銘柄が値下がりを大きく上回る全面高の展開でした。同じ「続伸」でも中身はまるで違います。

指数だけが上がる「まだら相場」はなぜ起きる?

ここまでを整理すると、日経平均の上昇と保有株の下落は矛盾しません。指数への影響が大きい一部の主力株・大型株(半導体関連など)だけが強く上昇し、それ以外の多数の中小型株が値下がりしている状態でも、指数はプラスで終われます。この現象をまだら相場、または二極化相場と呼びます。

🤔
じゃあ「指数が上がってるのに自分だけ下がってる」と感じたときは、どこを見れば確かめられるんでしょう

確認する場所は決まっています。その日の東証プライムの値上がり・値下がり銘柄数です。証券会社のサイトや株式ニュースの「本日のマーケット」記事に、必ず数字として載っています。指数の騰落率だけを見ている限り、まだら相場は見えません。

騰落レシオの水準はどう読む?

25日騰落レシオの代表的な目安は次のとおりです。東証プライムを対象にした水準です。

120%以上買われ過ぎ。高値圏で相場全体が過熱している可能性
100%前後値上がり数と値下がり数がほぼ同数の中立圏
70%以下売られ過ぎ。底値圏の可能性

松井証券および戦略太郎の解説をもとに作成

読み方のコツは、指数の位置と組み合わせることです。日経平均が高値圏にあるのに25日騰落レシオが低い、あるいは指数の上昇に比べて伸びていない。この組み合わせが出ているときは、上昇に多くの銘柄がついてきていない局面である可能性を疑えます。逆に70%以下まで沈んでいるなら、保有株の下落は個別の問題ではなく市場全体の地合い悪化かもしれない、と切り分けられます。

今日からできる確認手順

  1. 指数の騰落率を見たら、そこで止めない日経平均が何円上がったかを確認したあと、同じ日の東証プライムの値上がり・値下がり銘柄数まで目を通します。証券会社サイトや市況記事に併記されています。
  2. 単日の比率をその場で出す値上がり銘柄数 ÷ 値下がり銘柄数 × 100。9月24日前場の828と670なら約124%、終値近辺のように値下がりが800超で多数派なら100%を下回ります。暗算でも傾きは分かります。
  3. 5日・25日のレシオをチャートで確認する過熱感の判定は累積が必要です。証券会社のサイトに騰落レシオのチャートがあるので、25日騰落レシオが今どの水準にいるか、上向きか下向きかを見ます。
  4. 120%超/70%以下かで見立てを分ける120%超なら過熱局面の可能性、70%以下なら売られ過ぎの可能性。中立圏なら水準からは何も言えない、と判断を保留します。
  5. 保有株の下落の理由を切り分ける市場全体が下を向いているのか、指数と中身がズレているだけなのか、それとも保有銘柄固有の要因なのか。この3つのどれなのかを、感覚ではなく銘柄数の数字で確認します。
日経平均だけ上がって焦ったときの確認リスト
  • その日の東証プライムの値上がり・値下がり銘柄数を見た
  • 値上がり数 ÷ 値下がり数 × 100 を計算した
  • 25日騰落レシオの水準と向きをチャートで確認した
  • 120%超・70%以下・中立圏のどこにいるかを言葉にした
  • 下落理由が全体か指数のズレか個別要因かを切り分けた
😌
数字で見られると、少し落ち着いて考えられそうです

焦りの多くは「何が起きているか分からない」ところから来ます。銘柄数という誰でも見られる数字で相場の中身を言葉にできれば、少なくとも見えていない不安はひとつ減ります。

騰落レシオで分からないことは?

向いていない使い方もあります

騰落レシオはボックス相場での短期的な天井・底値の目安に向く指標で、ウィークトレードやスイングトレードの時間軸を想定しています。1日のうちに何度も売買するデイトレードには不向きです。

また、あくまで相場全体の広がりを示す指標であり、個別銘柄のファンダメンタルズとは無関係です。「25日騰落レシオが70%以下だから、この銘柄は買い」という使い方はできません。業績や財務の判断は別の材料で行う領域です。

水準の目安も絶対の境界線ではありません。120%を超えてからさらに上昇が続くこともあり、70%を割ってからさらに下げることもあります。単独の指標で売買を決め切らず、指数の位置・出来高・決算などの材料と併せて判断してください。

まだら相場のときに持っておきたい視点

指数と保有株のズレが確認できたとして、では何をするか。ここで大事なのは、レシオの水準が行動を自動的に決めてくれるわけではないという点です。騰落レシオが教えてくれるのは「今の相場はこういう中身だ」という事実だけです。

その事実が分かると、少なくとも判断の土台は変わります。市場全体が売られている局面なのか、一部の主力株だけに資金が集まっている局面なのか。同じ含み損でも、自分のポートフォリオをどう点検するかの出発点が違ってきます。保有銘柄が偏っていないか、値動きの性質が似たものばかりになっていないか——そうした点検は、相場の中身を把握してからのほうが落ち着いて進められます。

本記事は指標の見方を解説する教育目的の内容です。特定の銘柄や売買の推奨ではありません。投資は自己責任であり、元本が保証されるものではありません。最終的な判断はご自身で行ってください。

よくある質問

騰落レシオの計算式は?

騰落レシオ(%)=値上がり銘柄数 ÷ 値下がり銘柄数 × 100 です。東証プライム全体の銘柄数を使い、値上がりと値下がりが同数なら100%になります。短期の過熱感は直近5日間の合計、中期は25日間の合計を使うのが一般的です。

25日騰落レシオの目安となる水準は?

東証プライムを対象とした一般的な目安では、25日騰落レシオが120%以上で買われ過ぎ(高値圏での過熱)、70%以下で売られ過ぎ(底値圏の可能性)とされます。ただし境界を超えてからさらに同じ方向へ動くこともあり、単独で売買を決める指標ではありません。

日経平均が上がっているのに保有株が下がるのはなぜ?

日経平均は株価の高い銘柄や指数への影響が大きい銘柄の動きを強く受けるため、半導体関連などの一部主力株だけが上昇すれば、その他多数の中小型株が下がっていても指数はプラスになります。これをまだら相場(二極化相場)と呼びます。2026年9月24日は日経平均が4営業日続伸した一方、終値時点では東証プライムで値下がり銘柄が800を超え、全体の5割超を占めました。

騰落レシオはデイトレードに使える?

デイトレードには不向きとされています。騰落レシオは複数日の値上がり・値下がり銘柄数を累積して相場全体の過熱感を測る指標で、ボックス相場における短期的な天井・底値の目安として、ウィークトレードやスイングトレードの時間軸に適した指標です。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。