出来高の見方、株価と組み合わせる4パターン
画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
出来高は一定期間内に成立した株式の売買数量で、需給の強さや投資家の関心度を表します。単独では判断材料になりにくく、株価が上がったか下がったかと、出来高が増えたか減ったかを組み合わせた4パターンで読むのが基本です。ただし出来高から読めるのは「今どれだけ関心が集まっているか」までで、将来の値動きを保証するものではありません。
出来高はチャートを開けば必ず目に入る指標なのに、株価のように「上がった=うれしい」という単純な読み方ができません。棒が高い日と低い日があって、それが自分の判断とどうつながるのかが見えにくいところです。
出来高は、単独で見ても意味をつかみにくい指標です。株価が上がったのか下がったのかと必ずセットにして、はじめて「この値動きに、どれだけの人が参加しているか」が読めるようになります。ここでは出来高そのもののしくみを押さえたうえで、株価との組み合わせ4パターンと、チャートに表示する操作手順まで順番に見ていきます。
出来高とは何を数えた数字?
出来高は、一定期間内に成立した株式の売買数量を示す指標です。日足チャートなら「その日1日で何株の売買が成立したか」を棒グラフの高さで表しています。これは需給の強さや、その銘柄への投資家の関心度合いを表すものとして使われます。
ここで大事なのは、出来高は「注文が出た数」ではなく「売買が成立した数」だということです。株式の売買は、売りたい人と買いたい人の条件が一致してはじめて成立します。つまり出来高が1万株なら、1万株分の売り手と1万株分の買い手が同時にいたということになります。
この点を押さえると、よくある誤解が消えます。出来高が増えた=買いが増えた、ではありません。売買が成立している以上、売りと買いは常に同数です。増えているのは「その株を手放したい人と手に入れたい人が、どちらも多く集まっている」という取引の活発さそのものです。
- その価格帯で売りたい人と買いたい人が、どちらも多く集まった
- 何らかの理由でその銘柄に関心が向いた(決算、ニュース、指数への採用など)
- 成立した株数が多いぶん、少額の注文で株価が動きにくい状態にもなる
逆に出来高が極端に少ない銘柄では、買いたいときに売り手が見つからない、売りたいときに買い手が見つからないという事態が起きやすくなります。これが流動性の低さで、思った価格で約定しにくいというかたちで自分の取引に跳ね返ってきます。出来高は勢いを読む道具であると同時に、その銘柄が自分にとって売買しやすいかどうかを測る道具でもあります。
株価と出来高を組み合わせる4つの基本パターン
ここからが本題です。株価が上がったか下がったか(2通り)と、出来高が増えたか減ったか(2通り)を掛け合わせると、読み方の型ができます。
同じ「株価上昇」でも、出来高が増えているときと減っているときでは、その上昇に参加している人数がまるで違います。値段だけを見ていると、その差が見えません。
パターン1: 株価上昇 + 出来高増加
多くの投資家が上昇に賛同し、買いが続いている状態と読まれます。上昇のエネルギーが強く、トレンドが継続する可能性が高いと判断される、最もわかりやすい組み合わせです。値段が上がっているだけでなく、その値段で買いたい人が実際に大勢いることが、出来高の高さとして裏づけられています。
パターン2: 株価下落 + 出来高増加
売りたい投資家が殺到している状態です。下落の勢いが強く、さらなる下落が警戒されるサインとされます。パターン1の裏返しで、「その値段でも手放したい」という参加者が多いことが数字に出ています。
パターン3: 株価上昇 + 出来高減少
ここが一番読み違えやすいところです。株価だけを見れば上昇なので好調に見えますが、出来高が減っているということは、その上昇に対する市場の賛同が薄れつつある可能性があります。伸び悩みのサインとして注意が必要とされる形です。株価と出来高が逆方向を向いたときは、株価より出来高の側を疑う——これが4パターンを覚える一番の実益です。
パターン4: 株価下落 + 出来高減少
売りたい人も買いたい人も減り、値動きが方向感を失っている状態です。下げてはいるものの、積極的に売っている参加者は多くない、という読み方になります。
| 出来高が増加 | 出来高が減少 | |
|---|---|---|
| 株価が上昇 | 上昇に賛同する買いが続く。トレンド継続の可能性が高いとされる | 上昇への賛同が薄れつつある可能性。伸び悩みのサインとされる |
| 株価が下落 | 売りが殺到。下落の勢いが強く、さらなる下落が警戒される | 売買参加者が減り、方向感が乏しい状態 |
JIOの解説をもとに作成
出来高が急増した「場所」で意味が変わる?
同じ「出来高急増」でも、株価がどのあたりにいるときに起きたかで解釈が変わります。ここでいう天井圏・底値圏とは、その銘柄の直近の値動きの中で高い水準にあるか、低迷している水準にあるかという相対的な位置のことです。
- 天井圏での出来高急増高値圏まで上がったところで急に売買が膨らんだ場合、株価下落のシグナルとされます。買いたい人が集まっていると同時に、その高値で手放したい人も大量に出てきているためです。
- 底値圏での出来高急増株価が低迷しているところで急に売買が膨らんだ場合は、株価回復のシグナルとされます。安くなった水準で拾いたい参加者が動き出した形です。
つまり出来高の急増は「何かが変わろうとしている」という合図であって、それ自体が上下の方向を指しているわけではありません。方向を決めるのは、そのとき株価がどこにいたかです。
ローソク足と組み合わせるとどう読める?
出来高は1日の売買量の合計なので、その日の値動きの中身までは教えてくれません。そこを補うのがローソク足です。ローソク足は始値・終値・高値・安値の4つを1本に詰め込んだもので、実体(始値と終値の間の四角)から上下に伸びる細い線をヒゲと呼びます。

上の図のとおり、実体の上端と下端が始値(Open)と終値(Close)、そこから伸びるヒゲの先が高値(High)と安値(Low)です。終値が始値より高い、つまりその日値上がりして終えたローソク足を「陽線」(図の左・Bullish)、終値が始値より低い、値下がりして終えたローソク足を「陰線」(図の右・Bearish)と呼びます。ヒゲが長いということは、その日いったんそこまで価格が動いたのに押し戻された、という意味になります。この「押し戻し」に出来高を重ねると、押し戻した力の大きさが見えます。
- 下ヒゲが長い陽線 + 出来高増加 … いったん大きく下げたが買い戻されて値上がりで終えた形。安値圏で強い買いが入った可能性のサイン
- 上ヒゲが長い陰線 + 出来高増加 … いったん大きく上げたが売られて値下がりで終えた形。高値圏での売り圧力が強く、天井形成の兆候とされる
どちらも「いったん大きく動いたが戻された」形で、そこに大量の売買が伴っていた、という読み方です。出来高が伴わない長いヒゲは、単に薄商いで価格が振られただけということもあります。ヒゲの長さは、出来高とセットで見てはじめて重みがつきます。
出来高をチャートに表示する手順は?
多くのチャートツールでは出来高が初期状態で表示されますが、消えている場合や、あらためて追加したい場合の操作例を挙げます。以下は松井証券のネットストック・ハイスピードの手順です。他社のツールでも、指標の一覧から出来高を選んで追加するという流れはおおむね共通しています。
- チャートを開く「チャート」→「チャート分析」から株式チャートを開きます。
- 銘柄を指定する銘柄コードと市場を指定して、対象の銘柄を表示します。
- 出来高を追加する「基本指標」の中から「出来高」をダブルクリックします。
- 確定する「OK」を押すと、チャート下部に出来高が表示されます。
表示できたら、まずは自分が普段見ている銘柄で、株価が大きく動いた日の出来高がどうなっていたかを遡って確認してみてください。4パターンのどれに当てはまるかを、実際のチャートで数日分たどるのが一番早い練習になります。
出来高のピークと株価の高値は一致する?
出来高が最も膨らんだ日と、株価が高値(または安値)をつける日は、必ずしも同じ日になりません。時間的な関係には主に3つのケースがあるとされています。
- 出来高がピークを迎えてから約1週間程度で、株価が高値・安値をつけるケース
- 出来高がピークをつけたあとも、さらに株価が上昇・下落を続けるケース
- 出来高のピークと株価の高値・安値が、ほぼ一致するケース
3通りある時点で、「出来高がピークをつけたから、1週間後が天井だ」と決め打ちはできないということです。これらはあくまで過去に観察された傾向・目安であって、将来の値動きを保証するものではありません。出来高から読めるのは「今、関心と売買が集中している」という現在の状態までで、その先どうなるかを示す矢印ではない、と割り切って使うのが安全です。
出来高の急増は、決算発表、株式分割、指数への採用・除外、大株主の売却といった一時的な要因でも起こります。この場合の急増は「イベントで人が集まった」だけで、そのあとの株価の方向とは結びつかないことがあります。出来高が跳ねているのを見つけたら、パターンに当てはめる前に、まずその日に何があったのかをニュースや適時開示で確認するほうが先です。
また、もともと出来高の少ない銘柄では、1件の大口注文だけで出来高が何倍にも見えることがあります。数字の絶対値ではなく、その銘柄自身の普段の水準と比べてどうかで見てください。
まず何から始める?
出来高は、覚えることの少ない指標です。株価と組み合わせる4パターンと、急増した場所(天井圏か底値圏か)で意味が変わること。この2つを頭に置いてチャートを見返すだけで、これまで棒グラフにしか見えなかったものが、参加者の数として読めるようになります。
いきなり売買の判断に使おうとせず、まずはすでに終わった値動きを、出来高つきで読み直すところから始めるのがおすすめです。答え合わせができる過去のチャートのほうが、パターンが身につきやすくなります。
※本記事は株式投資に関する情報提供・教育を目的としたものであり、特定の銘柄や売買タイミングの推奨ではありません。株式投資は自己責任で行ってください。元本は保証されておらず、投資判断の結果生じた損失について当サイトは責任を負いません。
よくある質問
出来高が増えると株価は上がりますか?
出来高の増加は株価の上昇を意味しません。売買が成立した数量である以上、売り手と買い手は常に同数だからです。出来高が増えたときは、その銘柄への関心が高まり売買が活発になったことを示しており、株価が上がるか下がるかは株価自体の動きと合わせて判断します。株価上昇と出来高増加が重なればトレンド継続の可能性が高いとされ、株価下落と出来高増加が重なれば下落の勢いが強いと警戒されます。
株価が上がっているのに出来高が減っているのはどういう状態ですか?
上昇に対する市場の賛同が薄れつつある可能性があり、伸び悩みのサインとして注意が必要とされる状態です。株価は上がっているものの、その値段で買いたい参加者が減っていることを示します。株価と出来高が逆方向を向いたときは、株価だけを見て好調と判断せず、出来高の側にも目を向けるのが基本です。
出来高はどこで確認できますか?
証券会社のチャートツールで確認でき、多くの場合はチャート下部に棒グラフとして初期表示されています。表示されていない場合は指標の一覧から追加します。松井証券のネットストック・ハイスピードでは、「チャート」→「チャート分析」から株式チャートを開き、銘柄コードと市場を指定したうえで「基本指標」から「出来高」をダブルクリックし、「OK」を押すと表示されます。
出来高がピークをつけたら、株価の天井はいつ来ますか?
時期は一定しません。過去に観察された傾向として、出来高のピークから約1週間程度で株価が高値・安値をつけるケース、出来高のピーク後も株価が上昇・下落を続けるケース、出来高のピークと株価の高値・安値がほぼ一致するケースの3通りがあるとされています。いずれも目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。
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